魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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35.束の間の休息【ウィズ編】

海鳴に付いて三日。

姉さん達は毎日少しずつだがサーチャーを設置しに艦を降りてる。

で、今日中にサーチャーを設置を終える予定らしい。

俺は艦内待機なんだけどな。

 

言うまでも無く、安全を考えてだ。

なの姉なんか笑って居てくれたけど、凄く申し訳ない気持ちで一杯だった。

 

そんな事を考えつつ、俺は何となくブリッジも扉を開けた

 

 「ねぇ~、いいでしょ~?」

 「駄目だ」

 「ケチー!だから出番が減るのよ!」

 「なっ!?人が地味に気にしてることを!」

 

 「……なにやってんだ?」

 

ユリアとクロノが言い合いをしてた。

パッと見る限りはユリアがクロノにくいついてる感じだけど。

 

 「あ、ウィズやんか。どないしたん?」

 「いや、特に用事が有った訳じゃねぇけど……なにやってんの?」

 「あぁ、アレなぁ」

 

そしてはや姉が説明をしてくれた。

 

 「つまり、ユリアが町に降りたいって駄々を捏ねてる、と?」

 「そういうことやな。私は別にええと思うねんけどなぁ」

 

頭を掻きながら言うはや姉。

まぁ、ユリアも言い分も分からんでもないけど……。

 

 「はいはい。二人共そこまでにしぃや」

 

いい加減見かねたはや姉が二人の手を叩きながら仲裁に入る。

 

 「別にええんちゃうかなぁ、クロノ君」

 

 「はやてまで!?」

 「さっすが、分かってる!」

 

はや姉の言葉にクロノは驚き、ユリアは指を鳴らす。

因みに俺ははや姉支持派。

だって……なぁ。

折角だから降りたいじゃん?

 

 「なのはちゃんを付き添わせる、とかやったら別にええんちゃう?」

 「そうよ!それなら安全でしょ!!」

 

はや姉という味方を手に入れて、猛反撃と言わんばかりに畳み掛けるユリア。

対してクロノは不利になって後ろにたじろいでる。

 

俺なんかはもう慣れたモンだけど、女二人を敵に回すと威圧凄いからなぁ。

 

 「私も外には出てみたいですねぇ」

 「そん時はフレーム置いてけよ」

 「何故ですか!?」

 

肩に座っていたアテナが大声をだした。

耳がキーンッって……。イタイ……。

 

 「当たり前だろ。それともアウトフレームにでも成れるのかよ?」

 「ぐ、ぐぅ……。相棒のクセに生意気です!!」

 「何か理不尽に怒られた!?」

 「……またジャレあってるんか?」

 

アテナと二人で騒いでると、何時の間にコッチに来たのかはや姉が俺の目の前に居た。

 

 「え?あ、あぁ、はや姉。なに?」

 「クロノ君からは許可とれたよ。ウィズも出たいやろ?」

 

……本当に取ったんだ。

 

さりげなくクロノさんを見る。

 

うな垂れてた。そして隣には満足げな表情のユリア。

 

何言われたんだろう。

それが凄く気になった。

 

 

 

 

 

その後、俺ははや姉と一緒に行動すると言う事で艦を降りる許可を貰った。

 

 「あれ?はや姉だけ?」

 

予め決めておいた時間、昼過ぎに、転送ポート前に来るとはや姉しか居なかった。

当然、シグナム姉さん達も一緒だと思ってたんだけど……。

 

 「そっちこそ、レイラはともかくアテナはどないしたんや?」

 

アテナはさっきアナザーにアウトフレーム機能を付けるとか行ってレイラと一緒にデバイスルームに篭った。

今回はレイラも連れて行ったところを見るとちゃっかりしてやがる。

 

その事を伝えるとはや姉は苦笑いをしてた。

 

因みにシグナム姉さん達だが――。

シグネム姉さんは、ルーテシアだっけ?その子に会うためにミッド残ったアギトと連絡を取った後、訓練をするといって訓練質に篭っているらしい。

ヴィータ姉さんはなの姉たちと先に降りたらしい。

シャマル姉さんとザフィーラ兄さんは単純に居残りで、リィンはブリッジで辺りの監視だそうな。

 

 「いつまでもココに居てもしゃーないし。行こか?」

 「え、あ、うん」

 

そして二人で転送ポートに並んで、光りに包まれ始めたとき、ふと思った。

――はや姉と二人で出かけるの、何年ぶりだろ?

 

 

 「うわ、さむっ!なにこれ!?」

 「湖沿いやからなぁ。この時期はちょっと辛いなぁ」

 

転送されたのは例のコテージ。

行ったとおり湖沿いだからメッチャさむい。

 

着込んできておいてよかった。

 

 「寒いし早よ行こ。サーチャーの設置もせなあかんし」

 「サーチャー?」

 「クロノ君に頼まれたんよ。責めてコレくらいはしろーって」

 「あぁ」

 

ただでは起き上がらないって事ね。

 

 「にしてもクロノ君も結構な範囲指定してくれてなぁ。これ全部回ってると日が暮れてしまいそうや」

 「え、マジ?」

 「マジやマジ。ほら」

 

そう言ってはや姉が開いたモニターを横から覗き込む。

確かにコレは……きついな。

 

ってかコレ、順番間違えたら夜になるぞ……。

ただで起きないどころか確り仕返しまでしてきやがったあの野郎……。

 

ゆっくり町を歩きながらって思ってたんだけどな。

……仕方ない、か。

 

 「はや姉。インビエルノ出すよ」

 「持って来てんの?」

 「うん。てか一応いつも身には付けてるんだけどね。あ、後ろ乗って」

 

はや姉と話しながらインビエルノを展開させる。

来るときは少し迷ったけど、持ってきておいてよかったな、なんて思いながら俺はインビエルノに跨る。

 

 「あれ、どうしたのはや姉?」

 「え!?いや、何でもないんよ、なんでも」

 「ん?」

 

何故かはや姉が乗ってこなかった。

さっき居た場所から動かないで、ブツブツ言ってた。

 

もしかして二人乗りに抵抗あんのかな?

乗ってない人には怖いらしいし。

 

 「なんだったら歩いても良い……」

 「大丈夫や!バイクで行こ!」

 「う、うん……」

 

なんか言葉を遮られた。

はや姉はそのまま、正直良く分からないテンションのまま後ろに乗った。

 

そしてはや姉のが手を俺の腰に――。

――って、ちょっと待て!はや姉、そういうことか!?

 

うわ、意識したらなんかドキドキしてきた……。

 

 「どないしたん?」

 「な、何でもありません!サー!」

 「ん?」

 

と、とにかく、バレねぇ様にしとかねぇと。

姉ちゃんにドキドキしてるって……マズイ、よなぁ。

 

なんて考えながら俺はぎこちない事を自覚しながら、インビエルノを走らせた。

 

そしてその後は本当に何も無く順調に進んだ。

クロノに指定されたポイントを順番に回る。本当にそれだけ。

途中昼飯でも食べようかと思ったけど、時間を取るし、コンビニで軽くだったし。

 

折角帰ってきたのに、本当に仕事だけで終わりそうだ。

 

 「よし、設置完了!」

 「おつかれ~」

 

で、日も傾き始めた今サーチャーの設置が全部終わったところ。

時計を見ると四時半を回ったところだった。

 

 「何時頃までに戻ればいいんだっけ?」

 「クロノ君は六時には戻って来いって言ってたわ。コテージに戻る時間考えると一時間も無い、なぁ」

 「はぁ。中途半端に残ったもんだ」

 

ってかインビエルノ使ってコレだけ時間掛かるって……。

徒歩だったら間違いなく終わってねぇぞ。

 

 「ならどうしよ?帰る?」

 

非常に不満だけど、本当に時間が中途半端しか残ってないからやることが無い。

むぅ。

折角はや姉と出かけられたのに……覚えとけよクロノ。

 

 「それやったら行きたい所あるねんけど、ええ?」

 「ん?それは全然構わないけど……どこ?」

 「……丘」

 

 

 

 「ん~……やっぱ寒いなぁ」

 「まぁ日も暮れ始めてるしな。冬だし夜だし……本当に温暖化してんの、地球?」

 

俺たちが来たのは海鳴の町が一望できるあの丘。

……アインス姉さんが逝ったあの丘。

 

 

今から十年前に起こった事件、闇の書事件。

俺はその事件は外野に居たから詳しく内容とか、細かく知らないんだけどな。

 

事件後、俺には一人、姉さんが増えた。

その姉さんがアインス姉さん。

 

だけど、出会ったその時から姉さんと一緒に居られる時間は限られていた。

 

防衛システムの切り離し、解き放たれた闇の書の闇との戦闘。

システム切り離しの際に引きちぎられたアインス姉さんの根幹部分は回復しようの無いダメージを負った。

システム再生の不能、融合能力の喪失。

そして……緩やかな自己崩壊。

 

本来なら、アインス姉さんは自ら死を選ぶ筈だったと聞いた。

 

その身に宿した自己再生能力、それによって再び闇の書の闇を再生してしまう危険から、はや姉たちを守るために。

 

だけど、なんとも皮肉な事に、あまりに失い、無力になりすぎたから……。

数ヶ月程度で死を迎えるという現実と引き換えに、アインス姉さんは、生きることを許されてしまった。

 

アインス姉さんは当時の俺にそう語っていた。

あの頃は難しい言葉ばっかで言ってる意味が殆ど分からなかったけど、な。

 

 

そうしてアインス姉さんは、残り僅かな時間を俺たちと一緒に過ごした。

わずかばかりの時間の中、たとえ、共に戦うことが出来なくても。

 

――強くなれ。騎士たちと共に並び、主を守れる程にな。

 

その頃だったな。

こう言って俺にハイペリオンを作ってくれたの。

 

 

数ヵ月後……時が来た。

アインス姉さんは最後に今を過ごしたこの町、海鳴が見たいといって、ココに来た。

皆を連れて。

 

そして……姉さんはココで逝った。

 

特に墓がある訳でもない。

だけど、アインス姉さんに会いに来るならココになっていた。

 

 「(ただいま、アインス姉さん)」

 

空を見上げながら心の中で呟く。

 

 「(まだまだ姉さん達の隣は遠いけど、ようやく形は見えるようになったよ)」

 

ふと、風が吹いた。

俺はそれが、姉さんが笑ってくれてるような気がした。

 

 

それから暫くしてふと時計を見るとそろそろココを出ないとまずい時間になっていた。

俺より少し離れた所で空を見上げてるはや姉に近づく。

 

 「はや姉、そろそろ」

 「ん?もうそんな時間か?」

 

俺は頷く。

 

 「ほな、戻ろか」

 

はや姉が俺の横に並んで歩き出す。

 

その時、それは起こった。

 

 「なっ、結界!?」

 「なんで……」

 

視界が一瞬他の色に染まり、元に戻る。

咄嗟に俺とはや姉は背中を合わせて辺りを警戒する。

 

結界。

 

結界を張れる魔道士なんて今の海鳴には俺たち位しか居ない。

 

 「一体、誰が……っ!」

 

ココまで口に出して気づいた。

 

俺たちがココに来た理由。

ココに用があるヤツ。

 

アング……。

 

 『はやて、ウィズ!聞こえるか!』

 「クロノ君!何が起きてるんや!?」

 

俺とはや姉の通信が開く。

そこに写るのは慌てた様子のクロノ。

 

 『直ぐに戻ってきてくれ!ヤツ等が、動き出した』

 

 

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