全てを無くしてもダンジョンに行くのは間違っているだろうか? 作:赫星
あの日から、それなりに平和な日が続いていた。
アイズはあの日の一件以来少しおとなしくなっていたが、それでもクリスのモンスター討伐や、
様々な本を読んだり、たまにくる。商人たちのオラリオの冒険者の話を聞き。オラリオや冒険者に対して憧れを持つようになった。
「ねぇ、クリスお姉ちゃん」
「なんだ?」
「クリスお姉ちゃんは、そんなに強いのに冒険者のように
「あぁ、あれか。ないぞ、私は生まれた時からおかしかったらしいからな」
「どうして?」
「私は捨て子だったんだが、拾われた時一切泣いていなかったらしく。さらには、病気にかからなかったり。怪我の治りが早かったり」
「それだけなら普通な………」
「さらには、毒の一切や呪いも効かなかったな」
「えっ!?」
「まだあるな、5歳ごろになると大人顔負けの力を持っていたな」
「えぇ…、ほんとに規格外だね」
「あぁ、だがこれのおかげで皆を守れるから私は嬉しいけどな」
「そっか、じゃあ私も大きくなったら。クリスお姉ちゃんの手伝いをする!」
「ほお、ずいぶん大きな目標だな。なら今はこの前みたいな危険を犯さずに過ごそうな」
「うん!」
いつものように他愛のない会話、アイズは夢を語り、クリスは自分の妹のような少女の夢を聞き未来のアイズを少し想像して微笑む。
だが、そんな幸せな日々がもうすぐ崩れ去ろうとしていることには気づけずにいた。
それが起きたのは偶然だった。それが村の近くを飛んだのは偶然だった。
そんな偶然は、一つの村を恐怖に陥れることになった。
「はぁっ!」
どうしてこんな事になっているんだ。
私がそう思って周りを見渡す。そこにはいつものように笑う村の人たちはおらず。
その人たちのものであろう骸が転がっているだけ。急に押し寄せてきたモンスターによって荒らされた畑に家。そこにはついこの前まであった明るさは一切なかった。
「くっ!はぁ!」
どこを見てもモンスターがいた。私は一旦この場から離れるために、
「風断ち!」
一撃を地面に向かって振るった。その時に起きた土煙を利用しその場から離れた。
私はすぐ近くにあったまだ崩れてない家屋へと身を滑り込ませる。
「はぁ、流石に数が多いな」
すると部屋の奥から人影が出てくる
「だれ?」
「!?、もしかしてアイズか?!」
「あっ!クリスお姉ちゃん!」
アイズは勢いよくクリスに抱きつく。
「ねぇ!外はどうなってるの?!みんなは?!」
「………………死んでしまったよ」
「え………」
「みんなモンスターにやられてしまった。間に合わなかったんだ。いつものように森に行って狩りをしようとした時、モンスターが異様に出てこなくて嫌な予感がし村に戻ったら。アイズ以外の皆が死んでしまっていた」
「そんな、嘘だよね……そうだよね、ねぇ!」
「すまない」
「そんな…………」
(アイズすまない、まだ小さい君にこんなものを見せてしまう不甲斐ない私を)
「アイズ、よく聞くんだ」
「な、に?」
「これから私が、あのモンスターの集団の中で暴れる。その間にアイズは逃げるんだ」
「なに、言ってるの?クリスお姉ちゃん…」
「大丈夫だ、街道の場所はわかるだろう。私が惹きつけている間に走るんだ」
「そうじゃないよ!クリスお姉ちゃんも一緒に逃げようよ!」
「無理だアイズ」
「どう、して」
「いくら私でもアイズを守りながらの移動はできない」
「なっならクリスお姉ちゃんだけで逃げれば」
「アイズ!!」
「!?」
「アイズそんなことを言うな!私はアイズに生きて欲しいんだ。たった1人の妹のようなお前に生きていて欲しいんだ」
「クリスお姉ちゃん……」
「わかったなアイズ、私が出たと同時に街道に向かって走れ。いいな」
「………うん」
「よしっ!ならやるぞ。」
そう言い私は勢いよく家屋から飛び出す。
「景気付けの一撃だ受け取れ!」
「旋風・鎌鼬」
小型の台風のように斬撃の台風がモンスターたちを切り刻んでいく。
「いけっ!アイズ」
私がそう言うとアイズは走り出す。それに反応したモンスターがアイズを追いかけようとしたが、
私はすかさずそのモンスターに接近し殲滅する。
(走れアイズ、お前が生き残れるよう。後ろは任せて走れ。少しでも遠くへ)
「モンスターども!ここから先は通さん!」
そう言いクリスは刀を再度構え、モンスターの殲滅をする。自分の妹分アイズが生き残れるように、自らを失う事になっても。
黒竜は初めてその時、出会う己が強く記憶する事になる。
若かりし⬜︎⬜︎⬜︎の王との出会いと戦いを。