【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第十三話「秘密と笑顔」

 

翌日の朝、悠真はいつものように白衣を羽織り、星野アイの病室へ向かった。

 

昨日の診察では術後の経過は極めて良好。

 

一晩経った今日の状態を確認するためだった。

 

コンコン。

 

軽くノックをする。

 

「失礼します」

 

そう言って扉を開けた瞬間...

 

「おはよう、先生!」

 

病室いっぱいに明るい声が響く。

 

ベッドの上には、この前まで重傷患者だったとは思えないほど元気そうなアイが、満点の笑顔で手を振っていた。

 

その笑顔を見た悠真は思わず苦笑する。

 

「おはようございます」

 

「元気そうですね」

 

「うん!」

 

アイは大きく頷く。

 

「こうやって入院生活するの、アクアとルビーを妊娠して以来だよ」

 

懐かしそうに天井を見上げるアイ。

 

悠真は肩をすくめた。

 

「笑い事じゃないんですけどね。あと数センチずれていたら、本当に危なかったんですよ」

 

医師として、冗談では済まされない状況だった。

 

しかしアイは笑顔を崩さない。

 

「でもさ、助かったんだから、笑い事にした方が落ち込まなくて済むでしょ?」

 

どこか得意げな表情で、自分なりの持論を語る。

 

悠真は数秒黙り込んだ。

 

「……よく分からない理論ですね」

 

思わず本音が漏れる。

 

その言葉にアイは吹き出した。

 

「あははっ!よく言われる!」

 

病室に明るい笑い声が響く。

 

悠真もつられて小さく笑った。

 

「まぁ、そのくらい元気なら安心しました」

 

カルテを開きながらアイの状態を確認する。

 

顔色は良い。

 

熱もない。

 

傷口も順調に回復している。

 

経過としては理想的だった。

 

診察を終えた悠真はカルテを閉じる。

 

そして、ふと気になっていたことを口にした。

 

「そういえば、一つ疑問だったんですが」

 

「はい?」

 

「私には隠さなくていいんですか?」

 

アイは首を傾げる。

 

「何を?」

 

悠真は苦笑しながら答えた。

 

「アクア君とルビーちゃんのことです。二人があなたのお子さんだということを」

 

その言葉に、アイは「ああ」と納得したように笑った。

 

「もう先生にはばれちゃってるし、いいかなって」

 

「あの時、全部見られちゃったしね」

 

まるで秘密でも何でもないかのように笑う。

 

悠真は苦笑しながら頷いた。

 

「まぁ……助ける時にアクア君から『お母さんをお願いします』と言われましたから…その時点でもう分かっていましたけどね」

 

「やっぱり!」

 

アイは笑いながら肩を揺らす。

 

悠真は思い出したように続けた。

 

「ちなみに、他の病院スタッフには、斎藤社長が『俺たちの子なんです』と説明して回っていましたよ」

 

その一言でアイは目を丸くする。

 

「えっ、本当に?」

 

「ええ」

 

悠真は笑いを堪えながら頷く。

 

「『余計な詮索はしないでください』って何度も頭を下げながら説明されていました」

 

「おかげで病院内でも情報が漏れることはありませんでした」

 

アイは思わず吹き出した。

 

「あははは!社長らしい!」

 

「あとでちゃんとお礼言わなきゃ」

 

悠真も小さく笑う。

 

「あの必死さを見たら、誰も詮索しようとは思いませんでしたよ」

 

「大切な家族を守ろうとしているのが伝わってきましたから」

 

その言葉を聞いたアイの笑顔が少しだけ優しくなる。

 

「……そっか」

 

「社長、本当に頑張ってくれたんだ」

 

病室には穏やかな朝の陽射しが差し込んでいた。

 

この前まで死と隣り合わせだったとは思えないほど、そこには静かで温かな時間が流れていた。

 

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