【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

25 / 25
第二十五話「新しい家を探そう」

 

アイが車いすを卒業してから数日後――。

 

苺プロダクションの事務所。

 

応接室にはアイ、アクア、ルビー、そして斉藤壱護とミヤコが集まっていた。

 

テーブルの上には、分厚い住宅情報誌や間取り図、不動産会社の資料が何冊も並んでいる。

 

「今日はどうしたの?」

 

アイが不思議そうに資料を見つめる。

 

「こんなに家の資料があるけど」

 

壱護は腕を組みながら口を開いた。

 

「今日は、お前たちの新しい家を探そうと思ってな」

 

「新しい家?」

 

アイは目を丸くした。

 

「今の仮社宅を出る時期だと思う」

 

その一言に、アイも表情を少し真剣にする。

 

現在三人が暮らしているのは、事件のあと苺プロダクションが急遽用意した仮社宅だった。

 

退院したばかりのアイは車いす生活で、一人ではほとんど動けなかった。

 

そのため、事務所から近く、壱護やミヤコがすぐ駆け付けられる場所を優先して決めた住まいだった。

 

生活するには十分だったが、あくまで療養のための仮住まい。

 

長く暮らすことを前提とした家ではない。

 

「アイも今はある程度一人で歩けるようになった」

 

壱護は続ける。

 

「だから、そろそろ本格的に住む家を探してもいい頃だ」

 

「確かに……」

 

アイも頷いた。

 

「今のお家には感謝してるけど、ずっと住むには少し狭いかなって思ってた」

 

ミヤコも優しく微笑む。

 

「私もそう思ってたの」

 

「それに、今度はもっと安全な家にしたいわ」

 

その言葉に、部屋の空気が少しだけ静かになる。

 

事件のことを忘れた者は、この場には誰もいなかった。

 

「今度はセキュリティを最優先にしましょう」

 

ミヤコは資料を一枚広げる。

 

「防犯カメラや警備会社との契約はもちろんだけど……」

 

少し考えてから壱護を見る。

 

「社長」

 

「ああ、俺も同じことを考えてた」

 

壱護は住宅情報誌を閉じた。

 

「マンションも悪くない」

 

「ただな……」

 

壱護はアクアとルビーを見る。

 

「子どものことを考えるなら、一軒家の方がいいと思う」

 

「一軒家?」

 

アイが聞き返す。

 

「ああ」

 

「庭があれば二人も遊べる」

 

「周りに気を遣わずに生活できる」

 

「走り回っても、下の階に迷惑を掛ける心配もない」

 

「将来、子ども部屋も十分確保できる」

 

「確かに……」

 

アイは納得したように頷いた。

 

「二人ものびのび育ててあげたいもんね」

 

ミヤコも笑顔で続ける。

 

「もちろん、防犯面もしっかり考えた一軒家よ」

 

「塀や門、監視カメラも設置できるし、マンションより自由に対策できる部分もあるわ」

 

アクアも静かに頷く。

 

「僕も一軒家の方がいいと思う」

 

「理由は?」

 

アイが尋ねる。

 

「人目につきにくい」

 

「お母さんは芸能人だから」

 

「マンションだと出入りを見られる可能性が高い」

 

「なるほど……」

 

壱護も感心したように笑う。

 

「そこまで考えてたか」

 

「確かにアクアの言う通りだ」

 

「じゃあ、一軒家を中心に探してみようかな」

 

アイも笑顔になった。

 

「うん!」

 

ルビーも元気よく手を挙げる。

 

「ルビー、お庭ほしい!」

 

「ブランコ置きたい!」

 

「あと、お花も育てたい!」

 

「いいわね」

 

ミヤコが微笑む。

 

「家庭菜園なんかも楽しそう」

 

「トマト!」

 

「いちご!」

 

「スイカ!」

 

ルビーの夢はどんどん広がっていく。

 

アクアは横で小さくため息をついた。

 

「最後は畑になりそうだね」

 

「いいじゃん!」

 

「いっぱい採れたら楽しそう!」

 

みんなが笑った。

 

そんな和やかな空気の中、壱護は別の資料を取り出した。

 

「ちなみに資金面だが」

 

「そこまで心配する必要はない」

 

アイは首を傾げる。

 

「なんで?」

 

壱護は売上資料をテーブルへ置いた。

 

「この前の記者会見の影響だ」

 

「記者会見?」

 

「ああ」

 

「七人全員で記者会見に臨んだだろ」

 

「その姿が世間でかなり評価された」

 

「B小町全員がお前を支え続ける姿に、多くの人が心を打たれたらしい」

 

「その結果――」

 

壱護は数字を指差す。

 

「CDの売り上げは以前の約四倍」

 

「仕事の依頼も倍以上になった」

 

「えぇ!?」

 

アイは驚いて資料を見つめた。

 

「四倍!?」

 

「そんなに?」

 

「ああ」

 

「正直、俺もここまで伸びるとは思ってなかった」

 

「今は給料を上げる方向で検討してる」

 

「もちろん、お前も復帰したら同じだ」

 

アイは嬉しそうに微笑んだ。

 

「みんな頑張ってくれたんだ……」

 

その横で、資料を見ていたルビーが腕を組み、大きく頷く。

 

「ようやく世界がB小町の魅力に気付いたみたいね」

 

どこか誇らしげな表情だった。

 

「今まで気付くのが遅すぎたのよ」

 

「ママたちは、ずっと最高だったんだから」

 

アクアは妹を見て、小さくため息をつく。

 

「いや、お前は関係ないだろ」

 

「え?」

 

ルビーは目を丸くした。

 

「関係あるもん!」

 

「どこが?」

 

「ずっとB小町を応援してたし!」

 

「ただのファンだろ」

 

「一番近くのファンだもん!」

 

「それで売り上げが四倍になったわけじゃない」

 

「なったかもしれないじゃん!」

 

「なってない」

 

「アクア、夢がない!」

 

「現実を言ってるだけ」

 

「もう!」

 

ルビーは頬を膨らませる。

 

その様子を見て、アイは思わず吹き出した。

 

「ふふっ」

 

「ルビーらしいね」

 

壱護も苦笑する。

 

「自分の手柄みたいな顔をしてるから笑ったぞ」

 

「だって嬉しかったんだもん!」

 

ルビーは照れ笑いを浮かべた。

 

「それだけB小町が大好きなんだね」

 

ミヤコが優しく言うと、ルビーは元気よく頷く。

 

「うん!」

 

「世界一好き!」

 

その言葉に、アイの表情が柔らかくなる。

 

「ありがとう、ルビー」

 

壱護は資料をまとめながら立ち上がった。

 

「じゃあ候補を絞るぞ」

 

「一軒家を中心に、安全第一で探す」

 

「今度こそ、三人が安心して暮らせる家を見つけよう」

 

こうして、アイたちの新しい家探しが本格的に始まった。

 

それは仮住まいを卒業し、新たな家族の思い出を積み重ねていくための、大切な第一歩だった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

一番星は消えない(作者:ディバル)(原作:推しの子)

▼表示絵▼【挿絵表示】▼児童養護施設で暮らす少年・天城彼方は、推しの星野アイと出会い、この世界が【推しの子】の物語だと知る。彼女に待つ残酷な未来を変えるため、彼は“運命”に抗う………一番星は、消えない。▼アニメ勢の方はネタバレ有りなので注意。▼新作▼「あかねちゃん………煙草買ってきてくれない?」▼:https://syosetu.org/novel/4132…


総合評価:3506/評価:8.43/連載:105話/更新日時:2026年08月14日(金) 19:20 小説情報

第七王子の護衛は胃が痛い(作者:波止場鐸樹)(原作:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます)

異世界転生した男がロイドに振り回されながら胃を痛める、そんな話▼


総合評価:5106/評価:8.91/連載:7話/更新日時:2026年08月14日(金) 19:07 小説情報

ストライカーから絶望扱いされるまどかちゃん(作者:クロアブースト)(原作:ブルーロック)

サッカーにおける勝利する方法は二つ。▼点を取るか、取られないか。▼そして化け物染みた身体能力によるセービングで点を取られない事に特化し過ぎて世界のストライカー達からクソゲー扱いされる位に畏怖される日本人の男の娘GK 終 円(おわり まどか)がいた。▼絵心「ブルーロックのプロジェクトで日本代表のストライカーが決まるまで戻って来るな」▼まどかちゃん「ふぇ!?」▼…


総合評価:4640/評価:8.25/短編:3話/更新日時:2026年08月14日(金) 13:58 小説情報

伏黒宿儺に「そろそろ狩るか…♠︎」する転生者(作者:羂索は踊り狂って死ぬ♠︎)(原作:呪術廻戦)

▼ 呪術廻戦を知らない転生者が伏黒宿儺相手に「そろそろ狩るか…♠︎」するだけの話。▼タグは随時追加


総合評価:5343/評価:7.36/連載:7話/更新日時:2026年08月06日(木) 18:19 小説情報

助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件(作者:萩月輝夜)(原作:魔法科高校の劣等生)

全てを失う筈の少女が転生してスパダリになった少年に脳を焼かれたらどうなるか。▼※この作品は一部劇場版魔法科高校の劣等生【四葉継承編】のネタバレを含みます。ご了承ください。▼真夜とのイチャイチャをみたいが為の自己満二次創作です。▼ツンデレ真夜様可愛い。▼軽い気持ちで見てください。タグ追加予定。▼毎日更新は無理なので週一で更新出来たら頑張ります。


総合評価:8496/評価:7.96/連載:14話/更新日時:2026年08月01日(土) 08:12 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>