魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
ユリアside――――――――――――――――――
「……まだ眠いわね」
窓から差し込む光で私の目は覚めた。
こう何年経っても朝起きることだけは慣れない。
だからと言ってこのまま寝るのは時間を損してる見たいで嫌だ。
ベッドから抜け出し、伸びを一回。
顔を洗って、渡された管理局の茶色い制服に着替える。
最後に鏡の前で髪を整え、最終チェックをして食堂に向かう。
「あ、ユリアだ!」
食堂に着いて聞いた一言目がそれだった。
声の方向を見ると、予想通り水色のショートカットの女の子、スバルだった。
彼女はこの六課で数少ない私を警戒していないうちの一人。
本当に裏心とか無いんだけど……突然現れて何でも知っています、って言うんだから警戒されても無理も無いけど。
私は注文した朝ごはんを手に、スバルが座っている席に向かう。
そのテーブルにはスバルの他に三人、時計回りにティアナとキャロ、エリオも一緒にいた。
この四人とは比較的友好的な関係を気づけてると思う。
スターズの二人に関しては私の年を知ってからは敬語でも無くなってるくらいだしね。
私はスバルとエリオの間に座らせてもらう。
《おはようございますユリアさん》
「おはよう……って、何でアンタがここに居るのよ?」
ツッコミを入れた相手、アテナが何故かスバルの首に掛かっていた。
《あんなヘタレの事なんてもう知りません、過去の男です》
「未練がある女の言い訳にしか聞こえないけど?」
《な、何をバカなことを!私は決して……》
尻すぼんでいくアテナ。
感情表現を豊かにしたって言うのは知ってるけど……良いのかしらコレで?
「それでどうしたのよ?」
アテナじゃなくてスバルに聞いてみる。
するとスバルは苦笑いをしながら答えてくれた。
「何でも最近レイラばかりを使っているとか何とかで……」
「あぁ。そういえばレイラでの戦闘経験ってゼロなんだっけアイツ」
簡単に纏めるとヤキモチね?
《相棒は私って言うものが在りながら、あろう事か目の前で浮気をするんですよ!だから私もスバルさんと浮気することにしたんです!》
「え、そうだったの!?」
スバルが驚いて食事の手を止める。
浮気って……アンタ確か女性人格じゃなかったかしら?
《そうです。ですのでティアナさん。スバルさんを借りています》
「……なんで私に?」
《?二人は付き合っているんでしょう?》
アテナがいい感じに暴走してきてるわね。
見てるこっちは面白いけど……本人と巻き込まれた側はたまったもんじゃなさそう。
でも……見てるだけってのは……ね?
「あら、私も付き合ってるのかと思ってたわ」
「ユリアまで!違うわよ!スバルもなんか言いなさい!!」
「あ、あはははは……」
向こうが盛り上がってる間に、今度はエリオをからかおうかしら。
「いい、エリオ。コレが禁断の関係よ」
「え……あ……はい」
隣に座っていたエリオに小さい声でそう言う。
案の定、聞いたとたん顔を真っ赤にして俯いてしまう。
純情ねー。
「あの、きんだんのかんけいってなんですか?」
どうにも聞こえてた様子のキャロ。
単純に疑問に思ったみたいで私に尋ねてきた。
「んー……うっふんあっはんな関係」
「うっふんあっはん……ですか?」
「そこ! 変な事を教えない!!」
「話し戻すけど、アンタ何時までそうしてるつもりよ?」
《相棒が土下座して、三回回ってワンと言った後、私のことを女王様と呼ぶまでです》
「詰め込み過ぎで逆に面白くないわよ」
《私は真面目ですよ!?》
尚悪いわよ。
あの混乱が治まった後、テーブルの上にアテナを置きお話。
テーブルの上に指輪が一つだけ置いてあって、それを五人で囲むって言う少し変な構図が出来上がってる。
「んー。じゃぁウィズの本心を聞き出してみる?」
「どういう事よ、それ」
「一芝居うつって事」
私の提案に皆頭の上にハテナを浮かべる。
ま、コレだけで全部分かるわけないから当然だけどね。
「ちょっと耳かしなさい」
私はテーブルに乗り出して、小さな声で説明を始める。
シナリオはこう。
1.六課に殺人犯が侵入して、アテナを人質にする。
2.騒ぎを聞きつけたウィズは食堂に駆けつける。
3.犯人はアテナに刃物を突きつける。
4.ウィズは俺が身代わりになる!だからアテナを話してやってくれ!
5.こんな相棒が居るやつを殺すことは出来ない!って言ってアテナを開放。
「――で、最後にウィズが俺が悪かった、俺のそばに居てくれって……」
「なるかーー!!」
最後まで言い切る前にティアナの声で中断さえられた。
「耳元で大きな声ださないでよ。そうね……犯人役は……」
「じゃなくて! 無理あるわよ!何で人質がデバイスなのよ!?」
「二人を仲直りさせるためだよ、ダメだなーティアは」
「そういう意味じゃないわよ!」
優越感に浸っている様子のスバルにツッコミを入れるティアナ。
でもスバル言ってるのが正解なんだけどね。
「あんたもコレで良いでしょ?」
《構いません!》
「構いなさいよ!?」
今度はアテナにツッコム。
大変ね、ツッコミ役も。
「犯人だけど……ここに居るメンバーは無理そうよねぇ……。あ、やりたいなら別にいいわよ」
「あ!じゃぁ私やりたい!」
「ダメに決まってるでしょ!!」
「え~。じゃぁティアも一緒にやる?」
「そういうことじゃないのよ……」
疲れきった様子でテーブルに突っ伏すティアナ。
流石にコレだけ全部にツッコミを入れてたらそうなるでしょうね。
「さて、ツッコミ役も居ないことだし真面目に考えないとね、犯人」
「お? 皆で集まってなにやってんだ?」
「……いた」
「あん?」
私の後ろに居たのはヘリのパイロットだった。
「あ、ウィズさん着ましたよ!」
「よし、準備して!早く!」
「何で俺がこんなことを……」
スバルの声で一斉に準備に掛かる。
私の後ろでは、目元以外隠した黒いフェイスマスクを付けた男、ヴァイスが文句を言いながらも準備を開始し始める。
因みに食堂にいたほかの局員にも協力を頼んでる。
皆面白そうだとか良いながら快く協力してくれた。
何人かに休日誘われたけど、そういうのには笑顔で引っ叩いておいた。
「いいから、始めなさい」
「はいはい……うらぁ!お前ら動くなぁ!こいつがどうなっても良いのか!?」
「んあ?何の騒ぎだ?」
ヴァイスが騒ぎ始めたと同時に、食堂にウィズが顔を出した。
「あ、ウィズさん、実は――」
「六課で犯罪とはいい度胸!レヴァンティンの錆にしてくれる!」
「え? ちょっと待ってください、俺で――」
「問答無用!!」
「ギャーーー!!」
「――立った今殺人犯が捕まったところです」
「それは良かった」
一瞬で静かになった食堂にスバルとウィズの声だけが響いた。
流石の私もこんな展開になるとは思ってなかった。
「あ、そうだスバル。アテナ返してくれないか?」
《嫌です、帰りたくありません》
何の脈絡も無く、ウィズがスバルて手を差し出した。
当然まだ怒っているアテナはそれを拒否する。
「いや、そろそろ戻ってきてくれねぇと仕事が進まねぇんだって。レイラは慣れてないから期待できねぇし……」
《レイラは私より役に立たない、と?》
「だからそう言ってんだろうが」
《何処までも着いていきます相棒!!》
突然元気になったアテナ。
結局そのままアテナはウィズの元に戻り、二人仲良く食堂を後にしていった。
「万事解決ね」
「あの、ヴァイスさんは……」
「万事解決ね!」