剣閃の付き人   作:かみゅう。

7 / 9
#7 abducted 誘拐

 

 

・・・気づけば赤と白が混じった部屋にいました。

扉や窓も無く明かりも無いはずなのに隅まで見渡せるぐらいには見えていました。

その頃は本当に混乱するばかりでした。

何故、誰、どうやって。

答えが出る筈のない問いが頭を支配していました。

 

 

 

ただただ恐怖する一方で周りを見渡せば自分の他に人がいました。

ただ、自分と状況は一緒のようでひたすらに狼狽えていました。

 

 

 

私達は情報交換にと動きましたが当然何も分かりませんでした。

分かった事といえば帝国公国、男女、年齢関係なく集められていた事。

そして、我々は6()0()()だということ。

 

 

人がいるという事がどれ程の安心を生み出していたのでしょう。

子供は泣きやみ、大人は笑い、老人は上を向いて笑みを浮かべていました。

 

 

 

だから突然だったのです。

ソイツが現れたのは。

 

突然無かった扉が現れたかと思いきや、扉の先から男が入ってきました。

新しく誘拐されてきた人かと思いました。

でも違いました。

あいつは入ってくるや否や言い放ったのです。

 

『おー、群れてて気持ちわりぃな』と。

 

 

 

 

 

やはり、混乱するばかりでしたよ。

突然の罵声だけ掛けて、部屋の真ん中に立ち見渡し始めたのですから。

まるで()()()()()()()()

 

 

 

 

『・・・めんどくせ、おい。』

そう言い、何かを近くにいた青年に投げ渡す。

 

 

投げ渡された青年も戸惑うばかりで、

『は、はい?あ、あの・・・』

『いいから、握れって。早く。』

 

 

突然の要求にも戸惑いながらもおずおずと小さな破片のようなものを両手で握りました。

その瞬間でした。

 

 

 

『がっ・・・!あっ!ぎぅっ!ぁぁあああ!!』

彼の身体は突如として跳ね、()()()()()()()()()()()()()

肩から角が生え、足が溶け、顔が原型を留めない程に歪んでいました。

 

 

 

それを見たあいつは舌打を1つして、

『おい、次。』

と言いました。

 

 

 

 

 

隣にいた女性は変形していた様を1番近くで見ていた。

それを見た後では言うことを聞く気にならなかったのでしょう。

女性は強く拒否していました。嫌だ、と。

 

 

 

ザンッと音が響きました。

見ればいつからいたのか、顔がくり抜かれたような怪物が剣を持って女性に振り下ろしていました。

その姿だけならばまるで物語に出てくる《天使》の様でした。

 

 

 

 

『おい、次。』

止まることなく告げる死刑宣告にその隣の老人は恐怖を浮かべながら、握りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年、女性、老人、青年、子供、女性、中年、老人。

8人の人が多様な形な死を迎えた後、自分の番が来ました。

この残り51人となった部屋で自分の前に立った男は呟きを零していました。

『・・・ッチ、ホントに魔剣使いがいるのかよ・・・

『天帝』のデマか?・・・ワンチャン有り得るんだよな・・・』

 

 

そう呟き自分に小さな欠片のようなものを投げ渡してきました。

自分は震えながら最期だと悟り、祈るかのように握りました。

すると、

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

いや、忘れていた訳ではないのです。

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

『・・・はは、ようやくか。』

何も起こらなかったのです。何も。

変形も死も何一つ自分には起こりませんでした。

その事が嬉しかったのか、見るからに上機嫌になった男が自分を立たせて言いました。

 

 

 

 

『おし見つけたぞ!なんだ、アイツもホントの事言うんだな!

てっきりウソしか吐かない女だと思ってたぜ!』

肩を叩きながら、自分だけを部屋の外に連れていこうとする。

そこで自分も声を出す事が出来たのだ。

 

 

 

『あ、あの!』

『あぁん?』

『何が・・・どうなって・・・一体・・・何なんですか・・・』

 

 

『うるせぇ、こんな所にもう用はねぇんだ。

早く出るぞ。』

あいつはその質問に明らかに苛立ちを感じていました。

『・・・・・・』

私は一度、残った50人を見渡し目を開けて

『必ず。』

必ず助けに行く。

口に出さずとも何人か分かってくれたようで頷き返してくれる。

 

 

 

 

 

 

 

『・・・私に何をさせる気ですか?』

私は堪らず聞きました。

この、ちゃんと見れば白衣を着た男に質問を投げかけました。

『あぁ?』

男は歩きながら振り返る。

 

 

 

私達は廊下を歩いていた。

部屋が連なっているが、どの部屋も扉が閉まっていました。

『モルモットに教えても理解できねぇよ』

 

 

 

そういうと懐から棒付きの何かを取り出し口に含みました。

モルモット。それがこの男にとっての自分の価値かと分かりました。

だがモルモットならモルモットなりに動いてやろうと思いました。

『モルモット?何か実験でも?』

『あぁ。』

 

 

 

 

言葉短く答えました。

恐らく会話すらしたくないのだと思いました。なら、

『先にある程度、教えて頂ければ上手く動けますが如何でしょう。』

モルモットが理解出来る存在であると示せればいいと考えました。

それからここが何処か、誰なのか。

その辺りを探っていき脱出出来ればと思っていました。

 

 

 

 

『・・・ッチ、部屋を出た瞬間べらべらと喋りやがって・・・』

頭を掻き、鬱陶しそうな感じでした。

 

 

 

 

 

『とはいえ、ここで話せるもんはねぇさ。

後でな。』

そこで前に向き直しました。

私もここでの追及はかえって印象を悪くすると思い黙りました。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

そこまで話し、口が少し乾いた事に気づき話が途切れる。

咄嗟に体を動かそうとすると拘束されていた事を思い出す。

「申し訳ございません、少し水を飲ませて頂けないでしょうか。」

 

 

 

 

そう言い、目を運命とメイズに向ければ二人は苦々しい顔をしていた。

「・・・お二人とも?」

「・・・・・・ごめんね、お話しの途中だけど質問いいかしら。」

 

 

 

メイズは質問を投げかける。

()()()()()()()()()()()()()()。」

「え?えぇ、はい。

・・・え?何で知って・・・」

 

 

 

 

「私達はその男・・・ううん、その人達を知っているの。」

・・・・・・はい?

「そうだよ、それこそが私達の宿敵、『軌道修正』と呼ばれる者達だよ。」

「そして恐らく、その男は『博士』呼ばれる人ね。名前を『クライザード』というの。」

 

 

 

レントは混乱していた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()()

「ま、待ってください!貴方達GARDENは星変と戦っているのは聞きました。

その軌道修正とはどんな組織なのですか。」

 

 

 

「軌道修正は彼等に都合の良い歴史を本来在るべき形として捻じ曲げようとする組織さ。」

「その為に、天使や魔剣を使って歴史を歪ませようとしている。」

そこで1つ、自分が知らなかった事情を知る。

 

 

 

「魔剣を・・・使って?」

ああそうか、だから。

「そう、()()()()()()()()()()()はそれだよ。」

 

 

「びっくりしたんだよね。

とある神域を解放したと思ったら別の魔剣が近づいてきたから。

しかも、目視するまで気配に気づけなかったんだから。」

運命は()()()()()()言う。

「魔剣を持っていないのに魔剣の気配がする。

調べたら義手から気配がしていた。

しかもその上でボロボロだったからね。」

これは事情を聞くしかないね、と笑う。

 

 

 

 

つまり

偶然出会った組織の敵対している組織の格好で出会ってしまった、という話なのか。

なんと無様な事だろう。

 

 

自身の来歴に落ち込んでいると、メイズが身体を拘束していたベルトを外し出す。

「君が軌道修正の被害者であるなら、警戒する必要はないわ♪

はい、お水♪」

レントは自由になった右腕でペットボトルの水を受け取る。

 

 

「・・・良いのですか。」

「良いさ。軌道修正が関わった経緯を考えればね。」

運命は微笑みの表情をする。

 

 

 

「・・・ありがとうございます。」

レントは水を一息に飲み干すと落ち着く為に深呼吸を1つ。

「・・・軌道修正とは一体何者なんですか。」

 

 

メイズは首を横に振る。

「ごめんね、それを教えるより先にレント君の話が聞きたいの。

教えて、君は彼らに何をされたの?」

 

 

レントは一度目を伏せ、答えた。

「・・・私が実験に参加させられたのは『魔剣使い』に関することでした。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ちょっとだけ過去編が続きます。

誤字脱字がありましたら報告お願いします。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。