稲荷崎高校排球部背番号6番   作:静弥〜ただの凡人〜

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日本予選全勝おめでとうございます


稲荷崎高校バレーボール部

 

 

 

 

 

本日、兵庫県の総合体育館では男女バレーボール総合体育大会兵庫県代表決勝戦が行われる。会場は去年のIH、春高ともに全国3位という好成績を残した稲荷崎高校の応援一色だ。

 

体育館後方の扉が開く。

一列になった稲荷崎高校のレギュラーたちが姿を現した。

その瞬間、客席から割れんばかりの歓声が体育館中に響く。

 

笛が鳴り、公式WUが始まる。

体育館にはスパイク音とシューズの擦れる音が響き渡った。

稲荷崎高校はスパイクが強烈な選手が多い。そのため、打ったスパイクが床をバウンドし変な方向に飛んでいくことがときたまある。

 

尾白(4番)が打ったボールがバウンドし、決勝戦で当たる高校の方に飛んでいく。

ボールを相手校の一年生がキャッチする。その様子を見ていた6番が、小走りでこちらへ向かってきた。

 

「すみません。」

 

話しかけやすそうな柔らかい人相をしていて、気さくな雰囲気がある。

ボールをキャッチした一年生レギュラーが6番にボールを渡す。

ボールを受け取った6番は、小さく微笑む。

 

「ありがとう。」

 

それだけ言い残し、自然な足取りでコートへ戻っていった。

 

「おい、お前何もされてへんやろな?」

先輩が一年生の前に来て問う。

 

「何がですか?」

「久留部、あー稲荷崎の6番に。」

「別に、普通に飛んできたボール返しただけですよ。」

「なら、いいんやけど」

「あの人、やばい人なんですか?優しそうに見えましたけど。」

先輩の物言いに疑問を覚えた一年生が聞く。

 

「それは、アイツのブロック見てから言え。」

 

一年生がどういうことか聞こうとしたら、笛が鳴って最終ミーティングが始まる。

 

稲荷崎の相手校の監督がレギュラーに声をかける。

 

「負けると思ったらだめやで、勝つ気でやらなければ勝てんからな。相手だって人間だ。必ずミスはあるんや。そこを攻めていけ。」

 

部員たちは勢いよく返事する。

笛が鳴り試合が始まった。

 

 

 

*                    

 

 

 

 

 

結果は稲荷崎高校の圧勝だった。3-0で稲荷崎のストレート勝ち。セットの点もかなりの点差があった。

表彰式が終わり、相手校の監督は選手達を称賛した。

 

「よく、最後まで戦った。今後の課題がわかったな。これからも、練習に励むように。」

 

そういいつつも、監督は厳しい試合だったと思った。

 

言わずもがな、全国五本指のエース尾白(4番)

今年のNo.1セッターだと名高い宮侑(7番)とその双子の宮治(11番)

強い体幹を持つ打ち幅が広い角名(10番)

もちろん、全員が強力なプレイヤーだった。中でも、1番やりずらいと思ったのが久留部(6番)だ。

 

序盤はエースもブロックを抜くことができていたが、後半になってだんだん捕まることが多くなっていった。逃げ道を一つ一つ丁寧に潰していくように、6番を中心に地道に完成されていくブロックに第3セットでは、エースのスパイクが殆ど捕まった。そして、遂にエースはトスを呼ばなくなってしまった。

 

エースを止めた。それだけではない。

コースを消し、トスを乱し、相手の攻撃そのものを組み立てられなくした。

 

 

 

点数以上に、試合の流れを支配していたのは6番だった。

 

 

 

チームとしても完成されていて、個人技のレベルも高い稲荷崎高校に手も足も出ないといった感じだった。

ーまずは選手たちのメンタルケアだな。 

 監督はそう思い、明日からの練習内容を考え始めた。

 

 

 

 

**                    

 

 

 

 

稲荷崎高校バレーボール部の帰りのバスで、レギュラー2年生達が会話をしている。

 

 

「よっしゃ!全国や!打倒狢坂!」

 

侑が言う。さっきまで県決勝を戦っていたとは思えない元気さだ。去年の春高。あと一歩届かなかったあの試合。あの悔しさは、誰も忘れていない。

 

「まずは、目の前の一戦からやろ。」

 

窓の外へ視線を向けたまま、久留部が肩を竦める。そんな久留部も狢坂に勝ちたいという気持ちはもちろんある。

 

「そうだよ。稲荷崎(うち)も相手もシードでしょ。トーナメント勝ちあがんないと当たらないよ。」

携帯から顔を上げずに角名が言う。

「こういうのは、気持ちからやろ。先に宣言しとくんや!」

「お前、毎回気ぃ早いねん。」

「なんやサム!勝つ気ないんか!」

「あるわ。せやけど全国はまだ先や。まず初戦勝ってから言え。」

双子のいつもの小競り合いか始まる。

「まあでも、狢坂とはやりたいよな。」

その流れを断ち切るように、銀島が目標!と言わんばかりの言い方をする。

 

「やるためにも、負けられへんってことや。」

「その前に足元すくわれたら笑えないし。」

「……わかったわかった!ほな全部勝ったらええんやろ!今日、久留部と角名当たり強ない?」

 

「そんなことよりも、今日久留部のサーブキレキレやったな。」

「おい。」

銀島の言う通り、今日の久留部のジャンプフローターサーブは良く決まっていた。

高い打点から、すごいスピードの無回転球が打ち落とされるのは一種の恐怖ですらある。変化が無い分コースを予想できるため、高威力のスパイクサーブの方が取りやすい。

 

「それな!俺も思った。今日なら、サーブでセット取れる気がする。」

「まじで、その勢いだったよな」

「感覚忘れないうちに今日練習しようかな」

「俺も確認したいことあるんや。」

「ほな学校戻ったらミーティングの後に練習するか?」

「元気だね本当。」

全く試合後とは思えないバレー馬鹿共の会話に、角名は半ば呆れたように息をつく。冗談で言っているわけではなさそうだ。このバレー馬鹿共はやりかねない。

 

2年の会話が聞こえて前の席の北が後ろを向く。

先ほど、練習をしたいと話していた、久留部、銀島、宮兄弟の肩がびくっと跳ね上がる。

「まずは休めよ。今日この後練習とか、馬鹿な真似せんよな?」

北が2年の方を向き問う。

「それで怪我して、大会出れなくなったら元も子もないやろ」

ごもっともな正論にぐうの音も出なかった。

 

 

 







名前: 久留部(くるべ) 名前の由来はクルペオギツネ
クラス:稲荷崎高校 2年2組 
ポジション:MB 背番号6番 レギュラー
身長:187.6cm 
体重:73.1kg
好物:森◯のラムネ
兄弟構成:姉2人、妹1人
最近の悩み:姉がうるさい


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