ハイスクールD×D~『光』と『王の石』を持つネオ戦士~ 作:ライダー好き(全部)
今回はライダーモノを書いていこうと思っています。
できる限り3人称を意識して分かりやすく書いていければと思いますんで宜しくお願いします。
何も無い暗闇の空間、その中心にポツンと二つの輝きが存在する。一つは人型をとっており人間の顔をしていた。しかしその下、肉体には何も纏っていないにも関わらずその体が光り輝いている。
そしてもう一つ、これも人型をとっているがその背にある異型の翼が人ではないことの証明となるだろう。その翼を生やした異型、天使とでも言っておこうか。その天使は明らかに慌てており何かをその人型に頼み込むようにしている。
『いい加減特典を決めてください、何で何もない世界で約100日間も悩んでいるんですかぁぁぁッ!!!』
何やら悲壮感の漂う叫びと共に天使は大泣きを始めてしまう。人型は顔だけで「てへぺろ(´>ω∂`)☆」と無性に殴りたくなるような表情で謝るばかりとても反省しているようには見えない。
そんな彼を見て天使はどうしてこんなことになったのかと思い返す。
そうそれは天使の上司である神の戯言から始まったのだ。
「適当な人間を転生させて世界を壊したい」
そのセリフは神が言っていいものなのかと疑問に思うが神にとって世界とは遊び道具にしか過ぎずオリジナルが無事ならば何程の枝分かれした世界でも壊しても問題ないという考えでいる。
殆どのヒトが蟻になんの興味を示さないのと同じように殆どの神が人になんの感情を示さないのである。
そんな神がオリジナルの世界で急死した魂を呼び寄せ願いを聞いたのだ。これが事の始まりであった。その魂はとある世界の主要人物から「力」を抜き取り自身に宿らせるようにして欲しいと言ったのだ。それを神は快諾し魂にその「力」を宿らせ願いとして「特典」を二つ与えその魂は転生したのだ。しかしそこで予想外の事態が起こってしまった。なんと抜き取られた主要人物の魂が消滅してしまったのだ。強引な「力」の引き抜きをしたにも関わらずその後の処置を施さないことが原因だった。そこらのモブキャラなら「残念でした」で済むのだがその人物が存在しないと物語が始まらないのだ。「主役」がいない物語は物語として成立しない、それはどの世界でも通じることで常識でもある。その転生した魂は「力」を得ることを望んだが「主役」になることを望まなかった。故に未だ抜き取られた主要人物がその世界の「主役」であった。
このままではせっかくの転生が無駄になる、それどころか観測世界が消えてしまう。流石にそれは嫌だった神が身近にいた天使に更なる転生者を作るよう命じたのだ。
その天使は冷めた視線を神に向けたまま軽く頷きたった今死亡した魂を一つ拾い上げて何も干渉できない世界でその魂と対話をした。したのだが・・・・・・・・・
「転生してくれると言ってくれたことは感謝しています。ですがそれにしても長過ぎですって!ホントに世界が危ないんですからお願いですから!」
そう天使は涙目になって言う。正確にはこの空間では外の10000倍の時の流れのためすぐには変化が出ないが幾らなんでもそんな世界で100日もいてもらっては困る、とても困る。挙句の果てに何もない空間だと告げているのに鉄棒を出したり腹筋用の機材を出したりと好き勝手しだす始末である。そんなことよりも特典を言え特典を!
「とはいってもなぁ~。俺色々頭の中では浮かんでるんだけれどそれら全てお願いするわけにはいかないし」
「大丈夫ですって、どんな願いでも問題ないですから(そもそも前の人がむ無茶な願いをしたからこの人をこの空間に呼び出すこととなったのですし)!」
天使は笑顔でそう答えた。
「何だったら先程から言っていた「特撮ヒーロー」になれる様にしますよ?ほらよくあるじゃないですか!仮面ライダーとかになれますよ!」
こうなったらモノで釣るしかないと考えた天使はその彼が生前好きだったモノを上げていく。
誰しもがヒーローになりたい、憧れの存在になりたいという願望がある。そして目の前の彼の願望がその「ヒーロー」達だった。それを今までの言動と天使の持つ能力で理解し彼を誘導しようとする。
――――――しかし・・・・・・
「いや、なろうとは思わないよ」
予想外のセリフに天使は思わず固まってしまった。
「・・・・・・・・え?ど、どうして!?」
まさか断られるとは思わなかった天使は彼に聞き返してしまった。すると彼は笑顔でこう告げた。
「確かにヒーローが好きだ、特にライダーはどの世代も好きだし何度も見て憧れた存在だよ。けどさそれになってはいけないんだよ。あそこにいたヒーロー達は力を望んでなかった。彼らはなってしまったんだ、時には恋人から化物として拒絶され救ったハズの人からも拒絶され永遠に近い命を無理やり与えられて、人としての全てを失った。それでも彼らは戦った、守りたい者のために大事な人たちのために。それを見て俺はライダーになりたいとは思わない。なっちゃいけないんだ。それは彼らの決意を侮辱することとなるから彼らの想いを踏みにじることとなるから、だから俺は英雄(ヒーロー)にはならない」
そう告げた彼は瞳を閉じて思い出す。画面の向こうで憧れた彼等の姿を・・・・誰ひとり戦いを望んでいなかった彼らは強制的に力を与えられたモノが殆どだ。だが、その力に酔い自身のために振るったものはいない。
「だから、俺は英雄(ヒーロー)にならない。・・・・・・・・・でもそうなると欲しい物がなくてさ、ずっと悩み続けてしまうんだよ。ホントに君には悪いとは思ってる、ごめんね」
彼はそう言って天使に頭を下げた。そこには媚びを売る思いもなく時間を引き伸ばそうとする悪気も感じない、心の底からの謝罪だった。
「・・・・・・・・・・・・」
天使はそれを聞き何とも言えない衝撃を受けた。
彼が今まで見てきた人間は自身の欲に忠実で傲慢な性格のモノたちばかりだったからだ。
一人は自身の強欲に生き、願いは「全てを手に入れたい」だった。
一人は怒りのままに生き、願いは「全てを壊したい」だった。
一人は嫉妬に狂い生き、願いは「全てを奪いたい」だった。
一人は情欲に溺れて生き、願いは「全てに愛されたい」だった。
一人は暴食に飢え生き、願いは「全てを食い尽くしたい」だった。
一人は堕落の極みとして生き、願いは「全て怠惰に得たい」だった。
そして最後の一人は傲慢に生きた、その願いは「全てを救いたい」だった。
どんな願いも行き過ぎれば善悪関係なく人々を破滅へと導いていった。彼らは自信が憧れた存在になろうとして最終的にその人物とはかけ離れた存在と成り果てていた。
最後の人物も最終的に救ったハズの人物に殺され一生を終えた。
そんな彼等を見てきた天使は人間という存在に侮蔑とも言える感情を向けていた。どうせその願いで自身すらも滅ぼす「神同様無価値な存在」だと。
しかし、目の前の魂は違った。何が違う?時が経てば奴らと同じようになるのでは?それは分からない、しかし天使は直感でそう感じたのだ。
「・・・・・・・・・・ではこうしましょう」
天使の落ち着いた声に彼は顔を向ける、先ほどまでの慌てふためていた存在ではなく最初に出会った時のような凛々しくも美しい天使の表情に思わず彼も姿勢を正した。
「本当に今は時間がありません、故に貴方の知識から最も優れた力を選びそれを3つ貴方に宿します。否定もさせません、拒絶も受け入れません。貴方にとって何程思い入れがあろうとも私にはどうでもいいのです」
そう告げた天使は彼の魂に腕を突き刺した。それと同時に痛みが走る、自分の魂を書き換えられていくような感覚に肉体もないのに吐き気を覚えた。次に身体中が熱くなりだす、心の奥底から力が湧き出してくるような感触に立っていられなくなった。
「がぁッ・・・・・・・・・・・な、なにを・・・・・・・・・・・・・」
彼は自身に腕を突き刺したままの天使を見て言う。
その天使は一切の表情を変えず用が済んだとばかりに腕を引き抜き魂から距離を取る。
「貴方がこれから行く世界は戦いの世界、神々と竜という幻想の存在が実在する世界です。故に貴方には戦い生き残っていけるだけの力が無くてはならない。恨んでくださって構いません、寧ろ貴方の想いを踏みにじった私を憎んでください。私は貴方が向かう道を見守り続けます」
一方的な言葉を残し魔法陣のような陣を組み上げその上に倒れこんだ魂はその場から消え去った。
それを見届け天使は誰にも聞こえない程の声で小さく呟いた。
「本当に貴方が「力」に溺れず想いを貫いていけるか、見させてもらいますよ。――――、いえ・・・・・・・兵藤一誠さん」
そうして十二枚の羽を持つ天使、大天使長ルシフェルはその空間から姿を消した。
かくして物語の礎となる序章はこうして幕を下ろした。
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それから数百年後、大天使ルシフェルは仕えていた神を殺し神の座につき魔神ルシファーとして一大勢力を築き上げるがそれは別の話。この物語では語られない彼女だけの物語である。