剣閃の付き人   作:かみゅう。

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#8 experiment 実験

 

 

そこから数分歩いた時から周囲の景色が変わりました。

少し違いますが、ここまで歩いてきた廊下のような。

そうですね、薬の匂いも少ししていた気がします。

 

 

 

 

それからはすぐでした。

ある部屋で立ち止まったのです。

見た目からは変わりない扉でした。

 

 

 

 

『おら、早く入れ。』

背を叩かれ、部屋の中に入れられました。

部屋の中は綺麗でした。

美しいという意味では無く、何も無いという意味で。

 

 

 

 

いえ、そうでは無かったですね。

そ(・)れ(・)以(・)外(・)、(・)何(・)も(・)無(・)か(・)っ(・)た(・)という意味でしたね。

剣が1本、台に置いていました。

ええ、今思えばあれが魔剣そのものなんでしょう。

そして恐らくこの義手でもある剣だったのでしょう。

 

 

 

 

『それを手に取れ。』

《博士》と呼ぶ彼は姿を消していて、見えないのに声だけが聞こえていました。

『・・・これは何ですか。』

『いいから早くしろ。』

 

 

 

 

未だ教えられぬ内容に恐れながら剣を握りました。

それは大剣とも言える程大きかったのですが、片手で持てる重さでした。

その時には特別な力など感じず、ただの軽い剣という感想でした。

 

 

 

『・・・次はなんですか。』

『・・・・・・』

ここで声が止まりました。

『・・・・・・・・・あの?』

 

 

 

 

 

 

『・・・そこの天使を切れ。』

部屋の扉から先程見た顔の無い怪物がいました。

しかし、前の部屋で見た怪物より小さい蠅のような形を取っていました。

『・・・これですか。』

『ああ、オレらが生み出してる便利な道具さ。』

 

 

 

 

 

道具。

そう言われ観察してもそうは見えませんでした。

羽に見える部分をはためかせ見渡すかのように首を動かしていました。

 

 

 

 

『・・・生物なのでは。』

『いいや、道具さ。

なんせオレ達はソイツを無限に生成出来るからな。』

するとアイツは目の前で5体程追加で出現させました。

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・』

私は止まっていました。

私は今まで剣の教えは受けたことがありましたが、生物を斬った事はありませんでした。

ですから躊躇していました。

それに早くも痺れを切らしたアイツが脅してきたのです。

 

 

 

 

 

『やらないならあの部屋ヤツらを1人づつ殺していこう。』と。

やはりその言葉が決定的でした。

気づけば剣を握った腕を振り抜いていました。

一回。それだけで6体全匹を殺していました。

 

 

 

その時の感情は特にありませんでした。

『あの人達を殺してしまうかもしれない。』

その想いが自分を動かしていました。

 

 

 

『この次はなんですか。』

出来るだけ早く終わらせる。

その為に実験を進める。

もはや情報を抜き出すなどどうでもいい。

自(・)分(・)が(・)早(・)く(・)終(・)わ(・)ら(・)せ(・)た(・)か(・)っ(・)た(・)の(・)で(・)す(・)。

 

 

 

 

すると、

『・・・・・・今はどうだ?

お前になにか起こっていないか。』

経過を観察する質問が飛んできました。

けれどそれに自分が困惑した理由は、そ(・)の(・)声(・)に(・)困(・)惑(・)の(・)声(・)音(・)が(・)含(・)ま(・)れ(・)て(・)い(・)た(・)か(・)ら(・)で(・)す(・)。

 

 

 

 

『・・・いえ、何も。強いて言えば気分が最悪なくらいです。』

私は正直に伝えました。

少し皮肉を込めて。

『・・・・・・そうか。』

声は小さく生返事でした。

ぶつぶつと聞こえない声量で呟きを続け、

『部屋に帰れ』と言われました。

 

 

 

 

強制的に連れてこられ、挙句に帰れとはどういうことかと聞きたかったのですが、いつの間にか隣にいた天使に服を捕まれ連行されました。

『・・・・・・何故だ。』

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「・・・何故だ、何故魔剣が解放されない?

アイツが抑えてる?いや、パンピーが隠しておける訳もない。

なら・・・・・・」

 

あれから何日か実験を続けた。

とはいえ、天使を切れたという命令以外出していない。

い(・)や(・)、(・)出(・)せ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。

 

 

オレは考える。

簡単だと思っていた実験がまさかの二歩目で予想外の結果になるとは思っていなかった。

天使に攻撃を出させたり、感情を出させたり、惨憺に殺させたりした。

が、結果は同じ。何も変わらない。

人を殺させようとしたがそ(・)れ(・)は(・)後(・)だ(・)。

心を壊して受け答えも出来なくなるのは困る。

今必要なのはデータだ。

 

 

「・・・クソっ!もっと結果が出ると踏んでたのに、これ以上は方法を変えないと何も出てこないな。」

苛立ちを椅子にぶつける。

飛んで行った椅子は扉にぶつかり音を立てる。

 

「他の方法?とはいえ何がある。」

立ち上がり、歩き始める。

苛立ちを発散させても考えが纏まらないのは知っている。

それ故の歩行だ。

 

すると、

「何だ、今の音。」

「この部屋からですね。」

来訪者がいた。

 

「・・・何だ、オマエら。」

コイツらは確か《英雄》が拾ってきた玩具(シドウ)と天使(リーノ)だったか。

「なにって、通りがかりの部屋からデカい音がしたから入ってきたんだよ。」

「・・・ッチ!」舌打ちをする。

こんなヤツらに時間を取られている場合じゃない。

 

「絶賛不機嫌中だ。早く出ていけ。」

手を払い、退出しろと促す。

「ああ、そうさせてもら・・・・・・いや、違う。」

玩具は立ち止まり振り返る。

「歪度調整ポッドがある部屋を探していて、何処にあります?」

 

オレは訝しげに聞き返す。

「あ?んなもん、何でオマエが使いたがる。」

「いや、イーノがこれでも怪我していまして。

それの治療で。」

 

隣の青い天使を少し隠しながら伝えてきた。

「治療?天使だろうが、ほっとけよ。」

「いや、その、彼女は特別な天使ですし消えられると困るんですよ。」

薄く笑いながら答える。

 

今日何度目かも分からない舌打ちをして、部屋を出る。

実験が進まない今、この部屋にいても何も進まないと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こりゃ何の怪我だ。」

部屋に向かう途中、気になり質問を飛ばす。

天使は通常、傷を受けた場所から神格歪度が崩れ壊れる。

だというのにコイツはざっくりと斬(・)傷(・)が出来ていた。

 

それに、天使が答えた。

「とある神域にて聖遺物(アーティファクト)の回収任務でGARDENの者達と接敵しまして。

その際に聖遺物(アーティファクト)が暴走して、神域の歪度が固定化されました。

そのお陰で消える事無く、傷も固定化されて存在しています。」

 

「でも聖遺物(アーティファクト)は手元にねぇんだろ。

何で生きてやがる。」

話によれば暴走。つまり、力を使い果たすか、封印でしか収められない。

収めるという事は神域も消え去る。

残るは魔剣くらいだが・・・

 

「ああ、このシドウ様は魔剣使いでして。

その魔剣の持つ神域の力を貰って活動出来ています。」

「・・・・・・は?」

 

魔剣使い?コイツが?

ならコイツを実験に・・・

いや、ソレは《英雄(アイツ)》が怒るな・・・

ああ、なら・・・・・・

 

 

「ほう、なら丁度いい。

お前に質問だ。」

答え合わせに使ってやろう。

オレのこの実(・)験(・)の。

 

「魔剣使いにはどうやってなった。」

「魔剣を握った時に。」

 

「魔剣使いとしての才覚はどうやって目覚めた。」

「よく覚えてはないです。知らない内に。」

 

「もう少し詳しく。」

「使い続けてたらいつの間にか。

馴染んできたというか、剣が自分と一体化する様な・・・」

 

 

 

 

 

その時にオレは1つ、閃いた。

この膠着した実験を動かす方法が。

「流石だ。屑屋は屑屋。

魔剣使いのことは魔剣使いに聞くのが1番だ。」

 

「・・・・・・貴方はあの青年に何をなさっているのですか。」

「・・・は?なに、天使如きがオレに口応え?」

「・・・いえいえ、そうじゃなく。

俺たちはさっきの部屋から天使に連れられる人を見かけたからで。」

 

シドウはリーノを庇う。

創造主への反逆と取られている。

ただそれだけの恐怖で震えながら固まってしまったのだ。

 

 

「・・・まぁ、いいや。

質問したんだ、こっちも解答を出そう。

アイツを使った実験ってのは、《人工の魔剣使い》だ。」

 

「人工の・・・魔剣使い?」

シドウは困惑しか無かった。

魔剣使いを作るというのか。

 

「まぁ正確には今やってるのは魔剣使いのサンプル作成だけど。

・・・まぁそれはどっちでもいいや。

《オリジナル》がいるなら量(・)産(・)出来る。」

 

 

シドウは恐ろしい何かを自分の背筋に感じた。

《魔剣使い》を量産するなら自分は・・・・・・

 

「なんならオマエがサンプルになるか?

歓迎するぜ?」

「い、いや、大丈夫です・・・・・」

「冗談だよ、ほらこの部屋だ。

じゃ、戻るぜ。」

 

 

 

「・・・そうかそうか、使い続ける。

そうする事で侵食率を・・・・・・」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

それから何日か経ちました。

呼び出されては天使を斬る。

呼び出されては天使を斬る。

 

 

 

 

日毎にシチュエーションが違っていたが概ねそれでした。

自分を限界まで追い込む程、斬らされた日もありました。

 

 

 

 

 

それを知った部屋に取り残された人にとある国の教官をしているという人がいました。

その方に《武装強化術》というものを教えて貰ったりしていました。

それを行うと本当に戦闘が楽になりまして。

 

 

 

 

 

 

・・・え?この前使おうとしたか?

・・・・・・えぇ、そうですね。

あの方には咄嗟とはいえ失礼な事を・・・・・・

 

 

 

 

 

え?ブルー様があの技は《武装詩篇》だと?

GARDENの一部の騎士は使っている?

そうでしたか、流石の騎士様です。

自分など足元にも及ばない筈です。

 

 

 

 

 

ああ話を戻しましょう。

そんな日が続いた中で、とある日から呼ばれなくなりました。

理由は分かりませんでした。

ただ、今なら分かります。

何(・)を(・)作(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)の(・)か(・)な(・)ど(・)。

 

 

 

 

 

ただ、その間は実験にすら呼び出されず、外にも出されず閉じ込められていました。

私は教官にひたすらに鍛えて貰っていました。

その技術や技を叩き込んで貰えた事は幸いでした。

そ(・)う(・)で(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)勝(・)て(・)ま(・)せ(・)ん(・)で(・)し(・)た(・)か(・)ら(・)。

 

 

 

 

 

・・・え?何を言ってるのか?

・・・・・・えぇ言っていればいずれ分かります。

ともかく、続いた日は終わりました。

 

 

 

 

 

今まで天使が部屋に迎えに来て部屋に行っていたのですが、その日は《博士》なる人が直接来訪しました。

そしてただ一言、『部屋に来い』と。

部屋に行く、ただそれだけなら天使でも良かったと訝りながらついて行きました。

 

 

 

 

 

残念ながらここからは本当に記憶が曖昧なのです。

理由は分かりません。

意識がひたすらに朦朧していました。

例えるなら夢を見ている様な。

自分のしている事は分かるのに、覚えていられない感覚です。

 

 

 

部屋の中には《博士》も入ってきました。

そんな事は初めてだったのですが、それよりも目につく物がありました。

部屋の中には光る物がありました。

 

 

 

 

 

 

そう、この義手です。

私は《部屋に入るなり左腕が斬り飛ばされました。》

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

シドウと博士の口調があやふやすぎる。

資料をもっと。

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