夜の廃墟は、ひどく静かだった。
かつて工場だった建物。
割れた窓。
錆びた鉄骨。
床に積もった埃。
壁には、誰かが残した落書きが薄く残っている。
周囲には人の気配がない。
いや、正確には、隠された気配が四つあった。
押村奏斗の姿をした押村遥斗は、廃墟の奥へ足を踏み入れた。
呼吸は少し荒い。
右肩の服が裂けている。
脇腹にはかすり傷。
左腕にも、銃弾が掠めた痕がある。
致命傷ではない。
だが、ここへ来るまでに楽な道ではなかった。
リリベルの追手。
それも、訓練された者たちが遠距離から撃ってきた。
近づいてはこない。
こちらの姿を確認しても、距離を詰めない。
遮蔽物越しに狙撃し、逃走経路を潰そうとしてきた。
おそらく、【恐怖】を知っている。
接近すれば精神を折られる。
それを理解しているから、近距離戦を仕掛けてこない。
「面倒な連中だ」
遥斗は舌打ちした。
奏斗の体は扱いやすい。
訓練を積んでいる。
反応も速い。
傷の治りも悪くない。
だが、遥斗自身の体ではない。
完全に馴染んでいるわけではない。
それに、奥では奏斗の意識が時折揺れる。
完全に眠ってはいない。
千束の声。
千束の顔。
それらが、奏斗を奥から引っ張っている。
だから、長く無理はできない。
遥斗はそれを理解していた。
理解した上で、今夜は動く必要があった。
廃墟の中央。
崩れかけた柱の近くで、黒いフードを被った四人が待っていた。
一人が一歩前へ出る。
「遥斗様」
「ああ」
遥斗は短く返す。
「追手は?」
「距離を取っていた。接近してこなかった」
「【恐怖】を警戒しているのでしょう」
「だろうな」
遥斗は肩を回し、軽く痛みを確認した。
「撃たれたか?」
「かすっただけだ」
「処置を」
「後でいい」
遥斗は四人を見た。
「報告しろ」
主導役のフードが頭を下げる。
「計画通り、各自目標を殺害完了しました」
別の一人が続ける。
「第一目標、DA上層幹部。移動中に襲撃、死亡確認」
「第二目標、医療部門監督者。自宅付近で排除」
「第三目標、作戦情報管理責任者。車両ごと処理」
「第四目標、リリベル候補生運用に関与したDA側連絡役。死亡確認」
遥斗は静かに聞いた。
昼間。
遥斗と四人は別々に動いた。
DAの上層部。
過去の作戦に関わった者。
リコリスやリリベルを駒として運用し、子どもたちを使い潰してきた者たち。
彼らを個別に殺害した。
情報統制が始まる前に、同時多発で。
混乱を広げるために。
そして、DAに思い知らせるために。
「よくやった」
遥斗は言った。
四人は一斉に頭を下げる。
その様子に、遥斗は少しだけ口元を歪めた。
恐怖で従っているだけではない。
彼らは遥斗の計画に賛同している。
かつて、リリベルやリコリスとして使われ、捨てられかけた者たち。
組織の裏を知り、壊すことを選んだ者たち。
遥斗は彼らを信用しているわけではない。
だが、使える。
同じ目的へ向かう間は、それでいい。
「リリベルの追手が来る」
遥斗が言うと、四人の空気が変わった。
「やはり」
「ああ。兄貴の端末か、別の追跡手段か。どちらにせよ、ここも長くは持たない」
「迎撃しますか?」
「正面からはやらない」
遥斗は廃墟の外へ視線を向けた。
「外国組織へ連絡しろ」
「はい」
「追手を迎撃させる。こちらはアジトへ戻る」
フードの一人がすぐに通信機を取り出す。
暗号化された短距離通信ではない。
経由を挟んだ別系統。
外国組織との接続。
武器弾薬の供給源。
隠れ家。
逃走経路。
フードの四人は、外国組織を利用している。
外国組織もまた、彼らを利用している。
目的は一致していない。
外国組織は日本国内の治安網を乱したい。
優秀なリコリスやリリベルの排除、組織の内乱、武器流通の拡大。
どれも都合がいい。
一方で、遥斗たちは武器と隠れ場所が必要だった。
利害の一致。
ただそれだけの関係。
「外国組織は、どこまで信用できますか?」
フードの一人が尋ねる。
「信用する必要はない」
遥斗は即答した。
「使える間だけ使う。邪魔になれば潰す」
「了解しました」
「向こうも同じことを考えているだろうがな」
遥斗はそう言って笑った。
フードの一人が通信を終える。
「迎撃部隊を出すそうです。廃墟周辺の道路と南側の空き地に配置」
「数は?」
「少なくとも八。武装あり」
「十分だ」
遥斗は歩き出した。
「移動する」
その時、別のフードが一枚の黒い布を差し出した。
フード付きの上着。
「これを」
遥斗は一瞬、それを見る。
黒いフード。
四人と同じもの。
顔を隠し、個人を消すための装い。
かつて彼らが名を捨て、組織へ反旗を翻した象徴。
「俺にも被れと?」
「追手の目を撹乱できます」
「それだけか?」
「我々にとっては、あなたが戻られた証でもあります」
遥斗は鼻で笑った。
「大げさだな」
そう言いながらも、受け取った。
袖を通す。
フードを被る。
視界が少し暗くなる。
顔の輪郭が隠れる。
押村奏斗の顔が、夜の影へ沈む。
「行くぞ」
「はい」
黒いフードの五人は、廃墟の出口へ向かって歩き出した。
◇
同じ頃。
千束は蒼士の運転する車の後部座席に座っていた。
助手席にはリリベルの一人。
もう一人は千束の隣で周囲を確認している。
車内には緊張が満ちていた。
速度は速い。
しかし、無闇に飛ばしているわけではない。
追跡を悟られないよう、経路を変えながら進んでいる。
「位置は?」
千束が前のめりに聞く。
「まだ動いてる」
蒼士は片手でハンドルを握り、もう片方で端末を確認する。
「奏斗のスマホに仕込んである発信機が生きてる」
「奏斗が仕込んだの?」
「ああ」
「いつ?」
「少し前だ。もし自分が連絡できなくなったとき、端末側から拾えるようにしておくってな」
「そんなこと言ってたの?」
「俺にはな」
蒼士は前方を見ながら続ける。
「多分、奏斗はこうなる可能性を予想してたんだろう」
「遥斗に体を取られること?」
「少なくとも、自分が制御できなくなる可能性は考えてた」
千束は唇を結ぶ。
奏斗は、もしものために準備していた。
自分がいなくなっても、誰かが追えるように。
蒼士へ伝えていた。
それは奏斗らしい。
でも、それを自分へは言わなかった。
心配させたくなかったのか。
巻き込みたくなかったのか。
どちらにしても、千束は少し悔しかった。
「奏斗、また一人で考えてたんだ」
「そういう奴だ」
「知ってる」
「でも今回は、その準備に助けられてる」
「うん」
千束は拳を握った。
「絶対見つける」
「見つけた後が問題だ」
蒼士の声が少し低くなる。
「今、表にいるのは遥斗だ。奏斗じゃない」
「分かってる」
「顔が奏斗でも、動きは違う。ためらわない。速い。強い。あと、【恐怖】がある」
「蒼士さんは効かないんだよね?」
「効かないというか、効きにくい」
「何で?」
「俺にも色々あるんだよ」
「ごまかした」
「今は詳しく話す時間じゃない」
「あとで聞く」
「生きて戻れたらな」
「戻るよ」
千束は即答した。
「奏斗も連れて」
蒼士は少しだけ笑った。
「いい返事だ」
端末の位置情報が更新される。
発信源は廃墟付近で一度止まり、今は少しずつ動き始めている。
「近い」
蒼士が言った。
「全員、警戒」
その直後だった。
前方の廃ビルの影から火花が走る。
銃声。
車体のフロントガラスに亀裂が入る。
「伏せろ!」
蒼士が叫ぶ。
車が急ハンドルを切る。
千束は座席に体を低くする。
さらに銃弾が車体を叩く。
「待ち伏せ!」
助手席のリリベルが叫ぶ。
「数は?」
「正面二、右側三以上!」
黒いフードを被った数人が、廃墟近くの道路脇から現れる。
四人組とは違う。
動きはやや荒い。
だが、武装は本物だ。
外国組織の兵か、協力者。
「迎撃役か」
蒼士が舌打ちする。
車は廃材の山の陰へ滑り込むように止まった。
千束はすぐに扉を開け、身を低くして外へ出る。
蒼士も反対側から出る。
リリベル二人は素早く車を遮蔽物にして銃を構えた。
「蒼士、千束ちゃん!」
リリベルの一人が叫ぶ。
「先に行け!」
「でも!」
「ここは俺たちが抑える!」
もう一人が続ける。
「発信源が動いてる! 逃がすな!」
銃弾が飛ぶ。
リリベル二人は正確に応射し、敵の動きを抑える。
千束は一瞬迷った。
ここで戦えば、二人を助けられる。
でも、奏斗を逃がすかもしれない。
遥斗を止められないかもしれない。
「千束ちゃん!」
蒼士が叫ぶ。
「行くぞ!」
「……うん!」
千束は歯を食いしばり、蒼士とともに走り出した。
銃弾の音を背に、廃墟へ向かう。
◇
廃墟の出口付近。
千束と蒼士は、息を殺して物陰に身を寄せた。
前方。
崩れた壁の向こうから、黒いフードを被った五人組が出てくる。
四人ではない。
五人。
その中の一人。
歩き方。
体格。
雰囲気。
フードを被っていても、千束には分かった。
「奏斗……」
「いや、今は遥斗だ」
蒼士が低く言う。
「分かってる」
千束は銃を構える。
蒼士も同時に構えた。
「殺さない」
「分かってる」
「足止めする」
「ああ」
二人は同時に飛び出した。
銃声。
千束の非致死弾が、五人組の足元と手元を狙う。
蒼士の弾は、遮蔽物へ追い込む位置を正確に撃つ。
五人は即座に散った。
それぞれ物陰へ飛び込み、銃弾を避ける。
反応が速い。
訓練されている。
四人組の一人が応戦しようと身を乗り出す。
だが、その直前。
中央のフードが手を上げた。
「撃つな」
声。
奏斗の声。
でも、違う。
千束の胸が痛む。
遥斗だ。
「しかし」
「下がれ」
遥斗が言うと、フードの一人はすぐに銃口を下げた。
命令に逆らわない。
遥斗はゆっくり前へ出た。
蒼士が銃口を向けたまま低く言う。
「久しぶりだな、遥斗」
「久世蒼士」
遥斗はフードの下で笑った。
「まだ生きていたか」
「お前こそ、死んだはずだったんだけどな」
「兄貴の中で生き残った」
「迷惑な話だ」
「相変わらず口が減らない」
千束は銃を構えたまま、遥斗を睨む。
「奏斗を返して」
「まだ無理だ」
「無理じゃない」
「兄貴は奥で眠っている」
「起こす」
「今のお前には無理だ」
「やってみないと分からない」
遥斗は千束を見た。
フードの影で表情は読みづらい。
だが、声には少しだけ苛立ちがあった。
「千束。お前は関わるな」
「嫌」
「俺はお前とは戦いたくない」
「私は遥斗を止めたい」
「止めれば兄貴が苦しむぞ」
「止めなくても苦しむ!」
千束の声が廃墟に響く。
遥斗は黙った。
その隙に、蒼士が一歩前へ出る。
「遥斗。お前の相手は俺だ」
「そうだな」
遥斗の視線が蒼士へ移る。
「千束は別だ。兄貴の女だからな」
「勝手に変な言い方するな!」
千束が叫ぶ。
遥斗はそれを無視した。
「蒼士、お前は別だ」
「何が?」
「お前は殺す」
空気が一気に冷えた。
フードの四人がわずかに動く。
しかし、遥斗は手で制した。
「お前たちは帰れ」
「遥斗様」
「命令だ。アジトへ戻れ」
「しかし」
「俺が相手をする」
四人は一瞬だけ迷った。
だが、すぐに頭を下げる。
「仰せのままに」
四人は煙幕を投げる準備をし、後退し始めた。
千束が追おうとする。
遥斗が一歩動いた。
それだけで、千束の進路が塞がれる。
「行かせない」
「どいて」
「嫌だ」
蒼士が横から声をかける。
「千束ちゃん、四人は後回しだ」
「でも!」
「今はこいつ」
蒼士は銃をしまい、ナイフを抜いた。
遥斗も同じように、腰から刃を抜く。
「銃じゃないのか?」
遥斗が笑う。
「お前に銃だけじゃ止まらないだろ」
「よく分かってる」
「あと、近づかないと奏斗を呼べない奴がいる」
蒼士がちらりと千束を見る。
千束は拳を握った。
遥斗は鼻で笑う。
「【恐怖】が効かないお前は、昔から鬱陶しかった」
「効かないんじゃない。慣れてるだけだ」
「普通は慣れない」
「俺も普通じゃないんでね」
二人が同時に動いた。
◇
遥斗は速かった。
奏斗と同じ体。
しかし、使い方が違う。
奏斗は無駄を削る。
観察し、最小の動きで相手を崩す。
遥斗は違う。
最初から相手を壊す速度で踏み込む。
ためらいがない。
相手の反撃を恐れない。
殺すつもりで動く。
蒼士は初撃を受け流し、横へ逃げる。
だが、遥斗の次の蹴りが脇腹へ入る。
「ぐっ……!」
蒼士が後退する。
遥斗は止まらない。
刃が走る。
蒼士は紙一重でかわし、反撃のナイフを振るう。
遥斗はそれを手首の角度だけで避け、肘を蒼士の顎へ叩き込もうとした。
蒼士は身を沈めて回避。
低い位置から足払い。
遥斗は軽く跳んで避ける。
「動きは悪くない」
遥斗が笑う。
「だが、遅い」
「お前が速すぎるんだよ」
蒼士は呼吸を整えながら言う。
千束は銃を構えたまま、撃てないでいた。
撃てば奏斗の体に当たる。
非致死弾でも、場所によっては傷つける。
それに二人の動きが速すぎる。
割って入る隙がない。
「蒼士さん!」
「来るな!」
蒼士が叫ぶ。
その瞬間、遥斗の拳が蒼士の腹へ入った。
蒼士の体が折れる。
遥斗は腕を掴み、壁へ叩きつける。
鈍い音。
蒼士が膝をつく。
「くそ……」
「昔から、お前は兄貴の味方だったな」
遥斗は蒼士の胸倉を掴む。
「俺を止める側だ」
「そりゃそうだろ」
蒼士は苦しげに笑う。
「お前、昔から危なっかしかったからな」
「危ないのはDAだ」
「それは否定しない」
蒼士は遥斗の腕を掴む。
「でも、お前のやり方は違う」
「お前も兄貴と同じことを言う」
「奏斗の方が正しいからな」
遥斗の目が冷たくなる。
「なら死ね」
刃が上がる。
千束はその瞬間、迷わず動いた。
「やめて!」
千束の非致死弾が、遥斗の手首を撃った。
弾が当たり、刃がわずかに逸れる。
蒼士の首を裂くはずだった刃は、壁を削った。
遥斗が千束を見る。
「千束」
「やめて」
千束は銃を構えたまま近づく。
「奏斗の体で、人を殺さないで」
「蒼士は俺の邪魔をする」
「それでも殺さないで」
「お前に指図される理由はない」
「あるよ」
千束は一歩近づく。
「奏斗が悲しむ」
遥斗の動きが止まった。
「奏斗は蒼士さんを信頼してる。殺したら、奏斗が傷つく」
「兄貴は甘い」
「何回でも言えばいい。私は何回でも言う」
千束は銃を下ろさない。
でも、撃たない。
「戻ってきて、奏斗」
「今は戻らない」
「奏斗!」
遥斗の表情がわずかに揺れる。
だが、前回ほどではない。
奏斗の意識はまだ深い。
遥斗は舌打ちした。
「しつこい女だ」
「奏斗の女だから」
言ってから、千束は一瞬だけ顔を赤くした。
だが、視線は逸らさない。
遥斗はそれを見て、なぜか少し笑った。
「そうか」
そして、蒼士を突き飛ばした。
蒼士は地面へ倒れ、咳き込む。
遥斗は刃をしまう。
「今日はここまでだ」
「逃げるの?」
千束が言う。
「違う。必要なことは終わった」
「DAの幹部を殺したこと?」
「そうだ」
「そんなこと、奏斗は望んでない」
「兄貴が望まなくても、俺がやる」
遥斗は後ろへ下がる。
千束が追おうとする。
だが、遥斗は右手を上げた。
遠くで爆音が響く。
外国組織の迎撃部隊が、まだ動いている。
蒼士が咳き込みながら叫ぶ。
「千束ちゃん、深追いするな!」
「でも!」
「罠だ!」
千束は悔しそうに足を止めた。
遥斗はフードを少し上げ、千束を見る。
「千束」
「何」
「俺は兄貴に負けたことなんて、ほとんどない」
「……」
「戦闘も、判断も、覚悟も。兄貴はいつも迷う。甘い。弱い」
「奏斗は弱くない」
「だが、一つだけ負けたものがある」
遥斗の声が、少しだけ低くなる。
「お前を、ものにできなかった」
千束は息を呑んだ。
「俺が奪おうとしても、お前は拒んだ。兄貴を呼んだ。兄貴を選んだ」
「当たり前でしょ」
「そうだな」
遥斗は薄く笑った。
「そこだけは、兄貴に負けた」
千束は銃を握りしめる。
「だったら、奏斗に返して」
「まだだ」
「遥斗!」
「兄貴が目覚めたら、いずれ戻る」
「今戻って!」
「次に会う時までに、考えておけ」
「何を」
「俺を止めるのか。兄貴を守るのか」
「両方やる」
千束は即答した。
遥斗は少しだけ目を細める。
「本当に面倒な女だ」
「奏斗にはそこがいいって言われてるから」
「言ってないだろ」
「そのうち言わせる」
千束の声に、わずかな強さと照れが混ざる。
遥斗は短く笑った。
そして背を向ける。
「追ってくるな。蒼士を死なせたくなければな」
「遥斗!」
千束の声を背に、遥斗は廃墟の奥へ消えていった。
黒いフードが夜の闇に溶ける。
千束は追えなかった。
足元では蒼士が苦しげに息をしている。
遠くではまだ銃声がしている。
フードの四人も逃げた。
奏斗も、戻ってこなかった。
「くそ……」
蒼士が小さく吐き捨てる。
「やっぱり遥斗は強いな」
千束は何も言わなかった。
ただ、遥斗が消えた方向を見つめる。
怖かった。
悔しかった。
でも、諦めるつもりはなかった。
「奏斗」
千束は小さく呼んだ。
今は届かない。
でも、必ず届かせる。
奏斗を取り戻す。
遥斗も止める。
DAの闇も、外国組織も、フードの四人も。
全部が絡み合っている。
それでも、千束の中で答えは一つだった。
「両方やるよ」
千束は銃を下ろし、蒼士のもとへ駆け寄った。