魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

34 / 50
34.ハイペリオン/幼き頃の記憶

 

 「ハオペリオンを教えてほしい?」

 「うん。お願いできないかな?」

 「ん~……」

 

目が覚めて次の日、海鳴に到着予定の日。

到着は夕方頃になるらしく、俺たちはアースラの訓練場で訓練してた。

で、朝の訓練が終わって、治療に戻ろうとした時なの姉にそう言われた。

 

 「別に構わねぇけど……なんで?」

 

とりあえず理由を聞く。

いや、別に教えるのは良いんだよ?

今日だって体がまだ不調だから外から言ってるだけだったし。

だけど何でハイペリオン?

ってか、一応なの姉も使えた筈だけど……。

 

 「私、ティアナをチームの核に育てようと思ってるのは知ってるよね?」

 「うん。分析能力とか戦術立案がメチャクチャ早いから、だったっけ?」

 「まぁそんな感じ。それでね。そうなって来ると戦場を色んな場所から見渡せるようになったらなって」

 「それだと簡単な足場を作る魔法の方が良くない?」

 

確かに俺のハイペリオンは足場とシールド二つの効果があるけど、その分少しだけ複雑だし。

 

 「それは大丈夫。ティアナなら朝飯前だよ」

 「…………」

 「あ、ウィズ君!?私が悪かった。悪かったから泣かないで!!」 

 「まぁ事実ですし、なのはさんが謝る必要は無いと思いますよ」

 《と言うよりマスターが謝れ》

 「なんで!?」

 「主に私に」

 「黙っててくれるかな!?」

 《では私に……》

 「それも違うから!」

 

最近レイラも良い感じに毒されてきてるよなぁ。

この前トウギに返したときは普通だったみたいだけど、いつかちゃんと返した時どんな顔されることやら……。

 

そういやこの前シャーリーさんに自分にもアナザーを作ってくれって頼み込んだらしいし。

 

 「それで、エリオは……まぁ、何となく分かるけど」

 

この前少し映像を見せてもらったから分かる。

ガリュー、だっけ。あのライダーもどきの虫人間みたいなの。

あれとの戦闘見る限り、年のせいもあるんだろうけど、まだストラーダに引っ張られてる感があるんだよなぁ。

市街戦……というかビル郡の中では壁蹴りを応用して迫ってたけど……。

無かったらどうしても直線的な動きになる。

 

それでと言うことか。

 

 「でもなの姉も一応使えたよね?」

 「そこはほら、年季の差」

 

人差し指を立てて、可愛く言うなの姉でした。

 

 

早速その日の午後、俺はティアナとエリオの二人の前に立っていた。

 

 「と、言うことで今日から少しだけ時間を貰って教えることになったから」

 「はい!」「はいっ!」

 

いつも思うけど本当に良い返事するね。

何となくティアナが二割り増しくらいで元気に見えるけど何でかな?

 

 「以前から一度聞いてみたかったので」

 「そうなのか?なら調度良かったな」

 「はい!……それで、ハイペリオンって詳しくはどんな魔法なんですか?」

 「あぁ。それからはじめた方がいいか?」

 

俺としては少し恥ずかしいから教えたくないんだけど……。

だが二人は同時に頷いた。

しゃーない、なら教えるか。

 

 「ハイペリオンは、二人が知ってる通り足場とシールド、二つの性質を持った魔法だ」

 「あの、一ついいですか?」

 

そこまで話して早速ティアナが手を上げた。

 

 「ウィズさんってマルチタスクが苦手って聞いてるんですけど……なんでそんな複雑な魔法を?」

 

凄く申し訳なさそうに聞いてくる。隣のエリオは目を泳がせてるし。

別に良いんだけどな。事実だし。

 

 「この人二つが限界なんですよ。スフィアだって五つまでは作れますけど、飛ばすだけですし……だから多少複雑になっても一つに纏めた方が良い、と言ってましたね」

 

隣で飛んでいたアナザー装備のアテナが口を開く。

良いんだよ、事実だし。でも言いすぎだと思うんだ俺は。

 

ティアナの疑問は当然の事だ。

なら何でそんな魔法を俺が習得しているか。

 

 「元々ハイペリオンは俺が飛行魔法を習得したくて、四苦八苦してる時にな――」

 「飛行魔法?」

 

エリオが首をかしげる。

普通は結びつかないよな。飛行魔法と、ハイペリオンなんて。

 

 「練習しても練習しても成功しなくて拗ねてた時、俺を不憫に思った姉さんが作ってくれたんだ」

 

今思ったらコレくらい先のことも見越してたんだろうな。

あん時はなんで複雑にする上に選んだ付加効果がシールドなのか不思議だったけど。

 

 「お姉さん……はやて部隊長ですか?」

 「あぁ、違う違う」

 

そういえば二人は知らないんだっけか。

八神家の長女、俺のもう一人の姉さん……アインス姉さんの事。

 

 「ま、それは置いといて、コレはその姉さんが造ってくれた魔法なんだよ。これだけは覚えといてくれ」

 「はい!」「はい!」

 

二人共何かを感じてくれたのか、元気良く返事を返してくれた。

 

俺は早速二人のデバイスにハイペリオンのデータを送る。

 

 「結構クセがあるから気をつけろよ?」

 

 ――「この魔法は少しクセがあるからな。そこを掴む所から始めたらいい」

 

俺も結構苦労したもんなぁ。

はや姉とかに見せたときも始めは苦戦してたし。

まぁ、その後直ぐに使えてたけど……。

 

そして案の定、二人は苦戦していた。

 

 「えっと……あ、あれ?固まらない……」

 「僕は発動しません……」

 

ティアナは点滅はしてるモノの、オレンジのハイペリオンがほぼ出来上がってる。

が、なぜかエリオは発動すらしない。

 

コレはおかしいな。

俺でも失敗はしても発動はしてたのに……。

 

何が原因だ?

 

 「アテナ、分かるか?」

 「そういえばアインスさんがそれっぽい事を言ってた気がしますが……」

 「お、マジで?」

 「はい。ちょっと行って来ます」

 

俺の肩に座っているアテナには心当たりがあるようだ。

アテナは浮かび上がり、エリオの方に飛んでいく。

 

なら俺はティアナの方にでも行くか、と思い歩み寄る。

 

 「どうだ?」

 「術式は確かに簡単なんですが……クセが強くて力加減が難しいです」

 「へぇ。ティアナもそう感じんだな?」

 「私もってことはウィズさんもですか?」

 「まぁな。力加減が上手く出来ない上に、術式が合わさらないんだよな」

 

あの時は本当にイライラしたなぁ。

術式はキッチリしてんのに、上手くできねぇし。

 

まぁ、今では片手間で出来るくらいにはなったけど。

 

 「あの、コツとか教えてくれませんか?」

 「コツなぁ……。たしか……」

 

 ――「一度に全体に魔力を通そうとするから溢れるんだ」

 

 「……慣れるまでは、少しづつ流し込む、固める感じ、か?」

 「流し込む、ですか?」

 

俺のアドバイスにティアナが首をかしげる。

 

 「分かんねぇよな。俺もそうだったし」

 「そんなアドバイスしたんですか!?」

 

苦笑いで返す俺にティアナの鋭い突っ込みが入る。

さすがスバルで鍛えられてるだけあるな。

 

でも最初は本当に分からなかったんだぜ?

そんな8歳の子供にそんな感覚的なアドバイスされても、なぁ。

いや、哲学的に言われたらもっと分かんなかっただろうけどさ。

 

 「でも今のも大事だぞ?ハイペリオンは単純だからこそ使いやすいけど、壊れやすくもあるからな」

 「それは……何となくわかります」

 

しれは良かった、俺は頷く。

 

この後も俺の講習は続いた。

が、悲しいかな。

 

やっぱりティアナも、あっという間に展開、上に乗る位のことは出来るようになった。

 

 「跳び回ったり、シールドとしての硬さは期待できねぇけど、足場としては合格点、だな」

 「ありがとうございます!」

 

俺より少し高い位置で、オレンジに光るハイペリオンに立つティアナに声をかける。

ティアナは返事をすると俺の位置まで降りてきた。

 

 「この魔法は術式が単純だから、ティアナが他の性質を組み込むのも良いかもな」

 「組み込む……ですか?」

 「あいぼーー!」

 

会話の途中で声。

まぁ、アテナなんだけど。

 

そういえばエリオをまかせっきりだったな。

デバイスとマンツーマンとか、エリオに少し悪いことしたな、と思いつつそっちを見る。

 

 「見てください。こんなんなっちゃいました」

 「あ、アハハ……」

 

そこには妙に興奮気味のアテナと、困った表情のエリオ。

そして――。

 

 「差し詰め【ハイペリオン・ブリッツ】と言った所でしょうか」

 

金色に光り、バチバチと特有の音と一緒に放電しているハイペリオンがあった。

 

 「……私、六課に来てすぐの頃ならグレてたと思います」

 「俺は今すぐにでグレたい気分だよ」

 

いやいや、コレが才能の差ってヤツなんだろうね。

って言うかさ。

 

 「アテナ。お前どんなアドバイスしたんだよ?」

 「私はアインスさんがフェイトさんやシグナムさんに言ってたアドバイスをしただけですよ」

 

そういやフェイ姉とスグナム姉さんも皆に比べて少し苦戦してたなぁ。

変換資質持ちの人には合わないのか?

 

 「元々相棒専用に作られたモノですし、資質は邪魔になるらしいですよ」

 

ってか知らなかった。俺専用だったんだ。

……たしかにアインス姉さんも頭抱えてたなぁ。

あれ、俺の出来が悪いからだと思ってたけど、専用に作った俺が使えなかったからだったのか。

ん?出来が悪いって意味じゃ一緒じゃね?

 

まぁ、いいや。

 

この後も俺の講習は続いていき、二時間経つ頃には二人共ほぼ完璧にマスターしていた。

……悲しくなんて無いぞ!

 

 「ありがとうございました!」

 

そして特に大きな騒ぎも無く講習は終わり、二人を置いて俺は訓練スペースを出た。

 

 「それにしても、ハイペリオンってそんなに色々考えてもらってたんだな」

 「そうですよ。私にも何度も相棒のクセなどを聞きに来ていましたし」

 「……全然知らんかった」

 「だからこそ習得できない相棒を見ているのはつらかったものです」

 「ゴメンナサイ……」

 

この後、六課に来てまともに教導したのが初めてだと気づいて、何とも言い難い心境になったのは、また別の話。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。