Military Crafter In Kivotos 作:閃鷹
(ヒュオオオオーーー!!)
(ドカアアァァァァン!)
待て待て待て!世紀末どころじゃねぇだろ!
流石に戦争ほどじゃないだろうが、流石に引くぞ。
「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!!」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」
「それは聞いたけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!」
どっかの連合艦隊最高実力者も視察のために前線に出たこともあるし*1、なんなら戦国時代では単騎で敵陣に切り込んでいった武将*2もいるからな。今更文句言ってもあれだろ。
そんなことを思っていると、
(パパパパパッ!)
「おい!大丈夫か!」
ユウカが撃たれたため、相棒と一緒に駆け寄る。だが、
「いっ、痛っ!!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」
意⭐︎味⭐︎不⭐︎明*3。ホローポイント弾くらってなんでピンピンしてるんですかねぇ?
「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません。」
「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」
人間がくらったら傷跡どころではないんですが。通常の戦争では禁止されてるし。というか……
「なんでみんな銃を持っているのかな?」
俺が口を開こうとしたら先に相棒が言ってくれました。エスパータイプかなんかか?
「ここキヴォトスでは銃撃戦が日常茶飯事なので、銃を携帯していないと手も足も出せませんからね」
一体なんなんだよここはよぉ。軍事部で活動している他の国家は歩兵装備がないところもあったぞ*4。
アメリカの方が治安いいまである。
「弾が当たって大丈夫かと心配になるかもしれませんが、私たちは頭上にある『ヘイロー』のおかげで身体能力や防御力が大幅に向上しています」
なるほど。あの天使の輪は『ヘイロー』というのか。英語で『光輪』、『後光』を表す言葉だ。
そういや、さっきから気になっているんだが、
「……」
これはなんだ?
俺の腕には見たこともない腕時計がつけられていた。確かに起きた時にもあってそれがずっと気になっている。
じゃあなんで今更気になっているのかって?
俺の腕時計は微かに水色に光っていて、本来なら時間が表示されるはずが、『inventory』と表示されていた。
「試しに押してみるか……」
俺はそう呟き、その文字をタップした。
すると、正面に半透明の画面が表示された。
(これは!)
幾度となく見てきたその画面を、忘れるはずがない。そう。マインクラフトのインベントリだ。
しかも、クリエイティブだ。空を飛べたりは……しないらしいがクリエイティブで出せるものは全て出せるらしい。なかなかのチート。
どうやら他人には見えないようだがそれはそれで、都合がいい。俺は鉄フル装備と鉄剣、盾、丸石を用意する。
「先生たちは戦場に出ないでください!私たちが戦ってる間は、この安全な場所にいてくださいね!」
「本当にここは安全なのか?」
「はい。ここは私たちが守るので安全なはずです」
「なるほどなあ……」
だが、俺の答えはすでに決まっている。
「それでは、ここにいてくださいね!」
「だが断る*5。」
俺はそう言い放った後、俊敏のスプラッシュポーションを地面に叩きつけ、不良どもに走っていく。
「なんだあいつ!何もなしに突っ込んできているぞ!」 「撃て!」
「ちょっと先生!戻ってきてください!」
不良は俺に向かって撃ってきている。ただし俺には盾がある!
(ガンッ!ガンッ!)
「なんで木製の盾で銃弾を防げるんだ!」
どっかの厄災*6も鍋の蓋でビームを跳ね返したりしてるし、ここに限ったことでもないだろと内心思いながら地面を蹴り、一人の不良に近づく。
そして、鉄剣を振り下ろす。
(パシッ!)
脳天を叩かれた不良は気絶する。その勢いで他の不良も討伐していく。
(パシッ!パシッ!)
「ええええ!何!?いなくなったと思ったら不良が気絶してるんだけど!?」
「なんなんですかあの丸石は!計算とか物理とかの次元じゃない……」
(でも、そろそろキツくなってきたな……)
俺は遠距離武器を出していない。弓、クロスボウは装填に時間がかかり、雪玉、卵はもう論外。
一旦考えるか。
考えると心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!*7、ということで俺は丸石で体を囲み、インベントリを漁る。
いいものがないかと漁っていたらあるものが目に入った。
「これは?」
俺が目にしたのは戦車が描かれたボタン。試しに押してみると、見たことのある写真が表示されていた。
「……」
これは全て俺が作った兵器だ。まさかこれを召喚できるというのか!?
いや、でも俺は遠距離武器が欲しいんだが。と思ったらちょうどいいのがあったな。
俺はその武器を装備し、盾を構えながらツルハシで丸石を壊す。
「出てきたぞ!撃てェェェ!」
案の定撃たれてますね。盾構えといてよかった。俺はある名前を呟く。
「……FH-01 拳銃
俺は自分の帝国で現在唯一の歩兵装備 ukueligを装備し、不良に構える。
(バン!バン!バン!)
試しに三発を三人の不良に撃つと、全員頭に当たり、そのまま倒れた。
まさか撃てるとは……まあ撃てなかったらただ死ぬだけだが。
「嘘だろ……」 「もうだめだぁ…おしまいだぁ…*8」
不良どもは散り散りに逃げていった。これで終わりかn (ゴゴゴゴゴ……) 何だよぉおもおおお!またかよぉおぉぉおおおお!*9
バリケードを破壊し、俺の前に立ちはだかる車体。巡航戦車か。クルセーダーⅠか?
「まあとりあえず壊すか」
俺でも随分野蛮だなと思うほどのセリフを言いながら、俺はインベントリからある戦車を出す。
「第一式豆戦車 速攻」
これは帝国初豆戦車であり、装甲は問題ない*10。火力は…お察しだが、この世界でのTNTキャノンはどうなるかの試験みたいなものだ。
「ええええ!?なんか小さい戦車が現れたけど!?」
「一体何者なんですか……福光先生……」
「ハハ!なんだその戦車は!ぶっ壊してしまえ!」
不良がそう言い終える前にすでに俺は行動していた。
「巡航戦車、HESH、装填完了。撃ち方始め!」
速攻の砲口からTNTが出てくる。そのTNTは車体下部に当たり、しばらく経って爆発した。
クルセーダーは車体下部が大破。運悪く砲弾に誘爆し、黒煙が腫れたことには、クルセーダーはスクラップになった。
「これで終わりか?」
「これで終わりか?じゃありませんよ!なんなんですかあの戦車は!何もないところから急に現れましたけど!?」
「そう言われてもなあ……」
説明するのがなかなか難しいものだ。誰もインベントリのこと信用してくれるはずないもんなぁ。
「今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました」
どうやら百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した『ワカモ』という生徒らしい。しかも似たような前科持ち。危険人物だから気をつけろと。あまり言いたくないが会いたくはない。まあそんな都合よく会うことはないだろうが。
俺はシャーレの地下に階段で移動している。引きこもりの俺にはきついな。エレベーター使わせろ。
「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……あら?」
マジかよ……。あれはフラグだったのか*11?俺はとりあえずさっきの拳銃を前の和服姿の生徒に構える。
ちょうど相棒も来たな……何でこいつ呑気に挨拶してんだ?俺銃剣腹に向けられてんだけど。
「さっさとそれを返して貰おうか」
俺は返してもらえれば引き金を引くことはない。だが万が一のことがあるため、トリガーに手をかける。
「あら、あららら……」
「ど、どうした?」
「し、し……」
「私の顔に何かついてる?」
ワカモと思わしき人物は俺らの顔を交互に見た後に、
失礼いたしましたー!!
「いやどこ行くねーん!*12」
かなりの速度で部屋から出ていき、やがて見失った。
「「……」」
「お待たせしました……?何かありましたか?」
「ううん、大丈夫」
「……そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。幸い、傷一つなく無事ですね。受け取ってください」
そうして俺に手渡されたのは、タブレットのようなもの。俺はすでにタブレットは持っているんだが……*13
「相棒。あんたが受け取れ」
「え!?私?」
「そっちが持っておいたほうが便利だろう?こっちは色々持ってるから重くてしょうがない」
「まあいいけど……タブレット端末……?」
「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。『シッテムの箱』です」
『シッテムの箱』。どこかで聞いたような気がする……。だが思い出せない。
「普通のタブレットに見えますが、実は正体のわからない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」
タワーの制御権……そういやサンクトゥムタワーってやつの制御権を回復させるために来たんだっけか?巡航戦車やらで忘れていた。
「私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……」
「……」
「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます」
相棒がタップすると、起動し、パスワード入力画面が出てきた。相棒はそれをスラスラと入力し、相棒は立ちながら意識を失った。
……立ちながら?
「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね」
「よぉ。お疲れさん」
しばらくすると相棒が意識を取り戻し、サンクトゥムタワーの制御権が確認できたと告げられた。ただし行政管理は嫌です。
「それでは『シッテムの箱』は渡しましたし、私の役目は終わったようですね……あ、もう一つありました」
「連邦捜査部 『シャーレ』の紹介です。ついてきてください」
俺と相棒は色々な説明を聞きながら上がっていった。
「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」
俺らがついたのは「空室 近々始業予定」と書かれた扉の前だった。
リンが扉を開け、迎え入れる。
「ここが、シャーレの部室です」
俺はその広さに驚愕する。
「広くねぇか?二人にしても大きい気がするんだが」
「そう?ちょうどいい大きさだと思うけど?」
「それもそうか……」
いや納得できないけどな!と思っていると、リンが話しかけてくる。
「ここで先生方のお仕事を始めると良いでしょう」
せっかく家で引きこもってたのに、結局仕事やることになるんですね。畜生めぇぇぇぇぇ!*14
「私たちはこれから何をすればいい?」
「書類仕事が主な仕事です。後は今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情……支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど……もしかしたら、時間が有り余っている『シャーレ』なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね。そのあたりに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。すべては、先生の自由ですので」
つまりやれと。あの書類の山を?何徹せなあかんねん。
「それでは今日は休んでいてください。お疲れ様でした」
そういった後に、リンは部屋を出ていった。
「……相棒」
「何だい?」
「何だか面倒な予感がするな」
「そうだね。でも、楽しそうじゃない?」
「それもそうか。でも、」
「「俺(私)この量の仕事やりたくねぇな(ないね)」」
俺らは前の書類の山を見ながら絶望するのであった。
HESH(粘着榴弾)…現実では着弾時に弾頭が潰れて装甲に密着し、その爆発の衝撃波で装甲の裏側を剥離させて中の乗員を破壊する砲弾だが、マイクラではあえて車体下部を狙うことにより、分離装甲(砂を分離し、耐水弾を無効化する装甲)の影響を無視して攻撃する弾種。作中では砲口が低いことにより疑似粘着榴弾になっている。
インベントリゲット…統合版の実績。インベントリを開くと達成される。
【自国ページ】
https://w.atwiki.jp/maikuragunzibu/pages/1188.html
次回はアビドス編!