貞操逆転世界における王子様系女子の百合事情 作:あまり強い言葉を使うなよ、マゾに見えるぞ
──あぁ、悔いが残る最期だ。
私は地面に倒れ伏しながら漠然とそう思った。
最早痛みすらも感じない。体中が鈍く、指先すらも動かせないけれど、意識だけはまだある……みたいなそんな感じ。
……くやしい。
三年間の努力が水の泡だ。
何のために私は嫌いな勉強を死ぬほど頑張ってきたと思っている。
朝も昼も夜も隙間時間は全部勉強して、塾にも通って、スマホすらできるだけ触らないようにした。
それもこれも全部──日本一お嬢様が集まる女子大に入学するため──!!!
──私立、
コネ入学ができないのなら東大より入学するのが難しいと言われている伝説の女子大であり、ありとあらゆる大企業や旧華族のお嬢様たちが入る大学……。
幼少期から恋愛対象が女性だった私は、その大学の存在を知った瞬間閃いた。
──お嬢様と百合百合したい。
なーにをバカなこと言ってんだコイツは、って思うだろうし、実際この趣味をコンコンと熱く語ったら友人には酷く呆れた視線を送られたこともある。
でも私は……共学にいるギャルをどうしても好きになれなかった……いや違うギャルが嫌いなわけじゃない。むしろギャル×地味子とかの百合は個人的にアツいし好きな部類なんだけど……。
ふぅ、まあ私は厄介なことに所謂ユニコーンというヤツなんだけども、どうにも男を知ったことのある女子を恋愛対象に見ることができなかったのである。
私は……清楚で男の人とは触れたことすらありませんよ〜、っていう女の子が好きなのだ。我ながら業が深い。
だからこそ!!!!
私はお嬢様が集まる女子大の噂を聞きつけ、昔から厳しく育てられた女の子たちならば男を知っていることもないだろうと推測!!! 入学することを決意したのだ!!!
私とてクソキモい思考をしてるのは知ってる!! 許せ!!
しかし、宝龍院大学はお嬢様のためのお嬢様大学。
当然私みたいな一般市民が入学するには何もかも大変なのである。
まずもって、死ぬほど学費が高い。
なんなら私立の医学部より高い。イかれてる。
そして一般入試の枠が120名になっているが、実際一般入試の枠は3人らしい。終わってるよマジで。
そして、3人の中から最も成績の良い者だけが特待生として入学することができ、学費はタダになる。
私はマイマザーを死ぬほど説得して、特待生として入学することができたならば宝龍院に通って良いよ、という言質を取ることができた。
けれどマイマザーはそんなことできるわけがないやろ、と言わんばかりの視線だった。なにせ、お世辞にも私の成績はよろしくない。
いつも学年順位は平均よりもちょい下を保っている状況であり、そんな私が一般市民枠の3人に入って……尚且つ特待生なんて無理に決まってると思われるのも無理はない。
舐めるなよマイマザー。
私は性癖のためならどんなことでも我慢できる。
努力とは目的あってのこと。
お嬢様と百合百合するという目的を得た私は、無限のモチベーションを手にし、周りの人から心配されるレベルには根を詰めて勉強しまくっていた。
これには何やってるんですか、勉強してください! というミームを生み出したあの方もニッコリすること間違いなし。
──1年半後。
私は県内トップクラスの模試成績を手に入れ、宝龍院大学に特待生合格するという最高の結果を手に入れることができた。
──そんな矢先だった。
合格した喜びに気を取られていたのか、私は信号無視して突っ込んできたトラックに気がつくことができなかった。
迫る金属。轟音、衝撃。
トラックは、私の努力全てを轢いて逃げていった。
「お、嬢様と……ゆり、したか……ったな……ぁ……」
結局最期まで、私は性癖に素直だった。
☆☆☆
だからだろうか。
私は気がつくと、高校の制服を纏ってリビングに立っていた。
『──男性の出生率が著しく減少した現在、女性社会となった我々が今すべきことは──』
──貞操逆転世界に転移した状態で。