(なんかめっちゃ揉めてるな…)
晴人とリンがなにやら揉めている少女たちに近づくと、こちらに気づいたようで一斉にリンに食ってかかる。
「ちょっと待って!代行!やっと見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
「首席行政官。お待ちしておりました。」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています。」
「あぁ…面倒な人たちに捕まってしまいましたね。」
「面倒なって。」
晴人がリンの毒舌にドン引きしていると、菫色の髪をツーサイドアップにした少女、早瀬ユウカがリンの隣にいた晴人に気づく。
「……うん?隣の大人の方は?」
「その前に現在の状況を簡潔に説明させていただきます。結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者である連邦生徒会長がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。」
「やはりあの噂は……。」
黒い制服に黒の羽と、全身黒づくめの少女羽川ハスミは納得したように頷く。
「そこで重要になってくるのが、私の隣にいる操真晴人先生というわけです。」
「この方が?」
「俺が?」
「ちょっと待って。そういえばこの先生はいったいどなた?どうしてここにいるの?」
ハスミと晴人が疑問に思っていると、ユウカが思い出したようにリンを問い詰める。
「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね。」
「はい。こちらの晴人先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」
「そして、魔法使いでもあります。」
「よろしく。」
晴人が片手をあげて挨拶するが、反応はない。
「あ、あれ?」
晴人が困惑していると、ユウカも困惑したように口を開く。
「行方不明になった連邦生徒会長が指名したってだけでもこんがらがるって言うのに、魔法使い……?もう訳が分からないわ……。」
「混乱するのも分かりますが事実です。証拠に私の肩に止まっているのが先生の使い魔になります。」
「そういえば…リン代行の肩に赤い鳥のようなものが…。」
そう口を開くのは今まで静観していた少女、守月スズミ。
「使い魔のガルーダだよ。気軽にガルちゃんって呼んでね。」
「ガルちゃん…本当に魔法使いなんですね…。」
「まぁね。」
「とりあえず!私はミレニアムサイエンススクール所属、セミナー会計の早瀬ユウカです。よろしくお願いしますね、先生。」
ユウカに続き、各々も自己紹介を始める。
「私はトリニティ総合学園、正義実現委員会の羽川ハスミです。よろしくお願いします。先生」
「私はゲヘナ学園、風紀委員会所属の火宮チナツです。」
「最後は私ですね。トリニティ総合学園、自警団所属の守月スズミです。」
「自警団?正義実現委員会とは違うの?」
「自警団は正実とは違って非公認の組織なんです。」
「非公認…。」
晴人とスズミが話していると、リンが咳ばらいをして説明を続ける。
「そろそろいいですかね。続けますと、先生は元々連邦生徒会長が、ある部活の顧問としてこちらに来ることになりました。」
「それが連邦捜査部『シャーレ』です。」
「シャーレの部室はここから約30㎞離れた外郭地区にあります。先生にはそこの地下にある『とある物』を起動したいただきたいのです。」
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……。」
どうやら今からその『シャーレ』という部活の部室に行かなくてはいけないようだ。リンが通信機を起動すると、桃色の髪をツインテールにした少女、
「シャーレの部室?……ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだよ。」
「大騒ぎ…?」
「矯正局を脱走した生徒がそこで騒ぎを起こしたの。そこは戦場になってるよ。なんかどっかから巡航戦車まで手に入れたみたいで、周りを焼け野原にしてるみたいなの。」
「まぁもうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大したことないでしょ。……あっ、お昼ご飯のデリバリー来たからまた連絡するね!」
ブツッという音と共にモモカとの通信は切れてしまった。晴人が恐る恐るリンの方を見ると、怒りからなのかプルプルと震えていた。
「り、リンちゃん大丈夫?深呼吸でもする…?」
「だ、誰がリンちゃんですか…。えぇ大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、たいしたことではありません。」
おもむろにユウカ達を見つめるリン。
「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです。キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう。」
「……えっ?」
間の抜けた声を出すユウカを他所にリンはどんどん歩いて行ってしまう。
「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」
(なんかデジャヴ……)
4人と晴人は置いて行かれないように急いでついて行くのだった。
◆
一行はリンが用意した車へと乗りこみ、シャーレへと向かう。しかし、シャーレへと向かう道は、絶え間なく銃声と爆音が響く戦場と化していた。
「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!!」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためですよ。」
「それは分かってるけど……!」
その時、ユウカに向かって銃を構える不良に晴人が気付いた。
「危ない!」
『”ディフェンド“!プリーズ!』
晴人が魔法を発動させると、ユウカの前に魔法陣の障壁が現れる。
「あ、ありがとうございます、先生…。これが魔法…。って!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」
「どういたしまして。というか、あいつら違法なものまで使ってるのか?」
初めて見る魔法に驚いているユウカだったが、魔法陣によって防がれた銃弾を見て怒りをあらわにする。
「落ち着いてください、ユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されていません。」
「あ、違法じゃないのね。」
「うちの学校ではこれから違法になるのよ!傷跡が残るじゃない!!」
「今は先生を守ることを最優先に。建物の奪還はその次です。」
「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスの外から来た方ですので、銃弾一発でも致命傷になってしまいます。」
ハスミの意見にチナツが賛同する。が、晴人はただ守られているつもりはなかった。
「自分の身は自分で守れるさ。さっきの魔法見ただろ?」
「というか、その言い方だと君たちは銃弾平気なの?」
「平気、という訳ではありませんが銃に一発撃たれた程度では私たちが死に至ることはありません。」
「
スズミの説明に驚愕する晴人。しかし、そうこうしている間に不良たちがどんどん集まってきていた。
「とにかく、先生はあまり前に出ず、隙を見て魔法での支援をお願いします。」
「ああ、任せて。」
「よし、じゃあ行ってみましょうか!」
ユウカの言葉を合図に、不良たちとの戦闘が始まったのだった。
晴人さんは自分で戦うタイプなので、戦術指揮はシッテムの箱入手までお預けってことで
それはそうとちょっと細かく書きすぎたかも。うまく端折れるようになりたい…