魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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32.決着

ユリアside――――――――――――――――――

 

 「つっこめ!」

 

もう確り節を踏む余裕なんか無い。

思考に少しの余力を残して割いた上でアヴェを出せる限りだして、飛ばす。

避けられてもいい。

とにかく今は時間を稼ぎたい。

 

割いた思考の一つでシグナムの事を横見見る。

実力的にはザッフィーの方が不味いけど……防御に徹すれば耐えられるって言ってた。

だから私は信じる。

別にシグナムを信じてないわけじゃない。けど、今のシグナムは……相手が悪い。

 

 「ウィズ!」

 「はいはい。なんでしょうかぁ!?」

 

シグナムの呼びかけに、斬撃で答えるウィズ。

ウィズの攻撃は拘束を外しているから、重い。でも、普段のシグナムなら避けられるはず。

だかど、シグナムは攻撃を受け止めた。

 

明らかに鈍ってる。

早く決着をつけないと……不味い。

 

 「ぐぁっ……!」

 「シグナム!」

 

シグナムがウィズに押し負けて、六課の壁まで吹き飛ばされた。

少しの粉塵は巻き起こったけど、姿はハッキリと見える。

 

だけど、ウィズの攻撃は休まなかった。

まっすぐ、壁に埋まっているシグナム向けて跳びこむ。

 

 「まずっ……」

 「行かせない!!」

 「っ!しつっこい!!」

 

シグナムを助けようとするけど、それもエストラに阻まれた。

とにかくアヴェを打ち出すけれど、エストラには届かない。

 

全てのアヴェは弾かれ、その場で消滅する。

でもエルトラの意識が一瞬でもそれればそれで十分!

 

私は体の負担を無視して、直角に動き、エストラの横を突っ切る。

 

 「ちっ。いかせん――!」

 「create(クリエイト)・ave(アヴェ)――defend(ふせげ)・turn(まわれ)!!」

 

今度はちゃんと詠唱を踏む。

増援は来てないけど……今がウィズに接近できるチャンス。

この機会を逃すわけには行かないのよ!

 

私の目録どおりエストラの攻撃を防ぐ。

だけど今回はtuneの節も踏んでるから、エルトラの周りを旋回して、動きを封じる。

 

今のうちに――!!

 

次に私の見た風景に、少しだけ私は衝撃を受けた。

 

それは決してウィズがシグナムを斬っていた、とかじゃない。

むしろ逆。

 

ウィズの刃が……止まっていたから。

 

side out――――――――――――――――――

 

 

映像は、ずっと見えていた。

 

 「ウィズ!いい加減目を覚ませ!」

 「目はバッチリ覚めてんだよぉ!!」

 「――ぬぅっ!!」

 「シグナム!!」

 

うん、目は覚めてる。

でも動けない。

 

まるで人がプレイしてるゲームを眺めてるみたいだ。

 

――やめてくれ……。

俺の意思には関係なく、俺は口を開く。

 

――やめろ……。

俺の意思に関係なく、姉さんと斬りあっていく。

 

でも俺の体は全く言うことを聞かなくて……ついにシグナム姉さんが六課の壁まで弾き飛ばされた。

 

やばい。このままじゃ姉さんが……。

 

踏ん張る。けど身体は言う事を聞かずに姉さんに向かって走り出す。

 

 

駄目だ……ヤメロ!!

ここで踏ん張らなくて、何の誓いだ!

 

俺はヘタレでも良いって思ったけど……負けても良いなんて、思ってねぇんだよ!!

いい加減……言う事を聞きやがれ!!

 

 「とまれ!!」

 

口が言う事を聞いたことに一瞬驚く。

だけど驚いてる暇なんてねぇ。もう腕は、刃はシグナム姉さんに振り下ろされてる。

 

 「づっ――!!」

 

ギリギリ、腕を止めることは出来だ。

けど安心は出来なかった。

 

今でも腕はまともに言う事を聞かないから一瞬でも力を抜いたら姉さんに切りかかる事になる。

そうはいかねぇ!!

 

 「――ウィズ?」

 「ねぇ……さん。…にげ――」

 

逃げて。そう言おうとした言葉も別の声にかき消された。

 

 「シグナム!シュランゲで拘束しなさい!!」

 

顔を声のする方に向けると、予想通りユリアだった。

コッチに凄い勢いで飛んできている。

そしてシグナム姉さんもユリアの声を聞いてシュランゲで俺を拘束した。

 

刃が身体に刺さる。……え?

体の自由が利き易くなった。なんで?

 

その疑問は、自分で答えることになった。

 

 「いってぇ!何しやがる!!?」

 

俺じゃない。けど、俺の口から出た言葉。

成る程。コイツも痛いのは勘弁ってことか。

 

必死な状態な時、頭のどこかでそう考えた。

その時だった。

 

 「ユリ……後ろ!」

 

絞り声は小さかったけど、ユリアにちゃんと聞こえたみたいだった。

 

 「起きなさい、ベガ!!」

 

叫んだユリアの右手が、灰色の鈍い、それでも眩しい光を放つ。

そして光が収まった時、ユリアの手には指だしの紫色のグローブ……って。

アイツ、デバイスは使わないんじゃ……。

 

 「ウィズ!痛くても我慢しなさい!」

 「な、に……言って……っ!後ろだ……!」

 

ユリアの後ろから、エストラが見えた。

なんだか分からないが、ユリアはそっちを一切見ない。気づいてる筈なのに……。

 

ヤバイ。

俺は気を抜いたらまた自由奪われそうだし、シグナム姉さんは獲物が無い。

 

 「シグナム、これっ!」

 

そう言ってユリアが作り出したのは一つの魔力で作り出した剣。

その形はまさに、レヴァンティンと同じだった。

 

シグナム姉さんはユリアと互いの剣の柄を持ち替え、エストラに切りかかる。

が、エストラはその攻撃を体を左右に振るなり、見えないシールドを張り全てかわす。

 

そして最後には後ろに大きく後退して、その右手を俺たちに向ける。

 

――っ、まずい!

 

 「大丈夫」

 

ユリアがそう呟くと、俺たちをエストラを隔離するように緑のシールドが張られた。

これの色は――シャマル姉さん!?

 

 「いくわよ!」

 「つぅっ!!?」

 

俺の考えを遮った声の主もユリア。

そう言って俺の頭をユリアがガッチリ掴みやがったと思った次の瞬間、再び光出したユリアのデバイス。

 

 「づっ……」

 「あ、あぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

言っていた通り、少しだが頭痛がし始める。

自分から叫び声が聞こえてるのに……そこまでの痛みでも苦しみでもなかった。

なら、苦しんでるのは……コイツかっ。

 

 「穿(うが)て、ブラッディダガー!!」

 

その途中、はや姉の声が聞こえた。

ユリアの指の隙間から、見えた光景は、エストラに次々に地上から襲い掛かる緑の軛と、鮮血の刃。

そして、耳から入る音は電気が弾ける音と……。

 

 「へぇ、嬉しい誤算ってヤツ?」

 「……向こうも脱出できたみたいだな」

 

二人のそんな会話だった。

 

そして、俺の体は凄い勢いで急速に楽になって行った。

 

ユリアの手が離れる。

 

 「……どう、調子、は?」

 

息絶え絶えになりながらも、ユリアは俺に確認を取ってきた。

俺もまだ違和感は残ってるけど、答える。

 

 「多分、いける」

 「そ、そう……。シグナム」

 

さっきの間にコッチに来ていたシグネム姉さんにレヴァンティンを渡すユリア。

姉さんの手に戻ると同時、レヴァンティンの拘束が解けた。

 

 「って、おい!」

 

それを確認したと同時、ユリアの体から力が抜け、地上に落ちそうになった。

まぁ、シグナム姉さんが受け止めたけど……ゴメン。俺もなんだか限界……。

 

 「ウィズ。肩」

 「……フェイ姉?ありがと……」

 

いつの間に帰ってきてたのか、俺の隣に来たフェイ姉に肩を貸してもらう。

ん……?今……。

 

 「あーあ、失敗しましたか……」

 「アング……ッ」

 

フェイ姉がそう呟いた。

 

 「お、俺のせいじゃねぇからな!!違うよな、エストラ!」

 「いや。間違い無くお前のミスが一番大きい」

 「そうですね。あのエースさんたちさえ出てこなければまだ手は有りました」

 

さっきまで姿が見えなかったヴィオルまで出てきた。

会話の内容からしてヴィオルは訓練場に居たってところだろ。

 

ん?という事はなの姉たち……脱出できたんだな。

 

そう確信したのは、俺たちの前になの姉とヴィータ姉さんが壁に成るように間に入ったからだ。

俺たちの後ろにもはや姉とシャマル姉さんとザフィーラ兄さんが居るのも魔力で分かる。

 

 「まぁ、手は無いわけでは無いので、今日の所は下がるとしましょうか」

 「逃がすと思ってんのか?」

 

ヴィータ姉さんがアイゼンを構え直しながら言う。

確かに、この状況はコッチは断然有利。

この場で倒すのが定石なのは素人でも分かる。

 

 「ま、そうでしょうが……」

 

アングがそこまで言ったとき、六課から警報が鳴った。

最初の火災警報みたいなモノじゃない、第一級警戒態勢のアラート。

アングの仕業だって言うのも、分かってる。

だけどここに居る全員、体に染み付いたモノで一瞬そっちに気が行ってしまった。

 

 「それでは、さようなら」

 「てめっ!待ちやがれ!!」

 

ヴィータ姉さんが慌てて攻撃する。が、アングたちは一歩早く、その場から消え去った。

 

 「え?ウ、ウィズ!?」

 

そして、居なくなったのを確認したと同時、俺の意識は……遠退いていった。

 

 

 

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