【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二十六話「新しい我が家」

 

それから一週間後――。

 

アイたちは再び苺プロダクションへ集まっていた。

 

「決まったぞ」

 

壱護が笑顔で一枚の資料を机へ置く。

 

「えっ!」

 

アイが勢いよく身を乗り出した。

 

「本当に?」

 

「ああ。条件に合う物件が見つかった」

 

ミヤコも嬉しそうに頷く。

 

「実際に内見にも行ったけど、とても良いお家だったわ」

 

壱護は資料を開きながら説明を始める。

 

「二階建ての一軒家」

 

「部屋は四部屋」

 

「広いリビングダイニング付き」

 

「庭もかなり広い」

 

「それから、防犯設備はかなり充実している」

 

アクアが資料へ目を向ける。

 

「どんな設備?」

 

「玄関には防犯カメラ」

 

「庭にも二台設置済みだ」

 

「夜はセンサーライトが自動で点灯する」

 

「玄関はツーロック」

 

「鍵は防犯性の高いディンプルキーを採用している」

 

「窓にも補助錠付きだ」

 

壱護は笑みを浮かべる。

 

「警備会社とも契約済みだから、万が一の時もすぐ対応してもらえる」

 

アクアは静かに頷いた。

 

「十分だと思う」

 

「よし」

 

壱護は満足そうに腕を組む。

 

「お前から合格をもらえるなら安心だ」

 

アイも資料を見ながら目を輝かせていた。

 

「すごい……」

 

「お庭もこんなに広いの?」

 

「うん!」

 

ルビーも写真を見て大喜びする。

 

「私、ここで鬼ごっこしたい!」

 

「ブランコも置けるかな!?」

 

「お花も植えたい!」

 

「家庭菜園もできそうね」

 

ミヤコが笑う。

 

「トマト育てたい!」

 

「いちごも!」

 

「だからそんなに植えたら最後は畑になるって」

 

アクアが小さく突っ込む。

 

「もう!」

 

ルビーは頬を膨らませた。

 

「アクアは夢がない!」

 

「現実的なだけ」

 

そんな二人を見ながら、アイは自然と笑顔になる。

 

「こんなお家に住めるなんて……」

 

壱護が頷いた。

 

「気に入ったなら、早速引っ越そう」

 

「えっ?」

 

アイが驚く。

 

「そんなに早く?」

 

「もう契約も終わってる」

 

「引っ越し業者も手配済みだ」

 

「仕事が早い……」

 

アイは思わず苦笑した。

 

「社長らしいね」

 

 

 

数日後――

 

引っ越し当日。

 

朝から大きなトラックが新居の前へ止まっていた。

 

引っ越し業者が次々と荷物を運び込んでいく。

 

そして今日は、もう一つ驚くことがあった。

 

「アイーー!」

 

元気いっぱいの声とともに玄関へ現れたのは、B小町のメンバーだった。

 

「みんな!?」

 

アイは驚いて目を丸くする。

 

たかみーが笑顔で段ボールを持ち上げる。

 

「今日はお手伝い!」

 

ニノも笑う。

 

「七人揃った方が早いでしょ?」

 

「それに、お祝いもしたいし!」

 

「みんな……」

 

アイは目を潤ませた。

 

「ありがとう」

 

「そんな顔しないの」

 

めいめいが笑う。

 

「今日は新しいスタートの日なんだから」

 

「そうそう!」

 

ありぴゃんが腕まくりをする。

 

「力仕事は任せて!」

 

「私も頑張るよ!」

 

きゅんぱんも段ボールを抱える。

 

「家具の配置も考えよう!」

 

みーちゃんも笑顔で頷いた。

 

「今日は一日よろしくね」

 

「ありがとう!」

 

アイは何度も頭を下げる。

 

リビングでは業者が家具を設置し、B小町のメンバーは小物や段ボールを運んでいく。

 

「アクア、この箱お願い!」

 

「分かった」

 

アクアも自分で持てる大きさの箱を抱え、二階へ運ぶ。

 

「私も!」

 

ルビーも小さな箱を両手で抱えて一生懸命歩いていた。

 

「よいしょ……よいしょ……」

 

「重くない?」

 

アイが心配そうに聞く。

 

「大丈夫!」

 

ルビーは満面の笑みを浮かべる。

 

「私もお引っ越しのお手伝い!」

 

その姿を見たB小町のメンバーは思わず笑顔になった。

 

一方、アクアは二階へ上がる途中、ふと窓から庭を見下ろす。

 

広い芝生。

 

高い塀。

 

門には防犯カメラ。

 

夜になればセンサーライトも作動する。

 

ここなら以前より安心して暮らせる。

 

四歳児らしくない冷静なアクアだったが、その口元はほんの少しだけ緩んでいた。

 

新しい部屋。

 

広い家。

 

自分だけの部屋。

 

少しだけ胸が高鳴っている自分に気付く。

 

その時だった。

 

「アクアー!」

 

ルビーが二階から顔を出す。

 

「見て見て!」

 

「私のお部屋、すっごく広い!」

 

アクアは思わず笑う。

 

「まだ何も置いてないからじゃない?」

 

「でも広いもん!」

 

「アクアのお部屋も見ようよ!」

 

「あとで行く」

 

「今!」

 

ルビーはアクアの腕を引っ張る。

 

「分かったから」

 

二人の様子を階下から見上げていたアイは、小さく笑った。

 

「楽しそう」

 

その笑顔を見た壱護とミヤコも、安心したように微笑む。

 

事件によって失われた日常。

 

その日常は、少しずつではあるが、確実に戻り始めていた。

 

この新しい家で、三人はまた新たな思い出を積み重ねていく。

 

そう誰もが願っていた。

 

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