ハリー・ポッターと創られし娘   作:テーラ・クレプスクリー

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賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。

そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。

厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。

その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。

今回はスネイプ教授視点です。

それではどうぞ!



15話※ 黒の決意

 

▷視点、セブルス・スネイプ

 

7月31日。リリローゼを連れて、新学期の学用品を揃えるためにダイアゴン横丁へと行ったあの時。吾輩はルシウスの息子であるドラコだけでなく、あろうことか、リリーの息子にまで遭遇してしまった。リリーの息子は――正直に言って、ひどく痩せて顔色も悪く、メガネも壊れたままで、身に纏う衣服もサイズが合わずにダボダボだった。

 

(吾輩の発するオーラに怯えていたという可能性も否定はせんが、それにしても、あの惨めさは何だ)

 

リリーの姉。あの下劣で狭量なマグルの女が、リリーの血を引く子供をこれまでどのように扱ってきたか、想像するだけで虫酸が走る。……いや、吾輩があの子供の境遇に憤る必要などどこにもない。あやつはあの傲慢なジェームズ・ポッターの息子なのだからな。親の行いが子に報いた。ただそれだけのことだ。だが、リリーの遺した血が、マグルごときに虐げられているという厳然たる事実は、吾輩の神経を酷く不快にする。

 

 

今日から新学期であり、リリーの息子も、リリローゼもホグワーツへの入学の日を迎える。

 

(ホグワーツ特急内などで、リリローゼがリリーの息子と関わっていなければ良いのだが)

 

リリーの息子は、闇の帝王の残党や、いまだに潜伏を続ける死喰い人(デスイーター)たちに狙われることは確実だろう。ただでさえ、吾輩の娘という立場とで周囲から目をつけられる可能性のあるリリローゼがリリーの息子と仲良くなろうものなら……。

 

……フン、考えたくもない。

 

ホグワーツに戻り、クィレルが復帰したのを確認したのはいい。闇の魔術に対する防衛術の講師に着任するための遊学から帰還したのだ。

 

しかし、あの男の妙なターバンや、見るに堪えん態度の悪化――どもりや怯えのあからさまな増加を見る限り、クィレルはおそらく闇の魔術に魅了されたか、あるいは闇の陣営に取り込まれたのだろう。

 

なるほど、だからこそダンブルドアは、先ほど吾輩にクィレルを見張るように指示してきたのか。何故わざわざリリーの息子が入学するこの年に合わせて、「賢者の石」をホグワーツ内で守る必要があるのか謎であったが、クィレルのような小者を罠にかけるためであったか。あの老人も底意地が悪いものだ。

 

そろそろ新入生の入場と組分けだな。リリーの息子はおそらくグリフィンドールだろう。リリローゼはどうなるか。できたらスリザリンであってほしいものだ。スリザリンであれば、吾輩が直接見てやれるからな。あの子が我がスリザリンに決まることを願おう。

 

重厚な大広間の扉が開き、マクゴナガルに先導された新入生達が、居並ぶ4つの長テーブルの間を歩いて上座へと近づいてくる。吾輩は教職員席の肘掛け椅子に深く腰掛けたまま、その一団の中に、新しいホグワーツの制服を纏った我が娘――リリローゼの姿を瞬時に見つけ出した。艶やかな黒髪、吾輩に瓜二つの神経質そうな造形。そして、リリーと同じ美しい緑の瞳。

 

周囲の喧騒に気圧されることなく歩くその姿に、ホグワーツ特急での長旅もあの子なら大丈夫だとは思っていたが、こうして直に見るとやはり安心する。不意に、あの子がこちらに視線を向けた。吾輩は努めて冷酷な寮監の顔を崩さなかったが、あの子の美しい緑の瞳が真っ直ぐに吾輩を捉えた瞬間、愛おしさが胸を満たしていくのを、どうしても抑えきれなかった。

 

スツールの上に「組分け帽子」が置かれ、マクゴナガルが長い羊皮紙を広げて名前を呼び始める。次々と新入生が呼ばれていく。ルシウスの息子であるドラコは、帽子を頭にかぶったかどうかという状態で『スリザリン!』と叫ばれ、満足げに席へと向かっていった。

 

「ポッター、ハリー」

 

名前が呼ばれた瞬間、大広間全体が騒がしいひそひそ声に包まれる。スツールに腰かけたリリーの息子を、吾輩は教職員席からじっと凝視した。あのジェームズ・ポッターに生き写しの、傲慢な顔立ち。だが、その前髪の奥にある稲妻の傷、そして何より、あの子供が持つ目――。

 

――リリーの目だ。

 

その顔の造形への激しい憎悪と、それ以上に凄絶な罪悪感が吾輩を容赦なく責め立てる。帽子はしばらく思案したあと、大広間に響き渡る声で叫んだ。

 

『グリフィンドール!』

 

割れんばかりの拍手と歓声の中、ポッターが赤と金のテーブルへと向かっていく。予想通りだ。あやつはリリーの息子であると同時に、あの忌々しいポッターの血を引く男なのだからな。吾輩は密かに、あの日、リリーへと誓ったあの守護の贖罪を、胸の奥深くで静かに反芻した。

 

だが、感傷に浸る時間はなかった。

 

「スネイプ、リリローゼ!」

 

マクゴナガルの厳格な声が大広間に響いた瞬間、上級生を中心に、広間全体が水を打ったように静まり返った。次いで波を打つ囁き声が四方へと広がっていく。無理もない。吾輩に娘が存在するなど、かつて見かけたことのあるルシウスと、詳しくは話していないものの事前に報告だけはしておいたダンブルドア以外、誰一人として想像すらしていなかっただろうからな。

 

吾輩は思わず椅子の背から無意識に身体を起こし、スツールへと向かって凛と一歩を踏み出す我が娘を、祈るような、ただそんな思いだけで見つめた。あの子がスツールに腰掛け、大きな尖った組分け帽子がその頭へと下ろされる。

 

かつて、吾輩の放った開心術(レジリメンス)すら力技で引き千切ってみせた、あの驚異的な精神の盾――リリーの遺した守護の共鳴である可能性が高いが――。あの老いぼれの帽子が、我が娘の内面を覗き見たら、一体何と審判を下すのか。

 

頼む、スリザリンへ来い。吾輩の手の届く場所へ。

 

ほんの数十秒の沈黙の間が、これまでの吾輩の人生の中でも長く、息苦しい時間に感じられた。そして――組分け帽子が、大きく口を開けて大広間にその名を轟かせた。

 

『スリザリン!』

 

――あぁ。吾輩の口から、誰にも聞こえぬほどの微かな、深い深い安堵の吐息が漏れ出た。スリザリンの長テーブルから盛大な拍手と歓声が湧き起こる中、リリローゼが満面の笑顔を浮かべて、こちらを振り返った。吾輩は憮然とした厳しい表情を崩さぬまま――けれど、あの子にだけは伝わるよう、そっと瞳の奥を優しく和らげた。

 

リリーの遺伝子で創ってしまった、吾輩の罪の証でありながら、大切な光。吾輩は我が娘の、緑のネクタイを締めることになるその小さな背中を見つめながら、改めて心の中で誓いを新たにする。

 

リリローゼ。吾輩が必ず――お前も、リリーの息子も、すべての闇から守り抜いてみせる、と。

 

 





いつもお読みいただきありがとうございます。

実は書き貯めがかなりできまして、
なので更新日を一日増やそうと思います。

現在は月曜日と木曜日に、
更新させていただいてますが、
今週からは木曜日をやめまして、

月曜日と水曜日と金曜日に
更新いたします。

これからも、私の拙い作品をお読み頂ければ
嬉しいです。

失礼します。

修正しました。
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