魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
ユリアside――――――――――――――――――
ウィズがはやてに剣を向けた。
私達は戦闘後、簡単な事情聴取を受け六課に戻った。
そして戻って最初に会議室に集められた身内、FW陣にウィズの事を伝えた。
当の本人は意識が無くて医務室に寝てるんだけどね。
ウィズに敵意を向けられた事にショックを受けたはやてが気持ちの整理が付くまで待ったから、今はもう日が傾き始めてる。
本局の方も事後処理がある程度終わったみたいで、クロノも通信だけど一緒に話を聞いている。
因みにトーギは自分には関係ないとか言って、レイラを私に手渡した後、管理局員に別の拘置所に送検された。
「アングの能力は、私たちF(フェイト)S(ソルジャー)計画で作られた者には天敵なのよ」
その事実が告げられた後、私が言った台詞に注目が集まる。
「天敵……それってどういう事なの?」
意気消沈しているはやてに変わって、なのはが質問をしてきた。
10年間、弟として……だけだと思うけど、見てきた相手に攻撃されたんだもの。
無理ないって言ったら、無いんだけど。
ん~……少しイライラする。
「アングはね、FS計画で造られた人の頭に介入することが出来るのよ」
右手の人差し指でこめかみをトントンと叩きながら説明する。
「介入?」
「そ。人格の上塗りってやつ。神崎ウィズという元の人格の上から新しい人格を上塗りする――」
「ち、ちょっと待てよ! って事はウィズは……」
言葉を遮って、机を叩き立ち上がるヴィータ。
私は何も言わずに頷くだけ。
「そんな……」
「ウィズが……死んだ……?」
フェイトの言葉に、俯いていただけのはやての肩がピクリと反応した。
だけど――。
「あぁー違う違う。私が言いたいことはそうじゃないわよ、フェイト」
「……え?」
誰かわからない。
私の言葉に、ショックを受けていた皆の顔に少しだけ明るさが戻る。
「言ったでしょ。上塗りするって。ウィズの意識は下層で眠ってるだけ。それを呼び起こせばいい話よ」
「でも、そんな簡単に……」
「いかないけど、今回は上塗りの途中だったみたいだし、無理な介入を受けてシャットダウンした感じかしら。それに、もし完璧に塗られてても荒療治にはなるけど、起こせないことは無いし」
これ以上ウィズの事で話すことは無い。
どうせ言っても理解できないだろうし、情報なんて何処から漏れるかなんて分からない。
あ、一応シャマルには後で伝えておいたほうが良いかしら。
手伝えそうなのは彼女くらいだし。
「さて、皆が少し元気になったところで、クロノ。ちょっといい?」
『なんだ?』
「アナタ、アングと知り合い?」
あからさまな話題転換だけど、これはこれで気になってる事。
「そういえば、クロノは何で本局に居たの?」
フェイトも聞く。
するとクロノは苦虫を潰したような顔になり、目をそらした。
クロノって結構強そうなんだけど、アングに負けたってのが気になるわね……。
もしかして……。
「この話はここだけ、外部には漏らさないでくれよ?」
そう断りを入れて皆が頷いたのを確認すると、クロノが改めて口を開いた。
「つい先日、僕の乗っていたクラウディアが乗っ取られた。その犯人がアング……だったか。そいつだったんだ」
「なっ!? そんな話、私知らないよ!」
「当たり前だ。これでも僕は管理局でも上位に位置している。それがこの時期に戦艦を奪われたとなると一大事、大混乱は避けられなかったからな。秘匿させてもらった」
ま、その考えは正しいわね。
実際にここに居る私以外、皆信じられなくて混乱してるみたいだし。
これは……もしかしてやられた?
「それで事情聴取のあとはデスクワークだったんだが、暫らく家に帰っていなくてな。家で仕事をしていて、今日持ってきたら……と言う訳だ」
成る程ね。
「それで、アングと戦ったんでしょ?感想は?」
「いや。確かに二三打ち合ったが、それだけだ。だが……S2Uが破壊されたよ」
「なんだと!?」
「あー……やっぱり?」
あいつと打ち合ったって言ったからもしかしたらって思ったけど……。
予想通りね。
「ユリア。そろそろあいつらも正式な能力を教えてくれないか?」
「いいわよ。近々話そうと思ってたし。皆も揃ってるし丁度良いわ」
椅子から立ち上がり、上座まで移動する。
「先に断りを入れておくけど、三人ともFS計画で造られてるから。先入観は無しにして聞いてよ?そんなはずは無い、って言うのは受け付けないから。OK?」
皆が頷くのを確認してから、部屋をシャマルに頼んで暗くしてもらって、トーギから預かっていたレイラで記録していた映像を映し出す。
「まず、この青髪のはアング。コイツはさっき言った能力以外にもう一つ。電子機器への介入って言うのもあるのよ」
「機器への介入?」
スバルが首を傾げて隣に座っているティアナの方を見る。
それを私に聞くな、と目で訴えるティアナ。
「ま、簡単に言ったらウィルスね。それで電子機器を使用不可にするって訳」
この言葉に、場の空気が少し緩む。これ位なら何とか、って思っているんでしょうね。
だけど、この場に居ないクロノだけが渋い顔をしてる。
そう、それが正解。
「アンタ達、それくらいなら余裕って思ってない?」
「え? そうじゃないんですか?」
「全然違うわよ。ならエリオはデバイス無しで戦えるって言うのね?」
場の空気がまた変わった。
私の一言に隊長陣と、ティアナは気づいた見たいね。
「アンタ達がどう考えてるか分からないけどね。デバイスだって電子機器よ。それを破壊されるって言ってるの。クロノもそれにやられたんじゃない?」
ディスプレイに映るクロノに問いかける。
私の言葉につられて、皆の視線もクロノに移る。
クロノは静かに首を縦に振った。
『S2Uの内部回路を破壊されて、唯の機会の塊にされた所をな』
「そういうことよ。対策としてはデバイスを使わない事だけど……無理でしょ?」
アングの能力、そしてクロノの被害を聞いて、皆信じられないと言う表情をしてる。
だけど、アング程度で意気消沈してもらったら困る。
「驚くのは良いけど、次いくわよ。赤髪の生意気なヤツ。名前はヴィオル。デバイスは盾型。コイツは変換資質を二つ持ってるわ。雷と炎」
「二つ……厄介だな」
「そうでもないわよ。この三人の中じゃ対策が一番とりやすいのがコイツ」
シグナムが呟いた一言を直ぐに否定する。
苦手意識を持って欲しくないって言うのも有るけど、本当にコイツの能力は他の二人に比べて分かりやすいから。
「コイツ、二つも持ってるくせに資質を利用した碌な魔法が使えないの」
「それなら持ってねぇのと同じじゃねぇか」
「そうでもないのよ。コイツがコイツなりにそれを利用しててね……ココ、ちょっと見て」
そういって映すのはヴィオルに向かってトーギが攻撃を繰り出すところ。
話ではトーギの速さは六課で最速のフェイトど粗同等らしい。
それを、ヴィオルが全て交し、防ぎきる。
「確かにすげぇけど、これくらい隊長陣なら出来るレベルだぞ?」
「そうなんだけど……良く見なさい。ヴィオルの体に電気が走ってるでしょ?」
「ん?……あぁ、本当だ」
私がその映像を止めて説明する。
そのシーンではヴィオルの体に電気が走ってる。
「これがヴィオルの資質の使い道なんだけど。体に電気を走らせて、身体能力を底上げしてるのよ」
「はぁ!?そんなこと」
「出来るのよ」
ヴィータの言葉を、正面から否定する。
それでヴィータは黙る。
隣ではシグナムがフェイトの方を見て、フェイトが首を横に振る。
「体が動くのは脳が微弱な電気信号があるから。資質をどう利用してるかは知らないけど、それでね。本気の時は体中バチバチ言ってて、まさに脊髄反射レベルよ」
炎の方も特別な使い方が出来ると思うんだけど……。
ヴィオルは私の前ではそれを見せたことが無いからわからない。
馬鹿な分、入れ知恵されやすいし……、二人になんか言われたんだろうけど。
こんなことなら口車に乗せて聞き出しとけば良かったわね。
そして残っているエストラ。
コイツは戦闘中に説明したことを告げ、はやてが思いついた対策法を一応伝えてく。
「ねぇ、その……エストラ達が何処に居るかとか……分からないの?」
「残念ながらね。私達が潜伏してた所を教えても良いけど、もう移動してるでしょうし」
「だろうな。そこまで気楽な敵ではあるまい」
なのはに答えて、シグナムが頷く。
それでも一応場所ははやてに伝えておいた。
何かの手掛かりがあるかもしてないし。
「これでお開きで良いかしら?」
「そうやな。また何かあったら教えてな」
「いいわよ」
そして各々、表情が暗いけど立ち上がり、部屋を出て行く。
はやてやなのは達はまだクロノと何か話してるけど……私には関係ないわね。
今はやって置かないといけない下準備がある。
見てなさいよ。
守護騎士を名乗ってるのは伊達じゃないって教えてやるんだから。