ヒトヒトの実幻獣種 モデル"両面宿儺"   作:ただねこ

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世界とは

「碇を降ろすぞ!」

 

原作開始から11年前。……既に出航から2年が経過しているものの、依然として俺たち3人は北の海(ノースブルー)を転々としていた。

 

2年も賞金稼ぎを続けていると警戒されそうなものだが、海軍からは様子見されているようだ。ロシナンテが居るからか?

 

「ふい〜〜!やっぱ陸は違うなァ!」

「ああ。安定感がまるで違う」

「雪の影響も受けにくいし」

 

(……そろそろ、料理人を手に入れたいところだな。海の上でも塩焼きばかりでは飽きてしまう)

 

海に出る回数自体は少なかったとはいえ、食料問題は必ず付き纏う。

 

「どこか、料理人を探そうか」

「やっとか!!おれはもう塩焼き暮らしに辟易してたんだ!!」

「あとショウ、おれが元海兵だからってなんでも出来ると思うなよ!?料理も航海術も多少習ってるとはいえ、おれは海兵だっての!!」

「悪かったロシナンテ。それに関してはお前を全面的に信頼してたからこうなった」

「……嬉しくねーぞ!?」

 

ツンデレかよ。

 

「あ、あの……!今、海兵と言いましたか!?」

「ん?」

 

すると、男性と女性がこちらに駆け寄ってくる。先程のロシナンテの「海兵」という発言を聞き取ったようだ。

 

「……悪いが、おれはもう海軍を辞めてるんだ。元海兵だぞ」

「それでも構いません!お願いします……!!」

 

その2人の懇願と、街の違和感。ロシナンテは狼狽える。並大抵の自体では無いというのに、住民はいずれも彼を振り返らず、見て見ぬふりをするのだ。

 

まるで海兵などこの街では機能しないとばかりに。

 

「おい、何をしてる」

「あ……!!」

 

すると、1人の男が圧をかけながら歩いてきた。

 

「この島に立ち入るなら、入島料として5万ベリーを置いていけ」

「あんた、海兵か?」

「わたしの立場は関係ない。5万ベリーを置いていけ」

「……話が通じないみたいだな」

「話が通じないのはそちらだろう」

 

ギィン!

 

「ショウ!!」

「……ダメだろ、無抵抗の旅人を襲ったら」

「生憎、そのような決まりは無いのでな」

 

男が切り掛かってくるが、ギリギリ武装色の覇気で受け止める。これを見ても驚かないようで、彼自身も覇気を用いる可能性がある。

 

(……この島で何が起きてる)

 

僅かに疑念を抱いた俺たちは、臨戦体制に入った。

 

「ロー、その人たちの保護を」

「おう!」

「ロシナンテ、援護を頼む」

「ラジャ」

「……その歳で覇気を扱うか」

「触れる機会が多かったもんでね」

 

足元に『(カイ)』を放ち、男と距離を空ける。

 

「……成程、もしやお前は2年前から北の海を騒がせている賞金稼ぎだな?」

「正解、100点やるよ」

 

一瞬、俺の体に紋様が浮かび上がる。宿儺が受肉した時に浮かぶ、あの紋様だ。

 

「邪魔だから、一旦離れておいてくれ」

 

ドゴッ!!

 

「……ふぅ」

「おれの援護いらなかったじゃねェか」

「悪い。思いの外相手が弱かった」

「あのなァ……」

 

 


 

 

「父を助けてくれて、本当にありがとうございます……!このお礼、なんとすれば良いか……」

「いいよいいよー!おれたちはイラついてやったことだし」

 

女性……娘さんのお礼に、ロシナンテの軽快な声が響き渡る。

どうやら俺たちの助けた男性と女性は、父娘で喫茶店「C'est délicieux(セ デリシュー)*1」を運営していたようで、お礼に無料で料理を振る舞ってくれた。

 

「……美味しい」

「ローがパンを美味しいって言ったぞ」

「……マジか」

 

店主……父の名前はグニーロさん、娘さんはフェリィさんと言うらしく、2人でこの喫茶店を切り盛りしているらしい。1人娘であるフェリィさんも可愛らしく、彼女目当てに店を訪れる人もいるんだとか。

 

「……それで、この島は一体どういう状況なんですか?」

 

ロシナンテが切り出すと、グニーロさんがぽつりぽつりと説明し始める。

 

「……1年半ほど前、『瞬身』のエドラムと呼ばれる海賊がこの島にやってきました」

 

『瞬身』のエドラム……確か懸賞金は……8500万ベリー。本部の耳にも入ってる、大物海賊だ。

 

「すぐに海軍を呼んだのですが、何故か海軍までもわたしたちを目の敵にし始めて……町長が殺されて以来、街は活気がなくなっています」

 

(これは……思ったよりも事態が深刻だな)

 

海軍と癒着していたか。それで、入島料などの無茶なしきたりを強行している。

 

「……あなたたちは、何かされましたか?」

「わたしは何も……ですが、娘は一度海兵に連れ去られかけたことがあります。その時は土下座をして、なんとか」

 

……あぁ……これはだめだ。

 

(胸糞悪いなァ……そうだろ?ロシナンテ……ロー)

 

そうだよ。ここはそういう世界だ。自由を望めば望むほど、敵に回るのは世界だと。そういう世界だと、俺は認識していただろう。

 

(足りなかったな)

 

まだまだ甘いということか。

宿儺の力を使えるからと、自惚れてた。

 

「ロシナンテ、ロー。情報を集めるぞ」

「お、やっとか」

「へへ、今回は役に立つぞ!」

「そ、それは……」

「『瞬身』と海軍から……この街を助け出す」

*1
フランス語で「とても美味しい!」という意味




一気に2年飛びましたね。2年の間は、基本的に賞金稼ぎと修行をしていたようです。
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