ハイスクールD×D~『光』と『王の石』を持つネオ戦士~ 作:ライダー好き(全部)
いつになったら主人公は変身するのだろう・・・
その日は天気のいい日曜日だった。着替えを済ませ彼女の待つ公園に向かう一誠、一応程度だがデート用のルートも頭にいれているがそれが何程役に立つか。
そして一誠は彼女、天野夕麻の待つ公園にたどり着く。反対方向を見るとどうやら同時に辿り着いたらしい。時計を見ると予定時間よりも10分程度早かった。
「あ、一誠くん!」
「天野さん。おはよう」
手を振ってコチラに駆け寄る天野に一誠も近寄っていく。天野は笑みを浮かべ話しかけてくる。
「今日はゴメンネ?」
「いいよ、それでデートなんだけど・・・・実は俺あんまりこうやって女性と出かけるってことをしたことがないんだ。だから天野さんが行きたいところに俺も行こうかと思うんだど」
一誠は頬を描きながら言う。実際一誠は自身の特殊さ故に女性と共にいようと異性と共に過ごそうとしなかった。その結果今時には珍しくないあまり遊ばない男子、草食系となっていた。
そんなカミングアウトに一瞬呆けた天野だったが次第に笑みを浮かべてなら私がエスコートします。と胸を張って言った。
そんな仕草がどうも可愛らしく感じ一誠も笑みを浮かべながら宜しくと告げ共に歩き出す。
こうして2人のデートは静かに始まった。
・・・・
・・・
・・
・
「今日は本当に楽しかったねぇ?」
日が暮れようとする並木道を一誠と天野は歩く。手を繋いで歩くのでは無いがその姿はカップルそのものの後ろ姿だった。
「あぁ、そうだね」
軽く今日の出来事を思い出す。初めに映画を見に行き昼食を奢り、そして夕暮れまで軽いショッピングするだけの時間。本当に簡単な子供同士のデートだった。
後は彼女とのこれからの関係を決めるだけ、それだけである。
だが一誠はそれを口にすることはできなかった。それよりも前に天野から言葉をかけられた。
「ねぇ、今日の最後にお願いを言ってもいいかな?」
「・・・・・・・・・・なんだい?」
「死んでほしいの」
その瞬間彼女の背から黒い1対の翼が広がる。その光景に驚きもせずただ「やっぱりか」と悲しみの視線で呟いた。
「楽しかったわ、貴方との幼稚なデート。久しぶりに初々しい気持ちで楽しめた」
言葉ではそう言っているがその視線は明らかに侮蔑したような仕草だった。
「それじゃ、さようなら」
その人ごとと共に作り出された光の槍を一誠目掛けて投げ・・・・・・・
当たる瞬間に光となって消えていった。
「えッ!?」
天野は目の前の現象に驚愕する、自身の槍が自身の意志と関係なく崩れていったのだ。それは通常では有り得ない事だった。
「ならもう一度ッ!」
片腕を振り上げ再び光の槍を生み出し投げつける。しかしその一撃も光の粒子となって消滅してしまった。
「無駄だよ」
3度目の槍を作り出そうとする天野に一誠は語りかけた。
「俺に「光」を用いた攻撃は通用しないんだ。生まれつきね」
「生まれ・・・・・・・・・・・・貴方、自分の神器を!?」
何かを察した天野は直ぐ様飛び上がり振り向かずに飛び去ってしまった。
その後ろ姿をただ悲しげに見つめながら一誠は視線を地面に向ける。そこには先ほど買って天野に与えたハズのアクセサリーが無残にも壊れ二度と使用できない状態になっていた。
それを拾い上げ軽く目を閉じる。すると辺り一帯が静まり腕に持つアクセサリーが元の状態に戻っていた。
それを確認して一誠はその場を立ち去ろうとし・・・・
「待ちなさい」
後ろからかけられた声によって引き止められる。
振り向き確認すると紅い髪が特徴的な魅惑の女性、自身の通う高校の上級生リアス・グレモリーの姿があった。
「貴方、ここで何をしていたのかしら?」
目の前にいる男性を睨みながら女性、リアス・グレモリーは先ほどの反応を思い返す。最初は自身の任されている領土に堕天使の反応を感じこの付近に足を運んだのだがそれよりも遥かに強い光の反応に背筋が凍りつきその場で動けなくなった。仮にも上級悪魔である自分を震え上がらせる程の力がどうしてこの駒王町に?内心ではお供を連れてこなかったことを後悔しながらその力の波動が弱まっていくのを静かに待ち続けた。漸く自身が動けるようになると直ぐ様反応のあった場所に向かって走り出した。
そこには数枚の黒い羽と一人の少年が立っているだけだった。そしてその少年をリアスは知っていたのだ。
(彼は確か、2年の兵藤君よね?運動神経が良く中学では1年の時部活動での勧誘が凄かったって話を聞くけれど)
自身の知識の中の情報と照らし合わせていく。その間にも彼はその場に落ちていたアクセサリーを拾い上げた。そのアクセサリーは壊れておりもう身につけることは出来ないほどだった。しかし・・・
「なッ!?」
思わず出た声を止めるように口を抑える。辺り一帯が静まり返ったのと同時に彼が持っていたアクセサリーが治っていたのだ。
「(なにあれは、物質を治す能力なんて聞いたことないわ。もしかしてアレは神器の能力なのかしら?)待ちなさい」
その場からゆっくりと立ち去ろうとする一誠を呼び止める。正直先ほどの光の所為か未だに声が震えていたが何とか絞り出すことができた。
そして冒頭のセリフに繋がる。
睨みつけているリアスだが警戒をし続けるのを忘れない。そんなリアスを見て一誠は初めて言葉を漏らした。
「貴女は・・・・・・・・3年生のリアス・グレモリー先輩ですか?」
「ッ!・・・えぇ、私のことを知っていたのね兵藤君」
「結構有名ですから、同学年の姫島さんと一緒で」
苦笑いを浮かべる一誠はリアスに向き直った。その姿は自然体で追先ほどの感じた凄まじい反応なんて何もなかったかのように振舞っている。
「もう一度聞くわね、貴方ここで何をしていたの?」
「何ってほどでもないですよ。ただ付き合うかもしれなかった彼女に振られてしまって、いやぁ情けないですね」
そういって頭をかく一誠はどこまでも自然体だった。何もやましいことをしていないと言う風だった。しかしそれが逆にリアスには引っかかる要素であったのだ。
「なら質問を変えましょう、先ほどまで会っていた堕天使とは一体何があったのかしら?」
そう告げると一誠も笑みを消して落ち着いた様子で答えた。
「それを聞くってことは、グレモリー先輩もコッチのことを?」
コッチという単語でリアスは確信した。彼は自身と同じで裏を知る人物なのだと。
「えぇ、ソロモン72柱グレモリー家といえば分かるでしょう?というか長年この領土は私たち悪魔のものとしてなっていた筈だけど」
「すいません。俺それ以前からここにいるんで悪魔とかの事情にはあんまり詳しくないんですよ。それに精々はぐれ悪魔を狩ったりして資金稼ぎをする程度ですから」
そう告げる一誠にリアスは少しだけ納得した。
生まれつきこの街にいるのならば悪魔との関わりをあまり知らないのも頷ける。しかし裏に関わる者としては余りに情報が少なすぎないだろうか?
「それでどうしますか?出来れば後日ゆっくりと話をしたいと思うのですけど」
そう告げる一誠にリアスは暫し沈黙する。これなら自身の城とも言える部室で聞くほうがいいだろう。
そう決断したリアスはその言葉に頷き明日の放課後使いを出すとだけ言ってその場を後にした。
部室に戻ったところで漸く緊張が解れたのかリアスは部長用の椅子にもたれ掛かるようにして座り目を解すように揉む。
「どうしたのリアス」
綺麗な女性の声に呼ばれリアスはその人物を把握する。姫島朱乃、自身のクイーンにしてこのオカルト部の副部長だ。そして最も信頼する眷属でもある。
「大丈夫よ朱乃。少々疲れているだけ」
そう言葉にするがどうにも平気とは思えない姿に不安そうな表情をする朱乃。
「また実家から何か?」
思い当たる節があったため出来るだけ遠まわしに尋ねる。するとリアスは苦笑しながら首を振った。
「いいえ違うわ。ただ先ほど堕天使の反応があったから見に行っただけよ」
「リアス、また無茶をしようと・・・・」
「違うわよ、ちょっと確認しに行っただけ、別に刺激を与えてはいないわ」
優しげな表情から鋭い怒りの表情へと変わろうとする朱乃に手を振って否定する。
「その時、その堕天使よりも遥かに強い『光』を感じたのよ」
「遥かに強い?」
えぇと頷くリアスの顔色は青くなっていく。思い出すだけでこのザマだもし直面したら、更に対峙することとなったらと思うとゾッとする。
「その後どうなったの?」
「その『光』の力が完全に消え去ったのを確認してから現場に向かったわ。そこで兵藤君と会った」
「兵藤君?・・・・あぁ良く噂で聞く」
朱乃も何度か同級生の話を聞いたことがある、何でも兵藤君は運動神経万能で中学で既にプロのアスリート級の能力を持っていたとか、その割にはクラブや部活動に入らず宝の持ち腐れだとかそういう声や嘆きがよく聞こえている。運動が嫌いなのかと思えばそうではなくたまに助っ人として呼ばれた際は全試合で勝利するほどだった。勿論元女子高である駒王学園では男子の部活が少ないため目立った結果を残さなかったがその年のサッカー強豪校である高校との練習試合で10対0という戦績を出したことで有名だ。そして点を入れたのがその兵藤君一人の成績というのが更に噂に拍車をかけることとなる。
それ以降サッカー部から幾度と部活への勧誘があったが彼自身ボクシングをプロを目指していると言っていたため部活には入らず時々助っ人として入る程度で終わっている。
「そして去年の夏の大会で全国大会出場までいったのですよね?助っ人である兵藤君を交えて」
「えぇ、そんな彼があの場所に居た、若しかしたら堕天使との関わりがあるのかと思って話しかけたの。そしたら思っていたこととは違ったけれど裏のことも知っていたわ。それと・・・・・・恐らく、いいえ十中八九彼は神器使いよ、それも珍しい回復系の」
「・・・・・・まぁ」
「そして詳しい話をするために明日彼をここに呼ぶわ、その日の部活動は全て中止にするから皆にも伝えておいて」
言い終わるとリアスは椅子から立ち上がりシャワーを浴びる準備をする。朱乃にも視線を向けて軽く会釈を帰ってくるのを確認してシャワールームに入っていった。
熱いシャワーを浴びながら今日のことを考える。
(彼からはあの『光』の余波は感じられなかった。ということは本当に堕天使とは無関係なのかしら?楽観視し過ぎね。そんな偶然なんてある訳がない、少なくとも彼はあの『光』の力を持つ者と繋がりがある。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それにしても肉体を回復させる神器は聞いたことあるけれど物体を修復させる神器なんて存在したかしら?神滅器とはいかなくてもそれなりに名の知れた神器として有名になるはずだし。もし彼の持つ神器が有効なものなら私の眷属に迎え入れたい・・・・・・・・兵藤一誠、明日を楽しみにしてるわよ)
シャワーを浴びながらもリアスは自身でも知らない内に浅く笑みを浮かべていた。
補足としてこの場面でのリアスは一誠を堕天使の関係者または被害者だと思っている。
まぁ普通に考えたら堕天使以上の光の力を持つ人間なんていないからしょうがないわな。