魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
あのトーギの爆弾発言から数分。
面会が終わって今は三人で長い廊下を歩いている。
面会時間はそう多くない。今回は俺たちと話したから余計だろう。
数分間だけだが、トーギとレイラは何処か満足気だった。
「それにしても、まさかアイツと会わせられるとは……」
「ビックリしたやろ?」
「それはもう盛大に」
正直に言うとトーギが出てくるまでナンバーズの子達が出てくるものだと思ってたし。
……ん?
良く考えたらナンバーズが収容されてるのってここじゃねぇじゃん……。
「これからどうすんの?」
「あ、ハイハイ!お昼を食べに行きたいです、部隊長殿!」
「お昼も近いし……そやな。そうしよか」
「いやったぁ!」
嬉しさを体全部使って表現しすように、跳んで喜ぶ。
このこの辺はやっぱり子供なんだな、って思う。
俺たちはそのまま、出口に向かって歩き出した。
その時、アラートが大きく鳴り響き、視界が一瞬にして赤に点滅した。
「っ!なんだ!?」
「アラート?これは……敵襲!?」
「えー。なんでこのタイミングなのよぉ……」
緊迫感が充満し始め、俺たちを含めた周りの局員全てが緊張し始めてる中、コイツだけはマイペースだった。
肩を下ろし、頭を垂れ、本当に落ち込んでる。
「ほらユリア。また連れてったるか。な?」
「う~~……」
いや、二人だった。
「あーもう!さっさと捕まえるわよ!」
ユリアがそう気合を入れると同時。
俺たちの目の前の天井が砕け落ちた。
咄嗟に後ろに跳んで下敷きになるのは逃れた。
「あぁ?どこにも居ねぇじゃねぇか……」
「ふざけろ。ここはまだ手前だ。地図も読めないのか?」
「うるせぇ」
何時か聞いた声。
それが砂埃充満する中から聞こえてきた。
ユリアの表情もさっきとは全く違う。
前かがみになり、両手にはアヴェを出現させ、ひたすらに目の前を睨んでいる。
「んあ?おい、この魔力……こっちか?」
そこから出てきたのは、あの時の赤髪の男だった。
「おうおう。こりゃなんの偶然だ?もしかして俺、運が向いてきた?」
「逆でしょう?何でココに気なのか知らないけれど、私が居るんだからね」
「それこ逆だろ。俺に会った時点でお前は潰す」
睨みあったままお互いに動かない。一触即発の雰囲気。
互いが互いに隙を探している。
「(ウィズ、先に言っておくけど動いたらあかんよ)」
「(なんでだよ?今アイツが見てるのはユリアだ。俺が動いて隙でも作れば……)」
「(あの赤男が出てくる前、話し声は二人分聞こえた。あの男がこっちを見てないんはそういう事や)」
あの数秒でそこまで……。
流石に部隊長やってるだけあるな。
あの煙の中にもう一人、あの白いヤツか?
次第に煙が晴れていく。
そこに立っていたのは、予想通り白髪の男だった。
腕を上げてさえいないが、その目はしっかり俺たちを見ている。
どうしたら……。
「さぁ、いくぜぇ……ユリア!」
「っ!――create(クリエイト)――plunge(突っ込め)!――」
「って、おい!」
こっちがどうしようか考えてる間に、あちらさんは戦闘を始めやがった。
「(ウィズ!私じゃこの狭い空間、それもリインが居ない状況じゃ魔法が使えへん)」
「(分かってる。俺は援護に回る!)」
アテナをレイラ、二つを同時にセットアップ。
この狭い空間なら、刀身が短いダブルソードが適任。
「ウィズ、右!」
「!?」
後ろからはや姉の指示が飛び、俺は言われるがまま跳ぶ。
数瞬の後、俺の居た場所が爆発を起こした。
「(ウィズ、私が魔力を探って指示を出す。聞き逃さんといてや!)」
「(はや姉……助かる!)」
そして俺は走り出し、赤髪の男に切りかかる!
「はああぁぁ!!」
「ちぃっ」
それに気づいたユリアが一歩後退、入れ替わるように俺が前に出る。
振りかぶる二刀を、赤髪の男は右手に装備した巨大な盾で防ぐ。
おそらく、これがコイツのデバイス。
巨大な盾は肩をも覆いつくすように長い。
色は正に、幾人も葬ったように、鮮血を浴びたような赤。
「おまえな、空気読めよ。俺は別のヤツと戦ってんだぞ?」
「だから……何だってんだ!!」
「ヴィオル、ココはお前に任せる」
白髪の男が短く言い、この場を後にしようとしたその時。
男の周りに数匹のアヴェが、囲むように飛び回った。
「どこに行く気か知らないけどね、行かせる訳無いでしょ」
「ま、分かっていたがな」
腕を振るう。
すると、弾かれた様な動きを見せ、アヴェ達が消える。
「解ってはいたけど、魔力光の色が無いってのは厄介なものね」
「色が……無い?」
「何時までくっ付いてんだ、テメーはよ!」
赤髪、ヴィオルと呼ばれた男が盾を横になぎ払う。
俺は弾かれるように後ろに跳び、ユリアの隣にまで下がる。
「ユリア。色が無いってどういうことなん?」
「言葉通りの意味よ。エストラ……白髪の男は魔力に色が無いのよ」
「は?色が無いなら色は白じゃないのか?」
「それは白色よ。どうしても色と言いたいなら、アイツの色は無色」
だから視認が出来ないって、透明だって事か。
厄介極まりないな。
いくら魔力を感知できても、見えないなら避ける事なんて……。
「ほんなら、対策は十分練れるな」
マジかよ?
「(良く聞きや、ウィズ)」
そして、念話で俺に対策を教えてくれた。
「(成る程。確かにそれなら交わし切ることが出来る)」
「(一応私も魔力サーチはして置くけど……頼りにせんといてや)」
「(私が全部叩き落してあげるから、そこまで気を張る必要は無いわよ)」
「(頼りにしてるぜ?)」
「(この戦闘が終わった後で私を称えるが良いわ)」
それは頼りになるお言葉だ。
さて、ココからはおふざけも一切無し。
俺に任された相手、赤髪の男、ヴィオルを睨む。
「ん?お前が相手か?」
「まぁ……な!」
再び、ダブルで切りかかるも簡単に防がれた。
だがここで攻撃は止めない。
双剣の持ち味。
攻撃力を犠牲にして得る、怒涛の連激!
「はぁ!中々早ぇじゃねぇか!」
「簡単に受けきってやがるくせにっ」
「それは俺が強ぇからだぁ!」
「ぐっ……!」
弾かれる双剣。
俺の体ががら空きになる。
「ハラ、力入れろ!」
「っ!……ゴフッ!?」
腹に入るヴィオルの左腕。
立っていられなくなり。その場に膝をつく。
「ウィズ!っ!」
「ウィ……はやて!前!」
「君たちの相手は俺だろう!」
ユリアとはや姉が助けに入ってくれようとしたみたいだが、それもエストラに邪魔されたらしい。
目の前には、ヴィオルが俺を見下ろしている。
「こういうの、お前の育った星でこういうんだっけか?棚から草餅」
「牡丹餅だ、バカ」
「それは勉強になった、ありがとうな」
右手に装備している盾が、天高く、掲げられる。
「んじゃ、暴れられても面倒だからな。寝てくれや」
振り下ろされる盾。
数秒も経たないうちに、これは俺に振り下ろされ、意識を失う。
逃げたくても既に手遅れ。
仕方ない、か。
覚悟を決めた。
「何!?」
その時、ヴィオルが盾を後ろに振りぬいた。
「ご挨拶だな、テメェ」
「何分、まともな教育を受けていないからな」
ヴィオルが睨む先そこに立っているのは黒い影。
そいつは、さっきまで俺たちと会っていたヤツ。
「さて、これは何の騒ぎなのか、教えてもらおうか」
トウギだった。