【推しの子】もしも星野アイの隣人が天才外科医だったら〜命を救う、その先へ〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第四十五話「二人の有名人」

 

図書館をあとにした四人は、夕焼けに染まる住宅街をゆっくり歩いていた。

 

前を歩くアイとルビー。

 

その少し後ろを、悠真とアクアが並んで歩く。

 

医学の話で盛り上がっていた空気も少し落ち着き、穏やかな時間が流れていた。

 

そんな中、アクアがぽつりと口を開く。

 

「先生」

 

「はい?」

 

「さっき、自分のことを一般人って言ってましたよね」

 

悠真は少し首を傾げる。

 

「ええ」

 

アクアは苦笑しながら続けた。

 

「世界一と言ってもいい外科医が、自分を一般人って言うのは無理があると思います」

 

その言葉に、前を歩いていたアイが振り返る。

 

「それ!」

 

ルビーも勢いよく頷いた。

 

「私も思った!」

 

「先生、絶対一般人じゃないよ!」

 

悠真は困ったように笑う。

 

「いやいや」

 

「アイさんに比べたら、私なんて知名度が広がっているだけですよ」

 

「テレビに出ることもほとんどありませんし、街を歩いても気付かれないことの方が多いです」

 

「芸能人とは全然違います」

 

言い終わった瞬間だった。

 

三人がぴったり息を合わせて叫ぶ。

 

「「「いやいやいや!」」」

 

あまりにも綺麗に揃った声に、悠真は思わず立ち止まる。

 

「え?」

 

ルビーが真っ先に反論した。

 

「先生、自分のこと分かってなさすぎ!」

 

「ニュースで先生の名前、何回聞いたと思ってるの!」

 

アイも苦笑しながら続ける。

 

「そうそう!」

 

「医療特集やニュースで先生の話題になるたびに、SNSでもすごく話題になってるよ?」

 

「私の知り合いにも先生のこと知ってる人、たくさんいるし」

 

アクアも静かに口を開く。

 

「先生は芸能人じゃないだけです」

 

「でも、知名度だけなら芸能人と引けを取らない有名人ですよ」

 

「少なくとも、日本で先生の名前を知らない医療関係者はいないと思います」

 

悠真は少し考え込む。

 

「そう言われましても……」

 

「私は患者さんを診て、手術をしているだけですから」

 

「有名になろうと思ったことは一度もありません」

 

アイは笑った。

 

「そこなんだよね」

 

「先生って、そういうところが先生らしい」

 

「名声とか全然興味なさそう」

 

「ありませんね」

 

悠真は即答した。

 

「私が有名になっても、患者さんが助かるわけではありませんから」

 

「私が評価されることより、一人でも多く助かることの方が大切です」

 

その言葉に、三人は思わず顔を見合わせた。

 

ルビーが小さく呟く。

 

「やっぱり先生ってかっこいい……」

 

アイも優しく微笑む。

 

「だからみんな先生を好きになるんだろうね」

 

アクアは静かに頷いた。

 

「俺もそう思います」

 

「先生は自分で思っている以上に、多くの人から尊敬されています」

 

悠真は少し照れくさそうに頭をかく。

 

「買い被りすぎですよ」

 

するとアイは笑顔で人差し指を立てた。

 

「先生」

 

「先生は医療界のトップ」

 

「私は芸能界のトップ」

 

「つまり今日は、日本トップクラスが二人並んで歩いてるってことだね!」

 

悠真は思わず苦笑する。

 

「そんな大げさな……」

 

「大げさじゃないよ!」

 

ルビーが元気よく言う。

 

「だから先生、自分のこともっとすごいって思っていいんだよ!」

 

三人にここまで言われても、悠真は最後まで苦笑するだけだった。

 

「……やはり、私は一般人ということでお願いします」

 

その一言に、三人は顔を見合わせる。

 

そして再び息ぴったりに叫んだ。

 

「「「無理!」」」

 

住宅街に四人の笑い声が響き渡る。

 

そんな穏やかな時間を過ごしながら、一行は星野家へと歩いていくのだった。

 

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