魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
――ココは、どこだ?
地面に立っているっていう感覚は無い。
かと言って、浮いているのかと聞かれればそれはNOだ。
視界に写るのは黒一色。
でも暗い訳じゃない。俺の体はしっかりと見ることが出来る。
――ココは、どこだ?
そもそも何で俺はココに居る?
《――ぼう。――ますか、相――》
「……誰だ……? アテナ?」
声が聞こえた。
一瞬誰か分からなかったけど、これは間違いない。アテナだ。
始めは聞き取りにくかったアテナの声も、アテナの声だと認識すると同時に聞き取れるようになった。
《起きてきだ……はっ!?いっそこのまま起きなければ私が主人公に……。いえいえ、流石に……。いえでもこんなチャンス二度と……。》
「…………」
そして聞いた一言目がコレ。
雰囲気なんて俺の自尊心と一緒に一瞬で砕け散ったよ。
「そうか。そんなに俺は認められないか」
《相棒!?今のは決して私の願いとは本心とか、そんなのじゃないですよ!?》
「自白してるのと一緒だからな、それ」
《はぅ!?》
いつもより1.5倍増しで慌ててるアテナ。
コレで六課とかだったらこのまま楽しく話してられるんだろうけど……。
「それで、お前はどこに居るんだ?」
相棒は今俺の首に掛かっていない。
言うまでも無く剣になって手に治まってる訳でもない。
《そ、それです!今こんなくだらない話をしてる場合じゃないんですよ!》
「……それで?」
まだ少し頭がボーッとしてる。
ツッコム気にもなれないので話の流れをアテナに預ける。
《簡単に言いますよ。アナタは今、閉じ込められている状態です》
「どこに?ってかいつの間に?」
《いつの間にって……あの青いヤツにつかまった時ですよ!覚えてないんですか!?》
「……全然」
青いヤツって何の話だ?
本局にはや姉達と来たってのは覚えてるけど……そこまでだ。
ん?いやまて。
「あぁ、思い出した思い出した」
《まぁ今は過程は重要じゃありませんけど》
「おい。それで、俺はどこにラチられたんだ?」
《その閉じ込められたではなくですね……言うなら【神崎ウィズ】の中、でしょうか》
「……俺の中?」
意味が分からない。
《でしょうね。簡単に説明します。と、言っても私自身よく解って無いので推測でしか在りませんが……》
そしてアテナは説明を始める。
纏めると、俺の体は一度乗っ取られかけたらしい。一瞬だが、別の意識も介入してきたらしいし。
だがまぁ、それはアテナが例の如く助けてくれたらしいのだが。
アテナが【俺】が潰されない為に俺の意識をあの時のように刈り取り。
下層に沈めたらしい。だからココは俺の中で、ココに居る俺は意識体だと言うこと。
が、慌ててたせいで思いのほか深く沈めすぎた。
結果だけ見ると閉じ込められたのとそう変わらなくなったらしい。
で、俺への接触に時間がかかったと。
「意識体って何だよ?」
《文脈で予想してください。それ以外適当な表現が思いつきません》
「何故投げやり?」
そういうアテナも本体が乗っ取られかけたらしいのだが、その辺はしっかり防御(プロテクト)したらしい。
「お前って優秀なの?」
《そうですね。特に人格面のプログラムはディズ博士が人一倍厳重にプロテクトや物理保護と造ってましたから》
そういえば親父はアテナの人格面で俺のパートナーに選んだっけか?
そりゃ厳重になってるのが当然か。
「それで俺はどうしたらいいんだ?ここから出る方法なんか知らないけど?」
《……今までお世話になりました》
「ぅおおい!!? そんなに簡単にマスター放棄するなよ!?何とかしろよ!?」
《最近ユリアとか言うポッと出ばかり構ってく私を無視した罰です。さようなら》
「え……本気じゃないよね?ねぇ、アテナ?」
《…………》
「今までスイマセンデシタあぁぁぁぁ!!」
土下座。
実際何処が地面で、アテナがどこに居るか分からないけど取り合えず土下座。
デバイスに土下座なんて俺が人類初じゃないだろうか?
《まぁ、冗談はここまでにして。取り合えず今相棒に出来ることはありません》
「本当に?本当に冗談だよな?」
《と言うか今の相棒は寝ているだけと言うか……とにかく暫くしたら出られますよ》
無視か?無視なんだな?
「こんな暗いところに一人にしないでください。怖いんです」
《なんて情けない。少しの間なんですから我慢してください》
「ヤだ。無理。怖い」
最初は意識がハッキリしなかったから気にならなかったけど、良く考えたら回りは真っ暗。
すんげぇ怖い。
《ハァ。じゃぁ私は戻りますね。それでは》
「ちょっ!? マジで!?アテナ?アテナさ~ん」
呼びかけるも返ってくるのは沈黙だけ。
本当にココから出て行った(?)みたいだ。
当然の事ながら辺りからは何も聞こえない。
どこを見ても黒一色。見えるものといったら俺の体くらい。
「寝よう……」
膝を抱え込み、体を丸めて目を瞑る。
昔なの姉やフェイ姉にこの格好を見られたときは『かわいい』とか『子供っぽい』とか言われて恥ずかしくて止めようと思ったけど……。
ガキの頃からこの格好で寝てるので今となってはこの状態でしか眠れない。
《そうだ、言い忘れてましたが――……》
「ぎゃああぁぁーーーー!!?」
《ど、どうかしましたか!?》
思わず叫んだ。
だって油断してるところに声かけられたらこんな場所じゃなくても叫ぶだろ?
あー。心臓ってこんなに大きい音だして動くモンなのな。
「な……なんでもない。で?何を言い忘れてたって?」
《あぁ、そうでした。二度寝だけはしないでくださいね》
「死ねと?」
《そんなこと言ってないですよ!?》
「俺にとったら死活問題なんだよ!俺がどんだけビビリなのか知ってんだろ!?」
《開き直らないでください!!》
唯でさえ意識がハッキリしてきて、この空間が怖いんだ。
それを寝ないで起きてろなんて……どんなイビリだよ。
「で、なんで寝たら駄目なんだよ?くだらない理由だったらドツキ回すぞ」
《相棒、キャラが変わりすぎです。……強いて言うなら私が起こすのが大変だからです》
「……ほう?」
つまり俺を起こすのが面倒くさいから、俺に地獄を味わえと。
そう言ってるんだな。
《何を勘違いしてるのか分かりませんけど、あなたは今寝てる状態なんですよ?》
「う……」
《それに、縮まったとはいえ、今のような接触をするのは時間が掛かる、とも言いましたよね?》
「……あ」
そういえばそんな事言ってたなぁ。
あぁ、なるほど。
「つまり【起こす】ってのは現実(リアル)での話だな?」
《そういうことです。起きようと思ってたら起きられるでしょうから、がんばって下さい》
「随分アバウトだな、おい」
《そりゃ前例がありませんから》
そりゃそうだ。
俺だってこんなこと初めてだし。
と言うかしょっちゅう有ってたまるか。
《では私は戻ってます。早くしてくださいね?》
「なにさま?」
《神様……いえ、アテナ様です》
「言い直した!?と言うか神様って何となく古いぞ!?」
《そ、そんなことありません!私の精一杯のギャグですよ!?》
「……あれで?」
《そんな目で見ないでください!と、とにかく!私は行きますからね!!》
と、何となくだがアテナの気配が消えた気がする。
さて……俺もそろそろ起きないと駄目だよな。
「ふぅ。ようやく繋がった。接続にここまで時間が掛かるとは……」
「っ!?」
後ろから、声がした。
聞きなれない声。だが、つい最近に聞いた声。
「アング……!」
「そう身構えないでください。僕は伝えに来ただけなんですから」