ハイスクールD×D~『光』と『王の石』を持つネオ戦士~ 作:ライダー好き(全部)
諸事情により小説が進まず今になって漸く書きあがった次第でございます。
詳細はあとがきにて。
今回の見所・・・・レイナーレさん大活躍?
廃教会の地下で戦闘が始まるその頃、レイナーレは只管に翼を羽ばたかせ逃げ出していた。
冗談ではない、あんな化け物と戦えるわけが無い!
味方を囮にしてなんとか命からがら脱出したレイナーレは無事に逃げ出せたという安堵感により徐々に冷静さを取り戻していった。同時にもうどこにも居場所が無くなってしまったという事実に気づき蒼白してしまう。
元々アーシアの件で後ろ暗いことをやり、上層部の方々に一切の報告をしていなかった。その結果が悪魔領での事件である。廃教会の件で確実に悪魔達からの批判が出る。その結果ダルマ式に今までの誤魔化しがバレ最悪処分されてしまうだろう。
(折角ここまで慎重に行動していたのに、それもこれも・・・・・・・・・・・くぅッ!)
恨みがましい感情がレイナーレの心を蝕むがその怒りの矛先が一誠に向けることは無かった。どうやっても太刀打ちどころか傷一つ付けられることすら適わない。
その歪んだ感情が徐々に彼女の周囲の人物へと向いていく。
「そもそもフリードが暴れまわったのがいけなかったのよ!こっちは慎重に動いているって説明したのに多少力があるってだけで調子に乗って、その結果アーシアに逃げられてしまったわ!アーシアも、私に神器を渡すだけの存在なのに、・・・・・・・・・でもアーシアは一体どこに?」
罵倒を吐き続け、冷静になった思考がアーシアの居場所について考える。
この町に来て彼女が頼れる存在は皆無だろう、それにここ駒王町では日本語以外の言語を話せるものは極めて少ない。英語などを学習していても実践できるものは余り居ないというのが現状だ。
会話できるのはここいらを支配している悪魔だけだろう。
そこまで思考したとき、レイナーレは疑問に思った。
何故悪魔達は動いていないのか?
先ほどの戦闘が始まったのは数十分前程度だ。それだけの時間があれば悪魔達があの廃教会に集結してもおかしくはない。
なのに何故襲ってこない?
そこまで考えたレイナーレはある答えにたどり着いた。
「アーシア達は悪魔達に拘束、若しくは殺害されたのでは」ということである。
元々フリードは悪魔を殺すことに執着している男だった。
もしその男の前に契約を交わした悪魔が現れたら、そしてその戦いの際に殺害されたのならば・・・・・・これならばあのフリードが未だに見つからないのもアーシアが消えたのも説明がつく。
つまり悪魔達も何らかの方法でアーシアの神器の情報を得たのだ。そしてそれを利用するために彼女を誘拐した。
そうなるとあの化け物がこちらに襲撃しかけてきたのも納得できる。(どうやってあの化け物を従えているのか分からないが)これならばあの目ざとい悪魔達が行動を起こさない理由も証明できる。
そう考えたレイナーレはギリッと奥歯を噛み締め口端から血を流しながら憤怒する。
「あの蝙蝠共!よくも私のものをッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・だけれど今の私ではアレには勝てない」
アレ、AGITΩの姿を思い出し身震いを起こす。
あんなものに楯突こうなどとは思えない。あれは規格外だ、あれと戦うのならば悪魔達に特攻をかます方がマシである。
「・・・・・・・いや、手はあるわ」
レイナーレは懐に仕舞われている十字架を取り出す。
これを使用すればあの悪魔達を殲滅してアーシアを奪還できるだろう。ようはあの化け物に接触する前に動けばいいのだ。
絶望の状況に一塁の光が差し込んだような気がした。
リアス達は勿論、廃教会での戦闘を察知していた。少々距離が開いていることもあってリアス自身が反応できるのに時間が掛かったものの予め付近に使い魔を放っていたことが功を奏し反応が早かった。
しかしそれ以上に行動を起こせないでいたのだ。それは何故か?アーシアである。彼女を一人残したことで彼女が襲われることを考慮した。同時に彼女の中で一誠への疑惑がほぼ確定へと変わっていたのだ。
あの後リアスの使い魔ですら追える事が出来なかった速度で振り切られ辿り着いたときには既に戦闘が始まっていた。近くに一誠の乗っていたバイクなどは見つからなかったもののあの『光』の反応が廃教会の地下から感じられたのだ。
そのため一誠=『光』の戦士という構図が彼女の中で確定しつつあった。
しかし、そのためにその考えを眷属・・・部員達に知らせることは出来なかった。
朱乃や祐斗は特にだ。彼らは過去にあの『光』に救われたことがある。もし今彼らにその事実を伝えてしまえば持ち場を離れあの教会へと向かってしまうかもしれない。
そうなれば悪魔と堕天使の戦争が再発する恐れがある、現魔王の妹としてそれは絶対に避けなければならないのだ。
そんなとき、学園内に堕天使の反応が現れたのだ。
「ッ!皆、堕天使が現れたわ。迎撃の準備に移って!」
「「「はい!」」」
リアスの指示により3人はすぐさま武器などを持ち装備を整える。
その間にリアスは侵入してきた堕天使の数を確認して、一瞬固まってしまった。
なんせ相手はたった一人なのだ。しかも上級などではなく良くて中級堕天使1体のみ。
この戦力でどうやってリアス達と戦おうというのか、そこまで考えて舐められていると判断したリアスは怒りを覚えた。
しかし、その怒りをあの堕天使に当たっているだけの時間はない。さっさと処分して一誠の帰還を待たなくてはいけない。
このときまではそう考えていた・・・・・・・・。
「あら、何しに来たのかしら堕天使さん」
学園内に入ったレイナーレの前にリアス達が立ち憚る。舌打ちを打ちながらも戦闘態勢に入る。
「・・・・・・・アーシアはどこ?」
リアスの言葉には何も返さずただ視界をキョロキョロと動かしている。その目は血走っており悪鬼のような表情をしていた。
「・・・・・誰のことだか知らないけれど私の領地で好き勝手やってくれたわね?貴女には色々と聞かなくてはいけないことがあるの。だから軽く捻ってあげる・・・・足掻きなさい!」
その一言で小猫、祐斗が動いた。それを認識したレイナーレは光の槍を構成して投影するがそれらを軽く捌かれ魔剣の一閃が降り注ぐ。それを光の槍で防ぎなんとか避けるも拳を喰らってしまい吹き飛ばされてしまった。
咳き込みながら体制を立て直すレイナーレ。しかしその目の前には再び魔剣が振りかぶっており無意識に身体が動いてしまう。
レイナーレはその斬撃から逃れるために空中に逃げる。がその判断は間違っていた。ここには接近が2人に魔法を使用できる女王がいるのだ。少しでも情報があれば彼女の得意な魔法を看破することが出来ただろう。しかしレイナーレは無謀にも空高く飛び上がってしまった。
空中に上がった瞬間、上空から落雷がレイナーレに降り注ぐ。
「きゃぁああぁああぁっぁあッッ!!?」
不意打ちに対処できず落下するレイナーレ。その姿を見て朱乃は久々にご満悦らしく素敵な笑みを浮かべていた。満面の笑みだった。
「あらあら、一撃で堕ちるなんてだらしないですわね?」
「あまり苛めないで、これから色々と聞かなくてはいけないのよ。口も利けないくらい痛めつけては意味が無いわ」
校舎からゆっくりと近づいてくるリアスと朱乃。それを落下し倒れたレイナーレは痛みを堪えながらも確認してしまう。後退するにも祐斗と小猫が構えており立ち上がった瞬間に魔剣と拳が降りかかってくるだろう。多勢に無勢、分かりきっていたことだった。
万事休す、どうにもならない状況だった。
少しでも彼女に現状を理解する理性があればこの様に成らなかっただろう。
しかし、彼女にはこの状態を打開する術をもっていた。
懐にしまっていた一つの十字架、それを取り出し思いっきり握りつぶそうとする。
「ッ!祐斗、堕天使の腕を切り飛ばして!!」
その行動を見ていたリアスはすぐさま祐斗に指示を送る。
・・・・・・・・・・・しかし、彼女の指示は遅く祐斗が接近するよりも前に十字架は砕かれてしまった。
砕かれてしまったのだ、嘗て聖書の神が封印した闇の破片が。そしてそれはレイナーレの肉体を包み込み、一瞬にして変化が起きた。
レイナーレの身体が激しく発光したと思うと同時にその場所から姿を消した。
「ッ!?どこにい・・・・・・・・・・ッ!!」
姿を消したレイナーレにリアス達は警戒する。
そしてレイナーレの姿は直ぐに見つかった。その容姿は先ほどまでとは違っていた。
いや違っているというどころではない、変貌してしまっていた。
皮膚は肌色から黒く染まり爬虫類のような光沢を放っている。女性的な特徴を残しているもののその瞳孔はヒトのものではなく正に蛇に似ていた。
そして最も大きな違いは彼女に宿っている力である。
リアス達は彼女を目視した瞬間、自身が死ぬヴィジョンを見てしまったのだ。
どう足掻いても勝てない。
先ほどまでの余裕さはなくなり奥歯を噛み締め恐怖に震えるのを抑える。
これほどの恐怖はあの『光』と相対したときと似ていた。
しかし力の方向は全く別である。例えるのならば『闇』、リアス自身が引いているバアルよりも深く暗い暗闇なのだ。
レイナーレの視線が一度リアス達を捕らえた。
それと同時に一瞬でリアスの目の前に接近した。
「なっ!」
咄嗟に防御の体制をとる、だがそんなことお構いなしというようにいつの間にか出現していた槍の柄によって吹き飛ばされた。
唯の腕力で彼女は数十メートルも吹き飛ばされてしまう。
「部長!」
祐斗は吹き飛ばされたリアスを庇うようにレイナーレの前に立ち剣を構える。
その合間に朱乃と小猫がリアスの元へと駆ける。
祐斗は剣を構え振るおうとするもレイナーレから発せられるオーラに気おされていた。
「・・・・・・・・ッ!」
意を決して切りかかる、しかしそれ以上の速度で槍の攻撃が襲い掛かってくる。それを間一髪で避け懐に飛び込む。そしてその胴に一閃を振るった。
「ッ!?そんなッ・・・!」
しかしその一閃もレイナーレの皮膚を切り裂くことすら出来なかった。それどころか刃が欠けてしまった。その動揺が隙を生んでしまった。
「ッ?!」
首を掴まれ思い切り地面に叩きつけられる祐斗。咳き込み行動できない状況に追い込まれる。
「先輩ッ?!」
仲間の危機に小猫も加勢しようと突撃する。
「だめよ、小猫ッ!!」
吹き飛ばされたリアスは朱乃達によって立ち直すも突撃した小猫を止めようとする。
しかし小猫は指示を聞かずに助けに向かった。
「フッ!!」
恐怖を飲み込み祐斗の首を絞めているレイナーレを奇襲する。だが・・・・・
「そんなッ・・・」
振りかぶった拳は片手で止められた、簡単に止められてしまったのだ。
そして視線を小猫に向ける。
ゾクッ・・・・・
ただ見られただけで体中が硬直してしまった。先ほどまでの勇気も一瞬にして打ち崩されたのだ。
「あ、あぁぁ・・・」
力が一気に抜けていき足が震える。そんな小猫の拳を掴んだまま二人を思いっきり振り回した。
そして投げ飛ばされてしまう。地面に叩きつけられ二人は意識を失ってしまった。祐斗は首の骨を折られ小猫は腹部から血を流している。
「祐斗!小猫!!」
リアスは我慢ならずに二人に向かって駆け寄る。それを援護するように朱乃が魔法を行使した。
しかしそんな攻撃もレイナーレは何事も無かったかのようにリアスの元へと向かっていく。
「これも効かないなんて・・・・・・リアスその場から離れて!!」
朱乃もリアス達に駆け寄り退散しようとする。
だが・・・・・・・それよりも早くレイナーレが行動を起こした。
「あぐぅッ!!」
いつの間にかレイナーレは朱乃の背後に回っておりそして槍の一突きで腹部を傷つけられてしまった。
「朱乃ぉぉッ!!」
ゆっくりと倒れていく朱乃の姿にリアスは叫んでしまう。
そして動かなくなった朱乃から次はリアスに視線を向けたのだ。
「ッぅぁ・・・・!」
先ほどまでの堕天使とは比べ物にならない覇気を一身に受け声を詰まらせる。
リアスの心情など知らないレイナーレはゆっくりとリアスににじり寄っていく。
このまま殺されてしまう、そう確信したとき・・・・・・
「み、皆さん!大丈夫ですか!?」
この場に最も来てはいけない人物が登場してしまう、アーシア・アルジェントであった。
来ちゃ駄目!とリアスは声を荒げようとするもそれよりも早くレイナーレが吼えた。
「・・・・アーシア・・・・・・・アァシアァァァァァァァァァァAAAaaaaaaaaッッ!!!!」
叫びは徐々に獣の咆哮へと変わっていく。
それと同時にレイナーレの肉体が激しく変貌していった。
骨格そのものが人のものを著しく逸脱し蛇のような顔へと変化する。それと同時に肉体が半人から完全に化け物の肉体へと変貌していた。
「Syuuuuuuuuuuuuuuu!!」
再び動き出したバケモノは迷うことなくアーシアへと向かっていく。
そして怯えて動けなくなってしまったアーシアの目の前にまで立ち何処からともなく鋭い鋭利な槍を彼女へと向けた。
「―――ぁ」
リアスは叫ぼうとするも声が出せず、アーシアも脳裏に浮かぶ自身の死のイメージによりどうすることも出来ずにいた。
そんな二人を無視してバケモノは槍を・・・・・・・・・・
「ハァァァァァァァァァッ!!」
突き刺さす瞬間、その間に蒼い一本の槍が遮るかのように出現する。その一撃により逸らされ地面に深々と突き刺さっていた。
更に、
「ハァッ!」
その妨害した何かがバケモノを蹴り上げ一気にアーシアから距離を開かせた。
それは『光』の戦士だった。しかし以前見たあの姿ではなく胸部は青く染まっており左肩から青と金の装飾へと変化していた。
「ッ!?」
止められ吹き飛ばされたバケモノが飛び上がる。
だが俯いたままだがくいっと顔をあげると同時に・・・・・・・・・
「AAAAAAAAAAAAAAAAGITOoooooooooooooooooooooooooooooooooooッ!!!!」
あらゆる悪意が咆哮と共に噴出した。
「ッ!?」
AGITΩ、一誠はその咆哮に思わず強張ってしまう。
今まで数々の化け物と戦ってきた一誠だったがこれ程までの底なしな悪意を一身に向けられることはなかった。
だがそれ以上に一誠を驚愕させてたのは・・・・・そのバケモノの存在である。
(何故ここにアンノウンが?)
アンノウン・・・それは原作:仮面ライダーAGITΩに登場する怪人達の総称であり正しくは「ロード怪人」と呼ばれている。その怪人は本来ライダーの世界の怪人なのだがそれがどうしてこの世界にそんざいしているのか。
(もしかしてこの世界はAGITΩの延長線に?・・・・・・・・そんなことよりも今は!!)
降ろしていた槍を再び構えなおしアンノウンへと突撃していく。
アンノウンも槍を構え振りかぶるもその一撃はAGITΩによって軽々と避けられてしまった。
AGITΩのフォームの一つ、「ストームフォーム」。これは純粋にスピード特化のフォームでありその超速度からの槍の一閃で敵を切り裂くという戦い方をする。
今回もその超速度を生かした一閃を与える。
「ハァァッ!!」
「Gurururu!」
だがアンノウンもその速度に反応し数秒遅れながら迎撃した。防がれたのを確認するや否や一気に距離を空けようと飛ぶ。
「Huuuuu!!」
同時に槍を勢い良く突き刺そうとする。
「クッ?!」
倒れこむようにしてなんとか致命傷を避けるもその矛先がAGITΩのショルダーアーマーを削り取った。並の悪魔、堕天使の攻撃などを通さないAGITΩの装甲をいとも容易く傷つけたのである。
それほどまでに目の前の敵、アンノウンは力を保持しているということを示していた。
一気に決めていくしかない、焦りを覚えながらもAGITΩは手に持っている槍を回転させる。
ブンッ・・・ブンッ・・・
それは徐々に激しくなり小規模な竜巻を起こす。アンノウンもそれを妨害しようとするも竜巻と同時に発生した風の結界により閉じ込められ身動きが取れない状態だった。
そしてその竜巻はAGITΩの持つ槍、ストームハルバートに纏わりつく。
「はぁぁぁあッ!!」
そしてそのストームハルバートによってアンノウンを切り裂いた。
ストームフォームの必殺技、「ハルバートスピン」だ。
これによりアンノウンから血しぶきを上げ吹き飛ばされる。これによりアンノウンは爆発するのだが・・・・・・
「Guuuuuuu!?Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
頭部上空に『光』の輪が発生したがそれは直ぐに消滅したのだ。
「馬鹿なッ!?」
AGITΩは驚愕する。あの一撃には自身の持つ全ての『光』の力を注ぎだした攻撃なのだ。
そしてそれを相手の身体に注入し内部から破壊するという方法で相手を倒す。
この際に相手にその注入した『光』以上の力を保有しているとその『光』がかき消されてしまうという難点が存在するのだ。
現に目の前のアンノウンはAGITΩが与えた『光』を制御してしまった。
現時点でAGITΩがあのアンノウンに勝利する可能性はゼロであるということを示している。
「ッ、ならばッ!!」
槍が空中で『光』の粒となって消滅すると同時にベルトから赤い剣を引き抜いた。するとAGITΩの装甲が青から赤に変わる。
AGITΩのもう一つのフォーム、「フレイムフォーム」
剣を振ると同時に刀身から炎が吹き上げた。フレイムセイバーを構えるのと同時に接近する。
アンノウンも駆け出し槍で突き刺そうとする、がその突きを難なく避ける。
フレイムフォームの能力・・・それは「超越感覚の赤」と呼ばれる視覚聴覚が極限まで研ぎ澄まされている。
ストームフォームと比べスピードは遥かに劣るがそれを補う腕力を持つ。
そのためスピードでアンノウンに劣ろうとも・・・・
「シィッ!」
懐に飛び込めは何とでもなる。素早い代わりにアンノウンは挙動が激しくその分隙が多い。
その隙をつき、切り上げる。力任せの一閃は確実にアンノウンの肉を引き裂いた。
それにより肉体から血ではなく『光』の粒子を噴出してよろける。そこに透かさず両腕での振り下ろしを放った。
咄嗟に槍を持つ腕で防ぐもその腕ごと槍を切り捨てた。
「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!?」
切り裂かれた腕を押さえながら転がり悶える。
直ぐに立ち上がろうとするも受けたダメージが蓄積されていたのか思うように立てない。
好機と見たAGITΩはフレイムセイバーに『光』を込める。すると刀身から噴出す炎が更に激しくなりそれでいて神聖な気配を放っていた。そのフレイムセイバーを・・・・・・
「はぁぁぁぁぁッ!」
まるで抜刀術のように引き抜きアンノウンの肉体を切り裂いていく。
フレイムフォームの必殺技、「セイバースラッシュ」。これに胴体から下半身を切り捨てたことでアンノウンの肉体がズレていく。
同時に『光』の輪も再び出現した。
それを振り返り確認したAGITΩはフレイムセイバーを消し元の金色の鎧に戻っていく。
勝敗は決した・・・・・・・・・・・・・・・・・かに思われた。
「?」
だが一向に『光』による爆発もアンノウンの悲鳴も聞こえてこないのだ。
疑問に思い構えをとろうとした次の瞬間、――
「GaaRuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!」
蛇からトカゲ、いやまるで竜人のような姿に変貌したアンノウンが炎の中から飛び出し襲い掛かってきたのだ。
そしてその爪により胴を切り裂かれた。
「ぐぁッ!?」
激しい衝撃により後方に吹き飛ばされるAGITΩ、それに追い討ちをかけるようにアンノウンは接近し転がっているAGITΩの腹部を蹴り飛ばす。
そして一度地面を思いっきり踏みAGITΩが蹴飛ばされた方向へと飛び、転がってきたAGITΩを再び蹴り飛ばした。
「ガァッ?!!」
受身も取れずモロに受けたAGITΩは肺の空気が全て吐き出され呼吸もままならない状態だった。
「兵藤君!」
この状況に先ほどまで唯呆然と観戦していたリアスが思わず叫んでしまった。
あの『光』を使用する少年が一気に不利な状況においこまれてしまったのだ、悲鳴も上げたくなる。
更に言えばこの状況で唯一あのレイナーレだったモノに対抗できる存在なのだ。彼女は徐々に絶望していく。
このまま私達は殺されてしまうのかと・・・・・・。
「・・・・一誠さん?」
リアスの言葉を耳にしたアーシアは目を疑った。目の前で倒れている『光』の戦士、まるで天使様のように神々しい存在が自身の知っている兵藤一誠だということに。
そしてその知り合いが今目の前で朽ち果てようとしていることに・・・・・・・・・・・・・。
こんな私に優しくしてくれた彼が、気遣ってくれた彼が、私を守ってくれた彼が・・・・・しんでしまう。
そう思った瞬間、震える足で彼女は一誠の元へと歩みだした。後ろから静止するよう求められたが構わずに彼女は一誠の元へと歩き出した。
「Guraaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
咆哮を上げ自身の胸元を思いっきり掻き毟ろうとするアンノウン、その瞳は淀んでいて最早何が敵で何をすれば良いのか理性が無くなっていた。その隙にAGITΩは転がりながらもアンノウンから距離を取る。
蹴り飛ばされ大ダメージを負いながらAGITΩは立ち上がった。
足元がふらつくも構えを取り息を整える。
今はこの場で倒れてはいけない、このままアノ深い『闇』を放ってはおけないそう確信したのだ。
AGITΩだからこそ目の前の『闇』を理解することができた。その『闇』の根源は「怒り、恨み、妬み、悲しみ、痛み、渇望、羨望、諦観、恐怖、憎しみ」その様々な負の感情がアレを強くしていった。
最初は自身を傷つける悪魔達に憎しみや恐怖などを・・・・・・
自身の手元から離れたアーシアに怒りや恨みを・・・・・・・・・
そして最後に現れたAGITΩに対しその圧倒的なまでの力に諦観や渇望、羨望に妬みを・・・・・・・
憎い、憎い、憎い、にくい、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
その負の感情があのアンノウンを進化させアンノウンの上位にある存在にまで昇華させたのだと。
AGITΩは漠然ながら感じ取り理解した。
そして気おされてしまったのだ。目の前の存在に、恐れを抱いてしまったのだ。
(勝てるのか?)
そんな感情を抱かせる程にアンノウンの暗く深い『闇』を宿していた。
アンノウンの眼光がAGITΩを貫く、来るかと防御の構えを取るもその上から思いっきり殴りかかってきた。
ミシミシッ・・・。
腕が軋む音が聞こえる、そして後からくる熱のような痛みでガードが崩されてしまうも何とか踏みとどまった。
返しに拳を振るいかぶるも簡単に捌かれ裏拳で吹き飛ばされてしまった。
「がほ、げほッ!!」
今の力では太刀打ちできない!焦りが思考を鈍らせていく。再びフレイムフォームになろうとするもアンノウンの追撃がそれを許さなかった。首を片手で締め上げられそのままフルスイングで吹き飛ばされてしまった。そしてそのまま壁を破壊して奥へと投げ飛ばされる。
そこでAGITΩの意識が途切れてしまった・・・・・・・・・・。
いや、途切れようとしていたのだ。だが鈍った視界には驚愕の光景が広がっている。
アーシアがあのアンノウンの目の前に立ち吹き飛ばされた俺を庇うように立ち塞がっているのだ。
何をしている?やめろ、君では勝てない!
声に出そうにも先ほどの首絞めで喉を潰されてしまったのか声が出ない。その代わりに吐き気に似た気だるさだけが残っていた。
再びアーシアに視線を向けるとあのアンノウンは目の前に立つアーシアの首を絞め上げようと手を伸ばしていた。
その腕を避けるでもなく震えながら立ち尽くすアーシア。
やめろ・・・
(またなのか?)
やめろ・・・・・・!
(また守れないのか?俺の決意はそんな安っぽいものだったのか?)
やめろ・・・・・・・・・・・・・・!!
(目の前の震えながらも気丈に振舞う少女一人、真面に守れないのか?!)
まるで時が止まったかのようにアンノウンの手がゆっくりとアーシアの首に掛かっていく。
(・・・・・違うだろ!)
拳を強く握り立ち上がる。
先ほどまでの疲労と痛みが嘘のように軽やかに立ち上がれた。
(もう同じ過ちは繰り返さない、たとえ敵わなくても!勝ち目が無い戦いでも!目の前に苦しんでいる誰かを守りたい、あの優しく暖かい笑みを浮かべる少女を守りたい!!)
「ヤァメロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!」
AGITΩの咆哮と共にその拳はアンノウンの頬に食い込みそして吹き飛ばされていく。
(もう、諦めはしない!たとえ無謀だと言われようとも俺は最後まで戦い抜く!)
「・・・・・・・・・・・それが、『仮面ライダー』だ!!」
AGITΩ・・・・・一誠の決意にも似た叫びに答えるかのように彼のベルトが輝きだす。
その『光』は今までのような神聖さだけではなくまるで『太陽』のような暖かさを秘めていた。
傷は瞬く間に癒え、先ほどまでの弱弱しい『光』ではなくまるで王の威厳のような神々しい『光』。
そしてそれに共鳴するかのように胸部も輝きを放っていた。
奥には美しい宝石のようなモノがうっすらと見える。
AGITΩは進化したのだ。自身を使いこなす者の意志に共鳴しただ力を求めるのではなく真に誰かを守り暖かく包み込むような『光』へと・・・・・。
「・・・・・・一誠・・・さん?」
腰が抜けたのかすわりこむように倒れたアーシアをAGITΩは支える。
そして彼女が呟いた言葉に返すように優しく語りかけた。
「今の俺は・・・・・・・・一誠なんかじゃないさ。今の俺は・・・・・『仮面ライダー』だ」
「仮面・・・・ライダー」
単語を覚えるように口で小さく呟いたアーシア。
そんなアーシアを優しく地面に座らせAGITΩはアンノウンと三度対峙する。
シュッ!
AGITΩの角が展開される。
そしてそのままアンノウンに駆け出し拳を振るう。
体制を立て直したアンノウンも遅れて拳を振るい・・・・・・
バァンッ!!
爆発音のような音を上げてぶつかる拳、そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アンノウンの腕が威力に耐え切れずに裂けてしまった。
「ッ!?!」
痛みよりも先に驚愕したように目を見開くアンノウン、そんなものお構いなしというようにAGITΩはもう片手でアンノウンの腹部に拳を放った。
「ハァァッ!」
今までで一番重い一撃を受けたアンノウンは軽く浮かび上がってしまう。
「フゥァッ!!」
更に追い討ちをかけるように踵落としを繰り出す。
地面に叩きつけられ『光』の粒子を吐き出しながら悶えるアンノウン。それを無理やり起こし拳の連打をアンノウンに放つ。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!
一撃、また一撃・・・・そう放っていく拳には『光』が込められている。最初の『光』より強力な『光』を、その『光』よりも更に強力な『光』を次の拳に宿し殴りつける。だが今のAGITΩには消耗している様子は一切見られずそれどころか先ほどよりも一段と強さが増していっていたのだ。
「オラァァァァァァァァッ!!」
そして最後の拳によって再び吹き飛ばされてしまったアンノウン、既に死にたいで立ち上がることすら困難な状態だった。
そして最大のチャンスにAGITΩは持てる全ての『光』を足元に集中させた。
スゥ・・・・
両腕を広げ呼吸を整える。それと同時に紋様が浮かび構えを取ると同時に片足に吸収されていった。
「ハァァァァァァッ」
深く息を吐き出しながら意識を集中させる。
そして空高く飛び上がりそのままアンノウン目掛けて蹴りを放つ。
「ハァァァァァァァァァァァァァッッ!!!」
さながら一本の槍のようによろけながら立ち上がったアンノウンの胸に突き刺さった。
そしてその勢いのままアンノウンの後方で着地する。
その後アンノウンに3度目の『光』の輪が構成された。
しかしその『光』の輪は消されることはなくしっかりと浮かび上がっている。
AGITΩのライダーキックにより注入された『光』がアンノウンの許容範囲を大きく超えたのだ。
そして内部から破壊されアンノウンは悲鳴をあげながら『光』の粒子となって消滅してしまう。
「Keyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
天に両腕を伸ばすもその腕すら粒子となり消えていき・・・・・・・最後には何も残らなかった。
それを確認し、今度こそこの戦いが終わったのだとAGITΩは認識した。
そしてAGITΩは座り込んでしまったアーシアの元に歩み寄り彼女を立ち上がらせる。
そんなAGITΩにアーシアは礼を言いながらも不安そうに、確信を持てなさそうにAGITΩを見つめる。
「あの・・・・・・・・一誠さんですよね?」
そう尋ねたがAGITΩは何も返さなかった。
しかしその鎧のような仮面の奥で苦笑している、そう直感めいた確信があった。
そして、AGITΩを中心に『光』が広がっていく。それはアーシアを、地面で気絶しているオカルト部員を、未だに理解しきれていないリアスをも飲み込み広がっていった。
だが、その『光』は先ほどのような神聖で力強いものではなく穏やかで優しい癒しの『光』だった。
(すごく・・・・・・・・・・・・暖かい)
その『光』に飲み込まれ身を委ねながらアーシアは瞳を閉じる。
「・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」
目覚めるとそこはオカルト部の部室に居てアーシアはソファーで眠っていた。
状況を確認しようと起き上がると彼女の周りにはオカルト部の部員達が同じく眠っていたのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢、だったでしょうか?」
自身が先ほどまで見ていた光景を思い出しながら呟く。
そんなわけがない、あのような鋭い殺気を今まで受けたことがなかった。
それに、あの○○○○○様の変わりきった姿を・・・・・・・・。
「あ、アレ?」
思い出そうとして思考が止まる。あの時一体何に恐怖したのか思い出せなかったのだ。
いやそもそも、本当にアレは現実に起こったことなのか?
周りを見ても気絶していた三人に傷一つなく衣服すら汚れていないのだ。起き上がり窓の外を覗くがあの戦闘で崩壊してしまった校庭は元の平らな校庭に戻っているしあの壁の大穴も綺麗に消え去っている。
「本当に・・・・・・・・さっきのは夢だったの?」
困惑しながら必死に思い出そうとする。だが思い出そうと思考すればするほど昨日の事、誰に助けてもらったのかなどがさっぱり忘れてしまっていたのだ。ただ漠然と怖い思いをしたという感情が残るだけである。
「―――――一誠さん」
何気なしに一人の少年の名前を呟いた。
そうだ、何故か知らないが彼に色々と助けられたという記憶?がある。
これも思い込みなのかもしれないけれど少なくとも昨日私を堕天使達から引き離してくれたのは彼だ。これは間違いようがない。
ではこの後彼に礼を言わなければならないな。そう小さく決心しアーシアは回りで眠っている皆を起こし始めた。
おめでとう、レイナーレはアンノウン(上位)にワープ進化した!
(但しこの回で消滅する模様)
投稿遅れについて:
えー、これについてなのですが、・・・・・実は私現在就職活動のため真面にPCに向き合えず(向いたとしても説明会の予約や実験のまとめなど)モチベも無くなっており投稿が1月以上遅れてしまいました。
期待して待っていた皆様本当に申し訳ありません。
そしてこれからなのですが・・・・・未だに就活が終わらないため其方を優先したいと思いしばらく投稿を控えようと思います。(たまに現実逃避で短編をあげるかも)
なのでこの小説はこの回と次回(エピローグ)で一先ず投稿をストップしようと考えております。
就活が終わり無事就職先が決まり次第この小説を再開したいと思っております。(エタリたくない)そのときはまた読んで下されば幸いです。