魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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29.開戦、機動六課

 「それじゃ最後。シュートイベンションやるよ」

 「はい!」

 

恒例になった朝練の仕上げを今からやるところ。

最近はFW陣も力を上げてきたからなの姉だけじゃなくてヴィータ姉さんも一緒になってる。

 

俺?

俺はなの姉のチームだと足引っ張るし、FWチームだと過剰戦力になるから訓練場外から見学。

ハブられてる?そんなはず無いじゃないか。

ハハハハハ……はぁ。

 

 「なら私と戦るか?テスタロッサが居なくて退屈なのだ」

 

いつの間にか横に立っていたシグナム姉さんが、イヤは提案を申し出てきた。

ってか、ついさっきまで一閃の為の模擬戦したばっかりでしょう。

俺としても機会が増えるのは嬉しいけど、限界を普段から超えるつもりは無いんです。

 

 「遠慮しときます。って、フェイ姉居ないの?」

 「ハラオウン提督に呼び出されて、主はやてと共に本局の方にな」

 「クロノが?」

 

フェイ姉が本局に出向するのは珍しいことじゃないけど、クロノが呼び出したってのが気になる。

この前の件の事ならはや姉だけで良いし……。

 

俺が考えてもしゃーねぇか。

 

 「そういえばウィズ。お前は決めたのか?」

 「何を?」

 「解散後の事だ。もう12月。ほとんど者が進路を決めているぞ」

 「あぁ、そういえば……」

 

顎に手を当てて考える。

 

全く考えてなかった訳じゃないけど、固まってないのも確かだし。

このままだちょ地上部隊に戻ることに成るんだろうけど、殆どレジアス中将の直属みたいな感じだったしなぁ。

現にどこの部隊に所属してたって訳じゃないし。

 

 「なんなら私の元に付くか?」

 「姉さんの?姉さん航空部隊でしょ?俺飛べないし」

 「そうか。これで模擬戦相手に困らないと思ったんだが……」

 「頼むからそういう理由で誘うのはやめて」

 「冗談だ」

 

絶対に嘘だ。

だって本当に残念そうだったモン。

 

にしても本当に考えておかねぇとなぁ。

パッと思いつくので108かねぇ。正直はや姉とスバルって言うコネもあるし。

 

 「まぁ、焦って決めることも無いだろう。ゆっくり決めることだ」

 

最後にそういい残し、シグナム姉さんは俺に背を向け隊舎に戻ろうとしたとき、それは起きた。

 

 

 「え、何これ!?」

 「どうなってんだよ!!」

 

俺がシグナム姉さんを見送っていると後ろ――訓練場からそんな叫びにも似た声が聞こえた。

それはシグナム姉さんにも聞こえたようで俺より少し早く振り返っていた。

 

そこに、訓練場はなかった。あるのは――……。

 

 「――箱?」

 

そう箱だった。

正確にはビル郡が隙間無く建っている状態なんだが、なの姉たちが出てこないのを見ると、上も何かで塞がってるんだろう。

 

 「システムの不具合か?こんなプログラム無かったはずだが……」

 「どうだろ、調べてみる」

 

俺の隣に戻ってきたシグナム姉さん。

俺は操作パネルを開き、プログラムの状況確認を急ぐ。

 

と、その時だった。

 

 「っ!この音って――」

 「アラート?いや……非常ベル……火災?」

 

隊舎から鳴り響く、非常ベルの音。

アラートじゃない分、まだ安心できるが、このタイミングで?

 

そんな事を思ったのも束の間。

防火シャッターが降り始めた。

 

何故外に居てわかったか。

それはずべてのシャッターが閉まったからだ。

ここから窓越しに見ても廊下を刻むようにシャッターが下りはじめている。

 

 「おいおいおい。どうなってるんだよ……」

 「ここに居ろ。私が確かめてくる」

 

 「その必要はありません」

 

シグナム姉さんが一歩踏み出したとき、上空から声が聞こえた。

この声、忘れるはずが無い。

 

 「アング……!」

 「お久しぶりです。ウィズさん」

 

そこに居たのはやっぱりアング。そして白髪の男、エストラ。

アングはあの気味の悪い笑みを浮かべ、エストラは腕を組んで目を閉じている。

 

 「そうか、これは貴様の仕業だな?」

 「正解です」

 

シグナム姉さんの問いに答えるエストラ。

 

そういえば言ってたな。電子機器への介入が出来るヤツだって。

ここのプログラムにアクセスでもしやがったか。

それで訓練場と隊舎をこんな風にってか。

訓練場を見る限り閉じ込めるのが原因か?なら隊舎の入り口にもシャッターが落ちてる可能性が高い……。

 

 「なぜこんな真似をする?」

 「決まっているだろう。そこに居る男と、ユリアを連れ戻しに来た」

 「ユリア?」

 

何でユリアを?

確かにアイツは裏切り者になるんだろうけど……連れ戻す?

 

 「なんでユリアを――っ!?」

 

連れ戻すんだ?

駄目元でそう聞こうとしたとき、隊舎の一角が爆発を起こした。

必然的にその場にいる全員の視線がそこに集まる。

 

 「へぇ。ならお帰り願いましょうか」

 

煙が充満する中、聞こえてきた声。

そして晴れていくと同時に見えてくる人物の影。

ドレスアーマーのユリア。

 

 「そろそろ来る頃だと思ってたけど……やっぱり私も狙うんだ?」

 「そうだな。お前が必要だ。戻って来いユリア」

 

お互いに睨みあってるけど、口調は穏やか。

だけど、その間には紛れも無い殺気がぶつかり合っている。

 

 「イヤよ。私戻る気ないし」

 

右手中指を立て、べっと舌を出すユリア。

 

 「それに――私、友達と遊んでるところを邪魔されるのが一番キライなのよねぇ」

 「同感だ!!」

 

返事をしたのはエストラでもアングでも、俺たちでも無い第三者。

その第三者は未だユリアの足元に充満していた所から、煙の尾を引きつつ飛び出した。

 

 「ザフィーラ!?」

 

ザフィーラ兄さんは飛び掛る途中、狼から人間へと姿を変え、アングに襲い掛かる。

 

 「成る程そういうことですか。ですが、それくらい読めない僕ではありませんよ」

 「それはコッチの台詞よ!」

 

兄さんの影から飛び出したのは数羽のアヴェ。

そのアヴェが次々に消滅していく。

 

 「ちっ」

 

舌打ちをしたのはエストラ。

きっと例の見えない魔力球を全てアヴェに防がれたからだろう。

 

 「ておらぁぁぁ!!」

 「くっ――!」

 

ザフィーラ兄さんの攻撃にアングはシールドを張り対処した。

だが、張っただけでは攻撃の勢いまでは殺せず、後ろにはじかれる様に後退した。

 

そして兄さんとユリアが近くに集まってくる。

 

 「やっぱ、プログラム直接には働きかけないみたいね」

 「…………」

 「やっぱ図星ね」

 「……これだから貴方は嫌いです」

 「私もよ。初めて意見があったわね」

 

二人言葉を交わすが、俺たちは全く会話に付いていけない。

そんな俺たちに気づいてか、視線はそのままにユリアが説明を始める。

 

 「アイツは機器を通さないと、プログラムは弄れないのよ」

 「……ゴメン、もっと詳しく」

 

あ、一瞬こっち向いた。

やめてくれ、その可愛そうな者を見る感じは。

 

 「例えば、パソコン用ウイルスを造るでしょ?それを他人に流そうと思ったらメールに添付したらいいでしょ?」

 「おう」

 「でもアイツはメールが使えないのよ。だからウイルスを直接、他人のパソコンにインストールしないといけないの」

 

んん?

何となく分かった気がしないでもないけど……ん~~?

 

 「つまり、プログラムを弄りたければそれがインストールされている機器を触らなければいけない、ということだな」

 「正解」

 

あぁ、やっと分かった。

ってかはじめからそっちを言ってくれりゃいいのによ。

 

 「分かった?貴方たちヴォルケンリッターは体はプログラムだし、ザッフィーなんかはデバイスも使わないからね。アングの天敵なのよ……ね!」

 

言葉を言い切ると同時、10はあるだろうアヴェがユリアの頭上に展開。

さらに上に居るアング、エストラたちに向かって飛来する。

 

シールドに阻まれたのか、直撃したのか、二人は爆煙に包まれ、姿が見えなくなる。

 

 「さぁて。あとは……シグナム。アンタ弓使えるんでしょ?」

 「なぜそのことを?」

 「言ったでしょ?そろそろ来ると思ってたって。色々対策練ってたのよ。別に情報もらしたりしてないんだからそんな目で見ないでよ」

 

まぁ、警戒されても文句は言えないって。

姉さんも本気じゃないだろうけど、自分のこと調べられていい気はしないだろうし。

 

 「まぁいいだろう」

 「良かった。許してもらえたところで、ザッフィーと組んで頂戴。お互いやり易いでしょ?」

 「そうだな。二対一と言うのは気に入らないが……仕方ないだろう」

 

 「ならお望み通り、一対一で戦らせてやろう」

 

煙が晴れ、そこに居た二人は全くの無傷。

シールドで防いだんだろう。

その事も予想済みだっただろうユリアは同様しない。

 

 「アンタバカでしょ?なんでアンタたちの許可を貰わないといけないのよ」

 「確かに不満は有るが、ここで貴様らを逃がすわけには行かないのだ。ここは絶対策をとらせて貰う」

 

ユリアに続いてシグナム姉さんが口を開く。

っていうかやっぱり不満なんだ。

 

まぁうん。何となく分かってたし、深く考えたら駄目だろう。

俺はアテナをレイラをセットアップ、テクニカルソードを握り、戦闘に備える。

 

 「まぁ、そう言わないでください。さっきも戦いがっていましたし、手助けしますよ」

 

そう言ってアングは右手を顔の辺りまで上げ、何かを呟きだした。

 

 「――っ!?」

 

同時、誰かに握り潰される様な、そんな痛みが頭に走った。

 

 「あ、が――ああぁぁああ!!」

 「ウィズ!?」 

 「っ!しまった!」

 

立てなくなり、膝をつく。

割れそうとはまた違う痛みに耐え、飛びそうになる意識を無理やり引き止める。

 

 「アテナ!レイラ!その形態で良いから今すぐにロックを掛けなさい!」

 《は!?何を言ってるので――!!》

 「早く!!」

 

誰かが何かを言ってるのは分かる。

だけど、ダレがナニを言ってるのか分からない。

 

 「ユリア!ウィズはどうしたのだ!?」

 「黙ってて!ウィズ、聞きなさい。私の声が聞こえる!?いや聞きなさい!」

 

聞こえてる。

聞こえてるけど、理解できない。

 

そんな余裕、俺には……。

 

 「あ」

 

そして俺の視界は暗転し、意識は落ちた。

 

 

ユリアside――――――――――――――――――

 

ウィズがその場に倒れた瞬間、シグナムが駆け寄り、膝をつく。

 

 「――っ!シグナム、離れなさい!」

 「なに――っ!?」

 

とっさに反応したシグナムは弾くように後ろに飛んだ。

刹那、さっきまで居たところにアテナが振るわれる。

 

 「ちっ。外れたか……。トロいんじゃね?この体」

 

起き上がったウィズはアテナで肩を叩きながらそんな事を言う。

そして前髪をかき上げる。

 

 「第二人格……遣ってくれるわね、アング」

 

以前ウィズに接触した時のは失敗に終わったと思ってたけど……成功してたって訳ね。

上塗りされた新しい人格、第二人格。

そいつが表に出てきた。

 

 「いえ、彼は第二人格などではありませんよ」

 「なんですって?」

 「本人に聞いてみたらどうですか?」

 「ん?俺?」

 

そして視線は暢気に屈伸や肩を回していたウィズに集まる。

 

 「そんなに見るなよ。照れるだろ?」

 「無駄話は良いから、アンタ、何なの?」

 「【何なの?】そう聞かれるのってなんか辛いねぇ。いいぜ、教えてやる。俺はな」

 

ふざけていた口調が変わりまじめな物に変わった。

そして、ヤツのクチから出た言葉は、私たちを少なからず動揺させることになった。

 

 「正真正銘、本物の神埼ウィズだ」

 

 

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