賢者の石と緑の目の少女編での、注意事項を
10話の前書きに、のせております。
そちらの注意事項を、よくお読み頂いてから
先へとお進みください。
厳しめ、原作改変、独自設定、独自解釈、独自展開など
多数です。
その為、何でもあり、大丈夫、な方のみ
お進みください。
それではどうぞ!
今回はスネイプ教授視点です。
続けてのキャラ視点ですが、お楽しみ頂ければと思います。
▷視点セブルス・スネイプ
ハロウィンのトロール事件以降、吾輩の周囲は目まぐるしく過ぎ去っていった。
あの忌々しいトロールを仕留め、リリローゼとグレンジャーを無傷で保護できたことだけは、数少ない幸いであった。その後、マクゴナガルによる長い説教が始まった。
その際、吾輩の後を追ってきていたリリーの息子達も、共に並んで大目玉を食らっていたな。ようやくその退屈な時間から解放されたあと、吾輩はリリローゼを連れて私室へと戻った。
何があったのかを厳しく問いただそうとしたのだが、娘は頑なに口を閉ざし、何も話そうとはしなかった。一体何を隠しているのか。誰に似たのか、実にもどかしいほど強情な娘だ。
これ以上追及しても無駄だと判断し、仕方なく少々の雑談を交わしていると、安心したのだろう。彼女は眠そうに船を漕ぎ始めた。
……まったく、仕方のない娘だ。
吾輩はため息をひとつつき、眠気に勝てなくなった彼女を抱き上げて自身のベッドに横たえ、毛布を掛けた。
その後、机に溜まっていた雑務をすべて片付けることにした。書類に目を通し終え、吾輩がようやく執務室のソファで横になった頃には、すでに夜が明けかけていた。
我がスリザリンとグリフィンドールとのクィディッチの試合の折には、さらに忌々しい事件が起きた。リリーの息子が乗るほうきが、突然暴れだし、奴を空中に振り落とそうとしたのだ。吾輩はすぐさま何者かによる呪詛を察知し、瞬きもせず視線を固定したまま、反対呪文を唱え続けた。
しばらくしてようやく呪詛が途切れ、奴は地上へと降り立った。一体誰が仕掛けたものか。そう訝しく思いながらも、吾輩とて暇ではない。教員としての職務をこなし、同時に、あの胡散臭いクィレルへの対策を裏で練る日々が続いた。
気がつけば季節は流れ、ホグワーツは白銀のクリスマスを迎えていた。リリローゼへのクリスマスプレゼント選びは、吾輩にとって最大の難問であった。これまではあの娘に直接欲しいものを聞き、誕生日には花束を、クリスマスには菓子を贈るのが常であったのだ。
だが、流石にホグワーツに入学して一人の魔女として歩み始めた娘に、いつまでもそればかりでは芸がない。
悩んだ末、吾輩はマクゴナガルに相談を持ちかけた。間違ってもダンブルドアに相談などできん。からかわれるのが目に見えているからな。
その結果、マクゴナガルの助言に従い、白いワンピースを贈ることに決めたのだった。
クリスマスの朝、リリローゼから手作りの贈り物が届いた。手編みの、濃紺の生地に、フチにはスリザリンカラーの深緑があしらわれたマフラーであった。
――まったく、あの娘は器用なことをする。
大広間で行われたクリスマスの宴は、ウィーズリーの騒がしい双子やその弟、そしてリリーの息子が大騒ぎをしており、耳障りであった。だが、それ以上に吾輩の気分を害したのは、マクゴナガルが口を滑らせたのか、ダンブルドアに「白いワンピースかね、セブルス」とからかわれたことだ。
大広間で白いワンピースを着ている娘を、眩しそうに見つめるあの老人の目が、実に不愉快だった。まったく食えない老人だ。
その日の夜、吾輩はさっそくリリローゼから贈られたマフラーを首元に巻いた。流石に昼間、生徒たちの前で見せるわけにはいかんが、暗闇の夜回りであれば問題なかろう。首元から伝わる温もりに、心の中で満足しながら廊下を歩いていると、フィルチがやってきた。
図書室の禁書棚付近に、まだ温かい、灯りの消えたランプが落ちていたという。何者かが潜んでいるのは確実であった。吾輩はフィルチと共に図書室周辺を見回ったものの、侵入者は逃げ足が速く、影一つ捉えることはできなかった。
それから幾日かが経ち、クリスマス休暇が明けて新学期が始まった。あのクィディッチの試合でのほうきの暴走――何者かがリリーの息子を狙っている可能性を考慮し、ダンブルドアと話した結果、次のグリフィンドール対ハッフルパフの試合は、吾輩が審判を務めることに決定した。
裏から奴を守るには、ピッチへ直接立つのが一番確実だからだ。不本意ながらも、吾輩は私室でクィディッチのルールブックを開き、細かな規則を一つずつ頭に叩き込んでいた。
恥を晒すわけにはいかんからな。
その最中、自室のドアの前から人の気配を感じた。
「入りなさい」
吾輩が促すと、ドアを開けて入ってきたのはリリローゼであった。娘の顔色を一瞥し、吾輩は密かに眉をひそめた。どうやら何か悩みを抱えて、落ち込んでいるようだ。
吾輩は読んでいたルールブックに栞を挟んで机に置き、彼女を椅子に座らせた。年頃の娘の悩みに、吾輩のような無粋な男が口を出したところで、ろくなことにはならん。吾輩はあえて理由を聞かず、奥の部屋へ下がって手早く温かいホットミルクを用意し、彼女に手渡した。
その後は、ルールブックを片手に時折視線を交わしながら、娘の他愛のない話を聞いて過ごした。そうして時間を過ごすうちに、娘の強張っていた表情が少しずつ和らいでいくのが分かった。
ミルクを飲み干し、落ち着いたのだろう。立ち上がってお礼を言い、部屋を去ろうとする娘の背中に、吾輩は言葉を掛けた。
「リリローゼ。何があったのかは聞かん。……だが、一人で無理なら、いつでもここに来なさい。ホットミルクくらいなら、いつでも出してやる」
数日後、グリフィンドール対ハッフルパフの試合当日。
吾輩はほうきの上で、襲撃者への警戒を続けていた。試合開始の笛が鳴る。
上空を旋回する中、一瞬、クィレルがいる観客席の方向から妙な気配を感じて吾輩は目を光らせた。しかしその直後、リリーの息子がわずか五分足らずでスニッチを手に入れ、あっけなく試合を終了させたのだ。
あまりに早すぎる決着に、吾輩は呆気にとられるしかなかった。
試合終了後、グラウンドが歓声に沸く中、吾輩はすぐにクィレルの後を追った。
人気のない禁じられた森の境界付近で奴を捕らえ、その不穏な動きについて問い詰める。クィレルに対し、吾輩は立ち去り際に言葉を掛けた。
「近々また会うまでに、よく考えてどちらの味方につくのか決めておけ――」
吾輩はマントを翻して、城へと引き返した。
その夜。クィレルの監視を終え、自室でようやく一息ついていると、リリローゼが部屋へとやって来た。あの娘は、城の厨房を借りて作ったという菓子を吾輩に差し出してきたのだ。白い生地に苺が載った、見慣れないケーキであった。
それと共に、もう一つ――魔法を一切使わずに、紙を折り込んで作られた鳥まで手渡されたのだ。聞けば、先日吾輩が私室で振る舞ったあのホットミルクに対する、あの娘なりの御礼だという。
――ふん、まったく。どこでこのような技を仕入れてくるのやら。
吾輩は呆れたふうを装いながらも、娘の気遣いを受け取るのだった。
そんな風に日々を過ごすうち、気がつけば二ヶ月余りで進級試験という時期を迎えていた。相変わらずリリーの息子周辺への警戒を怠らず、同時にクィレルの動向や賢者の石の防衛に気を張り詰めていた、ある日のことだ。
図書室の前を通りかかった吾輩は、リリーの息子たちと親しげに並んで歩くリリローゼの姿を目撃した。
――吾輩は少々、頭が痛くなった。
あれほどポッターたちとは距離を置けと、言い聞かせておいたというのに。
その日の夜、吾輩はリリローゼを自室に呼びつけた。以前の注意を忘れたわけではあるまいなと、厳しく説教をした。最終的に、あの子が泣きそうな顔で「これ以上深入りはしない」と約束を口にしたため、その場は渋々交友を黙認することにしたのだが……。
それから幾日かが経った頃。
今度はルシウスの息子であるドラコが、校内で何やら妙な動きをしているという噂を耳にした。ポッターのみならず、今度はドラコまでもが問題を起こすつもりか。次から次へと舞い込んでくる厄介事に、吾輩は頭痛を覚えながら、溜め息をつくしかなかった。
そして、土曜日の深夜。
吾輩はマクゴナガルから、とんでもない知らせを受け取ることとなった。マクゴナガルから告げられた言葉に、吾輩は一瞬、息が止まった。リリローゼが夜歩きで捕まった。それも、リリーの息子と深夜の天文学の塔から降りてきたというのだ。吾輩の脳裏に、最悪の想像がよぎった。
あのトラブルメーカーであるポッターの近くにいれば、いつか大怪我を負うのではないかと心配していたが、まさかこれほど早く、しかも深夜に二人きりでいるなど……!
吾輩はマントを翻し、激しい動悸を胸の奥で抑えつけながら、マクゴナガルと共に職員室へと大股で向かった。その途中で、廊下をうろついていたロングボトムまで見つけてしまった。実に見苦しい。
ドアを開けると、そこには我が娘リリローゼとドラコ、そして、青い顔をしたリリーの息子がいた。吾輩の視線は、真っ先に娘へと向かう。怪我はないようだが、吾輩の姿を認めるなり、あの子は絶望したような顔を見せた。
あれほど深入りするなと言い聞かせたというのに、お前という娘は……。込み上げる激しい怒りと、それ以上に、あの子が無事で良かったという安堵が混ざり合い、吾輩はただ静かに、娘の姿を見つめることしかできなかった。
結局、マクゴナガルによって両寮から百点ずつの大減点と、ダンブルドアの余計な差し金による、校長の手伝いという追加のペナルティが娘に下された。あの老人が、何を企んで娘を近くに置こうとしているのか。不愉快極まりない。
処罰が決まったあと、吾輩は一言も発さぬまま、リリローゼとドラコの首根っこを掴まんばかりの勢いで、地下牢の寮へと連行した。先にドラコをスリザリン寮の中へ押し込み、周囲に他の生徒がいないことを確認すると、吾輩はリリローゼの細い腕を掴み、そのまま己の自室へと向かった。ドアを叩きつけるように閉め、普段より低い声で娘を見下ろす。
「……リリローゼ。吾輩が何を言いたいか、言わなくても分かるであろう?」
必死に平謝りを繰り返す娘を前に、吾輩のコメカミの頭痛は限界に達していた。規則を破ったことへの怒りではない。もし、夜の暗闇の中で娘の身に何かあったらという恐怖が、吾輩をこれほど苛立たせるのだ。あの子は、自分がどれほど吾輩にとって替えの利かん存在であるかを分かっておらん。
これ以上の猶予は与えん。
吾輩は娘に対し、今年度内は授業以外でグリフィンドール生と会話することすら禁じる処罰を言い渡した。涙目で部屋を去っていく娘の背中を見送りながら、吾輩はため息をつくしかなかった。
翌日、グリフィンドールとスリザリンの点数の激減、そしてその主犯格としてポッターの名がホグワーツ中に広がっていた。どうやらあの小僧は、もともと「生き残った男の子」として有名であったことが災いしたようだ。
同じ違反者であるロングボトムとは違い、グリフィンドール生どもから白い目を向けられ、孤立しているようだった。……自業自得だな。
我がスリザリン寮内でも、リリローゼとドラコの失態が、朝から噂の的となっていた。しかし、リリローゼが他の生徒から嫌がらせをされるといった、実害は出ていないようだった。
常に強者を尊び、保身を第一とするスリザリンの特性ゆえか、それとも――。
「スネイプの娘なのだから、寮監の権限で、公にされない酷い罰を今も裏で受けているに違いない」
小耳に挟んだそれは、腹の立つ噂であった。吾輩が我が子を虐待しているとでも言いたげな、実に見当違いな邪推だ。
……しかし、認めざるを得ん。実際、吾輩があの子に科した交友禁止令は、あの子にとっては酷い罰であることは間違いないのだ。結果的に、あのダンブルドアの余計なお世話とも言うべき追加ペナルティが、リリローゼを他の生徒たちの悪意から遠ざける防波堤の役目を果たしてくれたようだ。
あの食えない老人のことだ。ここまで見越してあのようなことを言い出したのだとしたら、実に不愉快極まりない。だが、あの子の平穏が守られたことだけは確かであった。
それから、さらに時が流れた。
マクゴナガルから告げられた、あの子供たちへの罰則の内容を聞いたとき、吾輩は自分の耳を疑った。あろうことか、あの『禁じられた森』へ、ハグリッド主導で夜回りをさせるというのだ。
吾輩はすぐさまマクゴナガルに苦言を呈したが、すでに決定したことだと一蹴された。実にお堅い同僚だ。あのハロウィンのトロール騒ぎの際、リリローゼが展開した『プロテゴ』を思い返せば、そう簡単に遅れを取るようなことはないだろうが……。
しかし、リリーの息子は何者かに命を狙われているのだぞ。よりによって、防衛能力を持たぬ大男一人を付き添いにして向かわせるなど、正気とは思えん。
――しかし、覆らぬ決定を前に、今の吾輩にできることは何もなかった。
吾輩は何も起きないことを、信じてもいない神にではなく、ただ、一人の女性――リリーに、あの子たちの無事を祈るのだった。
禁じられた森での罰則が実施された、あの最悪の深夜。
吾輩は今、ダンブルドアからの緊急の知らせを受け、激しい動悸を胸の奥で抑えつけながら、医務室へと向かっている。知らせによると、我が娘リリローゼとその他数名が、罰則の最中に正体不明の何者かに襲撃され、娘が意識を失った状態で運び込まれたというのだ。
――だから言ったのだ、あの森は危険だと!
今すぐにでもマクゴナガルの胸ぐらを掴んで問い詰めたい衝動を抑え、吾輩はマントを翻して、医務室への廊下を急いだ。医務室のドアを押し開けると、すぐにマダム・ポンフリーに迎えられ、容体の説明を受ける。
「体にはどこにも異常はありません。極度の魔力消費と、精神的疲労による一時的な気絶でしょう」
その言葉を耳にした瞬間、吾輩は安堵した。胸の痛みが、ゆっくりと引いていく。娘の横たわるベッドへと近づくと、リリローゼはすでに薄らと目を開けていた。吾輩の姿を見て、申し訳なさそうな顔をする。
マダム・ポンフリーは念のために一晩ここで入院させるべきだと主張したが、これ以上、娘を吾輩の目の届かぬ場所に置いておくなど、到底受け入れられん。吾輩は彼女の制止を振り切った。
まだ体の定まらないリリローゼを、壊れ物でも扱うように抱きかかえ、吾輩は地下牢の自室へと連れ戻した。もう二度と、この子を危険な目に遭わないことを、その確かな温もりを、この腕の中で噛み締めながら。
ハリー視点に続きスネイプ教授視点です。
ハロウィンからの怒涛の回想なので
長くなってしまいました。
なんだか、このところ全体的に長いかな?
これも、分けたほうが良いでしょうか?
ご意見頂けましたら修正します。
お願いします。
それでは失礼します。