多目的室の前に立ち、マイクを握りしめて赤くなっている少女の名はグロリア・グロティウス。
ブルーベリーの魔女だ。
昨年も見た気がする。カルニヴァーレの閉会式の時に挨拶をしていたような。あの、ふわふわとした紫の髪には見覚えがある。
エミリアに似た育ちの良さを感じさせる佇まいだが、こちらには特有の(謎の)押しの強さやお花畑っぽさはない。むしろエミリアと比べると地味で、幸薄そうな印象がある。
エミリアが温室で育つ花だとすればグロリアは人里離れた山の奥にひっそりと咲くスミレやアザミのような。
で、その薄幸のスミレが何を思ったか意味不明の挨拶をしたから困る。
ポリフェノール! って何?
御筒委員長が固まっている。裳裾御前に立場を奪われた時に見せるこけしモード(表情と気配を消し背景に同化する委員長の奥義。魑魅魍魎のたむろする官僚機構を生き抜く必須スキル)を発動している。ローズはと言えば夏バテで輝きを失った半月のようなジト目でスベった魔女を哀れんでいる。もはやブルーベリーの魔女というよりフルスベリの魔女というべきである。
「で、では、私より......カルニヴァーレの説明をさせていただきます......」
「ち、ちょっと待って」
俺はつい声を上げてしまった。御筒委員長の魂を宿したこけしがこちらに圧を送る。これ以上場を乱すな愚か者......と視線だけで訴えてくる。気持ちは分かるが、俺は委員長と違って割と自由に発言できる立ち位置なんだよ! それに、次抜いたら崩れるジェンガみたいな空気を何とかするのは俺の得意技だぜ。伊達にルイスやエミリア、ネイピアの相手してねえよ。
「ポリフェノールって何?」
普通に聞いてしまった。何か気の利いた感じでネタっぽく回収するつもりが普通に質問してしまった。あれ、これって傷口に塩? ごめんねブルーベリーのお姉さん! 萎れないで!
「そ、その......ポリフェノールというのはですね、ブルーベリーなどに多く含まれる植物成分で、視力回復や血圧低下、動脈硬化の予防効果などが......」
そういうガチな説明されても困るって。
エミリアみたいに明後日の方角でワルツ踊るか、ネイピアみたいにジャムってくれた方が拾いやすいんですけどね。絶対バラエティ呼んじゃダメだよこの人。ベテランの芸人さんが司会でもスタジオが凪になるよ。サーファー涙目だよ。
グロリアは何か話を広げてほしそうにこちらを見つめている。とはいえいくら魔女たちを相手に百戦錬磨の俺でも拾えるネタと拾えないネタってあるよ。
「そ、その......ポリフェノール」
なんで俺も繰り返してしまったんだろう? 別にツボったとかではないんだが。
「ぽ、ポリフェノール!」
強張った作り笑顔で返すんじゃない。あんたが振ったネタだろうが!
俺は唇を真一文字に結んだまま頷くと、軽く会釈してそのまま椅子に腰かけなおす。質問は終わりました、の意だ。
「そ、それでえ......カルニヴァーレに関してですが......」
再び説明を始めるグロリア。
ごめんなさい、ブルーベリーの魔女さん。あなたはタチの悪い八百長テキ屋の金魚と同じ。つまり、救いよう(掬いよう)がありません。
針のむしろのような空気の中、健気にも発表を続けたグロリアの説明によると。
今年のカルニヴァーレはスポンサーとしてピアジェ家が加わり、大手企業の協賛も得て大規模化した。ルールは<山籠の騎士団>の伝統に従い、グロティウス家が飼育しているホムンクルスを複数頭放ち、もっとも多く寝かしつけたクラスの勝利とする。基本的にホムンクルスは満腹になり暖かいものにくるまれると眠る。楽しいおもちゃなどがあると遊びまくって寝付かなくなるので注意するように、とのことであった。ネイピアみたいなやつである。
「今年は多くの方々に協賛をいただきまして、豪華な景品をご用意しております!」
グロリアが少し語調を強める。
「さらにカルニヴァーレの様子をインターネットで中継し、学校の外壁に簡易な客席を設けます。5000人程度は収容できる予定です。校門前の道路には屋台も出しますよ!」
何。それはなかなか凄そうな話じゃないか!
「今後はカルニヴァーレをこの街の一大イベントに育て上げ、町おこしのための起爆剤とする予定です! 昨今の歴史ブームも後押しして、海外観光客や歴史ファンの方々の参加が見込めます! 我がグロティウス家も、伝統ある魔術師の祭りを率先してアピールしていく所存でございます。それでは、ポリフェノール!」
締めの挨拶もポリフェノール! なの? それ、流行らせたいの!?
盛り上がった話をなぜか残念な持ちネタで締めるブルーベリーの魔女であった。オリヴィアがこの人のことを忘れてしまった理由が分かった気がした。何というか、表に立つだけの度量がないというか、カリスマ性に欠けるというか。
「そ、それでは巻津高校の皆さん、明日のカルニヴァーレは振るってご参加くださいね! 設営は今夜から始めます。我々<山籠の騎士団>が中心となって行いますが、お手伝い下さった方々にはお礼の粗品をご用意しておりますよ!」
にっこりと営業的な笑顔を浮かべるグロリア。
そして彼女が一礼して席に着くと、多目的室の中にパラパラと締まりのない拍手が響いた。
セイウチ教諭が何かをもごもご言って、ローズが訳する。要するに打ち合わせは終了したのでクラスに戻って内容を伝え、設営の手伝いを招集するようにということであった。
御筒委員長とともに廊下に出るとき、グロリアとすれ違った。一瞬目が合うと、ブルーベリーの魔女は軽く微笑みかけてくれた。若返った田舎のお祖母ちゃんのような笑顔で、何だか甘やかされたくなる。温かいコーンポタージュのような包容力がある魔女だ。
持ちネタ(?)のポリフェノールを拾われたことが嬉しかったのか、グロリアは軽く会釈をする。俺も首をすくめる感じで返礼をして、御筒委員長の後に続いた。
教室に戻ると、既に昼休みが始まっていた。クラスの皆はワイワイとまばらに小島を作り、クラスメート同士の団欒を楽しんでいる。俺はルイスとネイピア、エミリアのいる机に近づいて行った。
「東風、委員長! どうだった!?」
ネイピアがさっそく報告を求めてくる。
「やっぱ今年は張り切ってるみたいだったぜ。<山籠の騎士団>のグロリアって女子が説明してたよ」
「グロリア! 聞いたことあるような、ないような......」
ネイピアが首をかしげる。
俺は少し意外だった。オリヴィアが忘れてしまうような魔女の名をネイピアが知っていたとは。もしかしたらグロリアは子ども向けの歌のお姉さんでもしてたのかもしれない。ポリフェノール! はその時の決め台詞だったりして。
「まあいいや! はい、東風‼」
ネイピアが俺にパンを差し出してくれた。購買で売っている食パンだ。これは安い割にふっくらとして人気の商品である。
「ありがとう......これ、よく手に入ったな!」
「うん! 授業終わりと同時にダッシュで買ってきたんだー」
ネイピアもいいところがあるではないか。ようやく俺に対する正当な敬意を払うようになったか。
......さて。
「何を企んでいる?」
「お前よ......いくら何でも食パン買ってきてもらってそれはねえと思うぜ......」
ルイスにドン引きされたが、情けをかけてはならない。爆発するマーマレードを食わせようとするやつだぞ!
「ひ、ひどいよ東風‼ せっかく新作のマーマレード作ったのに! もう東風なんて知らない!」
「上等だ! てめーのマーマレードは赤リンでも練りこんでんのか!? 普通のマーマレードは発火しねえんだよ」
ぷいっとそっぽを向いてしまったネイピア。少し可哀そうになったが、カルニヴァーレ前日に胃袋を焼かれてはたまらない。
「ふ、二人とも落ち着いて下さい......そうですわ、私のクッキーでも食べて仲直りして!」
エミリアがクッキーを差し出す。仲を取り持とうとしてくれてるのは有難いが、店で購入したものか手作りか。それが問題である。
「もちろん手作りよ!」
「それはルイスにやってくれ!」
「うん! ルイス君にあげてよー!」
ここだけ意見が一致する俺とネイピアである。
そのとき、教室の入り口のドアが開いた。入ってきたのは少し小柄な女子。シンプルなワンピースに紫のショール。あれ、彼女は......
「グロリア! だよね、そうでしょ!?」
「そうですが......私のことをご存じなので?」
ブルーベリーの魔女、グロリア・グロティウスに反応したのはネイピアだった。二人は幼馴染なのかもしれないと思ったが、どうも違うようだ。グロリアはネイピアのことを知らないようだから。
グロリアは俺の方に向き直ると
「ええと、2-Cの木枯さん、でしたね? 御筒委員長はおられますか? 渡したい資料があって......」
と紺色のカバンの中をまさぐった。
「いや......いないですね」
委員長は俺と一緒に教室に戻ったはずだが、いつの間にか消えている。あれで忙しい身だ。職員室にでも用事があるのかもしれない。
「では、これを渡して頂けますか?」
グロリアは俺にクリアファイルを手渡した。うっす、と引き受けると、彼女が俺の食パンを見つめている。もしかしてお腹空いてるの?
「それは......食パンですね?」
「そうですが」
何か反応に困る聞き方をする魔女である。見れば分かるだろう。粉チーズにでも見えますか?
「食パン、でしたら......」
ブルーベリーの魔女は突如、俺とルイスとエミリアが座る席の前に向き直り、スカート丈を整えた。
まっすぐ前を向いてにっこりとほほ笑むと、もともとの端正な顔だちもあって少し艶が出る。
そして、腰に手を当てくるりと踵を支点にターンを決めると、カメラ目線で俺の方を向いてウインク! 誰、あんた!?
「ポリフェノール! おいしくて目にも優しい紫色のジャムはおひとついかが!? 塗ってよし、冷やしてよし、溶かしてよし! <山籠の騎士団>特製、大地のブルーベリー・ジャムだよー!」
腰のあたりから深く前かがみになり、両手に乗せた濃い紫色の瓶を渡す。勢いに呑まれた俺はそのままジャムを受け取ってしまった。
「わーい、騎士団のジャムを受け取ってくれてありがとー! グロリア、うれしーい!!」
俺は夢でも見ているのか? 目の前にいるこのキャピキャピした女子は何者だ。さっきまで地味で控え目で間の悪い哀れな魔女がいたはずだが。
「それでね、グロリアからみんなにお願いが......」
ブルーベリーの魔女が言葉を続けようとしたその時。
「あー! 思い出したああああー!」
ネイピアの声が、クラス中に響き渡る。机をバンと両手で叩いて立ち上がり、被告を追及する裁判所の検察のように大声を上げる。
ひう、と小さい声がした。グロリアは少し内股になってその場に固まる。憑き物が落ちたか、眉がハの字に曲がったおどおど少女に戻った。
「グロリア・グロティウス! 私の客を奪ったジャムやろー!」
ジャム野郎っててめーもじゃねえか!
「ひっ......わ、私、あなたに何かしましたか!?」
ネイピアに詰め寄られ、グロリアは涙目になっている。
「ちょっと聞いてよ東風‼ こいつほんとにあざといんだから!」
やっぱりこいつら知り合いか。過去に何があったの? そしてブルーベリーの魔女の突然のキャラ変は何!? 大人の事情で中の人入れ替えるにしてももう少し引き継ぎするでしょ!
「こいつはね......」
ネイピアが八重歯を剥き出しにして蔑むような低い声を出す。
マーマレードの魔女の語るところによると。
ある日、ネイピアは新作のマーマレードを売るべく、ネット上の出品サイトにPR動画をアップした。自分がマーマレードを持ってダンスした動画を上げれば瞬く間に在庫は空になるであろう。そう皮算用をしていたネイピアであったが。
「......ってちょっと待て。お前、ジャムを人様に売ってたの!? あの爆発するジャムを‼」
「大丈夫だよ! みんな高評価くれてたもん! トンネル工事やビルの解体現場に欠かせません、って! 炎天下の中の肉体労働だもんね、ジャムも欲しくなっちゃうよねー!」
「それ、火薬か何かとして重宝されてないか!?」
「と、とにかく! ボクのマーマレードは大人気の商品だったの! 新商品を出したら売れるはずだったのに、そこの女が」
動画をアップしてPV数を監視。しかしその日に限ってあまり視聴者が増えない。
どうも同じ食品売り場のルーム内で別のユーザーが耳目を集めているようではないか。
おすすめに上がったチャンネルを開いてみると。
「ポリフェノール!」
ブルーベリー・ジャムを片手に木漏れ日の光の中でお遊戯会のようなダンスを踊る紫色の魔女の姿。
「な、なにこれ......」
子どもたちが周りを取り囲み、紫色の魔女からブルーベリー・ジャムを受け取って、パンに塗り、ヨーグルトに乗せて食べるスローモーション。
「絶対、ボクの動画の方がいいでしょ! ジャムの味だって」
しかし数字は非情であった。
ネイピアが稼ぐはずだった視聴率はブルーベリーの魔女のチャンネルに流れ、新作マーマレードの売れ行きも芳しいものではなかったという。
まあ、マーマレードが売れなかったのは単に爆発するからだろうが。それまでの売り上げは解体業者さんが買ってただけだと思うぞ。
しかし、己の未熟に向き合うことができないネイピアは同時刻に似たような宣伝動画を上げたグロリアに食ってかかる。
「ポリフェノール! なんて狙いすぎ‼ 絶対、自分のこと可愛いって思ってるよ! あざとい! ジャムの味じゃなくてダンスで勝負するつもりなんだ!」
「そ、そういうわけでは......」
てめーもダンス動画上げてたのにひどい言いようである。
「東風‼ ああいう地味目で控え目そうなのが一番タチ悪いんだから! 騙されちゃダメ!」
どうもネイピアはグロリアが嫌いなようだ。冷静に考えればジャム屋としては商売敵なのだからやむを得ないが。もっともポリフェノール! がいかがなものかという点では一致するのだけれども。
試しにスマホでグロリアのチャンネルを開いてみる。
牧歌的な音楽とともにグロリアが現れ、子どもたちとともに踊りだす。どこか素人くさい、照れと恥じらいが抜けきらないダンスで、それが逆に食品を扱う業者としての信用に繋がったような感じがする。あまりにもキレキレのダンスだと本業が疎かになっているのではないかと逆に不審がられることもある。もっともグロリアの場合、そこまで計算したというより、単に性格の問題のような気もするが。
「グロリアさんのダンス! エミリアも見てみたいです!」
背後からエミリアがスマホをのぞき込む。ははあー、お上手ですねえ、とエミリアは感心していたが、締めでグロリアが「ポリフェノール!」とポーズをとるシーンになると吹き出した。
エミリアにしてはちょっとひどい反応である。ネイピアといいエミリアといい、グロリアは女子に睨まれやすい性格なのだろうか?
「グロちゃん......これって子どもの頃のネタでしょう?」
「はは......その通りです、エミリア」
グロちゃんというのはグロリアのことだろう。となるとエミリアがグロリアの幼馴染なのだろうか?
「これはですねえ、グロちゃんの小さい頃のことなんですけど」
それはグロリアもエミリアもまだ幼く、魔術師の幼稚舎に通っていた頃の話。
グロティウス家とグリーン家は、魔術の名門として、東アジアにおける魔術師受容の状況について、パリで発表をすることになった。
それで、幼いエミリアとグロリアも家族に連れられてパリでの魔術師集会に形だけ出席しなければならず。
二人は仲良く飛行機で隣同士の席になる。空が見える窓際の席はグロリアがエミリアに譲った(このあたり、グロリアの性格である)。名門の幼い魔女2人はケンカすることもなく、トランプをしたり、宝物のおもちゃを互いに見せ合ったりして、難しい会議に臨む大人たちの固い表情を和らげていた。
無事着陸してホテルについたら、後はじいやに連れられてエッフェル塔や凱旋門を見て回る。それでお洒落なお菓子でも買ってもらって、夜になったら素敵なドレスを着て晩餐会に出ればよい。楽しみだね、グロリアちゃん。そう庭園の魔女は微笑みかけた。
が、グロリアの表情は曇っていた。
飛行機の中で父親から、皆の前で一言だけ挨拶をするように言われたのだ。名門グロティウス家の長女として開会式で挨拶をせねばならなくなったという。大丈夫、フランス語でボンジュール、それだけ言ってくれれば後はパパがやるから。ぐずる娘を父親は優しくなだめた。
が、もとより引っ込み思案で内気な女の子である。
緊張のあまりノイローゼに陥った親友の姿に、庭園の魔女は胸を痛め、ホテルの中でずっと寄り添っていたという。
「私に挨拶なんて無理だよう......」
「大丈夫だよ! 一言だけだもん。えっと、ボ、ボンボン......」
ボンジュールという耳慣れない音はエミリアも覚えきれなかった。
「ボンジュール。ボンジュール、ボンジュール、ボンジュール......」
小さな付箋に書いたその言葉を何度も繰り返すブルーベリーの魔女。
短い単語だが覚えられる気がしない。だが本番で付箋を見て挨拶してはならないと命じられている。
「エミリアちゃん! 忘れちゃったらどうしよう! 学校のテストみたいに覚え方教えてええ!」
エミリアは幼稚舎でのテストの成績がなかなかよかった。特に暗記物にすぐれ、オリジナルの覚え歌を作っては先生に褒められる優等生であった。一方のグロリアはどことなくどんくさく、公園の砂場で一人穴を掘っているタイプ。
「いいよ! じゃあね......」
うーん、と顎に手を当てて考えるエミリア。ボンジュール、ボンボン、タンポポ、ボンジュール......うまい覚え方はないものか。
「えっとさ、グロちゃんのおうちってブルーベリーの一家だよね」
「うん、......」
「ポリフェノール、ってなかった? なんかブルーベリーに入ってるってお父さんが言ってたよ」
ぱああ、とグロリアの顔が輝く。
「ポリフェノール! そうだね! パパがよく言ってたの!」
子どもというのは難しい専門用語であっても、親が毎日のようにその言葉を使っていれば覚えてしまうものなのだ。ポリフェノールは幼きグロリアにとっては馴染のある言葉であった。
「じゃあね、ポリフェノールって覚えるといいよ!」
「うん! ありがとうエミリアちゃん!」
結果。
グロリアは皆の前でポリフェノール! と挨拶してしまい、会場の大爆笑を誘ってしまったとさ。
「そして、その挨拶を宣伝でもしなさいとスポンサーの方に言われてしまったのです......」
パリでは幼き日のブルーベリーの魔女の失敗がいまだに人々に記憶に残っているらしい。お年を召したマダムにブルーベリーの魔女の話を振れば真っ先にポリフェノール! の逸話が返ってくる。
そこに目をつけて宣伝用の謳い文句に採用したのがスポンサーのピアジェ家。
......ピアジェ家?
「ち、ちょっと待ったグロリア! そのスポンサーてのは」
「うう......黒歴史なのに。その話はもう辞めてください......」
「何言ってんの、自分で動画あげておきながら‼ どうせ受け狙いでわざと間違ったんでしょー!?」
相変わらず加害妄想の激しいネイピアであるが、俺はそれどころではなかった。
やはりこのカルニヴァーレの裏にはピアジェ家の力が及んでいるのだ。
それも宣伝の謳い文句を決定する程度には。