色々捏造など多数です。
タグが足りなかったり、注意が足りない可能性もあります。
何でも有りな方のみ、お進みください、
分かりづらい表現があるかもしれません
読んだあとに、何かあっても責任はとれません。
重ねて申しますが、何でも大丈夫な方のみお進みください。
それではどうぞ
▷視点、ホムンクルス
「きょうじゅ……――プロフェッシャー……!」
私の小さな唇からこぼれ落ちたその一言に、セブルス・スネイプ教授の黒い瞳が激しく見開かれた。驚愕に染まったその顔は、正直に言って、めちゃくちゃに怖い。
(……あ、頭を抱えたい。ヤバい、今の失言は完全にやらかした……!)
この身体が転生なのか憑依なのかはまだ分からないけれど、状況から見て、この人がこの幼い私の父親なのだろうとは思う。いくら推しだからって、実の父親を「教授」などと呼ぶ子供がいるだろうか?
私の致命的な失言に脳内で大反省会を開いていると、スネイプ教授の右手がローブの袖からすっと杖を抜き出し、私へと向けた。その底のない漆黒の瞳が、私をじっと見つめてくる。前世の映画の知識が、私の脳裏に警報を鳴らした。これは、相手の心を覗き見る精神魔術――『開心術(レジリメンス)』だ。
(まずい、覗かれる……っ!)
私を覆い始めた圧迫感に身構えた、その瞬間――。私の身体の内側から、パキンッ! と何かが硬く弾けるような不思議な音が響いた。それと同時に、私を包み込もうとした重苦しい圧迫感が、嘘のように綺麗に引いていく。
何が起きたのかは分からなかった。
(もしかして、これが俗に言う、転生特典かな?)
どうやら助かったらしい。ホッと胸をなでおろす。もし今の術で、私の中身が42歳独身日本人女性のハリー・ポッターオタクだなんて記憶を覗かれていれば、怪しまれるどころか、即座に化け物として処分されていてもおかしくなかった。
(転生特典だとしても、幼児が開心術を弾くなんて、スネイプ教授からしたら怪しいよね?)
私が内心で考えながら、スネイプ教授を見上げると、スネイプ教授は何かを猛烈に思案するような顔をしたあと、再び凄まじい衝撃に打たれたように目を見開いた。そして、握っていた杖を床へぽろりと落とし、冷たい石造りの床にそのまま、がくりと膝をついたのだ。
(え……?)
目の前で、起きたことが信じられなかった。あの冷酷無比で、感情を滅多に表に出さないスネイプ教授の黒い瞳から、一粒、また一粒と、綺麗な涙が零れ、頬を伝って流れ落ちていく。
それは、前世の映画の彼の最期、彼が息を引き取る直前にハリーへ遺した、あの記憶の雫と同じ――言葉を失うほどに、美しく切ない涙だった。この人が本当にセブルス・スネイプ教授ならば、いまが原作の時間軸のいつ頃かは分からない。
けれど、二重スパイという過酷な運命を背負い、あまりにも深い孤独の中にいるこの人の立場を思えば、いつ心が壊れてしまってもおかしくないはずだ。映画の中のキャラクターじゃない。
この人は、私の目の前で血を流すように涙を流している、一人の生きた人間なのだ。そう考えた私は、冷たい石造りの床からゆっくりと小さな足で立ち上がった。ふらつく足取りで、膝をついて泣き崩れるスネイプ教授の元へと近づき、幼児の小さな手を、彼の漆黒の髪へとそっと伸ばした。不器用にその頭を撫でながら、私は舌の回らないたどたどしい幼児の言葉で、精一杯の気遣いを込めて話しかける。
「だい、じょーぶ……? いたい……?」
――その瞬間だった。
スネイプ教授の黒い目から、堰を切ったようにさらに激しい涙が溢れ出た。彼は衝動を抑えきれないように、小さな私の身体を覆うようにして、壊れそうなほど強く抱きしめてきたのだ。
「……っ、ああ……! あああ……っ!」
耳元で、彼の押し殺したような嗚咽が響く。視界が彼の黒いローブで満たされ、私はその大きくて、ひどく温かい体温に、優しく、けれど絶対に離さないという確固たる強さで包み込まれていた。
この瞬間、私は原作なんて関係ない、と思った。この不器用な、けれども己の愛に殉じた――おそらくは今世の私の父親だろう、この人を何に代えても守りたいと強く願った。
しばらくの間、泣き崩れるその人の頭を、私は小さな手で根気強く撫で続けた。どれほどの時間が経っただろう。
スネイプ教授はふと顔を上げると、ローブの奥から取り出したハンカチで静かに涙を拭った。まだ微かに赤みの残る黒い目が、まっすぐに私を見つめ、
「お前は、吾輩の娘……リリー……いや、リリローゼだ」
低く、けれど慈しむような声で、彼はそう教えてくれた。
(リリローゼ……百合と薔薇、ね。おそらく、私の名前よね?)
正直、中身が42歳の日本人女性としては、あまりにも可愛らしすぎる名前に内心で少しむず痒さを覚える。けれど、目線の高さや、手や足を見るに幼い女の子だし、何よりこの偏屈なスネイプ教授が、娘とはいえ、生涯愛したリリーさんの名前をもじって付けてくれたのだ。
母親がつけた可能性はゼロではないが、オタクとしては、それだけで十分すぎるほどの特大の感情だった。私は、元大人の理性をフル稼働させ、この状況で最も効果的な、可愛い幼児の演技を披露することに決めた。
「お、とーしゃん……? り、りりろーじぇ……?」
小さな首を傾げ、舌足らずにそう呟いてみる。
(残念ながら、舌足らずは仕様だ。)
「――そうだ。お前の名前はリリローゼ。吾輩の、たった一人の愛しい娘だ」
愛? 娘?
その言葉を発したスネイプ教授の顔から、先ほどまでの冷酷さや苛立ちは完全に消え失せていた。それどころか、宝物を前にしたかのような、狂おしいほどの熱を孕んだ優しい目を私に向けていた。このスネイプ教授の見た目からして、おそらくまだ原作のストーリーは始まっていないだろう。
(映画で見たより、いくらか若々しいし……)
この幼児の姿では、変に質問攻めをするわけにもいかない。ならば、時間をかけて情報を集めるべきだろう。まずは、さっき私が「教授」と呼んだ際、それを否定されなかったこと。つまり、この人はすでにホグワーツで教鞭を執っているのだ。
ということは、ヴォルデモート卿はリリー・ポッターの愛の守りで力を失い、ポッター夫妻は亡くなり、ハリーは「生き残った男の子」になっているのだろう。ハリーと私は同じ歳なのか? それともいくつか離れているのか?これが分かれば、ハリーがホグワーツに入学するまでの時間と、私が準備できる残り時間が分かる。
なんとかして、この人をあんな――孤独と無力感に苛まれ、死による救済という最期から救う方法を考えなければ。同じ蛇、ナギニに噛まれたのに助かったアーサー・ウィーズリーのように、救える方法が、きっとあるはずだ。
教授の娘ならばスクィブ(魔法の使えない魔法族)という可能性は低いだろうし、私もホグワーツに行きたい。けど、できたらハリーや、その周辺の人とは関わらないようにしないと。不干渉なんて、本当にできるかは分からないけれど。私が関わって原作が変わったら、先読みが出来なくなる。
(死んでしまう人は出来るだけ助けたいけど、亡くなる人全てを覚えている訳じゃない)
ハリポタファンであろうと、原作も映画も観たのは何年も前だ。
(前世の最期のほうは、二次創作ばかり読んでいたし)
ならば原作改変は最小限に。最終目標は、今世の私の父であるセブルス・スネイプ教授を救うことだ。
スネイプ教授の開心術を、破ったのは
オリ主の考える通り
転生特典です。
前回のスネイプ教授目線と、開きがありますが、
わりかし、このオリ主はこんな思考で進みます。
不快に感じましたら、逃げてください。
閲覧ありがとうございました。
修正しました。(2)