魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
another side――――――――――――――――――
依然として、二閃の雷光は何度も交差し続けていた。
リミッターは解除できた。だが、それだけ。
フェイトは攻撃力で勝負する魔道士ではない。
そしてマテリアルもまた、速力重視の魔道士だ。
速さは互角。
フェイトが先に行くためには、真ソニックフォーム、そしてライオットザンバーを取り出すしかなかった。
だが……。
「やっぱり、僕は強い!」
「くっ……」
マテリアルの速度は今のフェイトと同位。
隙が無い訳じゃない。でも、ライオットに変える程の時間は無かった。
援軍も期待は出来ない。
さっきアルフからの援軍も断り、ヴィータ……ヴィオルの元へと向かわせた。
アルフはある意味ではなのは以上に連帯を取りやすい間柄ではある。
だが、だからこそ、それ故に分かる。
元々暫く戦闘から離れていたと言うのもあるが、この高速戦闘にアルフは付いて来れない。
だからこそ、サポートできそうなヴィータの元へと向かわせた。
「それでも――っ!」
負けるわけには行かない。
フェイトはバルディッシュを強く握りなおした。
「電刃衝(でんじんしょう)ーー!!」
避ける。
ソニック、ライオットの事を考えると一寸の魔力も無駄に出来ない。
だから避ける。
「やっぱり、そう来たな!!」
「――っ!?」
だが、その行動はマテリアルに読まれていた。
マテリアル自身は直感に頼っただけなのだろう。
しかし、実際フェイトはその通りに動いてしまった。
それ程にもマテリアルの戦闘センスは高かった。
当然、フェイトにはもう交わす術はない。
振りかざされる金色の刃。それを体に受けて海に叩き付けられるだろう。
バリアジャケットがあれど、すべての衝撃を受け流してくれるわけじゃない。
「動きを止めるな!!」
目は閉じていなかった。
だから、一瞬分からなかった。
フェイトとマテリアルの間に青い剣型のスフィアが通過しても。
だが直ぐに理解し、後退しマテリアルから距離を取る。
「まて!逃げるなっ!」
「選手交代だ!!」
上空からマテリアルの追撃を阻止する黒い影、クロノ。
「バルディッシュ……真・ソニックフォーム――!」
何故艦に居るはずのクロノが?
そうも思うが今聞いているときじゃない。
ジャケットを真・ソニックに変え、バルディッシュもライオットザンバー・スティンガー、二刀形態へと姿を変える。
「グッー―」
クロノのうめき声のようなものが聞こえ、視線を戻す。
と、クロノが右肩を切られていた。
「クロノッ――!」
フェイトが叫ぶと、クロノはマテリアルと後退をして距離を取る。
そして入れ替わりにフェイトが突っ込み、メテリアルに攻撃を繰り出す。
「くっ。変形なんて……ズルイっ!」
「はあぁぁぁ!!」
マテリアルが言う言葉もフェイトは一切耳を貸さない。
二刀の魔力刃で幾度も切りかかる。
「くっ――そおぉぉ!!」
やがて、マテリアルが大きく距離を開いた。
「スティンガーブレイド!!」
クロノが援護射撃……マテリアルに追い討ちをかける。
が、それはすべて叩き落とされてしまった。
――ザンバーフォームによって。
「この力で、僕は飛ぶ!!」
「バルディッシュ!」
《――Riot(ラオット) Zamber(ザンバー) Calamity(カラミティ)――》
マテリアルの使用としていること、繰り出そうとしている魔法に気づき、フェイトも両手に持っていたバルディッシュを一つに連結、大剣と成す。
「いくよ、バルディッシュ」
《yes sir》
「撃ち抜け、雷神――!」
「雷神滅殺――!」
フェイト、マテリアル共に、大剣となった己がデバイスを振りかぶる。
《――jet(ジェット) zamber(ザンバー)――》
「はあぁぁぁぁぁ!!」
「極光斬(きょっこうざん)ーー!」
共に雷を纏った金色の刃がぶつかり合い、あたりの空気を振るわせた。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「エルシニアダガー!!」
「っ――!」
襲い掛かる刃の雨。それをはやては確実に避けて避ける。
だが――反撃は許されない。
「アロンダイト!!」
シュベルトクロイツを構えるどころか、体制を整える暇さえない。
白色の砲撃魔法がはやてを襲う。
「つっ――!!」
体制を整える事を捨て、無茶な状態でシールドを張り、攻撃を防ぎ、爆発を起こす。
「クラウ・ソラス!!」
爆煙の中から放たれた砲撃魔法。
相手の視界から少しとは言え外れた中からの攻撃。
だというのに、マテリアルはそれを簡単にかわす。
爆煙が晴れ、そこに居るのは肩で息をしているはやて。
「どうした塵芥。鈍ってきているぞ?」
「うるさいわ。手を抜いてるんや」
前屈みになっているはやてを見下ろす――見下すようにいうマテリアル。
「ほぅ。余裕なのだな」
そう言う顔は明らかにあざ笑っている。
実際、はやての一言は強がりではある。
確かにはやては強大な魔力持ちであり、そのレアスキルによって魔法の種類も豊富ではある。
コレだけ聞いたら今のように苦戦しているのが不思議だろう。
だが、はやてには今回の様に一対一の経験が著しく欠落していた。
はやての戦闘スタイル。一言で言うと固定砲台である。
だからこその苦戦であった。
「ならば……そろそろ本気を出してもらおうか!――アロンダイト!!」
「くっ――。クラウ・ソラス!!」
再び砲撃魔法がぶつかり合い、爆煙が巻き起こる。
一瞬、二人の視界からお互いの姿が消える。
――このままやったら、ジリ貧や……。
攻撃を交わし、攻撃を繰り出しながらはやては考える。
今のままでは落とされるのは時間の問題だった。
だからと言って、はやてには接近戦で使える攻撃魔法は限りなく少ない。
例えそれがリィンをユニゾンしていても。
――リィン……。!その手があったか!
頭を過ぎった好転の機会。だがそれは、分の悪い賭けでもあった。
だが、考えている暇も無いのは事実。
だったら悩んでいる暇は無かった。
艦で頑張っているだろう弟の為にも、自分がココでへこたれる訳にはいかなかった。
「刃以(も)て、血に染めよ。穿(うが)て、ブラッディダガー!!」
打ち出すのは鮮血色の自動誘導型高速射撃魔法。
予想通りにそれは全て防がれる。着弾時爆裂し、爆煙に包まれたにも拘らず、マテリアルはそこに存在し続けた。
だが、それは予想通りだった。
「闇に沈め――……」
「っ!?」
はやてがこの戦闘で出す初めての詠唱。それに一瞬マテリアルの動きが止まる。
「ブルーティガードルヒ!!」
打ち出されたのは……ただのブラッディダガー。
当然。
今の詠唱、魔法の名称は闇の書が使っていたドイツ語になっただけの、ブラッディダガーなのだから。
「そんな小細工が我に効くか!!」
その攻撃すら、真正面からアロンダイトで打ち消された。
そしてアロンダイトは真っ直ぐはやてに襲い掛かる。
が、万全の状態だったにも関わらずはやては防ぐことを選択した。
砲撃魔法が直撃し、大きな爆煙にはやての姿が消える。
「所詮塵芥。精神すら軟弱だったモノか」
爆煙を見ながらマテリアルはそう呟いた。
あんな弱いものが自分のモデルとなった事にもだが、自分に傷つけることすら出来なかった事にも、妙な焦燥にも駆られていた。
次第に爆煙が晴れていく。
影は一つある。どう見てもはやてだ。
留めの一撃を繰り出そうと、その手に持つエルシニアクロイツを静かに向ける。
――と、マテリアルの体が強張り、視線を自身の上空に向ける。
そこにあるのは数多の短剣。ブラッディダガーに凍結効果が付与された、リィンの魔法だった。
当然使えるのは――リィンしか居ない。
「くっ――つっ!?」
マテリアルはソコから避けようとするが、それは叶わなかった。
マテリアルの周りを囲む様にフリジットダガーより多くのブラッディダガーだ仕掛けられていた。
「――塵芥、キサマァ!!」
そして再び視線をはやてに戻すと髪の色が茶色に戻ったはやてがシュベルトクロイツを構えている。
その隣にはリィンも居る。
「ブラッディダガーはな、遠隔設置も可能なんや。知らんかったやろ?」
それこそがはやての賭け。
マテリアルがブラッディダガーの特性を知っているかどうか、ユニゾンアウトが気づかれないか。
そしてはやてはその賭けに勝ったのだ。
「リィン!」
「はいです!!」
「ブラッディダガー!!」
「フリジットダガー!!」
「この……塵芥がああぁぁぁ!!」
マテリアルはその叫び声を残し、爆煙に包まれた。
「や、やったか……?」
「分からないですぅ」
手を膝に沿え、息を整えつつも前の爆煙に包まれたマテリアルを見る。
さっきとは真逆の状況。
だが、はやては油断しない。
そして――煙が晴れ、そこに居たのはボロボロになったマテリアルだった。
はやてside――――――――――――――――――
「ち、塵芥が……生意気な真似を……」
言葉も絶え絶え。
ブラッディダガー系統魔法の集中砲火。
さすがに効いたみたいやな。
「小癪な真似を……こうなれば――っ!?」
「?どうしたんや?」
言葉を自分で止めて、胸元を掴み苦しみ始めた。
時間差があったから私の攻撃のせいじゃないとは思うけど……。
「があぁぁああ――!!」
更に苦しむマテリアル。額にも脂汗が浮き上がってき始める。
「え、どうしたの!?」
「大丈夫!?」
他からそんな声が聞こえてきた。
声の方を見ると、予想通り、なのはちゃんとフェイトちゃんだった。
二人共、戦っていたマテリアルが苦しみ始めたのを見て慌ててる。
マテリアルだけが苦しんでるんか……っ。
――エストラたちは、どこにいったんや?
「があぁぁあぁあ!!」
「――っ!?」
そんな叫ぶ声が聞こえて私は視線を戻して――言葉を失った。
その胸元から……あの丸い塊、マテリアルの核を捕らえた手が生えていたから。
手の正体はアング。
「ご苦労様でした。お陰で効率よく経験値を蓄えさえることだ出来ました」
「経験値……やて?」
「はい。――フッ」
「があぁ!!?」
私に返事をして、その手を引き抜く。確りと核も収められてる。
「……どうやらアッチも終わったようですね」
アングの視線を追うと、なのはちゃんとフェイトちゃん似のマテリアルもヴィオル、エストラに核を引き抜かれた所やった。