ハリー・ポッターと創られし娘   作:テーラ・クレプスクリー

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賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。

そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。

厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。

その為、何でもあり、大丈夫な方のみ
お進みください。

それではどうぞ!



13話 改変への序曲(オーヴァチュア)

 

▷視点、リリローゼ

 

私がリリローゼ・スネイプと名乗ると、ロンは目を見開いて酷く驚いていた。

 

「えっ、あの怖いって聞く、スネイプ教授の娘なの? ……娘がいるなんて聞いたこともないけれど。なんか僕が聞いてたイメージとは全然違うな。……可愛いし」

 

最後の一言だけ、小声で呟いたので、何を言っているのかよく聞こえなかった。

 

(これは間違いなく、お兄さんたちから教授の恐ろしい噂を聞いているわね……)

 

まあ、原作や映画でファンとして客観的に見るのと、現実の教師として出会うのは、また受ける印象が違うのだろう(まだ、ロンは直接会ってはいないはずだけれど)。

 

「ええ、私の父はホグワーツの魔法薬学の教授よ。ちょっと気難しいし、お世辞にも世間一般の『いい人』とは言えないかもしれないけれど……私にとっては、世界で最高のお父さんよ!」

 

嘘ではない。あの地下室で泣き崩れる教授の頭を撫でてから7年、私たちは立派に温かい父娘をやっているのだから。

 

「あの、スネイプ教授って……マダム・マルキンの店で、君の後ろに立ってた、ちょっと怖い人のこと?」

 

今度はハリーが尋ねてきた。まあ、そうなるよな。ダイアゴン横丁でバッチリ鉢合わせちゃったものね。それにしても、あのお父さんに対して「ちょっと怖い」なんて表現を使って気遣ってくれるなんて、本当にいい子だわ。

 

「ええ、あの上から下まで真っ黒だった、目つきの悪い人よ。でも、表現が下手なだけで悪党ではないし魔法薬学の調合って、一歩失敗すると大変な事故になるから、普段から気を張り詰めているだけなのよ」

 

うん、これも決して嘘ではない。ロンは私の説明を聞いて、その後も少し難しい顔をしていたけれど、すぐに気持ちを切り替えたようにハリーに話しかけ始めた。

 

私は、向かいに座るロンの鼻の頭が汚れているのに気づき、ティッシュを数枚出して声をかけた。

 

「ミスター・ウィーズリー、鼻の頭が汚れているわ。拭いてもいいかしら?」

 

「えっ、あ、ありがとう」

 

原作で双子に汚れを指摘されていたのに、ハーマイオニーに指摘されるまでずっと汚れていたのを思い出し、拭いてあげたほうがいいと判断しての行動だった。

 

私がティッシュで汚れを拭ってあげると、ロンが恥ずかしそうにしながら言った。

 

「なんか、ごめんね。ありがとう。それと、ミスターじゃなくてロンでいいよ。僕も君のこと、ローゼって呼ばせてもらってもいいかな?」

 

「うん! ありがとう! ロン、よろしくね」

 

その後、男の子2人が楽しそうに話し始めたので、私は手荷物から一冊の本を取り出した。

 

これは以前、教授に頼んで日本から取り寄せてもらったファンタジー小説だ。前世でもアニメが大ヒットした、あの自称・美少女魔道士の話だ。日本語版なので、今でも手に入る。読み始めて少しすると、ハリーとロンの会話は落ち着いたようで、2人は静かに窓の外の景色を見ていた。

 

そのまま時が経ち、12時半頃。通路でガチャガチャと大きな音が響き、えくぼの笑顔が似合うおばさんがコンパートメントの扉を開けた。

 

「車内販売よ。何かいりませんか?」

 

原作や映画でもお馴染みだった車内販売だ。ハリーが原作の通りに山ほどお菓子を買い込み、ロンと分け合って楽しそうに食べ始めた 。

 

本を読んでいるフリをしている私――だって、映画のあのやり取りをこんな至近距離の特等席で観られているのだ――を気遣って、2人は声をかけないのだろう。少し気まずそうにモグモグと口を動かしている。

 

(原作のイベントの邪魔はしたくないけれど仕方ない!)

 

私は本をしまい、前日にミリスと一緒に手作りしたクッキーを手荷物から取り出して2人に声をかけた。

 

「ハリー、ロン。良かったら、私も加わってもいい? これ、私が作ったクッキーなんだけど、手作りのものでも大丈夫なら一緒に食べない?」

 

すると、2人はパッと顔を明るくして大喜びで歓迎してくれた。それからは原作や映画の描写と同様に、3人で賑やかで楽しい会話が始まった。ハリーが買った『百味ビーンズ』の変な味を引き当てて、ロンが不味そうに顔をしかめて吐き出したり、『カエルチョコレート』のオマケのカードが一体誰だったかで一喜一憂したりしている。私もハリーに貰ったカエルチョコレートを開けてみる。表紙を剥がすと、映画で観た通りにチョコレートの蛙がリアルに動き出した 。

 

(いや……チョコだとは分かっているけれど、こうも動かれると、さすがに口に入れるのにちょっと拒否感が出るな)

 

意を決して思いきって食べてみると、特に問題なく、甘くて美味しく頂けた。オマケのカードは、アルバス・ダンブルドア校長だった 。カードを裏返して説明欄に目を走らせると、そこには確かに、1巻の重要人物である「ニコラス・フラメル」の名前があった 。

 

(ていうか……ダンブルドア校長、室内楽はいいとしてボウリングも好きなんだ。)

 

私がカエルチョコのカードの説明欄をじっくりと読んでいると不意に隣から大きな歓声が上がった。

 

「うわ、このクッキー、めちゃくちゃ美味い……! ローゼ、これ本当に君が作ったの? すごいね!」

 

ロンが目を輝かせて、クッキーを頬張っている。ハリーも隣でコクコクと頷きながら、美味しそうにクッキーを口に運んでいた。私が作ったのは、前世の日本風の甘さ控えめな味付けなのだ。だからこそ、口当たりが良くて男の子たちにも食べやすいと思う。ふと、ハリーが広げたお菓子の山を見ると、一匹の太った灰色のネズミが、私の作ったクッキーも含めてお菓子を食べていた 。

 

(……ていうか、ペティグリューに食べられるのは腹立つな)

 

そんな内心の毒づきは一切表に出さず答えた。

 

「うん。お父さんがいつもお仕事で疲れているから、よく作っては、フクロウ便で学校に送ってあげているのよ」

 

私が何気なくそう言うと、ロンは脳内で想像してしまったらしく、何とも言えない複雑な顔をしていた。

 

(教授の尊いプライベートを暴露してしまって少し申し訳ないけれど、これも教授の好感度アップ作戦の一環よ)

 

三人でそんな風にお菓子を分け合い、コンパートメントの中に和やかな空気が流れ始めた、まさにその時だった。

 

ガラガラ、とコンパートメントのガラス扉が勢いよく開いた。そこに立っていたのは、すでにホグワーツの真新しい黒いローブに身を包んだ、前歯が少し大きくて、ふさふさとした茶色い髪の女の子だった 。

 

「ねえ、誰かヒキガエルを見かけなかった? ネビルっていう男の子が失くしちゃったのよ」

 

――ついに、来た。黄金の三人組の最後の1人、ハーマイオニー・グレンジャーの登場だ。立て続けに押し寄せる原作メインキャラの濁流に困惑するものの、オタクとしては脳内お祭り騒ぎだ。

 

(ハーマイオニーだ! ネビルが一緒に来なかったってことは、映画版準拠なのかな?)

 

ここらへんは、映画と原作小説で少し違う。原作だと、ハーマイオニーが来る前にネビルが泣きながらくるのだ。でも映画版だと、ハーマイオニーが来る前にロンがスキャバーズに魔法をかけようとしていたはずだけれど…… 。

 

そんなことをつらつらと考えながら、ふと、私の胸に小さなイタズラ心が湧き上がった。ダイアゴン横丁で杖を手に入れてから、自宅で練習して使えるようになった「ある呪文」を思い浮かべる。

 

(原作では、たしか高学年で習う高度な魔法のはずなのに……何回か練習したらできて驚いたっけ)

 

そのことは教授にもまだ話していない。

 

「ヒキガエルを、探しているの?」

 

私がそう尋ねると、ハーマイオニーが「ええ、そうなのよ」と力強く肯定した。

 

「そのペットの名前は分かるかしら?」

 

「確か、トレバーって言っていたはずよ」

 

よし、やるか。私は教授と同じヤナギの杖を持ち、スッと構え、心の中でイメージを固定して呪文を唱えた。

 

「アクシオ! トレバー!」

 

呪文を唱えると、どこからともなく、バササッと廊下の向こうから風を切って飛んできた。それは、私が差し出した左手のひらの中にすっぽりと収まった。

 

「ケロ」

 

悪びれもせず、私の手の中で呑気に鳴く本物のヒキガエル――トレバー。

 

次の瞬間、コンパートメントの中が、まるで時が止まったかのように水を打ったように静まり返った。ハリーも、ロンも、そしてあのハーマイオニーですら、開いた口が塞がらないといった様子だ。3人とも目をこれ以上ないほど丸くして、私と、私の手の中にいるヒキガエルを交互に凝視している。

 

「……う、うそ……」

 

最初に声を絞り出したのはハーマイオニーだった。彼女は私の持っているトレバーを見つめ、それから信じられないものを見るような眼で私を見つめた。

 

「今の、『呼び寄せ呪文』よね!? 教科書に載っていたわ、もっと高学年になってから習う難しい魔法のはずよ。あなた、それを杖も手に入れたばかりのこの年齢で、一発で成功させたっていうの……!?」

 

さすがは後に「学年一の秀才」と呼ばれるハーマイオニー、呪文の知識だけはすでに完璧だ 。まくしたてるような早口に、私の中のオタク脳は(うん、生真面目なハーマイオニーらしいわ!)と大興奮していた。隣では、ロンが食べかけのパイを床に落としそうな勢いで絶句している 。

 

「お、おい、ハリー……。ローゼって、やっぱりとんでもない化け物魔女なのかな……?」

 

「すごいよ、ローゼ……! 魔法って、本当にこんなことができるんだね!」

 

ロンの怯え混じりのツッコミは綺麗にスルーして、ハリーの、純粋に感動してくれた輝く緑の目に、私の心はこれまでにないほど満たされた。

 

「はい、これがネビルって子のトレバーね。届けてあげてちょうだい」

 

私はまだ固まっているハーマイオニーの手のひらに、そっとトレバーを乗せてあげた。ハーマイオニーは我に返ったようにカエルを見ると、頬を少し赤くしながら、けれどもしっかりとした足取りで一歩前に出た。

 

「……ありがとう。私、ハーマイオニー・グレンジャーよ。あなたの名前は?」

 

「私はリリローゼ・スネイプ。ローゼって呼んでね」

 

私が名乗ると、ハーマイオニーは顔を嬉しそうに輝かせた。

 

「よろしくね、ローゼ。ホグワーツに着いたら、今の魔法のコツを詳しく教えてちょうだい!」

 

そう言って、ハーマイオニーは嬉しそうにネビルの元へと走っていった。

 

(ふふ。原作改変は最小限に……って思っていたけど、ちょっとイタズラが過ぎちゃったかな?)

 

でも、これでハーマイオニーとも最初から良好な関係が築けたし、ハリーたちに私の魔女としての実力を示すこともできた。そう満足しかけた時、私はハリーの壊れたメガネが目に入った。映画版のストーリーだと、確かここでハーマイオニーが直してくれるのにと思ったが少し考えて内心で頭を抱えた。映画とは違い、私が先に派手に呪文を使ったのでハーマイオニーが魔法を使う隙が無くなっていたことに気づいたのだ。

 

(やっちゃった……! このままハリーのメガネが壊れたままなのは可哀想だし、ここは私がフォローを入れなきゃ!)

 

私はおずおずとハリーに声をかけた。

 

「ハリー、ちょっといいかしら?」

 

ハリーとロンが不思議そうに私を見る中、私はハリーのメガネに向けて杖を構えた。

 

「レパロ(直れ)」

 

呪文を唱えると、ハリーのメガネの壊れていたフレームが元通りになった。

 

「わあ……! 直ってる! ありがとう、ローゼ!」

 

ハリーはメガネを指先で触りながら、パッと顔を輝かせて嬉しそうにお礼を言ってくれた。その後、私達はお菓子を食べながら楽しい会話を続けた。ロンがクィディッチの話題を始め、専門的な話に深く入り込もうとした、まさにその時だった。

 

コンパートメントのガラス扉がガラガラと勢いよく開き、一人の少年が姿を現した。5歳の時にフローリシュ・アンド・ブロッツ書店で出会い、約1ヶ月前に『マダム・マルキンの洋装店』で再会した――ドラコ・マルフォイだった。ドラコは腰巾着を2人引き連れて、傲慢な足取りでコンパートメントの中へと入ってきた 。

 

「本当かい? ここにハリー・ポッターがいるっていうのは……!」

 

そう言いながら、彼はコンパートメントの室内を値踏みするように見回した。そして、座席に座っている私とバチッと目が合った瞬間、ドラコは驚いたようにその眼を見開いた後、すぐに笑みを浮かべて挨拶をしてくれた。

 

「あぁ、君はスネイプ教授の娘さんだよね? 覚えているかな。6年くらい前に本屋で、それから1ヶ月ほど前にマダム・マルキンの店でも会ったのだけれど」

 

私は満面の笑顔を見せながらすっと席から立ち上がると、流麗な動作でカーテシー(淑女の礼)を披露しながら、しっかりと挨拶を返すのだった。

 

「勿論覚えております。6年前もこの間もきちんと挨拶が出来ませんでしたが……ミスター・マルフォイですよね? 私はリリローゼ・スネイプと申します。これから仲良くして頂けると嬉しいわ」

 

相手が純血貴族なので、あとで面倒になるのを防ぐ為、かしこまって上品に挨拶する。

 

「あぁ、よろしく、ミス・スネイプ。僕はドラコ・マルフォイだ」

 

すると、隣にいたロンが笑いを誤魔化す為か、ぶふっと軽く咳払いをした。これに気付いたドラコが、すぐさま不快そうに突っかかる。ウィーズリー家の経済面をこれでもかと貶して、ドラコは私とハリーに向かって言い放った 。

 

「ミス・スネイプ、ミスター・ポッター。付き合う相手は選んだほうがいい、僕が教えてあげるよ」

 

と、ハリーに手を差し出して握手を求めるが、ハリーはそれを冷たく拒否して「友達は自分で選べる」と返答した 。ドラコは怒ったのか、顔を真っ赤にして私の方へと向き直る。

 

「下等な連中と一緒だと後悔するかもよ?ミス・スネイプ、君は?」

 

正直面倒だな、と思う。ドラコの父親であるルシウスは教授の先輩であり友人だ。原作では、彼らは家族ぐるみの付き合いがあるはず。穏便にどう断ろうかと考えていると、私の前にハリーとロンがガタッと立ち上がり、ハリー、ロン、ドラコの一触即発の口論が始まってしまった。そんな緊迫した状態でも、私の脳内は――。

 

(やった! 原作体験だ!!)

 

自分でもそんな場合じゃないだろうと思うけど、オタクの興奮は収まらない。私が脳内でお祭り騒ぎをしている中、原作通りに話は進んだ。ゴイルがスキャバーズに手を力強く噛まれ、それを見たドラコたちは3人揃って大慌てでコンパートメントから出て行った。

 

内心ほっとしていると、そこへ再びハーマイオニーがやって来た。ロンとハーマイオニーが口喧嘩を始め、ひとしきり言い合った後、ハーマイオニーはもうすぐ列車が到着すること、そして全員早くローブへ着替えるようにと促してコンパートメントを出て行った 。

 

私達3人は上着を脱ぎローブに着替える 。被るだけなので一緒にコンパートメント内で済ませる。正直、列車に乗ってからの最後の一時間が怒涛の展開過ぎて、喜びが半分、疲れ半分だ。

 

これから始まるホグワーツでの生活。教授の死亡フラグを折るためにこれからすることや、長い年月を考えると、心のどこかで「なかなか、キツイものがあるな」とため息が出そうになる。駅に入るという車内放送が流れ、私達3人は広げていたお菓子などを協力して手早く片付け、列車の停車を待った。

 

ついに、運命のホグワーツへの到着が、すぐそこまで迫っていた――。

 

 





今回の話は、ホグワーツ特急を終わらせる為
今のところ、1番長くなったと思います。

ピーター・ペティグリューへの悪感情みたいな
セリフがありますが、
悪役だし、厳しめにはならないですかね?

あと自分で書いててなんですが、
オリ主のキャラが内面と外面で違いが半端ない気がします。

やはり、小説の主人公って筆者と似るんですかね?

私はオリ主と同じく内面はツッコミなんですが
外面はオリ主と違い無表情です。

(オリ主のツッコミは
筆者の原作及び映画を見た時感じたことです)

オリ主はスネイプ教授の娘として教授の顔を汚したくなくて、
カッコつけてます。

一応原作やDVDを見ながら、書いてるので
大丈夫だとは思いますが、
変な所ありましたら教えてください。

意図的に似せてる部分もありますので
そこはご了承頂けますと助かります。

それでは次回を、お待ち頂けますと嬉しいです。
失礼します。

修正しました。
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