へきいさむと申します。
カクヨム様、小説家になろう様にて連載しております拙作「マーマレードの魔女」をこちらにも投稿させて頂いております。
なるべく多くの方に読んで頂きたい‼ のでどうかご笑覧くださると幸いです。
おもな登場人物紹介
木枯東風
主人公。巻津高校2年。少々皮肉屋な性格。今日も魔女たちに絡まれ、神経をすり減らす日々。
ネイピア・ネースター
マーマレードの魔女。頭の中にジャムが詰まった天真爛漫な少女。オレンジの髪がひまわりのよう。妙にあざとかったり世知辛い一面もある小動物。ハムスターは共食いするからね? うまくおだてれば踊らせることは容易だが、マスコットっぽさから有力者に気に入られることが多く、下手に手を出すと危険。泣く子とネイピアには勝てぬ(by東風)
エミリア・グリーン
庭園の魔女。おっとりゆったり深窓の令嬢。緑色の髪がユズリハのように美しい。常識は忘れても心のゆとりは忘れない。彼女の時計だけ進みが遅くなるらしい(新聞部調べ)。相対論効果か? 重力場でも発生してるのか? ワルツより早く動くことはできない......はず。恵まれた生まれにコンプレックスを抱いており、めんどうくさいところも。
オリヴィア・オースティン
水平移動が得意なエミリアのメイド。薄桃色のカチューシャがドローンのように宙を舞って、音もなく紅茶を注ぐ。オリヴィアとかけて役所の書類の提出期限と説く。そのこころは、いつの間にかすぐそばに来ている(by東風)。主の世間知らずを利用して日々陰謀をたくらむ狐狸狗鼠の佞臣。
ルイス・マーティス
銀貨の魔術師。自分が投げた銀貨を後でコソコソ回収するみずぼらしい神父様。いいやつだけど尊敬はできない。信仰と現実生活の板挟みに苦しむ、現代の聖者......の割には湯葉のように薄い人望と、綿菓子のように軽い発心。
プロローグ
ふたを掌の体温で温めて少し浮かせ、縁にこびりついた内容物の粘性を確かめる。そのまま徐々に力を込めてゆき、キュポと空気の入る音がする直前で一度止める。
深呼吸。
最後の覚悟を決める。
昼食の食パンに塗るジャムの瓶を開けるのに、爆弾処理班のような極度の緊張と集中を要求されたことってある? 生まれてこの方、俺は初めてだよ。
ーーキュポ
空気が瓶の中に吸い込まれてゆく。俺の指はまだ五本あるぞ!
「チェックメイトだ......ネイピア」
俺はにやりと笑った。
目の前の席に座るちみっこ魔女の企画、ロシアン・マーマレード。
「東風、ボク、東風のためにジャム作ってきたんだ! いつも食パンばっかりじゃ寂しいでしょ? 一緒に食べようよ! 好きなの選んでー!」
そんな甘言に乗ったのが間違いだった。
仮にも女子にお昼ご飯を作ってもらったのだから本来もっと嬉しいはずなのだが、俺には目に流れ落ちる脂汗を拭う余裕すらなかった。
マーマレードの魔女ことネイピア・ネースターは俺の手元の瓶を茫然と見つめている。
何が好きなジャムを選んでね、だ! 王朝末期の中華皇帝の毒見役のほうがまだ安全だわ!
「さあ......最後の一つはお前のも」ボンっ!
ネイピアのオレンジの髪が急に視界の下に引っ込み、代わりに上から天井の蛍光灯がせり出してくる。何か身体中が軽くなったような感じ。自分が吹き飛ばされていることに気づいたのは、ネイピアの黄色い笑い声が聞こえるのと同時だった。
ーーキャハハハハハハ! 引っかかったー!