全てを無くしてもダンジョンに行くのは間違っているだろうか? 作:赫星
どんな意味でもな…
「モンスター・フィリア?」
「そうだよ、ガネーシャ・ファミリア主催の年に一度の大きな祭りだよ。闘技場を丸々使って、ダンジョンのモンスターを観客の前で調教する催しだね」
「なるほど」
そう言われ納得する。クラナ
「それにしても、早い再会になったはわね」
「うん」
「まさか話した日の翌日に来るなんて、そんなすぐにガタが来たの?」
「ううん、違う」
「?」
「私がここに来たのは、ヘスティアがヘファイストスに依頼した短剣のローン。2億ヴァリスについて聞きに来た」
「あぁー…」
光が消えた目をした。クラナに対して、同情してしまうヘファイストス。
「あの子も色々と考えてるの。貴方のファミリアにいるもう1人の子の成長を願って私に土下座してまで頼みに来たからね」
「ベルのため…」
「それに、何百年かかっても返すと言ってくれたからね」
「それ、私も手伝うことになるのでは?」
「あっ…」
クラナはガクリと肩を落とした。少ししてから気持ちを入れ替えて、ヘファイストスに向き直り。
さっきと変わって、真剣な表情になる。
「私が来たのは、ヘスティアのローンのことだけじゃない」
「へぇ〜、てっきり、2億ヴァリスのことだと」
「それは一旦置いといて、私はオラリオに来る数日前より前の記憶がない」
「っ、続けて」
「うん、それでオラリオについていろんな店を回った後に、武器屋に行ったの」
「そして、その時にこの刀を」
「うん、そこの店の店主の人も紅桜をヘファイストスのように鈍だって言っていた。でも私が持って振った時に的をこの前みたいに綺麗に切ることができた」
「確かにね、私が使った時にはとんでもない鈍になったけれど」
「それで、この刀をもらってから毎日不思議な夢を見るようになったの。そこには、金髪の女性がいて、白い頭身の刀を構えていて。『よく見ておけ』って言われた後に、この前使った技、風断ち、旋風・鎌鼬を使えるようになっていたの」
「ふーん、その自分の夢に出てきたのに教えてもらったの?」
そう聞かれると、クラナは首を横に振る。
「ううん、違う。その夢の技を見た時、自然とできる!と思って。この前使ったの」
クラナは夢に現れた人の技を見た時、自然と既視感を覚えていた。まるで自分が前から知っていたかのように。そんなふうに思っていると、ヘファイストスが、
「もしかしたら、貴方のその技や夢で見た人物は、無くした記憶を思い出すきっかけになるかもしれないわね」
そう言われて、「うん」と頷くクラナ、その後軽く紅桜を見てもらってから、怪物祭を見に街へと出かけた。
~闘技場近く~
クラナは、闘技場の近くの屋台を巡っていた。両手には屋台で買ったであろう食べ物を持っており。ほにはハムスターのようにいっぱい食べ物を含んでは一気に飲み込んでいた。
「けぷっ、これが、怪物祭。ずいぶん賑わっている」
クラナはそんなふうにのほほんとしていると、見覚えのある人影を見つけた。
それは、自分をおらりおまで連れてきてくれた商人の男であった。
クラナは、その商人の男に近づき声をかけた。
「久しぶり」
「うわぁ?!て、あの時の嬢ちゃんじゃないか。久しぶりだな元気にしてたか?」
「うんおかげさまで、冒険者にもなれた」
「ほぉう、どこのファミリアに?」
「ヘスティア・ファミリアに、色々苦労する神様だけれどとても優しい神様だった」
「ならよかったぜ、それに見るからに怪物祭を楽しんでるみたいだしな」
「うん」
そう言い、両手の屋台料理を口に放り込み飲み込む。
「すげー食べっぷりだな」
商人の男が言う。クラナは何か思い出すように商人の男を見て
「そういえば貴方はなんで名前なの?」
「あー、そういえば名乗ってなかったな。俺は''レイト・バルトライズ''って言うんだ。よろしくな」
「うん、よろしく」
レイトと、挨拶をしていると闘技場らへんが騒がしくなり、レイトと共に闘技場の入り口へと行くとそこにはモンスターがいた。
「どうしてモンスターがここに?」
「多分、闘技場に連れこられた個体だと思う。闘技場ではガネーシャ・ファミリアが、連れてきたモンスターを調教しているから、そのために連れてきたのが脱走してきたのかもしれない」
そんな中、脱走したモンスターが、暴れ出した。
「レイト、離れていて。私がなんとかする」
「はぁ?!そんなの無茶だ!冒険者のなりたてのクラナじゃ勝てない。逃げるべきだ」
「でもその間に、周りにいる人が襲われかねない。だから私は行くよ」
確固たる意志を持って言うクラナに止めても無駄だと分かったレイトは、頭を掻きながらも持っていたカバンの中から、ポーションを取り出し渡す。
「分かったよ、でも、ポーションの一つ持ってけ」
「ありがとう」
「いいってことよ、だが約束しろよ。生きて帰ってくるんだぞ」
「あぁ、行ってくる」
クラナは、モンスターの方へと駆け出していく。
~とある街道~
そこでは、アイズがモンスターを切り裂いていた。
「おみごとっ!さっすがうちのアイズたん」
そう言い、ロキはアイズに触ろうとして転けてしまう。
アイズはロキのことを無視して、エイナに残りのモンスターの数を聴いたのちにすぐに走り出した。その後ろを、ロキが追いかける。
しばらくすると、残りのモンスターのうち2体が目に入る。アイズは剣に手をかけるが不意に聞こえた声に動きを止めてしまう。
「''伸刃''」
「えっ…」
アイズの目の前で、モンスターは首を刎ねられその身を灰へと変えて消滅した。
するともう一体のモンスターに向かって人影が飛び込んできてモンスターを切ろうとするが弾かれてしまった。
「やっぱり硬い、刃がうまく通らないな」
何を隠そう戦っていたのは、クラナだった。
「ならば、この技で行くか」
クラナは刀を上段に構えた。アイズはその姿に過去に見た。クリスの太刀筋が重なって見えた。
「クリスお姉ちゃん?」
モンスターは隙を晒したと思いクラナに突っ込んでいく。だがクラナは、刀を勢いよく振り下ろした。
「''山断ち''!」
硬い鱗を持ったモンスターは、一太刀のもとに沈められた。クラナはそっと紅桜を鞘に納め。
魔石を拾い、レイトに聞く。
「これで全部だろうか?」
「いや、流石にまだいると思う」
そんなふうに2人で話していると、不意に背後から声をかけられる。
「ねぇ、ちょといい?」
「ん?どうかしたか?」
「ちょっ?!」
レイトが焦った様子になるのを見てクラナは首を傾げた。
「どうしたのレイトそんなに驚いて?」
「驚くぜ、そこにいるのは第一級冒険者、剣姫''アイズ・ヴァレンシュタインだぜ?!」
「それってすごいの?」
「すごいなんてものじゃない!?オラリオの二大派閥の一つロキ・ファミリア所属で、オラリオに住んでいる人なら誰でも知ってる超有名人だ!」
レイトが興奮していると、アイズがすぐにまた質問してきた。
「ねぇ、その技どこで習ったの?」
「技?」
「うん、その技は昔お姉ちゃんの使っていた技にそっくり」
そう言われて、驚いたのはクラナではなくレイトだった。
「はぁっ?!あの剣姫に姉がいた?!さらにクラナの使ってる技が似ている?!どういうことだよ?!クラナは何か知らないのか?」
「姉のことについては知らないけど技なら。っ」
クラナが突然アイズから視線を外し、遠くを見始めた。
「ベル?」
そう呟いてから走り出していってしまった。
「ちょ?!待てよクラナ!」
レイトもその後ろを追っていく。
「まだ聴いてないことが」
アイズもそれを追っていく。
「ちょっと待ってやアイズたん!」
ロキもその後ろを追いかける。
ダイダロス通りの少し開けたところにベルはいた。気絶したヘスティアを抱えて。
「ベル、何があったの?」
「はい、神様と一緒に怪物祭にきていたんですけど。いきなりモンスターに襲われて。
必死に逃げていたんですけど追い詰められて。でもその時神様が渡してくれたナイフでモンスターをなんとか倒したんですけど神様が倒れちゃって」
「大丈夫だベル、ヘスティアは気絶しているだけで命に問題はない」
「本当ですか!」
「あぁ」
「ちょっ、待てよーー」
遠くからレイトが追いついてきた。
「いきなり走り出してどうしたんだよ?」
「同じファミリアのベルの気配がしたから、すぐに駆けつけた。でも1人で片付けたみたいで私は要らなかったみたいだ」
こうして、街を騒がした。怪物祭は幕を落とした。
剣姫は姉の剣を使うものから技を学び。
白兎は、小人の少女と共にダンジョンへと進む。