賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
それではどうぞ!
▷視点、リリローゼ
私とハリー、ロンの三人で、ハグリッドの小屋を目指して歩く。
「フレッドやジョージは、よくスネイプ先生に減点されるって言ってたけど、そんなことなかったな」
ロンの言葉に、私は思わず半笑いになってしまった。
「そうだね。いきなり指名されて質問されたのは驚いたけど、ローゼが助けてくれたから大丈夫だったし」
ハリーの言葉に、私は今度こそ心から一安心した。
そんなおしゃべりをしながら校庭を横切り、私たちは禁じられた森の端にある小さな木の小屋へと向かった。
小屋の戸口には石弓とゴム長靴が置かれており、ハリーがその重そうな扉をノックした。すると、中から激しく戸を引っ掻く音と、太いうなり声が響いてくる。
「退がれ、ファング、退がれ!」
ハグリッドの大きな声と共に戸が開いて、私たちは中へと招かれた。
ハグリッドは私を見て一瞬驚いたようだったが、すぐに椅子を勧めてくれた。
「ロンです」
「リリローゼ・スネイプと申します。ローゼと呼んでください」
私が丁寧に頭を下げると、ハグリッドは髭に埋もれた顔を綻ばせた。
「おや、ご丁寧に、ローゼの嬢ちゃん。そっちの坊主はウィーズリー家の子かい? おまえさんの双子の兄貴たちを森から追っ払うのに、俺は人生の半分を使っているようなもんだ」
ハグリッドの呆れたような物言いに、私は思わずくすりと笑ってしまった。
差し出されたお茶を片手にそのまま賑やかな会話が始まり、私たちは今日あった初めての授業について話し始めた。
出されたロックケーキは、味自体はまずくはない。ただ、私の歯どころかフォークですら崩すのに苦戦するほど、とにかく硬かった。
ハリーたちが管理人のフィルチさんや、ミセス・ノリスの愚痴をこぼした後、ハグリッドは私にも気さくに声を掛けてくれた。
「ローゼの嬢ちゃんはスネイプ教授の娘さんだろ? 顔がよく似てる。スネイプ教授もホグワーツの卒業生だからな、在学中にも見かけたことがあるな」
ハグリッドは、懐かしそうに少しだけ教授の昔話をしてくれた。
私はこれまで、教授とミリスくらいしか話す相手がいなかったので、こうして第三者から教授の話を聞けるのが新鮮で、何より嬉しかった。
その後、話題はロンのお兄さんたちの話へと移る。
ふと、ハリーが机の上にあった『日刊預言者新聞』の切り抜きを見つけた。そこに書かれていたグリンゴッツ魔法銀行への侵入事件が、ちょうど自分の誕生日当日であることにハリーが気づく。
ハグリッドは分かりやすく動揺すると、私たちにロックケーキのおかわりを勧めて強引に話を逸らした。
結局、ハリーはその硬いロックケーキをお土産に貰い、城へと向かう帰り道でもずっと難しい顔をして考え込んでいた。
(さすが主人公。あんな短いニュースから色々と考えるなんて、私なら絶対にスルーするわ……)
そんな風に彼の横顔を見つめながら大広間まで戻り、私たちはそれぞれの寮のテーブルへと向かうために解散した。
スリザリンのテーブルにつき、美味しい夕食を食べながら、私は先ほどのお茶会に思いを馳せていた。
(楽しかったな。ロックケーキは凶悪な硬さだったけど、あんな風に気楽におしゃべりするなんて前世以来かも……)
そして何より、思わぬところから教授の学生時代の話を聞けたのが嬉しかった。
よく木陰で読書をしていた、という程度の些細な内容ではあったけれど、親の過去を第三者から聞けるというのは、なんだか特別な嬉しさがあるものなのだなとしみじみ思う。
私は、この後に控えている教授からの呼び出しの件をあえて脳内の隅へと追いやった。そうして楽しかった時間をひたすら思い出しながら、夕食の最後の一口を飲み込んだ。
大広間を出て、廊下を行き交う生徒たちの波を抜ける。地下牢へと向かうにつれて周囲の気配は消え去り、昼間とは違ってしんと静まりかえった廊下。
目的である頑丈な木製のドアの前に立ち、一つ深呼吸をしてから、コンコンと控えめにノックをする。
「入れ」
中から重厚な声が響き、入室の許可を得てドアを開けた。一歩足を踏み入れると、そこは暖炉の爆ぜる音だけが静かに響く部屋だった。
いかにも教授の部屋らしく、壁の棚には様々な素材の入ったガラス瓶がずらりと並んでいる。
教授は羊皮紙に何かを書いていたようだったが、私の姿を確認すると羽根ペンを置き、こちらへと顔を向けた。
「……来たか、リリローゼ。扉を閉めて、そこの椅子に掛けなさい」
「失礼します。あの、お父さん……私、今日の授業で何かやっちゃった?」
恐る恐る尋ねると、教授は重いため息をついた。
「リリローゼ、私が気がつかないと思ったか? ポッターに質問の答えを教えていたのはお前だろう」
あ~、やっぱり気づくよね。教授を誤魔化せるとは思えないし、正直に行くか。
「えっと、ごめんなさい。ハリーは……じゃなくて、ミスター・ポッターはホグワーツ特急でお友達になったから、助けたくて」
言い訳の後半に進むにつれて、私の声はどんどん小声になっていった。
「怒っているわけではない。ただ、リリローゼも知っているだろう。ポッターは英雄などと言われているが、英雄というものは周囲を不幸にする者が多い」
教授はそこで一度言葉を区切り、どこか遠くを見るような目を向けた。
「何より私は、ポッターの父親とは同年でな。とても傲慢で目立ちたがり屋のトラブルメーカーであった。出来ればお前には、あのような騒ぎに巻き込まれてほしくないだけだ。……だが、友人になったというなら難しいな」
少し困ったように、けれど優しい響きを孕んだ声が静かな部屋に落ちる。
「友人付き合いをするなとは言わん。だが寮も違うのだ。できる限り、距離をおきなさい」
正直、「もう近づくな」くらい言われると思っていた。
だからこそ、こんな風に優しく諭されるように言われて、余計に心配させちゃったなと深く反省した。
そのあと、教授は紅茶を淹れてくれて、そのまま臨時の小さなお茶会になった。
「リリローゼ。ホグワーツに入って一週間ほどだが、慣れたか?」
「うん。ルームメイトもみんな良い子だし、授業も楽しいよ。ただ、あの動く階段がすごく厄介で、毎回迷いそうになっちゃうけれど」
そんなホグワーツに来てからの感想を楽しく話していると、時間はあっという間に過ぎていった。
そろそろ寮に戻ろうと立ち上がると、教授に呼び止められて私は足を止める。
「ホグワーツに入ったら、色々と必要になるだろうからな。今月から小遣いをやろう。ただし、無駄遣いはするな。このノートをやるから、きちんと収支の記録をつけて管理しなさい」
そう言って手渡されたのは、小さな深緑色の巾着袋だった。中を覗くと、ずっしりとした金貨が五枚入っている。
「お、お父さん、五ガリオンは流石に多いんじゃない?」
「別に毎月使い果たせと言っているわけではない。いずれ大人になった時、困らないように今から金銭感覚をつけた方がいい。使わない時は貯金すればいいのだからな」
それでも、日本風に言えば小学五、六年生に毎月約五千円は流石に多いでしょ……。
そう心の中で突っ込んでいると、教授は急に真剣な面持ちになり、静かに話し始めた。
「リリローゼ。クィレル教授には気をつけなさい。闇の魔術に対する防衛術の時は、決して一人になるな」
教授のその重い忠告に、私はしっかりと頷いた。
貰ったお小遣いの入った巾着をポケットに入れ、笑顔で退室して寮に戻ると、私はそのままベッドに潜り込んだ。
翌日。今日は土曜日だ。
宿題もほとんど終わらせたとはいえ、自由に使える時間はそう多くない。土曜日の日の出ている時間と、日曜日の午前中くらいのものだろう。
私は今日、ある目的のために七階へと来ている。目指すは『必要の部屋』だ。
確か、トロールに殴られているタペストリーの向かいの石壁だったはず――。そんなうろ覚えの原作知識を頼りに、壁を見つめながら周囲をうろつく。
(あった。……変な絵)
確かに、トロールが描かれたタペストリーだ。心の中でだけツッコミを入れ、私はあえてスルーすることにした。
その向かいにある、何の変哲もない石壁の前に立つ。確か、自分が必要とする願いを強く思い浮かべながら、この壁の前を三回往復するんだったはずだ。
(呪文の練習ができる場所、呪文の練習ができる場所、呪文の練習ができる場所……!)
強く念じながら壁の前を歩くと、何もない石壁にすっと、頑丈な木製のドアが浮き上がってきた。
おそるおそるドアノブに手をかけ、中へと入る。
そこには、たくさんの蔵書と、魔法の的になるであろうダミー人形、さらには休憩用のクッションまで用意されていた。
これなら、誰の目を気にすることもなく呪文の練習ができる。
実はここへ来る前、私は厨房にも立ち寄っていた。屋敷しもべ妖精にお願いして、事前にランチボックスと飲み物を用意してもらっていたのだ。それを空いている机に置く。
(さて、ようやく準備完了。確か『ウィンガーディアム・レヴィオーサ』だったわね)
私は杖を構え、さっそく実践を繰り返した。
来週行われる飛行術の最初の授業で、ネビルを安全に着地させるためにこの呪文が必要なのだ。
原作通りにハリーをシーカーへと抜擢させるためには、あの落下騒ぎそのものは防げない。
つまり、ネビルの怪我だけを防ぎつつ、ハリーのシーカー就任の歴史も変えない。さらに私が目立たないようにするためには、周りに決して気づかれないよう、ローブの袖の中に杖を隠した最小限の動きと小さな声で呪文を発動できるようにならなければいけないのだ。
――数時間後。
「……ウィンガーディアム・レヴィオーサ」
ボソリと低く呟き、袖の中で杖をわずかに動かして、標的のダミー人形へと意識を集中させる。
すると、ダミー人形がフワリとゆっくり浮き上がった。
(やった! できた……!)
これで、ネビルのあの落下騒ぎが起きても、骨折などの大怪我をさせずに済むはずだ。
私は一安心して、厨房で貰ってきたランチボックスを開けて、減ったお腹を満たした。
その後、さらに他の呪文もいくつか練習を重ねてから、私は満足してスリザリン寮へと戻ることにした。
これからオリ主は時間を見つけては、必要の部屋で練習します。あまり描写は、しませんが、練習はしています。
よく考えましたら、必要の部屋で1人で練習すると、
書くことないんですよね。
その為、一度だけ、練習シーンを書きました。
(必要であれば書きますが)
それでは次回もお読み頂けましたら嬉しいです。
失礼します。