賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
それではどうぞ!
今回は前回と同じくハリー視点の後編です。
よろしくお願いします。
▷視点、ハリー・ポッター
数日後、マクゴナガル先生から手紙が届いた。あの日言い渡された罰則が、今夜行われるという知らせだった。
夜十一時、僕はネビルと一緒に玄関ホールへと向かった。ネビルはまだあの夜のことを気にしているのか、歩きながらずっとメソメソと泣いている。
ホールでローゼとマルフォイの二人と合流し、僕たちはフィルチに連れられて、静まり返る城の外へと出た。
暗い夜道をしばらく歩いていた、その時だった。突然、僕の左腕をぎゅっと強く掴まれた。驚いてそちらを見ると、そこには僕の腕に必死にしがみついているローゼの姿があった。
いきなりのことで、僕は体が熱くなるのが分かった。耳まで真っ赤になっているのが、暗闇で隠せていればいいけれど。
こうしていると、みぞの鏡の中で見たローゼの姿を思い出す。あの時の鏡の中の彼女は、僕の隣で手を繋いで優しく笑っていたんだ。けれど、今のローゼは何かを必死に堪えるような、とても難しい顔をして僕の腕を握りしめている。
声をかけて理由を聞きたいけれど、すぐ近くにはマルフォイやフィルチがいる。ここで僕が声をかけてしまったら、スネイプ先生へ告げ口されてしまうかもしれない。そうなったら、ローゼがもっと大変な目に遭ってしまう。
僕は話しかけたいのを必死に堪えて、ただ黙ってフィルチのあとを追った。左腕から伝わってくるローゼの温かい体温と、大きく高鳴る胸のドキドキにひたすら耐えながら。
ハグリッドと合流し、フィルチが城へと帰ると、ハグリッドとマルフォイの間でひと悶着あったものの、今夜の目的についての話が始まった。
グループに分かれる際、最初は僕とローゼ、そしてハグリッドの三人で組むはずだった。しかし、マルフォイがネビルにくだらない悪戯を仕掛けたらしく、ハグリッドが急きょチームを編成し直すと言い出した。
ハグリッドはローゼをあっちのチームに移そうとしたみたいだったけれど、ローゼは僕の左腕を掴んだまま、頑として離そうとしなかった。ハグリッドも最後は諦めて、結局ハグリッドとネビルが二人で組み、僕とローゼのチームにマルフォイと犬のファングが加わることになった。
ハグリッドと一緒のチームだったら、ローゼと少しは話せたかもしれないのに。マルフォイがいるから、ローゼに話しかけるわけにはいかない。僕は心の中でマルフォイを恨んだ。それから僕たちは、重苦しい沈黙の中で暗い森を進んだ。
三十分ほど歩いた頃、地面に大量の血の跡を見つけた。そしてその少し先、木々の隙間で、純白に光り輝くユニコーンが、冷たくなって横たわっていた。僕はそのユニコーンの死体に目を奪われていた。すると、それまで左腕にかかっていた重みが、急に消えた。
ハッと我に返ると、ローゼが僕の腕を離し、ふらふらとユニコーンの死体へと近づいていた。危ないからと引き留めようとしたけれど、僕は彼女の横顔から目が離せなくなってしまった。
月光に照らされたユニコーンを見つめるローゼの目から、涙がぽたり、ぽたりと零れ落ちていたんだ。
隣にいたマルフォイも、その光景に目を奪われたのか、じっと固まっている。正直に言えば、「僕のローゼをそんな目で見るな」とマルフォイを怒鳴りつけたい気分だったけれど、今のこの静かで綺麗な瞬間を、どうしても壊したくはなかった。
――しかし、その静寂は突然破られた。
茂みの奥の暗がりから、フードを深く被った何かが、地面を這うようにして迫ってきたんだ。その不気味な影は、ユニコーンの死体の前に立ち尽くすローゼには目もくれず、傷口に顔を寄せると、銀色の血をすすり始めた。
「う、うわああああああッ!!」
マルフォイが絶叫を上げ、ファングと一緒に一目散に逃げ出してしまった。それと同時に、激しい痛みが僕の額の傷跡を襲った。頭が割れそうなほどの痛みに視界が歪み、僕はそのまま地面に膝を突きそうになる。倒れかける僕の視界に、こちらへ駆け寄ってくるローゼの姿が映った。
「――『プロテゴ(盾の呪文)』!!」
彼女が杖を振るった瞬間、まばゆい光の防壁が僕たちの周りに張り巡らされた。
カツ、カツ、と激しい蹄の音が森に響く。木々をなぎ倒すようにして、明るい金髪を持った一頭のケンタウルスが姿を現した。
気がつけば、先ほどまでユニコーンの血をすすっていたあの不気味な影は、いつの間にか消え去っていた。目の前に現れた相手が味方だと分かったのか、それまで必死に結界を維持していたローゼの体から、ふっと力が抜けた。
一年生では習わないはずの高度な呪文で、僕を守り抜いてくれた彼女は、そのまま僕の腕の中へ倒れ込んでしまった。
「ローゼ……!?」
僕は彼女の体を抱えたまま、どうしていいか分からずに立ち尽くしていた。すると、さっきのケンタウルスが、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。僕はローゼを後ろに隠すようにして、ケンタウルスの前に立ちはだかった。
もう絶対に、彼女を危険な目に遭わせたくはなかった。
けど、そのケンタウルスはとても穏やかな顔をしていた。彼は僕を襲う様子はなく、先ほどのフードの化け物の正体や、ユニコーンの血が持つ恐ろしい呪いについて、静かな声で詳しく説明してくれたんだ。
その後、森の奥から足音が近づいてきた。逃げ出したマルフォイの首根っこを捕まえて、ネビルを連れたハグリッドが僕たちの元へと合流してくれた。
そのフィレンツェと名乗ったケンタウルスとハグリッドが少し言葉を交わしたあと、フィレンツェは「今のこの森は危険だから、早く城へ帰りなさい」という警告を僕たちに残して、森の奥へと去っていった。
ハグリッドが来てくれたことで、僕はようやくホッとした。ハグリッドは横たわるローゼの体を抱え上げると、自分の広い背中に乗せて、お城の医務室まで大切に運んでくれたんだ。僕はそのまま医務室に付き添いたかったけれど、マダム・ポンフリーがどうしても許してくれず、仕方なく僕とネビルは二人でグリフィンドールの談話室へと戻った。
談話室に戻ると、僕たちの帰りをずっと待っていてくれたロンとハーマイオニーの姿があった。僕は二人に、森の中で起きた恐ろしい出来事と、ケンタウルスのフィレンツェが教えてくれたことをすべて話した。
ユニコーンの血をすすっていた、あの不気味な影の正体。そして、その影が今まさに求めている『賢者の石』のこと――。話を終えた僕たちの結論は、一つだった。
「クィレル先生が賢者の石を狙っていたのは、例のあの人のためだったんだ……!」
恐ろしい事実にたどり着いてしまい、僕とロンは顔を見合わせることしかできなかった。だけど、そんな僕たちを励ますように、ハーマイオニーが言ってくれた。
「大丈夫よ、ハリー。例のあの人が唯一恐れているダンブルドア校長先生がこの学校にいるわ。先生がきっと、あなたを守ってくれる」
ハーマイオニーの言葉に、僕とロンはようやく息を吐いて、ホッとすることができた。ダンブルドア先生がいてくれるなら、きっと大丈夫だ。
それでも、僕の頭からは、もう一つの心配事が離れなかった。僕のために体を張って、高度な魔法で守ってくれた、そのまま僕の腕の中に倒れてしまったローゼの姿――。僕は医務室にいるローゼのことを心配しながら、それぞれのベッドに入り、ようやく眠りについたんだ。
翌朝、目が覚めた僕たち三人は、ローゼのことが心配で、朝食の前に急いで医務室へと向かった。
「ハリー、忘れないで。ローゼは今年度内、私たちと授業以外では話しちゃいけないのよ」
ハーマイオニーに言われて、僕たちはローゼの眠るベッドには近づかないことにした。僕たちが話しかけたせいで、また彼女がスネイプ先生に怒られてしまったら大変だからだ。
入り口の近くでマダム・ポンフリーにローゼの様子を尋ねると、意外な答えが返ってきた。ローゼは昨夜のうちに、すでに目を覚ましていたらしい。そして、夜中に医務室へやってきたスネイプ先生と一緒に、もうスリザリンの寮に戻ったのだという。
直接ローゼの顔を見て無事を確かめたかった僕は、会えなかったことに少しがっかりした。
でも、あのいつもは怖いスネイプ先生が、夜中に医務室までわざわざ来てくれたと聞いて、ローゼはちゃんとお父さんに大切にされているんだなと、少し安心した。
ハリー視点後編です。
それでは次話も、お読み頂けましたら嬉しいです、
失礼します。