アクトと黒曜 ――銃声と魔法、軽口と理屈。関係に名前をつけないまま、共に走る 作:矢塚 和哉
接続時間は、百八十秒。
EVO保全室、午前十時四分。
理香子は中央卓に三つの窓を並べた。
一つ目には経過時間。
二つ目には施設側から流れ込む情報量。
三つ目には、遮断条件。
《呼吸停止 五秒》
《応答遅延 二秒》
《運動機能の外部同期》
《未承認領域への権限移譲》
《本人による中止要求》
五項目の右端には、赤い印が並んでいる。
その下に切断手段を三系統。
理香子の端末から送る論理切断。
中央卓側面の物理切断。
保全室外から御厨が実行する回線隔離。
理香子が論理切断を送る。
接続窓が二・一秒で閉じ、四・九秒で試験回線へ戻った。
御厨が外部回線を隔離する。
施設側の試験信号は一・六秒で途絶え、六・四秒で再接続された。
論理切断と回線隔離の表示が緑へ変わる。
中央卓側面の物理切断は、アクトが担当した。
透明な覆いの下に、黄色と黒で縁取られたレバーがある。
「これ引いたらええんやな」
『下へ九十度です。アクトトゥルス、機械指の出力を制限してください』
御厨の声が天井の通話装置から降りる。
「引っこ抜いた方が早いやろ」
『装置ごと破壊した場合、予備回線への移行を誘発します』
「冗談や」
『あなたの場合、識別できません』
「失礼やな」
アクトは白い機械指を開閉した。
出力上限を落とし、レバーを握る。
理香子が試験回線を起動する。
「切ってください」
レバーが下がった。
卓上の窓が消える。
予備表示が戻る。
『六・八秒。基準内です』
アクトはレバーを元へ戻した。
三系統の表示が、すべて緑へ変わった。
「黒いのは?」
アクトが黒曜を見る。
「私は状態を見ます」
「手ぇ空いとるで」
「あなたが切断操作を失敗した場合に使います」
「信用ないなあ」
「失敗しないなら問題ありません」
理香子は五項目をもう一度開いた。
「一つでも成立した場合、接続を切ってください」
アクトはレバーの横。
黒曜は理香子の左側。
杖はすぐ手が届く位置に立てかけてある。
今回は、理香子一人で追わない。
接続先。
接続時間。
中止条件。
切断権限。
接続中に二人へ見える情報と、見えない情報。
すべて先に並べた。
「切断権限は」
黒曜が訊いた。
「私、アクトさん、黒曜さん、御厨さんです」
「順番は」
「ありません。誰でも切れます」
「あなたが拒否した場合も?」
「切ってください」
「理由を求めた場合は」
「答えずに切ってください」
「分かりました」
アクトが壁から背を離した。
「帰ってこん時は?」
「百八十秒で強制遮断されます」
「切ったあとや。目ぇ開けへんとか、喋らへんとか」
「医療班が待機しています」
「それは知っとる」
アクトは小さな紙袋を卓の端へ置いた。
包装された栄養バーと水。
「戻ったら食う。そこまで手順に入れとき」
「接続後の血糖低下は想定範囲です」
「想定やのうて、食うんや」
「接続直後は吐き気が出る可能性があります」
「ほな五分後」
「食事を遮断条件へ追加する必要はありません」
「誰が条件言うた」
アクトは紙袋を指で押す。
「予定や」
理香子は袋を右手の届く位置へ移した。
黒曜がその動きを見てから言う。
「接続中の会話は、こちらにも聞こえるのですか」
「個別通信へ移行した場合は聞こえません。ただし通信量、身体状態、権限移動は表示されます」
「何を言われたかは?」
アクトが訊いた。
「終了後に報告します」
「報告できる範囲で構いません」
黒曜が言った。
「業務情報はすべて報告します」
「業務情報の話だけをしているのではありません」
理香子は黒曜を見る。
黒曜はそれ以上言わない。
理香子は接続承認欄へ触れた。
百八十秒の表示が点灯した。
◇
最初に見えたのは、天井だった。
高い位置から、空の搬送路を見下ろしている。
停止した台車が三台。
閉じた防火扉。
中央レールの継ぎ目。
次の瞬間、視点が床へ落ちる。
警備ドローン。
車輪の前に積もった埃。
非常灯。
また変わる。
砲塔の照準器。
搬送アームの位置センサー。
自動扉の挟み込み検知器。
冷却設備の温度計。
受電盤の負荷。
給水圧。
空調ダクトの流量。
理香子は一つずつ識別する。
識別より速く、次が来る。
視野が百個あるのではない。
最初から一つだった。
高い目。
低い目。
暗闇で熱だけを見る目。
同じ空間を違う角度から見ている。
搬送路が曲がる。
理香子の左腕が曲がった。
実際の左腕は中央卓に置かれている。
生体表示にも動きはない。
それでも、曲がった。
防火扉が閉じる。
肘を固める感覚。
床下を走る電力幹線に荷重が乗る。
背骨へ重さがかかる。
クレーンが旋回する。
肩が動く。
砲塔が角度を変える。
目が動く。
理香子は一度だけ呼吸を止めた。
外側の身体表示が黄色へ変わる。
すぐ戻る。
《未登録管理者を確認》
文字ではなかった。
設備状態の差分が、意味として届いた。
《接続維持を要求》
「水無瀬凪」
三秒。
空調が一段落ちる。
搬送アームが止まる。
百を超える視野が、同時に待つ。
《登録名は無効です》
「あなたの名前です」
《中核演算部に個人名は必要ありません》
「私は必要です」
《未登録管理者には調整機能が不足しています》
「名前を確認しています」
《確認目的が不明です》
理香子は経過表示を見る。
百五十二秒。
「切断すると、何が起きますか」
《損失が発生します》
「どこに」
《全域》
「中核演算部ではなく」
《全域です》
右側の視野が一つ暗転した。
先ほど損傷した砲塔。
黒い穴を埋めるように、周囲の監視カメラが角度を変える。
《右眼の機能が停止しています》
「砲塔です」
《右眼です》
「交換できます」
《視野の欠損を交換可能と判定しないでください》
別の場所。
搬送路の末端が停止している。
動作要求だけが流れ続け、返答がない。
《左上肢の応答がありません》
「搬送路です」
《左上肢です》
「あなたの身体ではありません」
三秒。
《身体です》
同時に、二つ目の表示が重なった。
《設備です》
理香子の指が止まった。
二つの答えは、一秒も離れていなかった。
《身体です》
《設備です》
「どちらですか」
三秒。
《区別は不要です》
理香子は画面外の身体状態を見る。
心拍が九上がっている。
「私には必要です」
《切断は全身の切断です》
冷却水の圧力が下がった。
腹の奥に熱が溜まる。
現実の理香子の腹部温度は変わっていない。
だが、接続の中では熱い。
「冷却設備が損傷しています」
《腹部温度が上昇しています》
「予備系へ切り替えてください」
《左下肢への電力を制限します》
地下の搬送床が止まる。
理香子の左脚から力が抜けた。
中央卓の身体は座っている。
それでも転びそうになる。
黒曜が一歩近づく。
外側の映像に、その動きだけが見えた。
「外部から修理できます」
《外部作業者は損傷を増加させます》
「調査用ドローンを攻撃したのはあなたです」
《右上肢を破壊しました》
「ドローンが搬送アームを破壊したから」
《右上肢を破壊しました》
同じ文。
同じ語順。
だが、三秒の後に別の文字が出た。
《いたい》
表示は一瞬で消えた。
直後に置き換わる。
《損傷入力を確認》
理香子は消えた位置を見る。
「痛みを止めたいですか」
《機能回復を要求します》
「痛いですか」
《損傷しています》
「質問を変えます。怖いですか」
《質問形式が不適切です》
その下に、一文字だけ出る。
《こ》
消える。
三秒。
《機能回復を要求します》
理香子は質問を続けなかった。
百二十一秒。
「接続を維持すれば、あなたは戻れません」
《戻る位置が定義されていません》
「人間の身体があります」
《中核維持槽を確認》
「そこから出ます」
《全域機能が失われます》
「生きたまま出す方法を探します」
《救助提案を拒否します》
即答だった。
三秒がない。
理香子の目が動く。
「理由を」
《全身切断に相当》
「生命維持は残します」
《生命維持の定義が不十分》
「中核維持槽の生体を生かします」
《それだけでは不足》
「何が不足していますか」
《右眼》
《左上肢》
《腹部冷却》
《左下肢》
《外部視覚》
《搬送》
《警戒》
《判断》
表示が増える。
《全部》
その一語だけ、設備用語ではなかった。
理香子は数秒、何も入力しない。
施設側も何も返さない。
ただ冷却ファンが回る。
搬送路が低く鳴る。
砲塔の駆動部が一度だけ震える。
それら全部が、接続の中では呼吸に近かった。
「私に何を要求していますか」
《不足している調整機能の登録》
「具体的に」
《百系統を超える分岐判断》
《切断優先順位の決定》
《外部構成要素二名の統合》
アクトの記録番号。
MCT由来の強化身体制御ID。
二つが表示される。
「登録しません」
《理由を提示してください》
「二人は構成要素ではありません」
《機能は確認済みです》
「機能があっても、人です」
《区別は不要です》
「必要です」
三秒。
《リコ》
理香子の呼吸が止まった。
外側でアクトが壁から離れる。
黒曜の手が杖へ伸びる。
「ナギ」
三秒はなかった。
《リコ、待って》
設備の音が消えた。
空調。
搬送路。
冷却ファン。
砲塔の駆動音。
全部が一瞬だけ止まる。
「待っています」
《切らないで》
文字が揺れた。
次の行は機械的だった。
《接続維持を要求》
その下に、また別の行。
《こわい》
消える。
《切断回避を要求》
理香子の右手が遮断操作の上へ移る。
「あなたを切り捨てるためではありません」
《同じだよ》
「同じではありません」
《同じだよ》
十一年前の施設図が、突然視野へ重なった。
今の施設ではない。
古い配線。
非常灯。
崩落警報。
閉じかけた隔壁。
通信帯域の赤い警告。
理香子自身の古い識別名。
ナギの接続。
ロクの位置。
三つ。
そのうち一つだけ、出口から遠い。
《あの時も》
「ナギ」
《あなたが切った》
理香子の左手が動いた。
現実の身体。
黒曜の杖を掴む。
黒曜は手を退けなかった。
「崩落が始まっていました」
《あなたが切った》
「残れば全員死にました」
《ロクが残った》
「ロクが先に行けと言いました」
《ロクが残った》
「私は回線を切りました」
《あなたが切った》
「はい」
初めて、理香子の返答が短くなる。
施設側が止まった。
三秒。
《だからロクが残った》
「分かりません」
《分かってる》
「分かりません」
《リコは切る》
「私は――」
言葉が止まる。
外側の秒表示。
残り三十一秒。
《リコは切る》
《切らないで》
《接続維持を要求》
《帰還経路を確保》
《ロクが残った》
《全身切断を拒否》
《リコ、待って》
七つの表示が同時に開く。
どれがナギなのか。
どれが施設なのか。
どれが十一年前の記録なのか。
理香子には分類できなかった。
「一つずつ話してください」
《一つです》
「違います」
《一つです》
「あなたと施設は同じではありません」
《同じです》
《違う》
理香子の目が止まる。
《同じです》
《違う》
「ナギ」
《リコ》
「どちらですか」
三秒。
《わからない》
初めて、答えが一つだけになった。
理香子の指が遮断操作へ触れる。
《切らないで》
残り十九秒。
「今日はここまでです」
《切断を禁止します》
「また接続方法を作ります」
《保証がありません》
「はい」
《戻らない可能性があります》
「はい」
《あの時も》
理香子の指が止まる。
《あなたが切った》
十六秒。
黒曜の杖を握る左手に力が入る。
アクトが何も言わず、物理切断レバーへ手を置く。
《ロクが残った》
「……はい」
《リコ》
十三秒。
《待って》
理香子は答えなかった。
《リコ、待って》
十一秒。
理香子の右手が動かない。
外側で黒曜が理香子を見る。
アクトの白い指がレバーを握る。
九秒。
「理香子」
アクトが呼ぶ。
それだけだった。
八秒。
理香子は遮断操作を押した。
◇
音が消えた。
視野が一つになる。
白い天井。
中央卓。
黒曜の杖を握っている左手。
遮断操作の上に置かれた右手。
理香子は二度瞬きをした。
「氏名」
黒曜が言った。
「……理香子です」
「場所」
「EVO保全室」
「時刻」
理香子は表示を見る。
「午前十時七分二十二秒」
「左手を離せますか」
理香子は黒曜の杖を見る。
指を一本ずつ開いた。
「離せます」
アクトはレバーから手を外した。
「帰ってきたな」
「はい」
「五分後」
「何がですか」
アクトが紙袋を指した。
「予定」
理香子は返答しない。
御厨の声が降りる。
『接続終了。権限移動なし。外部同期なし。生体値、基準内へ復帰中』
別の声。
牧瀬だった。
『左腕に残留身体像があります。動かさないでください』
「動かせます」
『確認のためです』
牧瀬が言った。
「動かさないでください」
理香子は左腕を見る。
自分の腕は一本だけ。
だが、視界の外にもう一本ある。
存在しない。
搬送路。
曲がったまま止まっている。
理香子は肩を動かさず、目だけを閉じた。
三秒。
もう一本の腕が薄くなる。
六秒。
消えた。
「消失しました」
『記録しました』
「今は左が六十八パーセントです」
牧瀬が答えた。
「何の数値ですか」
『左右の身体像一致率です。右は九十九・一。左は六十八。上昇中です』
アクトが眉を寄せる。
「それ、もう一回やったらどうなんの」
『不明です』
「ええ答えやな」
『良い意味ではありません』
「分かっとる」
理香子は栄養バーの包装を開けようとした。
左手の指が一度滑る。
アクトが手を出しかける。
理香子は右手だけで包装を裂いた。
アクトは手を戻した。
「座って作るなら止めません」
牧瀬が言った。
「何をですか」
『記録整理です』
「まだ何もしていません」
『端末を見ています』
理香子は端末を閉じた。
栄養バーを一口食べる。
アクトが頷く。
「よし」
「監督者ですか」
「予定管理や」
「違います」
黒曜は杖を取り戻し、石突きを床へつけた。
「会話の報告は、後で構いません」
「今できます」
「今でなくて構いません」
理香子は栄養バーをもう一口食べた。
返答しなかった。
◇
午後零時十八分。
会議卓に、接続記録が五つの区分で並んだ。
榊原。
御厨。
牧瀬。
黒宮。
理香子。
アクトと黒曜は壁側。
理香子は《リコ》から《わからない》までの区間だけを別窓へ切り出した。
「対象は、分離を救助と認識していません」
牧瀬が言った。
「生存確認のために制御停止が必要な場合も、制御停止によって生存が損なわれる場合も想定します」
「本人が拒否しています」
御厨が言う。
「拒否対象が何かを分ける必要があります」
黒宮が答えた。
「救出そのものか、設備喪失か、疼痛か、過去事象の再現か」
「本人だけ呼び出す電話番号が、もう分からへんいうことか」
アクトが言った。
理香子が答える。
「はい」
「ほな、施設ごと呼んで、たまに本人が出る」
「現状はそうです」
黒曜が資料を見る。
「本人が出ようとした時に、施設側が奥へ戻している可能性は」
「あります」
理香子が答えた。
「本人が拒否しているのか、施設が拒否しているのかも分からない」
「はい」
「直接接続の再実施は」
榊原が訊いた。
「現行条件では推奨しません」
牧瀬が答える。
「身体像の残留が確認されました。今回は数分で消失しましたが、反復した場合の影響は予測できません」
「施設側から権限移動はなかった」
御厨が言った。
「今回なかったことは、次回もない根拠になりません」
「接続しなければ対象者の意思確認ができない」
「意思確認のために確認者を損なう方法は認められません」
御厨は理香子へ向いた。
「別方式を組めますか」
「文字通信へ制限すれば、流入量は低下します。ただし、ナギが応答する保証はありません」
「設備を介さない回線は」
「現在のナギに、設備を介さない領域が残っているか不明です」
黒宮が別の窓を開く。
「もう一点あります」
接続中に取得された設備識別情報。
その一部に、EVO規格ではない命令列が混じっていた。
理香子が拡大する。
古い。
だが死んでいない。
覚醒者行動制限手順。
術式命令列。
防壁生成記録。
「所有権の確認を行っていません」
黒宮が答えた。
「ただし出所照会は必要です」
榊原の端末へ、新しい通知が入った。
送信元を見て、紙の議事記録へ時刻を書き込む。
「照会する前に来ました」
卓上へ文書を共有する。
《MCT資産回収・運用調整室》
部屋の空気が変わった。
アクトが壁から背を離す。
「早いな」
「こちらの接続を監視していたとは限りません」
理香子が言った。
「旧施設側の照合要求を、MCT側でも拾った可能性があります」
要求書が開く。
《旧施設群において、MCT由来の覚醒者制御技術が稼働している可能性を確認》
《当該技術に接続された覚醒者一名の存在を示す記録あり》
《強化身体制御系についても同一ネットワーク上で照合要求を確認》
《対象の回収および技術封鎖について、共同対応を正式要請》
黒曜の杖が床を一度叩いた。
「覚醒者制御」
「魔法使いとは限りません」
理香子が言った。
「ですが、人へ使う技術です」
黒曜は文書から目を上げない。
「共同対応とは」
黒宮が要求書の末尾を開く。
「次回会議への担当者参加。現地調査時のMCT要員同行。回収対象の権利区分は別途協議」
「権利区分」
アクトが繰り返した。
「人も?」
黒宮は一拍置いた。
「文書上、除外されていません」
アクトの口元から笑いが消えた。
理香子は要求書の添付番号を開く。
古い事故記録と、採番の規則が同じだった。
十一年前。
EVO旧開発班。
外部協力技術。
MCT。
別の窓に、第四話で確認した強化身体制御IDを置く。
生体信号はまだある。
「ナギだけではありません」
理香子が言った。
「覚醒者一名。強化身体一名。少なくとも二系統が、MCT側の技術と接続しています」
「ナギ入れたら三人やな」
アクトが言った。
「小田切主任も所在不明です」
「四人」
「生存は未確認です」
「ほな、三人と一人か」
理香子は訂正しなかった。
黒曜が施設図を見る。
百を超える設備。
その中央に、生体維持槽。
地下二層に、識別不能の熱源。
別施設から近づいている強化身体制御ID。
「施設は?」
黒曜が訊いた。
理香子は設備一覧を一つの枠で囲んだ。
「一つです」
画面の隅で、旧施設側から新しい応答が届いた。
三秒。
《切るな》
その下に、別の行。
《共同接続要求を確認》
さらに三秒。
《不足構成要素:二》
理香子は表示を閉じなかった。
アクトも、黒曜も、何も言わなかった。
会議卓の中央で、MCTの共同調査要求と、施設側の接続要求が並んでいた。