【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

21 / 46
第二十一話「四歳児とは思えない会話」

 

「それじゃあ、みんな座ろうか」

 

アイの一言で、全員がソファへ腰を下ろした。

 

アイは車いすのまま中央へ座り、その両隣にはアクアとルビーが座る。

 

向かいにはB小町の六人。

 

改めて顔を合わせると、少しだけ緊張した空気が流れた。

 

その空気を真っ先に壊したのはルビーだった。

 

「えへへ!」

 

「みんなテレビで見てた人たちだ!」

 

嬉しそうに笑うルビーを見て、たかみーも自然と笑顔になる。

 

「私たちもまた二人に会えて嬉しいよ」

 

「ありがとう!」

 

ルビーは元気よく返事をした。

 

一方、アクアは静かに頭を下げる。

 

「よろしくお願いします」

 

「やっぱり落ち着いてるね」

 

ニノが苦笑する。

 

「本当に四歳なの?」

 

「よく言われます」

 

アクアは表情一つ変えずに答えた。

 

その返しだけで六人は笑ってしまう。

 

するとルビーが勢いよく手を挙げた。

 

「あのね!」

 

「私、B小町のお話いっぱいできるよ!」

 

「え?」

 

「そうなの?」

 

きゅんぱんが驚いて聞き返す。

 

「うん!」

 

「ママのライブもテレビもいっぱい見てる!」

 

「じゃあ聞かせて!」

 

ルビーは目を輝かせながら話し始めた。

 

「たかみーちゃんはね!」

 

「みんなが踊りやすいようにいつも周り見てるの!」

 

「ニノちゃんはダンスが一番かっこいい!」

 

「めいめいちゃんは歌声が優しくて、ママと歌うとすっごくきれい!」

 

「ありぴゃんちゃんは笑顔がかわいい!」

 

「きゅんぱんちゃんはいつも面白い!」

 

「みーちゃんは最近いっぱい笑うようになった!」

 

次々と飛び出す感想。

 

六人は思わず顔を見合わせた。

 

「え……」

 

「そんな細かいところまで見てるの?」

 

「うん!」

 

「全部見てる!」

 

ルビーは自信満々に答えた。

 

その横でアクアも静かに口を開く。

 

「ルビーの言う通りです」

 

「皆さん、それぞれ役割が違います」

 

「たかみーさんは全体のバランスを見るのが上手です」

 

「立ち位置やフォーメーションが崩れそうになると、自然に修正しています」

 

たかみーの目が丸くなる。

 

「そこまで見てたの?」

 

アクアは続ける。

 

「ニノさんはダンスだけでなく、表情の切り替えが速いです」

 

「カメラが来る瞬間を理解されています」

 

「めいめいさんは歌が安定しています」

 

「音程がほとんどぶれません」

 

「ありぴゃんさんはお客さんを見る時間が長いです」

 

「ファンサービスが上手ですね」

 

「きゅんぱんさんは場を盛り上げるのが得意です」

 

「ライブ全体の空気を明るくしています」

 

「みーちゃんさんは最初は緊張していましたが、最近は自然な笑顔が増えています」

 

部屋が静まり返る。

 

六人は口を開けたまま動かない。

 

数秒後...

 

「…………」

 

「…………」

 

最初に口を開いたのはニノだった。

 

「いや」

 

「ちょっと待って」

 

「ほんとに四歳?」

 

全員が一斉にうなずく。

 

「分析力がおかしい!」

 

「しかも全部当たってる!」

 

めいめいが苦笑する。

 

「私、自分でも気付いてないこと言われたんだけど」

 

ありぴゃんも笑った。

 

「お客さん見てるって意識したことなかったなぁ」

 

「でも確かにそうかも」

 

たかみーもアクアを見つめる。

 

「すごい観察力だね」

 

「ありがとうございます」

 

アクアは淡々と答えた。

 

「好きだから見ていただけです」

 

するとルビーが元気よく続ける。

 

「あっ!」

 

「この前のライブね!」

 

「たかみーちゃん、最後ちょっとだけ振り付け間違えた!」

 

「えっ!?」

 

たかみーが思わず立ち上がる。

 

「ばれてたの!?」

 

「うん!」

 

「でもすぐ戻したから大丈夫だった!」

 

「すごいと思った!」

 

アクアも静かに補足する。

 

「半拍ほど早く動いただけでした」

 

「すぐ修正されていたので、一般の方は気付かないと思います」

 

「…………」

 

再び沈黙...

 

そして、

 

「いやいやいや!」

 

ニノが思わず立ち上がった。

 

「何なのこの兄妹!」

 

「ほんとに四歳!?」

 

「アイ!」

 

「どう育てたの!?」

 

突然話を振られたアイは苦笑する。

 

「え?」

 

「普通に育てただけだけど……」

 

「普通じゃない!」

 

六人の声が見事に重なった。

 

事務所中に笑い声が響く。

 

アイもつられて笑い、アクアとルビーの頭を優しく撫でた。

 

「この子たち、本当にB小町が大好きなの」

 

「ライブの日なんて、帰ってきたら二人とも感想が止まらないんだから」

 

「だって大好きだもん!」

 

ルビーが満面の笑みで答える。

 

アクアも静かにうなずいた。

 

「皆さんの努力は、画面越しでも伝わってきます」

 

「だから応援したくなるんです」

 

その言葉に、B小町の六人は顔を見合わせ、小さく笑った。

 

「ありがとう」

 

たかみーが優しく微笑む。

 

「そんな応援してくれる子たちがいるなら、もっと頑張らなきゃね」

 

「うん!」

 

「次のライブも絶対行く!」

 

ルビーが元気よく拳を握る。

 

その笑顔を見ながら、アイは静かに目を細めた。

 

秘密を抱えていた頃には想像もできなかった、こんな穏やかな時間。

 

大切な仲間と、大切な家族。

 

その距離は、この日一気に縮まっていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。