ヤンデレに監禁されるわけwww 作:ヤンデレエアプ
14.みこみこ聖女
えー、首元に日本刀を突きつけられております。首ちょんぱされたら人間って死ぬんですよ。ですから、平和的な手段で解決しましょう。はい。ほらここは穏便に話し合いで……
「先生! 先生を離して!!」
「私と戦うのか? やめておけ小娘。……私の役目は、夢幻杖レスピティアの回収だ。この男も返してやる。ん? いやちょっと待て……この匂い! 聖女様の持ち物と同じだ。お前、カイ・マサンだな? 聖女様がお待ちだ。アタシと共に来てもらう」
ウスラの顔が、憤怒や悲しみ、困惑でぐちゃぐちゃになっている。ごめんウスラ……
白刃が揺らめき、空間が割けた。おそらく転移に関与するものだ。空間を斬ったのだろう。この女の武器にそういう能力がある可能性が高い。
「悪く思うなよ小娘。聖女様がこの男の身柄を欲されているからな」
女は俺を連れたまま空間の裂け目へと入っていった。時空を裂いた空間というのは妙なものだった。おそらく人間の知覚器官では、感じることが出来ない。
むしろ、知ってしまったら発狂するのかもしれない。知覚出来ないことが幸せという可能性がある。
「クウカ様。お仕事ご苦労さまでした。お怪我は有りませんでしたか?」
「ああ。大事はない」
「良かったです。ウカタマモ様の神器は無事に回収出来ましたか…? それと肉じゃがを作りましたよ!」
空間の出口には、割烹着を着たアンジェラがいた。和風の服装が妙に似合っている。中世ファンタジー系なろう世界観なはずなのに……
日本がないのに日本刀とはどういう? 異世界でジャガイモ…? とか変な電波を受信した。分からないことは分からない。ははは。
「カイ様…?? どうしてここに?? クウカ様、もしかしてカイ様を拉致してきたのですか?? 確かに、カイ様と私は婚約届に名前を連ねた仲とは言いましたけど……無理矢理拉致することは良くないですよ」
嘘つけ。お前、尻尾がブンブン揺れてるじゃないか。口ではそういえど、身体は正直だな……
「ですが、カイ様がここにいらっしゃったのも何かのご縁です! ありがとうございますクウカ様!」
ぬるっと近づいてきたアンジェラは、ノーモーションで俺に抱きつこうとしてきた。
「ちょっと待て。話が追い付かない。まず、現状について教えてくれないか?」
「抱き締めながらでよければ」
クウカと呼ばれたデカ女が、殺気を放ってきている。拒否すれば殺す的なアトモスフィアを感じる。
クウカは、被っていたフードをいつの間にか外しており、獣の鼻と体毛に覆われた顔が見えた。ケモ度が高いッ!! アンジェラがケモミミの生えた人間だとしたら、クウカはガチケモ人間だ。
こんな、こんなものが許されるのか…!?
マジレスすると許されていないから、聖教と邪教で宗教対立しているのだ。聖教の中でも、過激派はエグい。獣の血が入った奴は全員殺すか奴隷!! 普通人種以外はゴミカス! 死ね! くらいには思想が強い。
邪教と呼ばれているエルド教の方も、過激派は同じ感じである。ヒトカスが信じてるゴミカス宗教。劣等無能種族www 族滅するしかないww くらいの冷笑差別主義者だ。
過激派同士殺し合って消えればハッピーなのでは…? そうはならないのが世の常である。
「アンジェラ。頼むから魅了はやめてくれ」
「はい勿論です! 私の魅力でカイ様をメロメロにしますね」
待って。しないとは言ってないよな。アンジェラに抱かれながら、優しい声でこれまでの事情を教えて貰う。ケモミミ和風シスターの抱っこASMR!? アカン、これじゃ
「うふふ。カイ様、お疲れ様だったんですね。アンジェラはいつでもおそばにいますよ〜。膝枕もしちゃいます。もっと、私に甘えて良いんですよ〜」
もうゴールしても良いかな……って、なわけあるか!?
「アンジェラ、無意識に魅力が出ている。このままだと俺は、お前を
アンジェラの瞳からハイライトが消えた。
「そんなこと言ってカイ様は逃げる気ですよね? カイ様がどこかに行ってしまったあとは大変だったんですよ。私はウカタマモ様の巫女としての素質を認められ、あれよあれよという間に、エルド教の聖女になってしまいました。ですので、カイ様がどこに逃げようとも、エルド教異端審問官のクウカが追ってくれます。だから逃げても無駄ですよ」
声色は優しいけど、目は全く笑っていない。それに怒っていることも隠しきれていない。突然逃げたのがマズかったか。そりゃあそうだよな。膝と胸で圧死する危険があったため、膝枕から脱出してアンジェラから距離を取る。
「アンジェラ、許してくれ。俺はウスラに転移魔術で拉致されていたんだ。逃げることやスタグを呼び出すことも出来なかった。だか、アンジェラのことを見捨てたつもりは全くないんだよ」
「ふふ。カイ様、私は怒ってます。でも、赦します。私はウカタマモ様に仕えし巫女で聖女ですからね。その代わり、私と結婚式を挙げてもらいますよ」
「そう言うのはもっと時間を掛けてだな……」
異端審問官のクウカが、刀の柄をチャキチャキしている。アンジェラのお尻からもうっすら9本の尻尾が見え隠れしている。
断ったら分かるだろ? ってオーラをヒシヒシと感じる。
「ふふふ。カイ様、私たちも大変だったんですからね。カイ様が居なくなった後。スタグさんが、カイ様が拉致されたってフレアさんを焚き付けました。そしたらフレアさんは、どっかに消えてしまったんです。それから、異端審問官のクウカ様がいらっしゃってスタグさんの受肉していた義体をバラバラにして、魔王さんを捕まえていきました。私もそれに巻き込まれていつの間にか聖女になってしまいました」
フレアは阿呆だからスタグに口先で騙されて、猪突猛進したのだろう。そして、その騙したスタグがやられてるじゃん……前衛がいない魔術師は、本当に脆いんだからさぁ。
「スタグはどうなった…?」
「あの喋る杖か、アタシが黙らせてから魔術学院の閉架検閲官に渡した。学院からは大層感謝されたな」
冷や汗が止まらない。これ、本格的に不味いかもしれない。俺の相棒であるスタグは、学院に回収された。なので、強力な停滞魔術は使えない。正確には俺が使おうと思えば使えるが、コスパが最悪なため使おうとは思えない。
「ふふふふ。カイ様、この場でカイ様を想っているのは私一人だけですよ。スタグさんの話をされると、私は悲しくなります」
上目遣いフォックス。かー、卑しか女ばい。かわいいけど、無自覚魅了垂れ流し女はちょっと
「アンジェラ。そもそも俺と結婚してどうするんだ? 俺の立場はどうなる?」
「はい! 私はウカタマモ様に認められし聖女です。カイ様はその私の夫になります。ごちゃごちゃ言ってきた奴は私とクウカが黙らせます」
クウカさんの目が一瞬見開かれた。えっ? みたいな顔をしていたぞ…… 多分、初めて聞いた話なのだろう。
「カイ様は何らかの手綱が無いと、逃げますよね…? 結婚式を挙げて正式に夫婦になれば、カイ様が私から逃げなくなりますよね? どうしても逃げたいと言うのなら、ウカタマモ様の権能で意識を保ったまま、身体の方を縛りますけど……」
俺は今、脅されているのか?? よし、先手を取るか!!!??? もうどうなっても良いや!!!
アンジェラの唇に、俺の唇を重ねる。
「アンジェラ。好きだ」
「な!? にゃ、にゃにお!? と、とにかくカイ様は、私から逃げないでくださいね! カイ様の心残りになってるフレアさんはもう居ませんし、私はフレアさんじゃ有りません。これは、両想い?? えっ、あのカイ様……今夜が初夜ですか??? えへへへ」
ヨシ! アンジェラが幸せそうな顔で、バグってフリーズしている間に時間を稼ぐ。とにかく現状を把握しなければ……