賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
それではどうぞ!
今回は前半オリ主視点、後半キャラ視点です。
▷視点リリローゼ、
クリスマス休暇が明け、新学期が始まった。みぞの鏡のイベントも無事に済み、私は私の本当の望みを理解した。
(分かってる、私はここでは異分子だ。いないのが、本来の道)
前世の記憶の中で、いつも優しかったあの人が言っていたじゃない。人を羨まない。羨望は余計に自分を惨めにさせるって。頭ではちゃんと分かっている。だからこそ、みぞの鏡は私にあの望みを映したんだろう。でも――私の心のどこかは、まだ納得していないのかもしれない。あの幸せな未来の中に、自分がいないということを。
休みが明けたばかりだというのに、ハリーたち三人組は相変わらず忙しそうだった。ハリーは連日のようにクィディッチの練習に追われている。そしてロンとハーマイオニーの二人は、わずかな休み時間さえも惜しむようにして、図書室で必死に本を漁っていた。
私はそれを、どこか遠くを見るような感覚で眺めていた。ハリーに返してもらった、自分の白いマフラーを指先でいじりながら。
けれど、いつまでもこのままにしておくわけにはいかない。ハリーのことは私にはどうすることもできないけど、このままではロンとハーマイオニーの身体に良くない。これ以上、二人を疲れさせるわけにはいかなかった。
私は図書室の出入り口付近で、一枚のカードを床に落とした。蛙チョコレートのオマケカード――『アルバス・ダンブルドア』のカードだ。そのまま、私は振り返ることもなくその場を立ち去った。そのあと、あのカードを二人が無事に見つけたかどうなったのかは、立ち去ってしまった私には分からないけれど。
ホグワーツに来てから、約四カ月。
私は、重厚な歴史感が溢れる城の中を、あてどもなく歩いていた。自分の本当の望みや、この世界での居場所について考えながら彷徨っているうちに、気がつけば教授の部屋の前に辿り着いていた。ドアをノックしようか、それともこのまま黙って立ち去るべきか。悩みながらその場に佇んでいると、不意に中から声が響いた。
「入りなさい」
低く、聞き慣れた教授の声だった。許可を受け、私はおずおずとドアを開けて入室する。ドアの開閉音に気づいたのだろう、机に向かっていた教授がこちらを見た。教授は私の顔を見ると、一瞬だけ驚いたように目を見開いた。
けれどすぐにいつもの無表情に戻り、私に椅子を勧めてくれる。そのまま「そこで待っていなさい」と言わんばかりに、奥の部屋へと向かって席を外してしまった。一人残された私は、教授を見送ったあと、彼がさっきまで向かっていた机の上にふと目をやった。そこには、『クィディッチのルール』と書かれた本がぽつんと置いてあった。
(えっ……教授が、クィディッチの本?)
意外な本のタイトルに私が目を丸くしているところへ、奥から足音が聞こえてきた。教授が、手にゴブレットを持って戻ってきたのだ。
「……飲みなさい」
そっと手渡されたゴブレットの中には、湯気を立てた温かいホットミルクが入っていた。地下の冷え込む部屋の空気の中で、その温もりがじんわりと私の両手に広がっていくのを感じた。私は手渡されたゴブレットを受け取りながら、小さくお礼を言って口をつけた。
ほんのり甘く温かいミルクの味が、冷え切っていた私の心を優しく癒していく。
「お父さんがクィディッチの本を読むなんて、珍しいね」
ゴブレットから目を上げて尋ねると、教授は手元の本に視線を落としたまま答えた。
「あぁ。今度、グリフィンドールとハッフルパフ戦で審判をすることになってな」
その言葉を聞いた瞬間、私は原作の話を思い出した。
(そうだ……! 原作の教授は、ハリーを守るために次の試合で審判をするんだ……!)
そのあとも、教授は私の様子について何も聞いてこなかった。ただ、本を読みながら、私の他愛のないおしゃべりに静かに付き合ってくれた。それだけで、私の心はみるみる満たされていく。ホットミルクをきれいに飲み終わった私は、ゴブレットを置いて教授にお礼を言い、椅子から立ち上がった。
部屋を出ようとしたその時、背後から低い声が降ってきた。
「リリローゼ。何があったのかは聞かん。……だが、一人で無理なら、いつでもここに来なさい。ホットミルクくらいなら、いつでも出してやる」
教授のその言葉が、私の胸に温かい何かをいっぱいに広げていく。私は久しぶりに心からの笑顔を浮かべ、元気よく返事をした。そして、来たときよりもずっと軽い足取りで、スリザリン寮へと戻っていった。
▷視点、ハリー・ポッター、
僕はみぞの鏡で見たことを必死に忘れようと、クィディッチの練習とニコラス・フラメルの情報探しに、あえて多くの時間を費やすようにした。それでも、夜になれば毎晩のように、あの緑色の閃光と共に両親が消えていく悪夢を繰り返し見続けた。
そんなある日のクィディッチの練習中、グリフィンドールの選手たちが集まって騒ぎ立てていた。今度のグリフィンドール対ハッフルパフ戦で、スネイプ先生が自ら審判を務めることになったというのだ。ローゼには本当に申し訳ないけれど、スネイプ先生のいつものえこひいきには僕も困らされることが多い。
だから、チームのみんなが「僕たちを負けさせる気だ」と不安になる気持ちも、よく分かってしまう。けれど、あんなに優しいローゼのお父さんだ。いくらグリフィンドールが嫌いだからって、ただの嫌がらせのためにわざわざ審判まで買って出るとは、僕にはどうしても思えなかった。
かといって、怯えるみんなの前で、スネイプ先生をかばうようなことは僕には出来なかった。
クィディッチの練習のあと、グリフィンドール寮の談話室に戻ると、ロンとハーマイオニーが大きな本を囲んで何やら熱心に話し込んでいた。二人に僕が声をかけると、ハーマイオニーは大興奮した様子で、その大きな本をぐいと僕の目の前に突き出してきた。
そこには、こう書かれていた。
『錬金術とは賢者の石という恐るべき力を持つ伝説の物質を創造したり、ホムンクルスという生命体を生み出すなどの古代の学問であった、〜(中略)現存する唯一の石は著名な錬金術師でありオペラ愛好家であるニコラス・フラメル氏が所有している』
「ついにニコラス・フラメルが誰なのか分かったんだ!」
興奮冷めやらぬ様子で、二人が事の顛末を教えてくれた。
「今日、図書室で調べものをしてたらね、出入り口付近で誰かの落とし物らしきダンブルドア先生の蛙チョコのオマケカードを見つけたのよ。そこに、先生のパートナーとして彼の名前が載ってたの!」
蛙チョコのオマケカード。その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で全てのピースがカチリと音を立てて繋がった。そうか、ニコラス・フラメルという名に見覚えがあって、ずっとどこかで引っかかっていたのは――あのホグワーツ特急の中で、初めてダンブルドア先生のオマケカードを見たときだったんだ!
「ね? クィレル先生が狙っていると思われるあの犬が守っている物は、この『賢者の石』なのよ!」
ハーマイオニーが声を潜めながら、確信に満ちた表情で言った。
「金を作ったり、命を延ばすことのできる石なら、誰だって欲しがるよね。あのおどおどしたクィレル先生なら、前に怯えていたっていう、吸血鬼に襲われた時のために欲しがっているのかもね?」
僕がそう言うと、ロンも「確かに、あの先生ならやりかねないな」と納得したように頷いていた。
次の日の『闇の魔術に対する防衛術』の授業中、僕は手元の羊皮紙にメモを取りながら、教壇に立つクィレル先生をじっと観察した。いつも通りターバンを巻き、おどおどと口籠もりながら授業を進める彼の姿からは、とても凶悪な泥棒には見えないけれど……。
緊張感の漂う授業が終わり、教室を出たあと、僕たちは三人でこれからのことについて話し合っていた。その会話の最中、僕はふと、胸の奥に小さな引っかかりを覚えた。
(……そういえば、この頃ローゼと全然話をしていないな)
みぞの鏡のあの夜、温かいマフラーを貸してくれて、僕を心配してあの部屋まで来てくれたローゼ。新学期が始まってからというもの、クィディッチの練習やフラメル探しに追われすぎていて、彼女の姿をまともに見てすらいないことに、僕は今さらながら気がついた。
「ねぇ、最近ローゼと話した? スリザリンのテーブルで食事しているところは見かけたけど、ちゃんとは話してないよね?」
僕がそう問いかけると、ハーマイオニーが「あ……」と声を漏らし、記憶をたどるように少し視線を上げた。
「そう言われてみれば、私はクリスマス休暇の帰省前に話したのが最後だわ」
ハーマイオニーの口から『クリスマス休暇』という言葉が出た瞬間、僕の脳裏にあの夜の光景が鮮烈に蘇った。三人で透明マントを被り、息を潜めて向かったあの部屋。みぞの鏡の前に立ったとき、優しく笑いながらも、今にも泣き出してしまいそうだったローゼの悲しげな笑顔――。
思えば、あのみぞの鏡の部屋でローゼと一緒に校長先生と話したあと、新学期の朝にマフラーを返したきり、僕は彼女とまともに話をしていない気がする。
けれど、あの鏡の話は僕だって進んで切り出したくはない。それに、いまローゼの話題を出すとなると、どうしても別の問題が頭をよぎってしまう。今度のハッフルパフ戦で、スネイプ先生が審判をするという、あの話だ。
ローゼは優しいし、普段の彼女が言っていることはいつも辻褄が合っていて信頼できる。だから、あんなに優しいローゼのお父さんが、僕たちへの嫌がらせのためだけにそこまでするとは、僕にはどうしても思えない。
だけど……どうしても、いつものスネイプ先生の容赦ないえこひいきや、時折僕のほうを見る時の、あのなんとも言えない複雑な目が頭に引っかかる。わざわざ専門外である魔法薬学の先生が、クィディッチの審判なんて面倒な役目を引き受けるなんて、本当の目的は一体何なのだろう。
みんなの前でスネイプ先生をかばうことは出来なかったけれど、僕の心の中は、ローゼへの信頼と先生への拭いきれない疑問の間で激しく揺れ動いていた。その不安を二人に話してみると、ロンは低くため息をついた。
「確かにスネイプのえこひいきは腹立つもんな。お父さん大好きなローゼには悪いけど、アイツなら僕たちへの嫌がらせでそれくらいしてきても不思議じゃないね」
「ロン、『スネイプ先生』でしょ」
ハーマイオニーがいつものように言葉遣いを注意したけれど、彼女もフリフリと首を振って、ロンと同意見らしい表情を浮かべた。
二人とも、ローゼを傷つけたくはないけれど、スネイプ先生への警戒は解けないのだ。僕はそれ以上何も言えず、胸の内の不安を必死に隠しながら、試合までの日々を過ごした。
そして、ハッフルパフ戦の朝。
大広間のテーブルで朝食をとっていると、バサバサという無数の羽音と共に、いつものように朝のフクロウ便がやってきた。すると、一羽のフクロウが僕の目の前へ真っ直ぐに小包を落とした。
その小包には送り主の名前が書かれておらず、ハーマイオニーは「何か危ない呪いでもかかってたらどうするの?」と警戒したけれど、僕にはもしかしてという心当たりがあった。僕は大広間ではそれを開けずに、急いでグリフィンドール寮の談話室へと戻った。
そして、見守る二人の前で慎重に小包を開けると、中から小さな羊皮紙のミニカードと、手作りの可愛らしいチャームが転がり出た。カードには『気負うな!ファイト!』とだけ書かれていた。
チャームは毛糸で作られた、グリフィンドールのタペストリーを模したものだった。送り主の心当たりは、僕たち三人の中で完全に一致していた。名前がなくても、これが誰からの贈り物なのかはすぐに分かった。
その後、僕はクィディッチの更衣室へと向かい、赤と金のユニフォームに着替えた。そのとき、僕はポケットの中に、お守り代わりにあのタペストリーのチャームをそっと忍ばせた。それだけで、冷たくなっていた指先にじわりと気合が入るのが分かった。
「ハリー、できるだけ早くスニッチを捕まえてくれ。試合を早く終わらせるんだ」
キャプテンのウッドから重いプレッシャーをかけられ、さらにはフレッドの「ダンブルドア先生も観戦に来ているみたいだぜ」という言葉が聞こえてくる。スネイプ先生が審判をするという不安で胸が押しつぶされそうになったけれど、僕はユニフォームのポケットに手を入れ、そこにある手編みのチャームをぎゅっと握りしめた。
(よし、やろう!)
ローゼの応援を胸に、僕は箒を強く握り直して、大歓声が渦巻くピッチへと入場した。
ピッチへ入場すると、審判の服を着たスネイプ先生がどこかイライラしたような顔をしているのが見えた。少し気がかりだったけれど、クィディッチのホイッスルが鳴り響き試合が始まってしまえば、そんな不安はすぐに意識の外へと追いやられた。
僕は愛用の箒を駆り、競技場の上空を旋回しながら鋭い目でスニッチを探し続けた。下の方では、スネイプ先生のホイッスルによって、何度かハッフルパフにペナルティー・シュートが与えられているのが見える。試合開始から少しした時、僕の目にきらりと光る金色の羽が映った。
(見つけた……!)
僕は迷わず急降下を始めた。地面がものすごいスピードで迫ってくる。その瞬間――どこからか放たれた紅い閃光が、僕のユニフォームに当たった気がした。けれど、不思議と衝撃は何もなかった。気のせいだったのだろうか。
僕はそのまま急降下を終えて、自らの右手を思い切り高く掲げた。その手の中には、羽をパタパタと羽ばたかせる金色のスニッチが、しっかりと握り締められていた。
その瞬間、競技場の全スタンドから地鳴りのような歓声が沸き起こった。
「新記録だ!」
「前代未聞だぞ!」
あちこちからそんな大騒ぎの声が聞こえてくる。捕まえた僕自身も信じられない思いで驚いていたけれど、なんと試合開始からわずか約五分での試合終了だった!
グラウンドへと降り立った僕の肩に、いつの間にか近づいてきていたダンブルドア先生が、そっと優しく手を置いた。先生はハーフムーン型の眼鏡の奥の目を細め、満面の笑みを浮かべて僕の快挙を大いに褒めてくれた。
しばらくして、僕はグリフィンドールのみんなの大喜びする姿を思い出しながら、とりあえず箒を片付けようと考えた。そのとき、ふとユニフォームのポケットに手を入れてみると――今朝届いたばかりの、ローゼからのチャームが無くなっていた。
(嘘だろ……。せっかくローゼがくれたチャームを、無くしちゃった……!)
僕は青ざめ、慌ててグラウンドへと引き返した。けれど、グラウンドを見渡してもそれらしきものは見当たらない。箒に乗って上空から目を凝らして探してみても、小さなチャームは見つからなかった。
大切な贈り物を失ってすっかり落ち込んでいた僕の目に、ふと、禁じられた森の方へと向かって歩いていくフードを被った人影が映った。何かが気になった僕は、箒に乗ったまま、音を立てないようにその人影を追った。
うっそうと茂る木々のせいで一度はその人影を見失ってしまったけれど、木の枝に触れるほどの高さまで高度を下げてみると、どこからか誰かの話し声が聞こえてきた。僕は近くの太い枝へとゆっくり降り立ち、気配を殺した。そこから木の影を覗き込むと――なんと、そこにはクィレル先生とスネイプ先生がいた。
「……なぜ……セブルス……」
「このことは……問題……賢者の石……」
風の音に掻き消されて、会話は途切れ途切れにしか聞こえない。だけど、スネイプ先生の口からハッキリと『賢者の石』という言葉が出たのだけは間違いなかった。もっと近くに寄って聞き耳を立てたいけれど、スネイプ先生の鋭い耳に気づかれる恐れがある。これ以上は、絶対に近づけない――。
じっと息を潜める僕の耳に、なおも途切れ途切れの言葉が飛び込んでくる。そこには「私を敵に」や「怪しげな」といった、明らかに不穏な単語が混ざり合っていた。そのあと、スネイプ先生がクィレル先生から一歩離れ、冷酷な声で言い放った。
「近々また会うまでに、よく考えてどちらの味方につくのか決めておけ――」
スネイプ先生はそう告げると、黒いマントを大きく翻して、森の薄闇の中へと立ち去っていった。スネイプ先生の姿が見えなくなったあと、残されたクィレル先生も、あとを追うように片足を引きずりながら城の方へと戻っていった。
僕はクィレル先生の背中が見えなくなるのをしっかりと確認してから、急いで箒に飛び乗った。一刻も早く箒を片付けて、みんなのいる寮を目指さなければならない。
城に戻る途中で、僕を探していてくれたらしいロンとハーマイオニーの姿を見つけた。僕は二人と合流すると、さっき禁じられた森で目撃したばかりの重大な出来事を話すため、人目のない空き教室を探して三人で歩き出した。
するとその途中、廊下の向こうから、何かの箱を大事そうに腕に抱えたローゼが歩いてくるのが見えたんだ。
「ローゼ!」
見つけた嬉しさから思わず声をかけたけれど、彼女は僕と目を合わせようともしなかった。それどころか、僕たちの姿を認めた瞬間にパッと顔を背けて、そのまま背を向けて走り出してしまった。
(えっ……なんで!?)
お守りのチャームを無くしたことが、もうバレて怒っているんだろうか。冷たい水を浴びせられたような衝撃と焦りから、僕はとっさに大声を張り上げていた。
「ローゼ、僕、何かした!?」
静かな廊下に響き渡った僕の声に、彼女はピタリと足を止めゆっくりとこちらを振り返った。
映画だと描写が分かりづらいので、
原作の日本語訳を見ながら書いてます。
チェックをしておりますが、
原作パクリになってたら、教えて頂けますと助かります。
すぐに修正するので、
それでは読了ありがとうございました。
また次話もお読み頂けましたら嬉しいです。
失礼します。