魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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37.開戦

通信後、俺とはや姉は二人でブリッジに駆け込んだ。

 

 「クロノ!」

 

ブリッジにはもう全員集まっていた。

どうやら俺たちが最後だったらしい。

 

 「相棒、遅いですよ!」

 《うむ。二人でイチャイチャしてたのか?》

 「んな!?」

 

フワフワと飛んできたアテナが、レイラのKYな発言に一言に反応した。

うん。お前らは空気を読もうな。

 

 「本当ですか相棒!?まさか二人で乳繰――」

 「それ以上言っちゃ駄目!そんな事してないから!してないから!」

 「そ、そうや!さすがに外でそんな事せえへん!!」

 《その言い方だと、外でなければ言い様に聞こえるな》

 「相棒ーーー!!?」

 「違うから!本当に違うから!!」

 

 「話を進めるぞ」

 「ゴメンナサイ」

 

とりあえず直ぐに謝っておきました。

だって本当に怖かったんだもん。後ろで姉さん達とFWも呆れた顔してたんだもん。

 

さすがにアテナとレイラも思うところがあったのか大人しくなり、アテナはレイラを抱いたまま俺の肩に座った。

 

 「ふぅ。回りくどいのは無しだ。……ヤツらが動き出した」

 

その一言に、俺たちの間に衝撃が走った。

やっぱり、あの結界はアングだちだったのか。

 

 「リィン、頼む」

 「はいです」

 

クロノが指示をだし、アースラのブリッジのモニターに夜の空が映し出された。

 

雲一つ無い星も月も光る海鳴の海上、そこに三つの影があった。

言うまでもない、アング達だ。

 

 「この場所……」

 「何をやってるのかな?」

 

シグナム姉さんは映った場所に思い当たるのか、小さく呟いていた。

そして続くようになの姉がモニターに写るアング達を見て疑問の声を上げる。

その理由は良く分かる。

 

三人がそれぞれ三角形の作るようにアング達は海上の上に浮いている。

そしてその中心には、白い、細長い楕円形のメカメカしいモノが浮いている。

あちこちに走るラインが薄翠色に発光しているのが余計にそう感じさせる。

 

 「詳細は不明ですが、あれを基点に魔力が乱れ始めてるですよ」

 「おそらく、アソコに例の渦があるんだろう」

 

つまりあの機械がマジック・ホールに何らかの形で干渉してるってことか。

いや、可能性があるってところか。

 

 「なんにしてもこのまま見ている理由は無いな」

 「あぁ。直ぐに行ってあいつ等をブチ倒しゃ良いってことだろ?」

 

既にシグナム姉さんとヴィータ姉さんはやる気満々らしい。

俺が言うのもアレだけど、二人のあのやる気は俺を酷い目にあわせたとかそういうかんじなんだろうなぁ。

 

 「今回は空戦になるから、FWの皆はここで待機。いいね?」

 

なの姉の指示に、FW達はいつのも元気は無いが返事を返した。

不満はあるけど仕方なく返事をしたって感じだ。

まぁ、分かるけど。

さすがに今回は下も海だし、今回は厳しいからな。

 

 「アースラに指揮官が不在はマズイ。はやて。現場指揮は君に任せる」

 「了解や」

 

クロノがはや姉に指示を出す。

コレで最低限の指示は行き渡った。

 

 「それじゃ、行こう」

 「あ、チョイ待ち」

 

俺が声を出すとユリアが止めた。

なんだ、と思っているとユリアが俺の方に寄ってきてアテナが座っていない肩に手を置き口を開いた。

 

 「私をコイツ、今回出撃は無理だから」

 「はぁ!?」

 

そんな事を言いやがった。

当然俺はやる気満々だったから度肝を抜かれた感じだ。

 

俺は当然だけど、姉さん達も目を見開いて驚いている。

 

 「どういうことなの、ユリアちゃん?」

 

なの姉が一歩前に出る。

 

 「どうも何も、コイツ。戦闘にまだ出られる体じゃないのよ」

 

……そういやそうだった。

俺の体、まだ反応鈍いまんまだったな。

ある程度元に戻ってっけど、まだ若干おかしい。

 

ユリアの話じゃ後10回程ベガ使えば鈍り以外は元通りに成るって言ってるから焦っちゃいねぇけど……。

 

くそ。

今となったらその10回がこれ以上無いほど多い……っ。

 

 「え、えぇ!?ど、どういうことそれ!?」

 

だけどなの姉はかなり慌てだした。

って、良く見りゃはや姉とシグナム姉さん以外の姉さん達とFW達も驚いている。

 

 「あ……」

 

そういやあのメンバー以外に言ってねぇ……。

 

ユリアは何となく予想してたのか特に慌てず皆に説明し始めた。

皆の反応は得にはや姉たちと違いはなかった。

それも治るって聞いたら皆ホッとしてた。

 

 「でも、それはらユリアは?正直あのエストラに対抗出来るの、ユリアくらいだけど」

 

フェイ姉が言うのも最もだ。

俺は参加できないけど、ユリアまで残る意味は無い。

 

 「あぁ。コイツが納得出来てない様だからさ、ギリギリまで踏ん張ってみようと思うの」

 「は?――ってマジか!?」

 「マジよ。だから参加できないの」

 

両手を腰に当てて答える。

 

 「それ、間に合うんか?」

 「はやて達しだいでしょ」

 

確かにそうだ。

俺が出る前に全部終わってる可能性だってある。

 

もう焦らないって決めたけど……イヤだ。

俺も、隣で戦いたい。

 

俺がそう考えてるのが分かったのか、ユリアは俺の顔をみてため息をつく。

そして言う。

 

 「……まぁ、間に合わせるわよ。私を誰だと思ってんの?」

 

はや姉の言葉にユリアが自信満々に答える。

暫しの沈黙、二人の視線が交わる。

 

 「分かった。ほな任せるよ」

 「ま、全部がチャチャッと終わるのが良いんだけどね。……任された」

 

はや姉が歩き出し、二人がすれ違う時、ハイタッチの様に手を叩き合った。

 

そして他の姉さん達ははや姉に続き、転送ポートへ向かうためブリッジを出て行く。

その際、みんなは俺に何も言わなかった。

けれど目が言っていた。

言ってくれていた。

 

――待っている、と。

 

 

 

 

その後、俺とユリアは医務室に来た。

因みにWFメンバーも一緒に来ている。

 

 「ほら、そこに座りなさい」

 

ベッドを指差すユリア。

その手にはベガが既にセットアップされている。

 

 「先に言っておくわよ。10回分を1回に纏めるの。その意味分かるわよね?」

 「キツイ、か?」

 「当然」

 

うわぁ。なにその顔。スッゴイ素敵なんですけど……。

絶対に「キツイって言葉なんて生ぬるいわね」くらいに思ってるだろ。

 

 「ユリア。私たちは何で呼んだのよ?」

 

ここで後ろに居たティアナがユリアに聞く。

 

 「アンタたちはコイツの体抑えといて。もしかしたら暴れるかもしれないし」

 「あ、暴れる?」

 「やっぱりそんなにキツイのか!?」

 

ってか暴れるって、俺の予想以上なんですけど!?

そんな暴れるほどの痛みなんて経験したことないんですのよ!?

 

 「相棒、無意味に女言葉になってます」

 《とうとうそんな症状まで……》

 「二人してそんな目で見ないでくれるかな!?いや、レイラは目が無いけど絶対に哀れむ感じで見てるよな!?」

 《良く分かったな》

 「やっぱりか!!?」

 

 「ほらソコ。バカやってないでさっさと準備しなさい」

 「はいはい」

 

呆れてるユリアに即され俺はベッドに横になる。

コレがいつものスタイル。

 

寝転んでいる状態の俺にユリアが頭を掴んで治療。

アテナはレイラを持ち俺から離れる。

 

 「さぁて、それじゃぁ行くわよ。チィト痛いけど……我慢できるわね?」

 

右手のベガを改めて締めなおしながら俺に聞いてくるユリア。

 

 「我慢するしかねぇんだろ?」

 「分かってるじゃない。ほら、スバル達も位置につきなさい」

 「え?う、うん!」

 

スバルとティアナがそれぞれ足元と手元に着く。

ライトニングの二人はユリアの後ろで待機。

 

……まさかチビッコには抑えきれないくらい暴れるのか?

 

 「アテナ、レイラ。お前達はブリッジに行ってろ」

 「何故ですか?」

 「俺が戻ったときに状況を早く知りたい」

 《別にクロノからでもいいと思うが……まぁいいだろう》

 「仕方ありませんねぇ。了解です」

 

アテナはレイラをつれて医務室から出て行った。

 

そしてそんな会話をしている間に、ベガがいつも通りの灰色に光りだす。

だがその輝きはいつもと比べ物にならない。

 

少し、目を開けてるのがつらい。

 

 「さぁ、行くわよ!!」

 

そして、俺の最後の治療が始まった。

 

 

 

クロノside――――――――――――――――――

 

 『そこまでや!』

 

はやてたちがアング達に接触した。

それをモニター越しに確認する。

 

 『おや。ここまで追ってきましたか、しつこいですね』

 

ゆっくり背を向けていたアングがはやてたちに向き直る。

数では見るからに劣勢なのに、余裕の表情を崩さない。

 

 『大人しくしろ。ここで自主るすなら……一発で許してやる』

 

その余裕にシグナムは気に入らないらしい。

だけど一発ってなんだ?自首したら拘束だけで十分だぞ。

 

 『この戦力差だ。その方が賢いというのは貴方たちも分かるはずです』

 

フェイトが言う。

だが、やはりアングはその表情を変えなかった。

 

それどころか、さっきよりも口元の歪みが大きくなっている気がする。

 

 『海鳴市。ここに穴が有ると分かって調べましたが……中々面白かった。特に、闇の欠片事件でしたか』

 「なっ!?」

 

一瞬虚を疲れて驚いたが、納得は出来る。

アングはコンピューターにアクセス出来るとも言っていたし、アースラもその手中にある。

データを消したといっても復旧くらいお手の物だったんだろう。

 

 『闇の書に取り込まれたデータとその土地の記憶を元に作られた実体を持った虚像。とても興味深かった』

 

そして片手を広げ、なのは建ちに向ける。

攻撃かと思い構えるなのはたちだが攻撃は来ない。

 

代わりに指の間に小さな球体の何かを挟んでいる。

 

 『僕なりそれを研究してみたのですが……難しくてコレだけしか作れませんでした』

 『作れなかった……まさか!』

 

なのはが声を上げる。

 

 『そのまさかです。――さぁ、行きなさい!』

 

アングが手を振り、その球体を前に投げた。

刹那、それぞれが眩い光を放ち始め、モニターが白一色に染まった。

モニター越しにも眩しいと感じる強い光。

 

僕も一瞬だが目を閉じてしまった。

 

そして次に目を開けたとき、僕は信じられないモノを見た。

 

 

 

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