魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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23.コントローラー

 

 「えーと……確かこの辺の筈……」

 

そして十日後、俺はクラナガンへと繰り出していた。

勿論誰にも今日の事は言ってないし、出てくる理由もちょっとそこまで、って言って出てきた。

 

今回、ってか今から俺がすることは見方を変えたら密会だ。

それも少し前までなら何でも無かったかも知れないけど、管理局本部てドンパチやった今となったら言い逃れできない。

 

もし今回のことがバレて姉さんたちに迷惑をかけたくない。

 

 《マスター、そこを左だ》

 「え?アテナが案内してくれてるのは右……おい、アテナ」

 《何でしょう?私は今デバイスと使用者の恋の成立について考えている途中なのですが》

 「そんなの後に……いや、考えるな!」

 《私の人権はどこに!?》

 「ない!」

 《言い切られた!?》

 

そもそもお前は人じゃないだろうが。

お前は俺の言うことを聞いておけばいいんだ。

 

 《相棒はそういうのがお好みで?》

 《尊敬ポイント、マイナス2だな》

 「悪い、今のは俺の言い方が悪かった、って言うか尊敬ポイントってなに!?」

 《文字通りだが?》

 「ちなみに今何ポイント?」

 《聞かないほうが良いぞ》

 「……うん、そうする」

 

聞くのが怖い。

レイラの前じゃ特にこれと言った事してねぇからなぁ。

プラスになってる気がしない。

 

って、そんな話じゃねぇんだよ今は。

 

 「アテナ。お前嘘の案内したな?」

 《はい》

 

コイツ、詫びる気もなく言い切りやがった……。

いや、今日の事を納得してないのも分かってるから強くは言えないけどよ。

 

 

それからレイラの案内で目的地に向かい、着いたのだが……。

ファントムは潰れているんじゃ無いかというほどボロボロだった。

 

 「とりあえず二人ともAIのプロテクトは確りかけておけよ?何なら今からしておいた方がいいな」

 《その辺は抜かりありません》

 《既に下準備はしてきている。1秒あればスリープに入ると同時、プロテクトがかかる》

 《ま、その場合起きるまで時間かかりますけど》

 「それ位しておいたほうがいいって」

 

何にか有ってからじゃ遅いし。

この前もアテナが起こしてくれなかったら多分寝たきりだったろうし。

 

アテナ達と最終確認を終わらせ、俺はファントムの扉を開いた。

 

 「遅かったですね?」

 「少し迷ったんだよ。時間通りに来て欲しいならもっとわかりやすい場所にしろ」

 「それもそうですね」

 

中に入ればカウンターにアングが座っていた。

店の中にコイツ以外誰も居ないのを見ると本当にこの店は潰れているらしい。

 

俺は一つ席を空け、カウンター席に腰を下ろす。

 

 「警戒心が強いんですね」

 「話に来たんじゃねぇんだ。さっさと教えてもらおうか?」

 

相手のペースに嵌らない。

これは何事にも大事なことだ。

それが自分より上に居るヤツなら特にだ。

 

するとアングは鼻で軽く笑った後、口を開いた。

 

 「なら早速ですが……。貴方は闇の書を封印する為ぬ作られたのではない、と言うのは言いましたね?」

 

俺は無言で頷く。

 

 「貴方が作られた理由は、【マジック・ホール】の制御の為です」

 「マジック・ホール?」

 

直訳で魔法の穴……ん?

そういえばユリアがそれらしいこと言ってたな……。

 

 「そのマジック・ホールってのは何なんだ?」

 「簡単に言えば魔力の集まる穴です。名前の通りですね」

 

そしてアングは詳しく説明をしだす。

 

マジックホール、魔力の集まる穴。

この穴はその性質上発見されたモノ……ってもまだ数は10にも満たないらしいが、全て管理局が管理しているらしい。

危険なのだ。

傍から聞いた限りでは魔力関連の色々な研究に役立つだろう。

だが魔力は強大であればあるほど危険なのも確かだ。

 

俺が知ってる限りでも一つ。

聞いただけだけど……。大きな魔力のせいで微弱ながら次元震が起きている。

ジュエルシード。

いくらなの姉とフェイ姉の魔力量が多くても子供。

その二人の魔力で次元震が起きるんだ。

魔力が集まる、なんて臨界点なんて解んねぇけど……超えたら危険なのは俺でも解る。

 

 「ですが、管理局が管理している理由はそれだけでは有りません」

 「まだあんのかよ?」

 「えぇ。それも見方によってはこっちの方が危険とも言えます」

 

勘弁してくれ。ユリアの口調から考えてもこんなに危険なモノなんて考えもしなかったぞ?

 

 「……ロストロギアを引き寄せるのです」

 「はぁ!?」

 

ロストロギアを集める?

そんなの見かた云々以前に危険じゃねぇか。

 

こんなの説明されなくても解る。

 

ロストロギアは大なり小なり魔力に引き寄せられる。

自身を発動させるものは魔力なら尚更。

 

そこに魔力のたまり場があればどうだ?

 

 「穴の事は大まかに解った。だけどそれと俺の何の関係があるんだ?」

 「貴方は、この穴を制御する為に作られたんですよ」

 「そりゃ唐突だな」

 

どういうことだよ!?

何とか動揺を見せないようには出来たけど、内心は穏やかじゃない。

 

俺の力は封印の力。

それはアテナと、そして何より母さんの記憶を継いでいるユリアがそういってたんだ。

間違いじゃない。

 

 「では聞きますが、スカリエッティが貴方を欲した理由は何でしたか?」

 「それはっ……ちっ」

 

ゆりかごの制御装置。

 

 「言わば貴方は万能コントローラーなんですよ」

 「コントローラー?」

 「はい。ゲームの主人公はコントローラーによって好きに操作されます。が、逆を言えば操作しなければ動くことも特別な能力を使うことも出来ない。どうですか?これは封印されているのと同意でしょう?」

 

言われて納得した。

テレビがついていても見なかったらそれはテレビを消しているのと同じだ。

見てないんだから。

 

だけど、まだ納得する訳にはいかない。

 

 「じゃぁ、俺が海鳴に呼ばれた理由はどうなんだよ?」

 

そうだ。

俺が今のポジションに居るのは海鳴に居たからだ。

そして居た理由もはや姉が、闇の書がそこにあったからだ。

 

 

 「もし俺がその穴の制御装置として作られたなら、行く理由が無い」

 「いえ、貴方は行く必要があった。それこそ、本来行く筈だった者を押しのけてでも」

 「本来行く筈……そんなヤツ……」

 「居るでしょう一人だけ。貴方と同じ存在で、凍結の変換資質持ちの彼が」

 「っ!」

 

……トウギ。

 

思わず顔を伏せた。

そうだ。俺の前じゃ一回しか使ってなかったから忘れかけてた。

 

この前あった時も考えたばかりじゃねぇか!

俺とトウギが逆の可能性もあったって。

 

なんで、十日前、目の前のコイツに言われたときに気づかなかった!?

凍結魔法で封印を考えてたなら……トウギが適任だ。

 

……まて。

なら俺が海鳴に居た理由は?

トウギを押しのけてまで俺が居た理由は……。

まさか……?

 

俺は動揺しながらも顔を上げ、アングを見る。

 

 「気づいたようですね。そうです。海鳴にも一つ。穴があります」

 

やっぱり。

 

 「研究者たちが貴方を地球に送る直前、グレアムが別の手段の方法を模索中を言うことを知ったんです。だから、切られるのを前提で貴方を地球、穴の近くに送った」

 

もっとも、ディズ博士たちは知らなかったようですけどね、と付け加え、笑みをこぼすアング。

 

 「穴にはピークになる周期があります。それが大体十年」

 「十年……」

 「はい。まぁ、大体の話ですので1~2年の差は有りますけれどね」

 

言われて納得した。

 

10年と言う期間で3つのロストロギアが地球に落ちてる。

いや詳しくは地球の日本の海鳴市にだ。

 

特にジュエルシード。

地球で落としたならまだ説明はつく。

だがあれは次元航行中に落とされたものだ。

21個全てがあんな狭い範囲に落ちることがおかしいじゃないか。

 

つまり、夜天の魔道書が今から約20年前のピーク時に。そしてジュエルシードが10年前。

そして今年の初めのスライムみたいなモノ。

 

確かに多少のズレはあっても約十年の周期だ。

 

穴に引き寄せられてたんだな。

 

 

これで、説明がついた。

親父たちがはや姉と接触出来ないのに地球に呼ばれた理由。

そして俺を求めるヤツ全員が封印機じゃなく、制御装置をして欲してたこと。

 

そしてこれが最後。

 

 「その情報、どこで手に入れた?」

 「言ったじゃないですか。管理局のコンピューターに……」

 「それにしては知りすぎてるよな?」

 

マジック・ホール云々の本当だろう。

管理局が管理しているんだから俺でも直ぐに調べられる。

でも俺がトウギを差し置いて海鳴に行ったとか、その海鳴に穴が有るなんて。

その情報はどこから手に入れた?

管理外世界だから、なんて理由にならない。そんな危険なモノなら少しでも関わっている筈だ。

でもそんなのリンディさんからも聞いた事が無い。

 

 「感がいいんですね」

 「そんな事は良いから、早く言え」

 

睨み付ける。

答えないつもりならそれでも良い。

どの道俺はこの問答を最後にここから出るつもりだ。

 

俺たちにはユーノさんという頭脳が付いてるからな。

また徹夜してもらう事になるかもしんねぇけど。

 

そして数秒。

アングが軽く微笑み口を開いた。

 

 「僕が、FS計画にかかわっていたからです」

 

 

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