【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜 作:ペンギンって可愛いですよね
しばらくアクアとルビーのB小町の熱談は続いていた......
「...やっぱり普通じゃないわ」
ニノが勢いよく立ち上がる。
「絶対四歳じゃないでしょ!」
「どう考えてもおかしいって!」
「分析力も会話も大人すぎるよ!」
「私もそう思う!」
ありぴゃんも何度も頷く。
「普通の四歳児じゃない!」
「何か秘密があるでしょ!」
めいめいも苦笑しながら言う。
「正直、今でも信じられないんだけど」
「実は体だけ小さくなった天才とかじゃないの?」
「何か変な薬でも飲まされて、小さくなったとか!」
「そんな感じしかしないよ!」
たかみーも腕を組んだ。
「そうそう!」
「某名探偵みたいな状態なんじゃないの?」
「中身は高校生とか大学生とか!」
「それなら全部納得できる!」
「それくらいじゃないと説明つかない!」
B小町の六人は全員が真剣な表情で頷いていた。
その時だった。
ガチャッ
事務所の扉が開く。
「おっ、何だ?」
「ずいぶん盛り上がってるな」
入ってきたのは斎藤社長とミヤコだった。
「社長!」
六人は一斉に振り返る。
ニノが真っ先に詰め寄った。
「社長!」
「聞いてください!」
「この二人、本当に四歳なんですか!?」
「絶対違いますよね!?」
たかみーも続く。
「何か変な薬飲まされて体が縮んだ某名探偵みたいな状態とかじゃないですよね!?」
「それくらいしか説明がつきません!」
「普通の四歳児じゃないですよ!」
社長はアクアとルビーを見た。
二人は何事もないような顔で座っている。
社長は大きくため息をつく。
「残念だが」
「戸籍も年齢も間違いなく四歳だ」
「ただ……」
腕を組み、アイへ視線を向ける。
「俺も、なんでこんなのがアイから生まれたのか不思議でたまらん」
一瞬、部屋が静まり返る。
そして、
「社長まで!?」
アイが頬をぷくっと膨らませた。
「みんなひどい‼‼」
部屋には笑いが広がる。
その横でミヤコは肩を震わせながら苦笑いしていた。
「ふふっ……」
「社長、それ本人の前で言います?」
「本当のことだからな」
社長はさらっと答える。
その様子を見ながら、アクアとルビーはそっと顔を見合わせた。
(惜しいな)
(かなり惜しいね)
二人は心の中で同じことを思う。
薬で体が縮んだわけではない。
前世の記憶を持ったまま転生しただけだ。
だが、「中身だけ大人」という予想は、事情を知らない人からすれば驚くほど核心に近かった。
アクアは思わず苦笑する。
ルビーも笑いを堪えるのに必死だった。
「二人とも笑ってる!」
きゅんぱんが指を差す。
「やっぱり何か隠してる!」
「いえ」
アクアは平然と答える。
「何も隠していません」
「その落ち着き方がおかしいんだって!」
ニノが思わずツッコむ。
再び笑いが起こる。
その時、めいめいが何かを思い出したように社長へ向き直った。
「そういえば社長」
「一つ相談があります」
「何だ?」
「アイのネーミングセンス、どうにかした方がいいと思います」
部屋が静まる。
「愛久愛海に瑠美衣って……」
「初見で読める人いませんよ」
「確かに!」
「読めるわけない!」
「絶対テストで間違える!」
「ふりがな必須!」
六人が一斉に頷く。
社長はゆっくりアイを見た。
そして静かに言った。
「……諦めろ」
「昔からああなんだ」
「治らん」
「しゃ、社長ーーーっ!!」
アイはさらに頬を膨らませる。
「ひどい!」
「みんなして私ばっかり!」
「ちゃんと意味がある名前なんだから!」
「もちろん愛情は伝わるよ」
たかみーが笑いながら言う。
「でも読めない!」
「一度アイの頭の中覗きたいわ!」
「ひどい!」
アイは車いすの上でぷいっと横を向く。
その姿に事務所中が笑いに包まれた。
ミヤコは終始苦笑いのまま、その光景を見守っていた。
「でも……」
ミヤコは優しく微笑む。
「こんなに賑やかな事務所、久しぶりね」
その一言で部屋の空気はさらに和らぐ。
記者会見が終わり、ようやく秘密を隠す必要がなくなった。
だからこそ生まれた、この何気ない笑い合える時間。
アイは頬を膨らませたままだったが、その表情はどこか幸せそうだった。