賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
それではどうぞ!
▷視点、リリローゼ
翌朝、目を覚ました私が見たのは、見慣れない天井だった。ふしぎに思いながら、少しずつ昨夜の出来事を思い出す。
(あぁ、私、教授の部屋でそのまま寝ちゃったんだ。教授がいくら寮監だとしても、男である以上は女子寝室の結界に弾かれて入れないんだから、ここに寝かせるしか選択肢がなかったよね……)
教授に余計な迷惑をかけてしまったことに深く反省しつつ、私は昨夜のトロール騒ぎを改めて頭の中で整理してみる。原作の物語とは違い、ハリーとロンが女子トイレに到着した時には、すでに教授がトロールを倒していた。でも、その後にハーマイオニーが原作通りにウソの言い訳をして、ハリーとロン、さらには私をマクゴナガル先生の前で庇ってくれた。
本来ならマクゴナガル先生と教授、そしてクィレル先生の3人が一緒にトロール戦のあとにやってくるはずなのに、今回はマクゴナガル先生が到着したあと、少し時間が経ってからクィレル先生が遅れてやってきた。
(しかも、クィレル先生は片方の足を引きずっていた。もしかして、教授の行動が変わったことで、本来、教授が負うはずだったフラッフィーからの『負傷フラグ』が、代わりにクィレル先生の方に流れたんだろうか……?)
そんな風に考えていると、カチャリと部屋のドアが開き、朝の支度を終えた教授が入ってきた。
「リリローゼ、目覚めたか」
ドアを開けて入ってきた教授が、私に優しく声をかけた。
「おはようございます、お父さん。ベッドを使っちゃってごめんなさい……お父さんはちゃんとどこかで休めた?」
「大丈夫だ、吾輩もしっかりと休んだからな。それより、昨日お前の不在については監督生に伝えてあるが、一度寮の寝室に帰って身支度をしてきなさい。そろそろ朝食の時間だからな」
教授のその言葉に、私のお腹がグゥと素直に反応して鳴ってしまった。
(そう言えば、昨日の夜はトロール騒ぎのあと少し教授と話して、そのまま寝ちゃったから何も食べてないや……)
私は顔を真っ赤にしながら、教授にお礼と退室の挨拶をして、大急ぎで寮へと戻った。寮に戻って、同室のパンジーたちに心配をかけたことを謝り、急いで身支度をすませてみんなで朝食のために大広間へと向かう。
大広間に到着すると、入り口のところでハリーとロン、そしてハーマイオニーの3人が、ちょうど合流して親しげに話しているのが見えた。私は同室の子たちに「先に行ってて」と声をかけて先に行ってもらい、3人の元へと近づいて声をかける。
「ハリー、ロン、ハーマイオニー。おはよう! みんな、昨日は大丈夫だった?」
すると、ハリーが弾かれたようにこちらを振り返った。
「ローゼ! 僕たちは大丈夫。それよりハーマイオニーから聞いたよ。ローゼ、トイレでトロールの攻撃を防いだらしいけど、本当にケガはないの!?」
ロンはハーマイオニーから聞いた私の魔法の実戦劇に猛烈に興奮しており、ハーマイオニーは嬉しそうな、けれどどこか私を危険に巻き込んでしまったことに申し訳なさそうな顔をしながら、真っ直ぐに私にお礼を言ってきた。
私はケガもしていないし、教授の用意してくれたホットミルクのおかげでしっかり休めたことを話す。3人は驚きつつ、その後はそれぞれのテーブルへと解散した。私は昨日の昼ぶりの美味しいご飯にありつき、思わず笑みがこぼれているのを自覚した。
それから数日、時間が経ち、気がつけばとても寒くなっていた。毎朝校庭には霜が降り、山々は凍りつき、湖も固く張り詰めている。
(前世では首都圏住まいだったから、湖じたい見慣れないのに、凍りついているなんて新鮮だな)
前世で経験できなかったことと、今世の自然の変化に驚きつつ、日々を過ごした。宿題の山をこなし、編み物を進め、土日は『必要の部屋』での呪文の練習や知識の習得。そんな風に忙しく過ごしていると、いつの間にか、グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合を明日に控えていた。
(明日がいよいよ、ハリーのデビュー戦。さすがに別の寮である私にハリーのクィディッチ出場は教えてもらえなかったけれど、噂はすでに学校中に広がっている)
私は明日のことで頭を悩ませていた。私が事前に教授の話をしたり(気難しいけれど悪人ではないなど)、教授自身がトロールを倒したりしたおかげで、主人公組に教授への悪感情はあまりないようだった。だから、クィディッチでのほうきの暴走があっても、すぐに「=スネイプ教授が犯人だ」とはならないだろう。
けれど、大まかには原作の歴史と大きな違いは少ないし、ハーマイオニーが何かを勘違いして、教授のマントに火をつける可能性はゼロではない。かと言って、私に何ができるか思いつかない。ただでさえ、私はまだ、あの『真夜中の決闘』のフラッフィーの時の言い訳すら、彼らに話せていないのだから。
いくら頭を悩ませていても、時間は無情に過ぎていく。前日の夜は静かに明け、ついにグリフィンドール対スリザリンの、クィディッチの朝が始まる。
夜が明けクィディッチの朝、
私は少し早めに起きて寮を抜け出し、厨房へと向かった。地下にある廊下の絵画の、大きな緑色の梨を優しくくすぐると、梨の絵がクスクスと笑いながら緑のドアノブへと変わる。
(何度見ても面白い仕掛けだな~)
私が中に入ると、厨房の屋敷しもべ妖精たちが大歓迎で迎えてくれた。私は妖精たちにお願いして厨房の一部を借り、彼らにも手伝ってもらいながら、心を込めておにぎりを作る。
(原作のクィディッチの朝、ハリーが緊張から食事を拒否しているシーンがあった気がするのよね。トーストが無理でも、おにぎりならそこまで負担にならないはず……!)
おにぎりの中身は、イギリス人の味覚でも受け入れられるだろうシャケにする。もちろん、彼らにとって未知の食感であるのりは巻かない。それと持ち運びがしやすいように、通販で取り寄せたラップを使って、一つひとつ丁寧に包んでいく。
私がおにぎりを握っていると、周りの屋敷しもべ妖精たちが「ほう!」と感心しながら、楽しそうに私の手元を真似し始めた。私は中身がシャケだけではなく他にも色々とアレンジができることや、塩加減のコツなどを彼らに教えてあげながら、楽しく調理を終えた。
その後、厨房を出て大広間に向かうと、すでに朝食が始まっていた。スリザリンのテーブルに腰掛け、朝食を口に入れながらグリフィンドールのテーブルを見る。ハリーは、周りのみんなに元気づけられながらも、やはりキツイらしく皿を遠ざけているのが見えた。
(顔色があまり良くない。子どものうちから朝食抜きは良くないから、やっぱりおにぎりを用意しておいて良かった)
急いで食べたおかげか、私のほうが早く食べ終わり、大広間を出て、エントランスホール近くの途中にある人通りの少ない空き教室の近くで待機する。少しすると、ハリーとロンがおしゃべりしながらやってきた。私はハリーとロンに手招きをして、空き教室に入る。
「おはよう、2人共。突然呼び止めてごめんね」
「おはよう、ローゼ。大丈夫だけど、どうしたの?」
2人がふしぎそうにしている中、私はいつでも温かいまま食べられるよう『必要の部屋』の本で調べた保温魔法をかけ、ラップで包んだおにぎりの入った少し大きめの巾着をハリーに渡した。ふしぎそうな顔をするも受け取ってくれるハリー。
「これは東洋の島国である日本の伝統料理で、手掴みで食べられるおにぎりっていうの。パンほど重くないから一口だけでも、あとでいいから食べて。多めに作ったから、ロンやハーマイオニーの分もあるはずよ」
そう言うと、ハリーはおずおずとラップを開けて一口食べた。
「……美味しい。あったかいね」
「僕も食べていいんだよね? ローゼ。ハリー、僕にもくれよ。っていうか、この透明なの何だ?」
私が簡単にラップの説明をすると、ロンは便利だと感心しながら、おにぎりを美味しそうに食べていた。その後、二人と別れた私は、ローブの襟を正し、クィディッチ競技場へと向かい、スリザリン側の、隅の席に腰を下ろす。
いよいよ、試合が始まる――。
時間軸(1991年)的には、ラップも一般家庭に普及しているので、使ってみました。
ハリーのほうきの暴走がどうなるか、次回をお楽しみ頂けましたら嬉しいです。
それでは、失礼します。