ハイスクールD×D~『光』と『王の石』を持つネオ戦士~ 作:ライダー好き(全部)
しかもそこまでやって戦闘に持ち込めないとか・・・・・
その日の授業が全て終了し一誠は昨日出会った先輩、リアス・グレモリーの遣いが来るまで自身の席に座って待っていた。
「―――そろそろ来る頃合かな?」
時計を見ながら一誠は荷物を鞄に仕舞いだす。その後ろから松田と元浜が何時も通り話をかけてきた。
「おう、一誠!今日は元浜んちでエロDVD鑑賞するぞ!」
「なんと今ブレイク中のAV女優の無修正物だぜ!最高に気分が高まるだろう!?」
学び舎で発してはいけない単語を大声で連発しながら一誠の机に近寄る。
その光景は1年の頃からのもので一時期は一誠も交えてエロ猿共と呼ばれるようになった。一誠にとってはとんだトバッチリである。
「またあのエロ猿達が騒いでるよ」
「兵藤君、早くそのエロ猿を黙らせてよ」
「見てるだけで気分が悪くなってきた」
周りの女子からの侮蔑にも似た言葉に2人は怒り心頭というような表情で振り返る。
「うっせぇ!お前ら女にはこの至福の時が理解できないんだよ!?」
「ギャーギャー喚くと脳内で犯すぞコラァ!?」
最早犯行予告とも取れる暴言を吐き出す2人、実際に犯すと言えない辺りに自制が聞いていると思うべきか意気地がないと思うべきか。
少なくとも犯罪行為(18歳未満での18禁のDVD視聴はこの際置いておくとして)に走らなければ問題ないと思うことにした一誠。性格調整や校内での生活態度等を修正しようとしたがそれら全てが無駄に終わったので以降彼等の性癖などは無視することにしている。
そんな下ネタと罵倒が飛び交う教室に一人の生徒が入ってきた。
染めていない自然なブロンド髪に整った中性よりな顔立ち、学園の貴公子こと木場祐斗だった。
「こっちに兵藤君はいるかな?」
そう言って入ってきた瞬間先ほどまで口汚く罵倒していた女子たちから歓声と歓喜の悲鳴を上がる。
「えっと君がグレモリー先輩の遣いなのか?」
「うんそうだよ。それじゃあ行こうか」
そう言って木場は振り返り教室から出ようとする。一誠は誘ってきた松田達に断りの言葉を残し木場の後を追っていった。その直後教室内から爆発したような叫び声と言葉、そして再び罵倒の嵐が響き渡っていた。
「賑やかなクラスだね」
「あははッ・・・・・・・・・・ちょっと腐った人と変態がいてね」
一誠は自分の事でもないのに恥ずかしい気分になり木場を急かすように旧校舎へと案内されていった。その姿を他の女子に見られ腐った掛け算が行われてたのは別の話、それが学校内に広まり後に定番カップリングとなるのは全くの別の話である。
「ここが「オカルト部」だよ」
旧校舎内に入り木場の案内の元オカルト部にたどり着いた一誠。
そのまま案内され中に入ると2人の女性とが既にいた。
一人は腰まである黒髪を後ろで纏めた魅惑的な女性、2大お姉さまとして有名な人物姫島朱乃。そしてソファーで和菓子を食べているのは1年では有名な少女、塔城子猫だった。
「あぁ、小猫ちゃんか」
「どうも、兵藤先輩」
2人は視線があった瞬間に軽い挨拶をする。ちょっとした知り合いにあったような反応に木場が疑問に思った。
「あれ?二人共知り合いなのかい?」
「ん?あぁ。去年の学園祭で旧校舎の方へ向かおうとしていたからその時にね」
一誠はその時の出来事を思い出す。
去年の秋高校行事として行われる学園祭で一誠は委員会の仕事のため校内の案内をする係となっていた。普通の高校と比べ駒王学園はかなり広い高校で初見では何処に何があるのかがわからなくなってしまうということも珍しくないのだ。
ましてや十数年前ならともかく共学となった為に来年度の受験生などが見学に来るようになったために迷ってしまう人が増えてしまうことを考えこうした係が必要になった。校舎は他の生徒が担当していたため一誠は校庭などで迷っている受験生、保護者達の案内をする係として働いているとき旧校舎に向かおうとしていた小猫に出会ったのだ。
・・・
・・
・
「それから小猫ちゃんが駒王学園に入学してきてから顔を合わすたびに軽い会話をするようになったと」
「そんな感じですね」
話を最後まで聞いていた朱乃達はその話を聞いて納得する。確かに去年の学園祭でまだ入学していなかった子猫から「親切な人に案内してもらいました」と言ってパンフレットを見せてきたことがあった。それが一誠だったというのだからヒトがどこでどう繋がっているのか分からないものである。
「そうだったんですね。・・・・・あらいけない、そろそろリアスがシャワーから上がってくるわ」
突如朱乃が思い出したかのように立ち上がり窓際にある扉を開いてその奥へと入っていった。
「シャワー?ここにそんな施設を取り付けているのか?」
「うん、部長がね」
「・・・・・・・・・・・・・・旧校舎だといってもただの学生が校舎を改造していいのか?」
「・・・・・・・・・」
「あ、あははは・・・・」
一誠の一言に小猫は視線を逸らして和菓子を食べるという行為で黙秘し木場は苦笑いを浮かべてお茶を濁していた。どうやら多少やり過ぎていると思っているようだ。
そんな下らない会話を続けていると奥から髪をバスタオルで拭きながらあの特徴的な紅い髪の女性、リアス・グレモリーが部室に入ってきた。
「待たせてしまって済まなかったわ。兵藤君」
「いえ、大丈夫ですよ」
リアスは一誠の前の席につきその隣に朱乃が一誠の隣に子猫が座りその横の席に木場がつくという何時でも動ける事が出来るように配置していた。
そのことに一誠も気づいているがそのまま話を続けている。
「まずは自己紹介するわ、知ってるでしょうけれど祐斗から」
「はい、同じ2年の木場祐斗です。よろしくね一誠くん」
「・・・1年の塔城小猫」
「3年でオカルト部の副部長の姫島朱乃ですわ」
「そしてオカルト部の部長リアス・グレモリーよ、――――そして全員・・・・・」
4人は同時に背から蝙蝠の黒い禍々しい翼を広げ―――
「悪魔よ、歓迎するわ兵藤一誠くん」
意味ありげに笑みを浮かべ告げた。
その後一誠も自身の自己紹介を済ませて真剣な表情で話を切り出した。
「・・・・・それじゃ昨日のことでしたよね」
「えぇ。・・・・・・・・・単刀直入に言うわ、貴方はどこの勢力に所属しているの?」
勢力といえば裏の世界で最も重要なワードである。
現段階で天使を主体とし神の加護を持つ教会、四大魔王が率いる悪魔、そしてアザゼル他聖書の堕天使が組織しているグリゴリ、他にも北欧やアースガルドやオリュンポスと様々な勢力が存在するが基本的に前者に上げた3つのことを指す。
そのことを一誠はもちろん知っておりその質問に素直に答えた。
「俺はどこにも所属していませんよ。生まれてからずっとこの駒王町に住んでいますしそれに悪魔領と認識されるようになったのは数年前の頃からです」
一誠は嘗て隣に住んでいた神父とその娘であり幼馴染であった少女を思い出した。あの時彼らは急いでこの駒王町を出てイタリアへと飛んでいってしまった。
それからこの街でもはぐれ悪魔や堕天使といった存在が度々見られるようになったのだ。
「それじゃあ何故それ程の知識を持っているのかしら?確かに詳しくはないけれどそれでも一般人が知っていい内容ではないわね」
「俺がこの力を発現したとき襲いかかってきたはぐれ悪魔や堕天使から得た情報ですよ。流石に目の前に化物の体格をした悪魔と黒い翼を生やした堕天使を見てしまえば信じたくなくても信じます」
この話は嘘ではない。力を与えられるという話は聞いていたがどのような力なのか、どうやって発動するのか当時の一誠にはまるで理解できていなかったのだ。そんな時、不運にも一人で下校しているところをはぐれ悪魔に襲われてしまった。
喰われて死にたくない、生きたいという何よりも強い意思によって体の中にあった力の一つが覚醒しその『光』によってはぐれ悪魔を消滅させた。
一誠はその姿を見て前世で見ていた特撮のとあるヒーローの姿であるとそこで初めて理解したのだ。
「そう・・・・・・・・・・その神器を見せてもらってもいいかしら?若しかしたらどんな物か分かるかも知れない」
今までの話を聞きリアスは一誠に頼んだ。
この前見たのが神器の力出ないとしたら本来の力はどのようなものなのか興味を持ったからだ。それと同時に物を治す力も持つ「浄化の光」。敵にすれば厄介だが味方にするとなるとかなりの戦力となる。
しかし一誠は申し訳なさそうにその頼みを断った。
「すみません、俺はまだあの力を使いこなせていないんです。ここにいる皆さんは全員悪魔ですから下手したら『光』の余波で傷つくかもしれません」
「・・・・・・・・・・・・・・・それ程のものなの?」
リアスは口では訝しげに言うがこれが冗談などではないと内心確信していた。
昨日のあの『光』の力を知ってしまったのだ、若しかしたらという可能性も感じていたがまさかアレが一誠の神具の能力ならば、と冷や汗を流しながら驚愕していた。
そんなリアスの内心など知らぬ一誠はゆっくりと頷く。
「ですので出来れば神器の使用はここでは控えさせてもらおうかと。最悪もう少し広い場所でないと・・・・・」
「・・・・・・・仕方ないわね、そういう理由なら私達から無理に頼むことは出来ないわね。それはそれとして、兵藤君に聞いておきたいことがあるの」
「なんです?」
一泊の間を開けてリアスはチェスに使用する駒、兵士(ポーン)を机の上に乗せて言った。
「貴方、悪魔にならないかしら?」
そのとき一誠はリアスが事情を聴くためではなく自身を眷属にしようとするために呼んだということに漸く気づいた。
しかし一誠の持つ力は比喩無しに『光』である。下手をすれば自身の持つ力で自身を焼き尽くしかねない。そのため一誠はリアスの勧誘を断ることにした。
「すみませんが眷属にはなれません」
「あら、即答ね。もう少し悩んでもらってもいいのではなくて?」
軽く語るリアスだが内心ではその返事も納得してた。なぜなら彼女も一誠と同じ結論に至ったからだ。当初彼女が目をつけていたのは「治癒能力」を持つ一誠だからだ。もしあの『光』を持つ一誠では眷属に出来ないと確信しているそれ程にあの『光』の力は強大だったのだ、もし自身があの力と対峙することになったらモノの数秒で消滅させられただろうというネガティブな自信があった。
「ならせめて協力関係を築いていきましょう。私達としても貴方と敵対したいとは思わないし貴方としても悪魔が背後にいるっていう建前があれば他の組織からの干渉を抑えられるでしょう?」
「・・・・・・・そういう話ならコチラも断る理由はありません。けれどあまり手伝うことは出来ませんよ?こっちもあの力を完全に制御出来てないんで鍛えている最中ですので」
その言葉を聞きリアスは多少眉を顰めるが了承した。悪魔にとって驚異でしかない『光』を鍛えさせるのは如何なものかという思考よりもあの『光』と敵対しなくていいという安堵の方が大きかった。内心では複雑な思いをしながらもその日はお開きとなった。
出来れば部活動にも強力して欲しかったが悪魔ではない彼では魔法陣を通ることができないため一誠には定期的に部室に顔を出すという提案を呑ませることで軽い監視をすることにした。
「・・・・・悪魔、リアス・グレモリーか」
会談を終え旧校舎から抜け出した一誠はそのまま帰宅していった。
そして今回の主役にして彼等の主人である女性、リアスを思い返している。
リアスは必要以上に一誠を刺激してこなかった。それどころか多少ではあるが後押ししてくれるとまで言っていたのだ。正直どこまで信用していいのか分からないためその場は口約束程度で済ませている。
「(彼らと戦うということにはならないだろうけれど、俺の存在が悪魔に伝わってしまうか。それは仕方ないだろうがその結果上級悪魔が眷属にしようと襲いかかってくるかもしれない。若しくは存在そのものが彼らにとって毒でしかない俺を抹殺しようと動くか。どちらにしても今以上に俺を鍛えなくてはいけないな。アギトの力も充分に使いこなせていないんじゃいい的になってしまう。)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・明日からの訓練、3倍位にしていこうかッ!?」
今後の方針を決めたその時、一誠の中にある何かが危険を察した。
その場を飛び振り返る。そこには黒い羽を生やした男性が両手剣を道路に、先ほどまで一誠が居た位置に突き刺していた。
「ふん、どうやら危険察知は高いようだな」
「お前は・・・・・・・」
その両手剣を握り締めたまま男はニヤリと笑いながら近づく。
「レイナーレ様から話は聞いている、貴様は忌々しくも我らよりも強い『光』によって守られている。私の槍も通用しないだろう。だがな・・・・」
振り上げた両手剣の鋒を一誠の胴に向けて言う。
「流石にこの魔剣ならば貴様にも効果があるだろう。伝説級でないにしても世にも珍しい「光喰剣(ライトイーター)」、これで貴様を切り捨ててくれる!」
刃を横にして突き刺そうと男は突進する。それを一誠は寸でのところでしゃがむということで回避し男の懐に入る。腹部を晒している状態となっている堕天使に重い一撃を放った。
「ハァッ!」
「ぐぁッ?!」
人の力とは思えない衝撃が堕天使を襲う。その結果身体をよろけ次の行動に移れなかった。その隙を見逃さず一誠は回し蹴りで吹き飛ばす。
堕天使が持っていた魔剣は手放すことはしなかったがそれでも近くにある公園の遊具に深々と突き刺さってしまった。
「ぐぅッ、おのれぇ!」
人間にいいようにされているという事実に苛立ちを覚えた堕天使。この男にとって人間とは下等な生物でしかなかった。故にその下等な存在に苦戦しているというのが許し難かった。
「貴様はここで殺す!なんとしてもな!!」
力任せに遊具から剣を引き抜く。
一誠もその男に向き直り戦う構えを取った。
「どうしてお前が俺を殺そうとするのかそれは知らない、けれど俺は死んでやる訳にはいかない。死ぬわけにはいかないんだ」
一誠は腕を素早く伸ばしたと思うと一気に引っ込めた。まるで格闘技での構えのように見える。それと同時に一誠の腹部から強烈な光が放たれた。
「俺には守りたいものがある。家族や友人、そして皆の暮らすこの街を」
それは独特なベルトとなり真ん中の黄金のような円形の光が絶えず輝いていた。
「その為に俺はお前を殺す、この力でこの手を汚して。俺はお前を倒す!」
引っ込めた腕をゆっくりと伸ばしていく。その姿はどこか神聖で力強さを感じられた。
「変身ッ!」
高らかに叫び、ベルトの横に取り付けられているスイッチを押す。その瞬間、先ほどとは桁が違う程の強い『光』が一誠を包み込み人の姿から戦士の姿へと変化させていく。
光が止むとそこには既に兵藤一誠の姿はなかった。
そこには黄金の鎧に黒の四肢、何処か竜を思わせる仮面を被った『光』の戦士、
『AGITΩ』がそこにいた。