賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
今回もハグリッドへの厳しめが含まれます。
ご了承頂ける方のみお進みください。
何かあっても責任はとれませんのでよろしくお願いします。
それではどうぞ!
▷視点、リリローゼ
連日、宿題や復習を頑張っていた、ある日のこと。朝食の席で、ハリーがフクロウから一枚の手紙を受け取っているのが、離れたスリザリンのテーブルからも確認できた。私はそれを見て、一つ、ため息をつく。
(……あぁ、ノーバートが産まれるのね。……あの人には何を言ってもムダね。注意したのに、結局ドラゴンを孵してしまったんだ)
ハグリッドに心の中で呆れつつも、ハリーたちから声をかけられなかったので、その日一日は自分の勉強に精を出した。
けれど、その日の夕食後。
私はハリーたちに捕まり、人目のない空き部屋へと連れて来られてしまった。
(……はぁ。やっぱりこうなるよね)
顔には出さないようにして、彼らの話を聞く。ハリーたちの口から告げられたのは、予想通りドラゴンの誕生。――そして、それをドラコに見られてしまったということだった。私は、心の中でため息をついた。
翌週。同じスリザリンのテーブルで、何やら企んでいるようにニヤニヤと笑っているドラコを横目に、私は静かに食事を済ませた。
その後は、もはやお決まりのコースのようになってしまったが、ハリーたちによってハグリッドの小屋へと連行されるのだった。
カーテンの閉め切られた暗い小屋の中。
これからの対策について、深刻な顔で密談を交わすハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてハグリッドの四人を余所に、私はノーバートを観察していた。
正直に言うと、私は動物が大好きだ。前世でも、時間があればよく動物園や水族館に足を運んでいたくらいだ。だから、普通なら絶対に拝めない本物のドラゴンをこれほど間近で見られる状況は、トラブルの渦中とはいえ、内心嬉しかったりする。
ふと足元に目をやると、床にはお酒の空きビンや鳥の羽がそこら中に散らばっていた。
(……うーん、ドラゴンは可愛いけど、この部屋の惨状はちょっと見過ごせないな)
私はほうきとちりとりを勝手に借りてくると、散らばった羽を掃き集め、空きビンを部屋の隅へ綺麗にまとめておいた。私が掃除に勤しんでいると、突然、ハリーが「そうだ、チャーリーだ!」と声を上げた。
ロンの年の離れたお兄さんで、ルーマニアでドラゴンの研究をしているというチャーリー・ウィーズリーのことだ。話し合いの結果、ハグリッドがチャーリーに引き取りを頼む手紙をフクロウ便で送ることで無事に決定した。
さらに翌週、木曜日の朝。
朝食を済ませた直後、私はハリーたちによって例の空き部屋へと連れ込まれていた。今回、こうして朝から連行された理由は、ロンからの報告だった。昨日の夜、ハグリッドの小屋でノーバートに手を噛まれてしまったらしい。原作通りなら、医務室送りになるはずの怪我だ。
けれど、ロンは「傷を負うどころか、痛くも痒くもないんだ!」とピンピンしている。不思議に思いつつ寮の談話室に戻り、ポケットを探ったら、私が渡したあの折り鶴が消えていたそうだ。
「絶対にローゼのお守りが、代わりに攻撃を防いで守ってくれたんだよ!」
ハリーとロンは、私への感謝を伝えてくれた。
(……あぁ、プロテゴが発動して消滅したのね。ロンが無事で本当によかった)
私も安堵する。ただ、その後に告げられた次の知らせに、私は頭痛を覚えた。なんでも、ハグリッドに小屋には入れられないと言われたらしく、三人は仕方なく窓越しに、届いたばかりのチャーリーの手紙の内容を報告し合っていたのだという。そして最悪なことに、その窓越しの会話を、近くに隠れていたドラコに盗み聞きされてしまったらしい。
教授との「深入りはしない」という約束が頭をよぎる。けれど、子供であるハリーたちを危険にさらして、私一人だけが寮のベッドで寝ているわけにはいかなかった。
私は覚悟を決め、土曜日の夜の作戦に同行すると名乗り出た。本当は私一人でやりたかったのだけれど、三人全員に猛反対されてしまった。その上、作戦の要である「透明マント」の持ち主であるハリーの付き添いだけは、どうしても断ることができなかった。
そして迎えた、土曜日の夜。
私とハリーは透明マントに身を包み、ハグリッドの小屋からノーバートの入った箱を預かった。箱の中にはドラゴンの他に、お腹を空かせないためのネズミや、ぬいぐるみなども一緒に入っているらしい。ハグリッドの愛情が詰まったその箱は、見た目以上に重かった。
原作ではハリーたちがこれを手で持って運ぶのに苦戦していたけれど、私は箱に浮遊呪文をかけることで解決した。あとは、浮いた箱をハリーに後ろから軽く押してもらうだけでいい。この工夫のおかげで、私たちは夜の城内をスムーズに進んでいった。
一番高い塔へと続く長い階段を登っていると、下の方からドラコとマクゴナガル先生の声が響いてきた。耳を澄ませてみると、夜中にうろついていたドラコが捕まり、罰則とスリザリンの減点を言い渡されているようだった。
(……ドラコ、ハリーたちをハメようとして自分が捕まっちゃったのね)
自業自得な同級生の自爆を横目に、私たちは先を急いだ。その後、待ち合わせ場所である塔のてっぺんで、無事にチャーリーの友人たちと合流することができた。
私はここでも浮遊呪文を維持したまま、ノーバート入りの箱を宙に浮かせて彼らへと引き渡した。彼らは驚きと感心の声を漏らしていた。何はともあれ、これでドラゴンの引き渡しは成功だ。
「やったね、ローゼ!」
大仕事を終えたハリーは、よほど嬉しかったのだろう。すっかり安心しきった様子で、弾んだ足取りのまま一足先に階段を降りていってしまった。
――天文学の塔のてっぺんに、透明マントを置き忘れたままで。
「あっ、ハリー! マントを忘れてるわよ!」
私はマントを掴み、彼の後を追って階段を駆け降りた。けれど、遅かった。
ハリーがフィルチさんに捕まっていたのだった。
そのまま、私とハリーはフィルチさんに職員室へと連行された。職員室にはドラコもいた。三人で座って待っていると、マクゴナガル先生と教授がネビルを連れて現れた。ネビルの言葉と教授の登場に、私は内心で頭を抱えた。
(……深入りはしないって教授と約束したばかりなのに)
結局、言い渡されたのはグリフィンドール百点、スリザリン百点の減点と、私たち四人の処罰だった。さらに私は教師の娘でありながら校則を破った罰として、追加のペナルティでダンブルドア校長のお手伝いをするように言われてしまう。
その後、ハリーたちと別れた私は、教授にドラコと共に寮へと連行された。教授の背中から漂う威圧感のせいで、隣を歩くドラコもおとなしくなっている。
教授は先にドラコだけを寮の中へと入れると、私の腕を掴んだ。そのまま、地下にある教授の自室へと連れていかれた。パタン、と重いドアが閉まり、二人きりの空間になる。
「……リリローゼ。吾輩が何を言いたいか、言わなくても分かるであろう?」
いつもより低い地を幾うような声に、私は背筋が伸びるのを感じた。私は言い訳はせず、ただ謝るしかなかった。
もちろん、そんな私の謝罪だけで教授の怒りが収まるはずもなかった。教授はため息をつくと、冷徹な声で私に告げた。
「少なくとも今年度内は、あのグリフィンドール生どもと授業以外で話すことを一切禁じる」
厳しい交友禁止令だった。
(……ルールを破って、教授との約束を破っちゃったのは私だし、これは自業自得だよね)
教授がそれだけ私の身を案じてくれているのだと理解し、私は反省しながら自分の部屋へと戻っていった。
翌日、グリフィンドールとスリザリンの点数が一夜にして激減したという噂でもちきりだった。当然、両方の寮生の間で波紋が広がっている。
私は一時、ルームメイトたちから一斉に無視されそうな不穏な空気が流れた。けれど、そこをダフネが周りを説得してくれたおかげで、無視されずに済んだ。他のスリザリン生たちも私を見る目は機嫌が悪そうだったけれど、直接何か嫌がらせをしてきたり、危害を加えてきたりすることはなかった。
「みんながそれ以上何もしてこないのはね、ドラコはマルフォイ家のお坊っちゃんだし、ローゼはスネイプ教授の娘だからよ」
ダフネがこっそり、その理由を私に教えてくれた。正直なところ、親の七光りや肩書きのおかげで手出しされていないという現状は、元日本人の感覚からするとあまり納得がいかないと思ってしまう。けれど、ダフネの話にはさらに続きがあった。
「それにね、みんな『あのスネイプ教授の娘』がこれだけの不祥事を起こしたんだから、公にされていないだけで、裏では他の違反者たちとは違う恐ろしいお仕置きを直々に受けてるに違いないって思ってるの。だから、むしろ同情されてるくらいよ」
(……あぁ、なるほど。そっちの意味ね)
みんなの勘違いに、私は内心で苦笑した。でも、あながちその同情も間違いではない。何しろ教授からは、今年度内はハリーたちと授業以外で話すことを一切禁止という交友禁止令を言い渡されているのだから。周りの複雑な視線を受け流しながら、ダンブルドア校長のお手伝いというもう一つのペナルティのことを考えていた。
その日の夕方、
私はダンブルドア校長から呼び出され、校長室へと向かった。あらかじめマクゴナガル先生から聞いておいた、校長室へと入るための合言葉を口にする。合言葉は定期的に変わるらしいけれど、今は『蛙チョコレート』だそうだ。お菓子好きな校長先生らしいチョイスに、少し緊張が和らぐのを感じた。
ノックをして入室の許可を得てから中に入ると、そこには映画で見た通りの光景が広がっていた。壁一面に飾られた、歴代校長たちの動く肖像画。遠目に見えるのは、あのグリフィンドールの剣らしき物と、年季の入った組み分け帽子だ。そして近くには、フォークスの止まり木もあった。
「さあ、そこに掛けなさい」
校長先生に椅子を勧められ、私は腰掛けた。その後、壁に掛けられた歴代校長たちの肖像画が一斉に動き出した。
「これだから最近の若い者は!」
「教師の娘でありながら、校則を破るなどけしからん!」
口々に飛んでくる小言を浴びながら、私が校長先生のお沙汰を待っていると、不意に目の前に小さなガラスのお皿が差し出された。中には綺麗な飴玉がいくつか入っている。
「レモン・キャンディーじゃ。わしは昔からこれが好きでのう、食べなさい」
「……ありがとうございます」
私は飴玉の包装を開け、口に含んだ。実は、前世の私は柑橘類が苦手だった。けれど、今世は食べられるようで、口に広がる甘酸っぱさは、なかなか美味しかった。
その後、先生はゆっくりと色々なことを話し始めてくれた。それはどれも先生の昔話のようで、前世の原作小説にも映画にも載っていなかった話ばかりだった。初めて聞く魔法界の歴史や古い話は新鮮で、気づけば聞き入ってしまっていた。
入室してから、早くも三十分ほどが経った頃。私としては、これ以上この空気に甘えるわけにはいかないと、言葉を区切った先生へ尋ねる。
「あの……校長先生、私の罰則とは一体何でしょう?」
どんな罰則だろうと構える私に、先生は悪戯っぽく目を細めて微笑んだ。
「今しておるじゃろ。老人の長話に付き合ってもらっておる」
前世の原作知識のせいで、私の中でのダンブルドア先生は、どうしても『ハリーたちをチェスの駒のように動かす影の策士』というイメージが強かった。
だから心のどこかで少し苦手意識を持っていたのだけれど、目の前の優しさには、少し救われた気がした。そんな私の心を見透かしたかのように、先生は穏やかに言葉を続けた。
「それにローゼ、君はお父さんから充分に罰を受けておるじゃろ? そのことはワシからハリー達に手紙で伝えておくから、安心しなさい」
その一言に、私は安堵した。交友禁止令でハリーたちに事情を説明することもできず、また彼らを傷つけてしまうのではないかと考えていたのだ。先生が代わりに手紙を書いてくれるのなら、これ以上の安心はない。
「……ありがとうございます、校長先生」
その後、さらに三十分ほど昔話を聞かせてもらい、時間が過ぎていった。最後に、先生は目を細めて私にこう告げた。
「さて、他のみんなには、罰則としてフォークスの毛並みの手入れを手伝ったと言いなさい」
止まり木の上で、フォークスが高い声でひと鳴きした。私は先生に頭を下げて、校長室から退室した。
それからは特にトラブルも起きなかった。
ある日、大広間で食事をしていると、グリフィンドールのテーブルからハリーたち三人が申し訳なさそうな顔でこちらを見てくる。教授との約束があるため返事をするわけにもいかないので、私は普段通りに過ごすことしかできなかったが、彼らに校長先生から連絡がいっているだろうことに安心する。
さらに別の日、朝食のテーブルにマクゴナガル先生からの手紙が届いた。本来の原作通りの罰則が今夜決行されるのだという。
夜の十一時。私はドラコと一緒に玄関ホールへと向かった。移動中、意気消沈しているのか、ドラコは黙り込んだままだ。ホールでハリーやネビルと合流し、私たちはフィルチさんに連れられて城の外へと出た。
これから向かうのは、暗い禁じられた森の奥だ。そこでハリーとドラコが、ヴォルデモート卿と出くわすイベントが待っている。
ハリーをあの恐怖に直面させるわけにはいかない。私は、教授との交友禁止令を「一言も喋らなければセーフ」というマイルールで解釈することにし、隣を歩くハリーの左腕を掴んだ。
「えっ……!?」
ハリーは突然のことに息を呑み、暗闇の中でも分かるほど赤くなって驚いていた。けれど、ハリーを守るためだ。私はそのまま腕を離さなかった。やがて私たちは、森の手前で待っていたハグリッドの元へと到着した。
フィルチさんが去ったあと、往生際の悪いドラコとハグリッドの間でひと悶着あったものの、私たちはこの森の奥で何をするのか詳しい説明を受けた。
私たちは二つのグループに分かれたけれど、途中でドラコがネビルを後ろから驚かせるという悪戯をしたせいで、ハグリッドの雷が落ちてグループが組み直されることになってしまった。ハグリッドがメンバーを入れ替えようとする中、私はハリーの左腕を離さなかった。絶対に、彼を一人にするわけにはいかないのだ。
私の気迫に押されたのか、ハグリッドとネビル、ハリーとドラコと私、それにファングというメンバーでチームを組んで先を目指すことになった。ドラコがすぐ後ろを歩いている以上、ここでハリーと言葉を交わすわけにはいかない。私はだんまりを決め込み、ただ森の奥へ進んだ。
それから三十分ほど歩いた頃、地面に銀色の血痕が飛び散っているのを見つけ、私は嫌な予感を覚えながらさらに先へと進んだ。少し先へと進むと、茂みの向こうに横たわるユニコーンの死体があった。
「あ……」
その命を無残に奪われた姿を目の当たりにした瞬間、私は自分でも気づかないうちにハリーの腕を離していた。引き寄せられるようにユニコーンの死体へと近づいていく。前世から動物が大好きだった私は、その無残な死に、こみ上げてくる涙を堪えることができなかった。
――その時だった。暗がりの向こうから、フードを深く被った何かが、地面を幾うようにして音もなくこちらへ迫ってきた。
ヴォルデモート卿だ。
それは、ユニコーンの死体のそばに立ち尽くす私のことなど目もくれず、ユニコーンの血をすすり始めた。
「――うわああああああ!!!」
そのおぞましさに耐えかねて、ドラコが絶叫を上げ、ファングと一緒に森の奥へと逃げ出していった。少し離れた場所を見ると、ハリーが額の傷を押さえ、苦しんでいるのが見えた。
(ハリー……!)
フードの怪物が、ハリーの方へ向かってゆっくりと動き出す。私はハリーの元へと駆け寄った。彼を庇うようにして立ちはだかり、私は持っていた杖を突き出す。
「――『プロテゴ(盾の呪文)』!!!」
私とハリーを包み込むように、強固な光の壁を張り巡らせた。フードの怪物が私たちの結界に迫り、いよいよ絶体絶命かと思われたその時、木々の隙間から一頭のケンタウルスが飛び出してきた。フィレンツェだ。彼は怪物に立ち向かい、その蹄でフードの影を追い払ってくれた。
(……あぁ、よかった。ハリーは助かったんだ)
フィレンツェの姿を目にして、安心が押し寄せてきた。それと同時に、極限の恐怖と緊張で、私の視界は急速に暗転し、そのまま意識を失った。
そんなに厳しめではないかな?
一応厳しめの前書きはつけておきます。
それでは読了ありがとうございました。
次話もお読み頂ければ嬉しいです。
失礼します。