【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二十話「家族」

 

記者会見から数日後…

 

その日のB小町は、午前中でレッスンを終えていた。

 

午後は久しぶりの休み。

 

連日の取材や記者会見がようやく一段落し、事務所には穏やかな時間が流れていた。

 

休憩スペースでは、たかみー、ニノ、めいめい、ありぴゃん、きゅんぱん、みーちゃんの六人が飲み物を片手に談笑している。

 

「今日は午後休みって、なんか久しぶりだね」

 

「ここ最近、本当に忙しかったもんね」

 

「アイも少しずつ元気になってきたし、ようやく落ち着いてきた感じかな」

 

そんな話をしていると、事務所の入口がゆっくりと開いた。

 

六人が一斉に振り向く。

 

そこには、車いすに座るアイの姿があった。

 

まだ腹部の傷は完治しておらず、長時間歩くことはできない。

 

その車いすを押しているのは、小さな男の子。

 

そして、その隣では女の子が楽しそうに歩いていた。

 

「ママ、着いたよ!」

 

ルビーが笑顔で声を上げる。

 

「ありがとう、ルビー」

 

アイが優しく微笑む。

 

その横で車いすを押していた男の子が静かに言った。

 

「お母さん、この辺で止めるね」

 

「うん、ありがとうアクア」

 

車いすが六人の前で止まる。

 

「あっ!」

 

めいめいが目を丸くした。

 

「もしかして、この子たち!」

 

アイは少し照れくさそうに笑う。

 

「うん」

 

「この前約束したでしょ?」

 

「今日は二人を紹介しようと思って」

 

「やったー!」

 

きゅんぱんが思わず立ち上がる。

 

「やっと会えた!」

 

ルビーは元気よく前へ出ると、深々と頭を下げた。

 

「こんにちは!」

 

その姿に六人の頬が自然と緩む。

 

「かわいい~!」

 

「癒やされる……」

 

その横でアクアも一歩前へ出た。

 

「星野アイの子供としては初めましてです」

 

そう言うと、ポケットから一枚の紙を取り出す。

 

「僕の名前です」

 

そう言って六人へ紙を見せた。

 

そこには、大きく丁寧な字で書かれていた。

 

**『星野 愛久愛海』**

 

数秒の沈黙。

 

そして――

 

「…………え?」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

六人の叫び声が事務所中に響いた。

 

アクアはきょとんとした表情で首をかしげる。

 

「どうかしましたか?」

 

たかみーが紙を二度見する。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「これ本名!?」

 

「はい」

 

「星野愛久愛海です」

 

「愛久愛海!?」

 

「いやいやいや!」

 

ニノが思わず頭を抱えた。

 

「ネーミングセンス壊滅的すぎでしょ!」

 

「愛が二つ入ってるんだけど!?」

 

めいめいも吹き出す。

 

「初見で読める人いる!?」

 

「絶対読めないよ!」

 

ありぴゃんも笑いながら紙を見つめる。

 

「愛久愛海って……」

 

「情報量が多すぎる!」

 

「さすがアイ!」

 

「いや、そこ褒めるところじゃない!」

 

きゅんぱんが笑い転げる。

 

「アイちゃん!」

 

「ネーミングセンスどうしたの!?」

 

「ひどい!」

 

アイが思わず頬を膨らませる。

 

「一生懸命考えたんだから!」

 

するとアクアが小さくため息をついた。

 

「正直に言うと」

 

全員がアクアを見る。

 

アクアは少しだけ口元を緩めた。

 

「お母さんが付けた名前じゃなかったら、即改名を考えてました」

 

一瞬の静寂。

 

次の瞬間――

 

「ぶっ!」

 

「アハハハハ!」

 

「アクア君!」

 

「四歳が言うセリフじゃない!」

 

事務所は大爆笑に包まれた。

 

アイは真っ赤になってアクアを見る。

 

「アクア!」

 

「ひどい!」

 

「今は気に入ってます」

 

アクアは落ち着いた表情で答える。

 

「……たぶん」

 

「最後の『たぶん』はいらない!」

 

アイが思わずツッコむ。

 

笑い声はさらに大きくなった。

 

その様子を見ていたルビーが元気よく手を挙げる。

 

「私も!」

 

ポケットから同じように紙を取り出す。

 

そこには、

 

**『星野 瑠美衣』**

 

と書かれていた。

 

「瑠美衣!?」

 

「こっちも難しい!」

 

「やっぱり読めない!」

 

「ママ!」

 

ルビーは頬を膨らませた。

 

「ママが一生懸命考えた名前なんだから!」

 

「いい名前なんだよ!」

 

その言葉に、六人は笑いながらアイを見る。

 

アイは少し恥ずかしそうに笑った。

 

「二人とも、私の宝物だから」

 

「世界で一番たくさん想いを込めて付けた名前なの」

 

その一言で、さっきまで笑っていた六人の表情が少しだけ柔らかくなる。

 

たかみーが優しく微笑んだ。

 

「確かに読むのは難しいけど……」

 

「アイらしい名前だね」

 

ニノもうなずく。

 

「愛情がこれでもかってくらい詰まってる」

 

めいめいも笑顔で続けた。

 

「将来、名前の由来を聞いたら嬉しくなるだろうね」

 

アクアは静かに紙をしまう。

 

「だから今は、この名前を誇りに思っています」

 

その言葉に、アイは少し目を潤ませながら優しく微笑んだ。

 

「ありがとう、アクア」

 

「えへへ!」

 

ルビーはアイへぎゅっと抱きつく。

 

「ママ!」

 

「私も、この名前大好き!」

 

アイは優しくルビーの頭を撫でた。

 

その光景を見ていたB小町の六人は、自然と笑みを浮かべる。

 

記者会見までは想像もできなかった穏やかな時間。

 

秘密ではなくなった家族。

 

そして、新しくつながった大切な絆。

 

その日、アクアとルビーは、B小町の六人と初めて本当の意味で家族になった。

 

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