「ヴェルゴ!!」
気を失っているそれを家族と認識するまでにかかった時間は、どれくらいだろうか。
「ヴェルゴ……!!」
「んねーードフィ!!こんなことしたの誰!?誰!?」
「わからない……!!ヴェルゴが起きてから聞くしか……」
降りかかった雪に滲んだ冷たい血が、絆創膏の役割のようなものを果たしていたのか。
なんとか息があった。
「……ヴェルゴ」
「若……」
「ヴェルゴをここまでキズモノにした奴を……おれは絶対に許さない」
「……っ!!」
ドフラミンゴは、無意識に覇王色を放っていた。怒りだ。どこの誰とも知り得ない、誰かへの。
「絶対に……!!」
「……珀鉛病の少年かい」
「はい。でも伝染はしない。安心してくださいおつるさん」
「わかってるよ。……よく頑張った、ロシナンテ」
「……はい」
現在ローは軍医と共に、オペオペの実について事細かに調べている途中だ。余命のこともあって時間がないから、寝食以外は殆どそれに費やしている。
「……君が、オペオペの実を奪ったのかい」
そう、おつるに聞かれた。
「ああ。俺がバレルズたちを切り刻み、オペオペの実を奪って逃走した」
「そうかい。……さっきロシナンテから報告があったよ。ヴェルゴを斬ったんだってね」
「……ええ」
「その歳でヴェルゴを倒すのか……ふふ、この先が怖いね、本当に」
「恐縮です」
裏切り者とはいえ、海兵だった人物だ。秩序に殉じて動いていたものだから、きっと海兵を斬った俺は……オペオペの実を奪った俺は、お尋ね者になるはずだ。
(……ここから、本当のスタートだ)
ローの病気が治ったら、仲間に引き入れよう。ロシナンテが来るかどうかは……わからないが。
「……ロシナンテは海軍をやめると言っていたよ」
「え」
見聞色の覇気で心を読まれたのか知らないが、突如としてそんなことを言われた。
──スパイだったヴェルゴを倒したのは、おれではなくショウという少年でした。おれにも力がなきゃ、兄の暴走は止まらない。必ず強くなって……おれは兄を拘束します。
──海軍でもできるだろう?
──ローとショウが心配ですから。それに……白い街のことも、おれは許したくないので。
──そうかい。好きにしなロシナンテ。
……正義感の強いロシナンテらしい、いかにもな理由だ。両方本心なんだろう、センゴクにも同じ話をしているはずだ。
「そうか、ロシナンテが来てくれるか。ローが喜びそうだ」
「それでも、これから君はお尋ね者……賞金首になる可能性が高いんだよ?……退けられるのかい」
「ヴェルゴを斬ったんだから出来るだろ」
「……強かな子だね。うちの部下に聞かせたいくらいだよ」
「恐縮ですよ、中将」
月が暮れそうな朝焼けの中で、俺はまだ眠れずにいた、
「……ぁ?」
「おはよう、ショウ」
「おつるさんと話してる途中で寝落ちたらしいぞ」
……それは、酷くはしゃいでいたな。ロシナンテの命を救ったという原作改変を起こしたからか、やっぱり一つの達成感はあるみたいだ。
「おれはお前に付いてくよ。その方がいい」
「おつる中将にも、ロシナンテが海軍をやめることは聞いた。……俺たちが乗ってきた船も回収してくれていたらしいし、至れり尽くせりだな。本当に」
ドレスローザに関しては、同じような悲劇を起こしてしまうことになるが……必ず救う。それまで、辛抱してほしい。
「ああ、そうだ」
「?」
「ニュース・クーから新聞が来ててな」