魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
六課会議室。
普段は隊長陣など六課主要人物のみが集まる場所。
言うまでも無く俺やFWメンバーはその会議に参加したこともない。
無い、のだが、今日に限っては俺やユリア、FWメンバー含め会議に呼ばれていた。
隊長陣とFWメンバーに左右に分かれて座り、俺とユリアは下座。はや姉は上座の形。
因みになんで呼ばれたかは一切聞かされてない。
「皆まずはコレを見てほしいんや」
はや姉がそう言って巨大なモニターを全員に見えるように映し出す。
そこに書かれていたのは――……。
「『秋の社会見学、起動六課』……なにこれ?」
肩肘を突いて呆れた感じのユリア。
俺もそう思ったけどなんでそうバッサリ叩ききるのかね?
「言うとくけど、コレは私達が行くんやないよ」
「え?それって……」
「そ。この起動六課に社会見学に小学生が見学にくるんよ」
スバルの質問にはや姉が答える。
言うまでも無く、FWと俺は驚いて言葉が出ない。
ユリアは関係ないとばかりに目を閉じて、なの姉たちは知っていたのか苦笑いをしている。
「で、それはいつなのよ?」
何も知らない組の中で唯一平常のユリアが代表して聞く。
にしてもお前どうでも良かったんじゃなかったのか?
もしかして照れ隠し――……。
「あイタあぁ!!?」
足に痛みが走る。
咄嗟のことだったのでつい大声を出してしまう。
犯人は捜すまでも無い。
「何すんだよ!?」
「足踏んだのよ」
「だから何で!?」
「私の心が踏めと訴えかけてきたから」
何と言う勘の良さ……。
「そこの兄妹はほっといて、これなぁ明日なんや」
「あ、明日!?」
「はやて、そんなの聞いてないよ!」
「あれ、そやったっけ?」
なの姉フェイ姉が慌てて講義する。
当の本人はそ知らぬ顔でシレッと答える。
「というか、何でいきなり社会見学なんですか?」
当然の疑問を代表してティアナが質問した。
「ほら、ウチの部隊って出来たばっかりやし海も近くにあるからイメージは凄く良いんよ。それになのはちゃんやフェイトちゃん見たいな有名人も居るし」
成る程。
確かに小学生みたいな小さい子が地上部隊を見学しても何も面白くないだろうな。
魔法の訓練は殆ど無いだろうし、街中だし、少し古いし。
それに比べてココは正反対。
海沿いだし綺麗だし、魔法訓練は……トラウマに成らなきゃ良いけど。
しかもなの姉とフェイ姉、はや姉に加えて今はJS事件解決に貢献した奇跡の部隊。
今この六課以上のところなんて無いだろうな。
「ま、そういう訳で……ウィズ」
「はい?」
「引率よろしく」
「なんで!? いや、別に引率は良いけど何で俺!?」
俺みたいなヤツより、なの姉とかの方が絶対にいいだろ!?
絶対に【六課の人】位にしか認識されないに決まってる。
あ、ちょっとウルッってきた。
「なのはちゃん達前線メンバーはその日訓練を見せることになってるから駄目や」
「だったらはや姉は!? こういうのってそこの一番偉い人が案内するもんだろ!?」
「こういう時は皆持ち場に付いてる方がそれっぽいやん」
「ぬぅ……」
確かにその通りだけど……。
それが理屈ならシャマル姉さんとかにも頼めないことになる……って。
「ちょっと待って。俺だって教導あるけど?」
「どうせシグナムとの模擬戦になるやん」
「ぐぅっ」
という会話が昨日あった訳で……。
「……何で私なのよ?」
「お前俺より暇人だろうが」
今現在、俺は隣にユリアを連れ、六課玄関ロビーに待機している。
理由は言うまでも無く小学生待ち。
「暇人は暇人なりに予定組んでるの。そういう訳で……じゃ」
「だから待てって言ってんだよ」
片手を挙げ俺に背を向けるユリアの肩を掴む。
「あのね、それが人に頼む態度なの?」
《そうですね、誠意が全く見えませんね》
《誠意は大切だぞ。さあ、見せてみろ》
「お前らユリアよりも酷い言い草だぞ!?」
百歩譲ってレイラは良しとしよう。
でもなアテナ、お前の口の利き方はおかしいと思うんだマスターの俺は。
「で、どうするの?」
「ぐぬぬぬぬ……。お、お願いします、手伝ってください」
「よろしい」
腕を組んで笑顔で頷く。
何時もならかわいいと思うんだろうが……今はただ小憎たらしいだけだ。
「それで、子供達は何時ごろ来るのよ?」
「んあ? 10時頃って言ってたからもう直ぐじゃね?」
10時まであと5分を切っている。
ココは駅から結構離れてるし、予定ではバスで来るとの事。
平日だし時間が狂うなんて事はまず無いだろう。
と、予想していた通り10時過ぎにバスが二台到着。
それぞれのバスからぞろぞろとヴィヴィオ位の子供が20人くらい降りてくる。
そして最後に担任らしき先生が二人、多分片方は副担任とかそんなんだろ。
四人共女性だ。
そのうちの一人がこっちに向かって歩いてくる。
「えっと……担任の方ですよね?」
「はい。リンナ、と申します。今日一日よろしくお願いします」
「あ、引率をさせていただきます神崎ウィズです。で、こちらが……」
「神崎ユリアです。よろしくお願いします」
リンナさんが頭を下げたのにつられて俺も慌てて挨拶を返す。
ユリアもさっきまでの態度とは一変、礼儀正しい態度に変わってる。
「それでは早速ですが、お願いできますか?」
「分かりました」
リンナさんの後ろにユリアと二人で付いていく。
と言っても既に子供達はロビーの中に入っているので、10メートルも移動していない。
俺達はリンナさんの話が終わるまで後ろで待機、その後簡単な自己紹介をして早速案内することになった。
最初に来たのは司令室。
傍からみたらメインに見えるが、小学生はこんな所は興味はそんなに無いだろう。
そういう事でここを始めに持ってきた。
因みに説明はグリフィスさんがやってくれている。
本当は俺がやった方が良いんだろうけど、説明とかはその場で動いてる人のほうがいいと思うからな。
ら、楽したいとかそんなんじゃないぞ!
だから俺は集団の後ろで見ているだけなんだが――……。
「アルトさん、ルキノさん、緊張しすぎ」
「そ、そう言われましても……」
「私達は普段裏方ですので、こういうのは……。」
機器整備士と総理事務員の二人がガチガチに緊張しているのだ。
どれくらいかっていうと、いつもブラインドタッチなのにキーボードを見ながら人差し指で操作してるくらい。
その点クリフィスさんは平時と変わらず普段とそう変わらずに子供達に説明している。
「あ、グリフィスさんも緊張してますよ」
「え?本当ですか?」
「ほら。仕切りにメガネの位置直してるでしょ?あれ癖なんですよ」
「へー」
そう言われてみれば手が若干震えているように見える。
「んじゃ、次は……ヴァイスさんの所にでも行ってみるか」
「そうね。訓練は午後に見せる予定なんだったらそこ位でしょ」
「おい、おじさん!」
「おじ!?……な、何かな?」
クリフィスさんが説明をしている最中、次の行き先をユリアと相談していると、子供に話しかけられた。
《相棒に向かってなんて口を!?相棒は18歳ですよ!地球で言うならピチピチの高校生です!》
《そうだ。夜怖くてトイレに行くとき私達を連れて行くがれっきとした未成年だぞ!》
「アテナ、表現がおっさん臭い。レイラ、お前は俺のことが嫌いなのか?」
二人共結構大きい声だったので話しかけてきた子供を始めにユリア、司令室の面々が唖然とするか肩を震わせている。
無性にこの場から立ち去りたい。
「おじさん、トイレ怖いのか?」
「……うるさい。で、なんだよ?」
子供の哀れむような顔がなんとも居た堪れない。
内心恥ずかしくて堪らないんだが、あくまで顔に出さず、冷静に。
見ると話しかけてきた子供は四人。男二人に女二人。
「そうだった。おい、お前はそこの姉ちゃんとどういう関係だ!?」
「……は?」
「私?」
予想の斜め上を行く質問に俺だけじゃなく横にいたユリアも固まる。
「関係って……何になるんだ?兄妹?」
「それしかないでしょ。それとも親子の方がいい?」
「それは嫌だ」
コイツが親とか在りえない。
悪いやつには育たないだろうが一癖二癖ある子供に成りそうだ。
「恋人じゃないのか?」
「当たり前だろ」
「じゃぁ、お姉ちゃん!」
「ん~?」
俺の言葉を聞き、訳の分からない質問をした後、ユリアに向き直るのは男二人。
当然、話を振られたユリアは面倒くさそうに、しかし邪険にせずに聞き返す。
「俺達と一緒に昼飯でもどうですか!?」
「……はい?」
同じ【はい】でも意味が【なんですか?】の意味から【何言ってんの、コイツ】に変わっている。
同時に目つきも変わっているのだが、男二人は気づかずにユリアを昼飯に誘い続ける。
「あの……お兄さん」
「ん?」
今度は女の子二人が俺に話しかけてきた。
若干顔が赤い。
もしかして……。
「良かったら、お昼ご飯私達と食べてくれませんか?」
「お願いします!」
やっぱり。
先に言っておくが俺はよく小説の主人公が持っている鈍感スキルの類は持っていない。
だからこそ言っている意味も何となくわかるが……。
因みに今更だが小学生の昼食は六課の食堂で特別メニューが出ることになっている。
「別に構わねぇけど……いいのかな?」
「私が知るわけ無いでしょ……はぁ」
隣で未だに誘われているユリアに聞くも、返ってくるのは俺の予想通りの答え。
頷いてやれば良いものを、断り続けるから終わらないんだ。
結局この後ユリアは渋々頷いたのであった。