ヒトヒトの実幻獣種 モデル"両面宿儺"   作:ただねこ

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ラブーン②、旗揚げ

「アイランドクジラ……なんでここに?」

「それには訳がある。ある日私がいつも通り、ここで灯台守をしていると……意気揚々と海賊がリヴァースマウンテンを降ってきた。そして、その海賊を追うように……1匹のクジラが降りてきた。まだ小さかった、ラブーンだ。アイランドクジラの群れから逸れたのだろう」

 

とある海賊。俺はそれを知っている。ただの原作知識。あってはならないはずのイレギュラーがここにいるからこそ、成立しているもの。

 

……ルンバー海賊団。

 

「西の海ではそいつらと旅をしていたらしくてな。偉大なる航路は危険だからと、置いてきたつもりだったらしい。だが、ラブーンにとって仲間とは群れや親ではなく、彼らだったのだ。……船が故障して数ヶ月岬に停泊していたとき……もうわたしも随分と、彼らと仲良くなっていた。その時、頼まれたのだ」

 

ブルックはおそらく、まだ魔の三角地帯で、スリラーバークで囚われているだろう。必ず……事が運べば、ルフィがブルックを助ける筈だ。

 

「2、3年、こいつを預かってくれないか。この海を一周して、必ず戻ると」

「こいつが時々吠えるのは、そういう理由か」

「ああ……だが現実は残酷かな。もう50年は昔の話だ」

「!!」

「そんなの……!!もう死んで──」

「言うなロー」

「……まだラブーンは、帰りを待ってる。間違いなく居ると、信じている。それを壊すのは……俺たちの役目じゃない」

「……っ、でも……」

「でもじゃない」

 

その役目は、俺ではない。

 

「わかった」

「なら、待たせてやろう。思う存分、こいつが死ぬまで」

「そうか……。ありがとう」

 

クロッカスが礼を言う。

そして、気づいたように俺に聞く。

 

「……そういえば、船長は君なんだよな?」

「ああ。俺だ」

「……海賊団の名前と、船の名前を教えてくれ。少し君たちが気になった」

「……ん?」

 

あれ……名前、決めてなくないか?

 

「まずいな、決めてないぞ」

「そういやそうじゃねェか!!」

「なんと……海賊が名前を持たずしてどうするのだ。海賊旗もないと言うのに」

 

ごもっともな指摘だった。

もしかしたら、俺は心のどこかで海賊になることを恐れていたのかもしれない。

 

「……そう、だな。俺たちはこれから、『ヘックス海賊団』として船を進もう」

 

由来としては、『Hex』……魔女などがやる、呪術的な呪いを意味する単語から来ている。

 

「おおおおおおお!!!」

「さすが船長!!ネーミングセンスバッチリじゃないですか!!」

「ありがとう。……しかし、船の名前か」

 

船の名前……あ。

 

「なあ、この船に今乗ってる人数って何人だ?」

「え?それはショウとおれとローとフェリィさんと……あとはエドラムの奴らが10人だろ?合わせて14人だ」

「……そうか」

 

14、14……14にまつわるものか。

確かアメリカのギャングが、忠誠を誓うために彫ってたタトゥーの数字があったな。頭文字の『N』がアルファベットの14番目だから、14と。

 

「ノルテニオス」

「え?」

「ノルテニオス号だ」

 

格好いいだろ。

そう言った俺に、ロシナンテはぽかんと口を開け、その後笑った。

 

「いいな!ノルテニオス!!」

「それで行こう!」

「あ、海賊旗ならおれが描きました!!」

 

どうやらフスカが海賊旗を描いてくれたらしい。

デザインを見ると、これがなかなか良いものだった。

 

2対の目と、頬にもうひとつ口のあるドクロ。後ろに描かれるばつ印の骨は、俺の4本腕になっている。そして、黒い布の背景にはローマ数字で『14』……『XIV』が刻まれている。これ以上俺たちを表す海賊旗はないだろうな。

 

「流石だ、フスカ」

「ありがとうございます!!」

「いい旗じゃないか、ショウくん。これで君も、本格的にお尋ね者だぞ」

「構わない。……俺は、俺のやりたいようにやるだけだ」

 

 


 

 

「ありがとう、クロッカス」

「ああ。ログも溜まったようだな。行きたい島は指しているか?」

「大丈夫。ちゃんと指してる」

「よし……準備は出来たなお前ら!!」

 

船員の大声が船に響く。

 

「ヘックス海賊団……出航だ!!」

「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」

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