「『第七番演算式【淵閃】』!」
「術式【焔・釭】!」
「術式再現!【焔・蒼】!」
術式が飛ぶ、魔術が飛ぶ、炎が飛ぶ。
光の柱と紅と蒼の炎がぶつかり、相殺され消える。
両者とも、本気を出していないとしても互角であった。
この状況では決着がつかないと三人とも判断していた。
ここからはどれだけ自分の要望と自身の労力の区切りを探す戦いだ。
その為には少しづつ威力を上げて行く必要があるが、仲間に攻撃を加えるのは抵抗がある。
鉉覇と煤墨は防御の為だけに魔術を放っている状態で、
闇虹は『この時間を仕事に当てればイイのでは!?』と思い始めていた。
各々のタイパを気にしに始めた頃、
闇虹の空間魔術陣が全て破られた。
「は!?」
「え?」
闇虹が魔術の天才、鉉覇を捉えるための魔術。
煤墨が認める天才、闇虹を破ろうとも一部一瞬しか破れなかった魔術が全て壊された。
そして、その原因は直ぐに判明した。
「申し訳ございませんがこの喧嘩、仲裁させて頂きます。」
先程逃げた男が立っていた。
だが逃げた時とは姿が変わっていた。
左腕が二の腕の中腹辺りから無くなっている。
だが、
彼は魔剣使いだと聞いていた、魔剣は義手になっているとも。
だが
「いやー凄い事になったね。」
固まった空気を解すように皇帝陛下も近づいてきたのだ。
「久条くん!」
「お!お前らも来たのか!」
「ども。」
「どもども。」
濡羽と玄鉄も運命の後ろから現れる。
闇虹は日に二度、自身の演算式が破られた事がショックだったのか固まっている。
「そして」
運命はレントに向き直り問う。
「それが君の新しい能力なのかな?」
「・・・はい。」
レントも自身の右手を見た。
そこには確かにデュランダルと同じ色をした槍が握られていた。
形は笹穂槍のように剣先が大きくなっている。
(デュランダルの伝承によっては剣では無く槍として登場したという。
その伝承が形となったのだろう。)
リリィはそう結論付けた。
所詮、魔剣。
どう見ようと、その真髄は魔剣使い本人にしか分からないのだ。
(だが、それだけではあるまい。)
『その為の実力測定でもあるからね。』
「闇虹、このまま続けて意味があると思うかい?」
「え、いや・・・・・・というかキミがサボらなければ何もしてなかったんだけど!?」
運命は耳を閉ざした。
皇帝陛下には都合のいい言葉しか届かない能力が備わっているのだ。
されど、今回は全て無視する事は無かった。
「まぁ・・・執務を放棄したのは重々承知しているよ。
だから今回は・・・」
運命は手元に自身の魔剣を顕現し、
「ちょっとした
形式は三対一、互い全員をのしたら勝ち。」
その言葉にシックスが怪訝な顔をした。
「それは流石にこちらが有利すぎるのでは?」
濡羽が思わず声を挟む。
「そうだね、だから勝利した
運命は語る。
「闇虹が勝った場合、鉉覇と私は執務に真面目に仕事する。
その間、1ヶ月休暇を与える。」
「え、マジで!」
闇虹は嬉しそうな笑顔に闘志を宿した瞳を返した。
「鉉覇と煤墨には1ヶ月、自身の自由と私の自由も上げよう。」
「え、何?運命を自由に説って自由に遊べるってこと!?」
「ふふ、面白いね♪」
二人は同じく目を赤く光らせる。
「そしてレントには、
望み通り、神域調査への同行を許可しよう。」
「・・・え?」
レントはポカンと口を開けた。
開いたまま閉じず言われた言葉を反芻する。
その光景に運命はクスッと笑う。
「ソナタに何度も相談されてたんだよ。
『レントが我々の任務に同行を申し出ている。』って。」
しかし、
「けど、ソナタも毎回言うんだ。
『彼を行かせたくない』と。」
そうだ、ソナタ様はいつ言っても否定的だった。
「君と長く過ごしたからだろうね。
彼女の弟分、君の姉貴分として。
そして左腕の件も合わせて、これ以上危険な目に合って欲しくないらしい。」
けど、
「私は肯定も否定もしていないけれど、
『一度連れて行って上げればいいんじゃないかな。
そうすれば君の連れて行きたくない気持ちや、彼のついて行きたいという気持ちの証左にもなる。』とだけ。」
つまり、
「
運命は頷いて答える。
「私としてもソナタと半分は同意見だから。
危険な目を会いたくないなら、君の力を示してくれ。」
槍を握る右手に力が入る。
これ程、やる気になった自分も珍しく思う。
「陛下〜結界貼り終わったよ♪」
「半径200m程、一般人の存在は無しです。」
そうして全員の顔を見た運命は顕現した魔剣の力を解放する。
「限定神域、調整解放。」
運命から薄い膜のようなものが拡がり、全員を包みなお広がる。
「神域から外への攻撃は防ぐようにしてあるよ。
これの外に出たら同時に負けね。」
「もう一度言うよ、実質一対二対一の混合戦。
一人でも倒れたら終了、最後に攻撃を当てた人の勝利。
これ以外のルールは無いよ。」
そして、運命の右手が上げられ。
「・・・」「・・・」「・・・」「・・・」
振り下ろされた。
「速攻で潰す!」
「ゴメンね!」
「悪く思わないでね!」
三者三様の攻撃がレントに向かって飛んでくる。
流石、騎士団。
連携がしっかりしていて防ごうとしても、一方が漏れそうな攻撃を放ってくる。
しかし、それに焦ること無く槍を左側に構え・・・
「陛下陛下〜。」
「ん?」
「陛下はさ、どっちが勝つとか分かってんの?」
玄鉄が聞く。
闇虹と鉉煤を分断させようとも、ああして連携を取っている。
「んー、確定じゃないし贔屓もしたくないんだけど、
九割方、レントが勝つと思うよ、相手が悪すぎる。」
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この腕は 呪いだ。
望んで付けた訳じゃない。
しかし、コレがなければ叶わない願いが幾つもある。
カノン様と同じ騎士になる。
カノン様と肩を並べる。
カノン様の身を守る。
もはや唯の
その果てに【
何故、このような名前が付いたんだ。
・・・運命様だったな。
なら慧眼としか言いようがない。
どれだけ足を踏み出そうと、
どれだけ変わろうと心を変えようと、
根っこが全然変われていない。
未だにエルスタニア帝国に囚われている。
変化に否定的だと言われても仕方のない。
更にこれは何だ。
使い方を学ぶ中で生えてきた新しい能力。
お前は
なのに何故自分の思いが反映されているんだ。
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「・・・魔剣デュランダル type
構えから振り抜く、
「【
振り抜かれた槍。
それに触れた魔術達が、一斉に消えた。
「は!?」
「また消えた!彼って斬った物の状態の変化を固定化するじゃないの!?」
「うん、僕もエラー君からそう聞いているよ。」
「・・・これは槍と共に生まれた私の新しい能力です。」
「【変化の否定】は歩み出す足を否定します。
動き出す物体を動かないように、何も危険を犯さないように。」
「【進歩の否定】は歩み続けた足を否定します。
あるべき場所に戻すように、努力が無駄だと教えるように。」
元は聖剣と呼ばれたデュランダルが魔界にて汚された魔剣としての能力。
折れず曲がらずと変形しなかった自身を、変化せず進歩せずと周りを呪うようになった。
「
つまり、彼の槍は魔術を魔力に返したとでも!?」
魔術のスペシャリスト達は冷静に現状を分析。
QUEENは起きた現象を言葉にし、
「なら、槍だな。
今の説なら槍に触れなければ大丈夫だろ。」
KINGが方針を決め、
「なら僕が行くよ、試験運転なら僕が最適だ。」
JOKERが行動する。
白い紙片が舞う。
舞う、空を舞う。
やがて積もり積もり。
壁を形作る。
「再現術者:鶴喰燈冥!【再現術式・
積み上げられた紙片。
それはやがて材質が変化し、石の彫刻となった。
巨大な石は前進を始め、こちらに迫る。
レントは観察する。
『貴方は初見が弱いのね。』
いつか言われた助言。
それは戦場に立つ者にとって致命的な弱点だった。
故に、
『慣れなさい。』
と、紫がかった髪の女剣士が言い放った。
『いえ、違うわね。
この言い間違えは特に罪深いわ・・・』
そしてその後、二振の刀、『
『
と言い残した。
違う、聞き残した。
あの後はあらゆる技、あらゆる状況に慣れさせるべく地獄というのも生温い特訓がなされた。
天使に追われる中で鋭すぎる攻撃が背後から飛んでくる。
そのおかげで窮地に立たされた経験だけが断然増えた。
レントは槍を構えた。
壁に向かい突き出す前に、大袈裟に周囲に振り回しながら。
「何度やっても止めてみせます!【
槍を突き出し、石の壁に当てる。
すると、壁は青い光を発しながら霧散した。
進化や構築した変還。
魔術によって形成したものは魔力へと戻った。
だが驚きはその先にあった。
煤墨がこちらへ走って突っ込んできていた。
まだ距離はあるが、意図は読めない。
そして、それよりも。
「術式【焔・花火】!」
「『第十三番演算式【輝扇】』!」
自身の左右から広範囲の攻撃が放たれている。
あの彫刻が注意を引いている最中に真横まで移動されたらしい。
一瞬、反応が遅れたせいでもはや回避は間に合わない。
その為に、
「
その魔術達が一斉に消えた。
そして魔力に戻る残滓達と
「あ、あの空間ってさっきの
空間に【進歩の否定】を置いたってこと!?」
「そうだろうな!
それよりも数を撃て!」
驚く闇虹を他所に魔術を切らさない鉉覇。
レントの周囲に炎の弾が当たるが、霧散していく。
あくまで自分をここに拘束することが目的か、と考察する。
槍の軌跡上で霧散するならこの一帯から出られないだろうと。
しかし、
「!!いっ、熱!!」
焔の一発が当たった。
軌跡をすり抜けたのか?
「神域みたいな結界じゃないんだろ?
自分の手で設定した結界なら
つまり、今までの攻撃はそれの確認、兼目眩しとなるのか。
いや、それより看破されたなら次は。
「宜しく、相棒!」
「任されたよ。」
目の前にまで迫っていた煤墨の存在。
それはそうだろう、弱点が発覚したら攻められるだろう。
「させ、」
「遅いよ、再現術式【
右手に結晶状の鋭い爪が生えた状態を突き出してきた。
「・・・っく!」
避けきれないと判断したレントは槍を跳ね上げ、弾こうとする。
右腕を切りつけられるが、煤墨を槍でいなす。
再度、三人と距離をとる。
「大丈夫か、煤墨。」
「大丈夫だよ鉉くん。
それよりも彼の槍について推察がある。」
煤墨は一度、眼鏡をあげ告げる。
「今の去り際に槍の軌跡上にこの爪をくぐらせた。
けど、この通り消えていない。」
右手を振る先には爪が未だに残っている。
「彼に近づく為に、身体強化を使って槍に触れたけどそれも変わらない。」
「・・・つまり?」
「
この爪も自身の体内から精製した結晶で作ったものだし、と笑う煤墨。
それを、なんて魔術を使ってるの!?、と諌める闇虹。
それを、がはは、と笑い飛ばす鉉覇。
三者三様、しかし彼らは正しく一体だった。
経験、自信、何より信頼が彼らを基づくっている。
でなければ、この魔剣の弱点を見つけるあの一連の攻防を作り出せるわけが無い。
「羨ましいですね・・・」
痛む右腕を擦りながら考える。
今の状況はもはや自分そのものであろう。
呪いの言葉に感情を支配され、
未熟故に身体を痛め、
孤立無援にて窮地が近づいてきている。
「あ、着いたってさ。」
玄鉄がふいに濡羽に声を掛ける。
「遅かったですね、訴訟ものです。」
「何か学園の方まで行ってたらしいよ。」
その横で運命も尋ねる。
「なら、彼女も入れた方がいい?」
玄鉄は顎に指を当て、考える。
「んー、いいじゃん?
きっとそっちの方が楽しいし♪」
運命は顎に手を当て考える。
そして、
「あぁ、確かに。
彼女なら膠着する戦場に一石を投じれるだろう。」
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1000UA、ありがとうございます。
小心者なので少しづつ増えていく数字にドキドキしています。
その最中、ゲームではとんでもない情報が出てきました。
面白いですね、楽しいですね。
そのせいで、プロットが全部崩れました。
一からでは無いですが、嬉し涙だと思います。
頑張りますので応援お願いします。
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