コユキ「ユウカ先輩とノア先輩って凄いですよね!!」   作:世界一雑な男(ハーメルン垢)

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本編のコユキの出番を増やして……


問題児×問題児=?

アル「ふふふふ! 今日も我が便利屋68の威名がキヴォトス全土に轟く完璧な一日だったわね!」

事務所のデスクにドカッと腰掛け、私はお気に入りのハードボイルドなポーズを決める。

……まあ、今日の依頼も「愛犬の捜索」という地味極まりないものだったけれど、アウトローたるもの、どんな依頼も完璧に遂行して見せるのがプロというものよ!

ムツキ「はいはい、アルちゃんお疲れ様〜。で、ハルカちゃん遅いね? 途中でまた爆破してなきゃいいけど」

事務所のドアがガラガラと開き、ハルカが入ってきた。

いつも通り恐縮しきった様子……だけど、何か様子が違う。

ハルカ「あ、アル様……! す、凄まじいご不敬をお許しください……! 私みたいな虫ケラが、勝手に連れてきてしまいました……死んでお詫びしますっ!」

アル「えっ、ちょっとハルカ!? 落ち着きなさい、何を連れてきたの……って、えぇ!?」

ハルカの陰からおそるおそる顔を出したのは、見覚えのあるミレニアムサイエンススクールの制服を着た、ピンク髪の女の子だった。

コユキ「あ、あの……はじめまして……ミレニアムの……黒崎コユキ、です……」

アル「み、ミレニアム!? なんでそんな生徒が便利屋に……!?」

頭の中が真っ白になる。え、誘拐!? 私たち、ついにミレニアムを敵に回すような重大事件を引き起こしちゃったの!? やばい、連邦生徒会に追われるんじゃ――!

ハルカ「違いますアル様! この子……行く場所がなくて、自分なんて消えちゃえばいいって泣いていて……! 昔の私みたいで、ほっておけなくて……! もし迷惑でしたら、私ごと爆破してください……!」

コユキ「私、もうミレニアムにはいられなくて……ユウカ先輩たちにも見限られて、自分の存在価値も分からなくなって……お願いです、私をここで働かせてください! なんでもしますから……!」

ポロポロと涙を流しながら訴えるコユキちゃん。

……なるほど。そういうことね。居場所を無くして、自分を失いかけている不憫な少女……。

(……ふっ、試されているわね、アウトローとしての器が!)

ここで追い出したらアウトローの名が廃るというもの! 困っている者を突き放すなんて、ハードボイルドのすることじゃないわ!

アル「……いいでしょう! 行くあてがないなら、この便利屋68が貴女を受け入れてあげるわ! 泣くのはおよしなさい、今日から貴女も我が便利屋の仲間よ!」

コユキ「え……!? ほ、本当ですか……!?」

ムツキ「クフフ♪アルちゃんまたカッコつけちゃって〜。でも良いんじゃない? 賑やかになりそうだし♪ 私、浅黄ムツキ! よろしくね、コユキちゃん♪」

カヨコ「……鬼方カヨコ。まあ、騒がしくなりそうだけど……よろしく」

ハルカ「アル様……! ああ、なんという慈悲深さ……っ! コユキちゃん、よかったですね……っ!」

コユキ「あ、ありがとうございます〜っ! 私、黒崎コユキ! 精一杯頑張りますからっ!」

こうして、我が便利屋68に、少し訳ありな新しい風が吹き込むことになったのだった。

〜ユウカside〜

ユウカ「コユキが……寮にも、ミレニアムのどこにもいない……!?」

セミナーの執務室で、私は報告書を握りしめたまま立ち尽くしていた。

あれから何日探しても、コユキの足取りがつかめない。防犯カメラの映像を追っても、ミレニアムの敷地外へ出た後の足取りはプッツリと途絶えていた。

ユウカ「なんで……! どうして黙っていなくなっちゃうのよあの子は……! また何かイタズラでも企んでるんじゃないの!?」

強がりを言ってみるけれど、声が震えてしまうのを抑えられない。

机の上に残された、コユキのデスク。いつもは散らかっているそこが、今は綺麗に片付けられていて……それが余計に胸を締め付ける。

ノア「ユウカちゃん……落ち着いてください」

ユウカ「落ち着いていられるわけないでしょノア! あんな無茶な怪我をして、そのあと急にいなくなるなんて……! 私が……私が危険な仕事を全部取り上げたから……? あの子に冷たく当たったから……!?」

頭を抱え込む。あの日、コユキを危険から遠ざけたくて、安全な仕事しか与えなかった。

でも、それはあの子にとって「お前はいらない」と言われているのと同じだったんじゃないか?

あの子が必死に変わろうとしていたのに、私は過去の偏見にとらわれて、あの子のSOSに気づいてあげられなかったんじゃないか――。

ユウカ「私……最低な先輩だわ……あの子が傷つかないようにって……本当は自分が安心したかっただけなのかもしれない……っ」

ノア「……ユウカちゃん」

ノアが優しく私の肩を抱き寄せてくれる。

ノア「自分を責めないでください。ユウカちゃんがコユキちゃんを大切に思っていたのは、紛れもない事実です。ただ……少しだけ、不器用ですれ違ってしまっただけ」

ノア「データベースをフル活用して、キヴォトス中のあらゆる情報を洗っています。コユキちゃんは……必ず見つけ出します。だから、諦めないで待っていてあげましょう。帰ってきたあの子を、今度こそ温かく迎えるために」

ユウカ「……ノア……うん……そうね……! 絶対に見つけ出して、お説教して……それから、ちゃんと謝らなきゃ……!」

私は涙を拭い、コユキの無事を祈りながら画面に向かい直した。

〜コユキside〜

コユキ「にはは! 社長さん、この暗号化されたデータの解読、コンマ5秒で終わらせておきましたよ〜!」

アル「えっ!? あ、あの厳重な金庫のパスワードを一瞬で!? すごいじゃないコユキ! やっぱり我が便利屋の社員は優秀ね!(本当は業者に頼む予定だったのに浮いちゃったわ!)」

便利屋68での生活は、目まぐるしくて、そして――めちゃくちゃ楽しかった。

ミレニアムにいた頃みたいな高度な研究や整備じゃない。

依頼内容は「闇金融の借金取り立ての撃退」とか「怪しい企業のデータ改ざんの防止」とか、荒っぽいものばかり。

時には計算を間違えて室長さんにからかわれたり、社長さんのうっかりで警察に追われて大失敗したりもする。

コユキ「きゃ〜〜っ! 社長さん、逃げ道が行き止まりです〜っ! にはは、大ピンチですよ〜!」

アル「ええい、落ち着きなさい! これも計算通り……計算通りよーっ!」

カヨコ「はぁ……やっぱりこうなる。ハルカ、壁吹き飛ばせる?」

ハルカ「はいっ! コユキちゃんに危害を加える害虫どもと一緒に、私もろとも爆破しますっ!」

コユキ「ハルカちゃん巻き込まないでください〜っ! 私の暗号計算で扉のロック解除しますからぁぁ!」

失敗して走って、笑って、怒られて。

でも、ここには「失敗したら追放」なんて空気は一切なかった。

依頼が終わった後の夕暮れ時。

事務所の屋上で、私とハルカちゃんはジュースを飲みながら並んで座っていた。

ハルカ「コユキちゃん……便利屋の仕事、辛くないですか……? 私みたいなゴミと一緒にいさせてしまって、本当に申し訳なくて……」

コユキ「なに言ってるんですかハルカちゃん! 辛いどころか、私、今すっごく楽しいです!」

ハルカ「え……?」

コユキ「ミレニアムにいた時は……役に立たなきゃ捨てられる、迷惑かけたら消えなきゃいけないって……ずっと自分で自分を追い詰めてました。でも、便利屋のみんなは……失敗しても笑って『次行ってみよう!』って言ってくれるんです」

ジュースの缶をぎゅっと握りしめる。

コユキ「ハルカちゃんがあの日、手を差し伸べてくれたおかげです。私、ここにいて良いんだって……初めて思えました。ハルカちゃん、大好きです!」

ハルカ「コ、コユキちゃん……っ! 私なんかにそんな言葉……うぅ、嬉しすぎて、嬉しすぎて爆発しそうです……っ!」

コユキ「にはは! 爆発は困ります〜!」

ふたりで顔を見合わせて、大笑いした。

ミレニアムで背負っていた重い罪悪感が、便利屋の突拍子もない日常の中で、少しずつ解けていくのを感じる。

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